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『アトリエ オンライン』の移管を決断した狙いとは!? 細井Pに今後の展望をインタビュー

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 6月3日より開発・運営がNHN PlayArtからコーエーテクモゲームスへと移管された、iOS/Android用錬金術オンラインRPG『アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~(以下、アトリエ オンライン)』

 6月3日から7月24日23:59まで“10連ガチャチケット”や“☆4 以上確定ガチャチケット”などを入手できるログインボーナスが開催されるなど、しばらく離れていたユーザーも新規ユーザーも、プレイを始めるのに絶好のタイミングとなっています。

 そんな新しい舵を取り始めた『アトリエ オンライン』ですが、コーエーテクモゲームスに移管したことで今後ゲームがどう変わるのかなど、まだまだ不明な点が多いのも事実です。

 そこで、本作のプロデューサー・細井順三氏に、ファンが気になる部分を直撃。その言葉から『アトリエ オンライン』の未来を探ります!(インタビューは6月21日に実施)

よりよい内容を目指しての移管決定

――5月29日以降、『アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~』の開発・運営がNHN PlayArtからコーエーテクモゲームスへと移管しました。まずはその理由から教えてください。

細井順三氏(以下、敬称略):『アトリエ オンライン』は昨年の10月から配信をスタートさせていただき、6カ月ほど経過しました。その間、ユーザーさんから多くのフィードバックが届きまして、NHNさん側がやりたい運用と、ユーザーさん側が求めている内容を照らし合わせて何度も協議を重ねた結果、我々が直接開発・運営を行う形態が適しているのかなという結論に至りまして、コーエーテクモゲームスに移管という形をとらせていただきました。

――移管して直接開発・運営することで可能なった点、または変わった点などはありますか?

細井:劇的にゲーム内容を変えようとは考えていません。現状では、大幅にバージョンを上げるようなことは想定していません。我々は『アトリエ オンライン』のベースとなる部分はおもしろいと思っていますので、重要なポイントであるである物語とキャラクターという部分を、しっかりと定期的に配信し続けることが大事なことであると考えています。

 ですので、「まずは物語とキャラクターの配信を定期的に行います」ということを、お約束できるように計画を立てているところです。やはり『アトリエ』シリーズが継続してきた大きな要素は、物語とキャラクターという基礎部分がしっかりあり、さらにゲームとしてもこだわってきたからだと考えています。その物語とキャラクターに立ち返って、それらの拡充や深堀を行っていきます。

 また、ゲーム内でのイベントも、これまではストーリーが用意されていない場合もありました。これはNHNさんの方向性でもありましたが、我々としては「もう少しストーリーがあってもよいのでは」という想いもあったんです。お約束できるわけではありませんが、個人的にはすべてのイベントにシナリオを用意したいですし、クロスオーバーしたキャラクターシナリオをどんどん書いていきたいですね。

 この“シリーズのクロスオーバー”は1月に発売した『ネルケと伝説の錬金術士たち ~新たな大地のアトリエ~』でも実現したことですが、『アトリエ オンライン』でも実現できると考えています。また、継続的に運用しているコンテンツなので、例えばこれまで発売した直近のタイトルからネルケやルルア(『ルルアのアトリエ ~アーランドの錬金術士4~』)のキャラクターの登場も検討できます。

 コンシューマ版も定期的に新作を発売していきますので、それをしっかり『アトリエ オンライン』でもお見せしていきたいと考えています。コンシューマのハードを持っていない方にも、「この娘、かわいいな」とか「昔、この『アトリエ』を遊んだよな」などと思ったときに触っていただきたいですね。

 本作は無料で遊べますし。「こんなゲームもいいよね!」と思ってもらえることも、1つの新しいコンテンツになりえるのかなと。そういう意味で“物語とキャラクター”の部分は、どんどん変えていかなくてはいけないと考えています。

――コーエーテクモゲームスが直接開発・運営することで、これまではある意味“二次創作的”な立ち位置だったものが、より踏み込んだシナリオを書けるようになるのでしょうか?

細井:これまでNHNさんと一緒に作って来たシナリオは、メインシナリオなどは我々が制作しましたし、それ以外にも監修という形でタッチしていたので、二次創作というものではありません。ただ、タイムリーさは変わりますね。NHNさんに監修としてフィードバックをかけていた部分がなくなり、タイムコストがかからなくなりますから。

 あとはユーザーさんの反応を直に見て、コンシューマで求められているものとスマートフォンで求められている要素が同じならば、「ああ、こういう部分ならコンシューマから持ってきた方がいいよね」と反映させられる、より“リニアな運営”ができると思います。

――移管を発表してのユーザーさんの反応はいかがでしたか?

細井:現状は移管後に大幅なアップデートをして運営を開始したわけではありません。今は大変申し訳ありませんが、移管作業のほうに注力させていただいています。ですので、約100連ガチャのログインボーナス(7月24日23:59まで)で、これを使って遊んでいただいているという状況で、6月末から順次運営を本格化する形です。

 発表後はユーザーさんから「コーエーテクモゲームスになったから期待する」というような好意的な声も多く頂きました。ただ、当然ながら批判的なお声もありました。そこは賛否両論でしたが、我々としては前向きに『アトリエ オンライン』に取り組んでいって、しっかり『アトリエ』シリーズの1つとして、運営していくという意志は変わりません。

――とくに移管したからと、積み上げてきたものがリセットされることはないと?

細井:そうですね。積み上げてきたものの価値は絶対的にあると思っていまして、それをゼロに落とすというようなことは考えていません。ただ一方で、新しいユーザーさんにどうアプローチしていくかという部分は課題にしています。

 当然のことながら古参のユーザーさんと新規のユーザーさんではキャラクターレベルなどが違いますし、求められているニーズの差をどう埋めていくかという部分を、今は検討させていただいています。10月には大型アップデートを予定しておりまして、そこにいろいろと実装する予定です。もちろん、その間もシナリオやキャラクターの追加などは行っていきます。

 もう1つ考えていることが、そもそも期間限定のイベントはいるのか、ということです。『アトリエ オンライン』はMMORPG的やシングルRPGな遊び方をされているので、期間を区切らなくてもいいのではないかなと。

――たしかにコスト性のゲームではないですからね。

細井:MMORPGにある拡張パッケージのような感覚で、イベントを追加していったほうが、新しいユーザーさんはボリュームのある体験ができますし、既存のユーザーさんはいつでもできるという心理的メリットもあるのではないかなと。

 もちろん、期間限定イベントを一切行わないというわけではありません。ただ、我々は物語という部分を重要視して運営を開始しようと思っています。ですので、今の計画ではMMORPG型の運用と、スマホゲーム型の運用をうまく織り交ぜていきたいと考えています。

――細井さんから見て現状の『アトリエ オンライン』は、ユーザーさんからどう評価されていると分析されていますか?

細井:「メインのシナリオが遅れている」というお声を一番いただいていますね。あとは、メインストーリー以外もエンドコンテンツは存在していたのですが、足りていたのかと言われると正直足りていませんでした。この2つの基礎部分がもっと必要なのかなと。とはいえ、これはもともと想定していたものに変えたいということなんですけど。

――ちなみに、開発が想定していたよりも、シナリオやエンドコンテンツの消化は早い感じですか?

細井:ユーザーさんのプレイスタイルによります。早い方もいるし、定期的なスピードで遊ばれている方もいます。『アトリエ オンライン』は普通のスマホゲームとは少し傾向が違うのかなと。だから、期間限定のイベントを配信しましたけれども、参加ユーザー数はそんなに多くはなかったんですよ。

――「このタイミングだからやらなきゃ!」と慌てて遊ぶ方が少なく、のんびり遊ばれている方が多いと?

細井:ですね。そういう遊び方で楽しんでくださる方が多いと、イベントの参加率データを見ていて感じました。ただ、期間を定めていないイベントの場合は、自分のペースで自由に参加してくださっているため、参加率が上がっていくんですね。もちろん、ずっと実施しているからというのもあると思いますが。それを見て、自分のペースでのイベント参加を皆さんが求めているのかなと感じました。今までの運用から経験として、やはり『アトリエ オンライン』に関しては、短いすき間の時間にプレイするのではなく、一定のプレイ時間が必要だと思っています。

――たしかに「さて1時間遊ぶぞ!」と、じっくり遊ぶスタイルのタイトルです。

細井:30分や1時間など、一定の時間で遊んでくれている方が一番多いので、それに見合ったコンテンツを用意していきたいなと。また、オート採取やトレジャーはありますが“ながら”でのプレイが難しい部分もありますし。ですので、遊び方を含めて、今は見直しを図っている感じです。

――ほかにユーザーから届いている声で多い要素などは何でしょうか?

細井:やはりコンテナに関しては、よくコメントをいただきます。

――リュックとコンテナが紐づいていない点は、若干ストレスに感じます。

細井:リュックとコンテナに関しては、調整を行いたいと考えています。

――コンシューマの『アトリエ』では、アトリエに戻ったら自動でコンテナに収納できますね。

細井:はい。だからアカデミー内ならば、直接コンテナから調合できるようにしないといけないかなと。

――短時間にプレイをするときには、アイテム整理で時間がとられてしまうのはストレスですよね。出し入れの作業にはゲーム性もないですし。

細井:それも含めて、アンケートを実施したいと考えています。そこでユーザーさんが求めているものを見極めて、今後の運営に生かしていきたいです。

――そういった問題点の認識が、直接開発・運営することでユーザーと一致したことは、今回すごくよかったと思います。

細井:それ以外にも、オルビュースの剣作成(ストーリー16章のサイドクエスト“アーテリアの黒風”)のように達成条件が厳しいものがあるので、クエスト条件についてはつまずきやすいものから適宜見直すつもりです。

――それはありがたいですね! では今後、イベントやキャンペーンなどでどんなものを予定されていますか?

細井:10月にストーリーの第2部をスタートしたいと考えていますので、それに合わせた運用計画があります。いろいろと検討中ですが、どの時期に何をやるのかは仮の状態でして、決定しているものはまだ少ないです。まずは、第2部を開始するために、第1部の完結に向けて注力しています。

――では、まずは10月までは第1部を遊んでもらえるような仕掛けを用意すると?

細井:はい。今はガチャ約100連分のログインボーナスキャンペーンを実施中で、プレイをしやすい環境を整えています。また、『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』発表記念のログインボーナスも開始いたしました。今後もキャンペーンを用意していく予定です。

 それらを利用して遊んでいただくことで、現在配信されているストーリーはクリアできるのではないでしょうか。時間がかかっていた経験値集めや装備強化は、毎日1回チャレンジできる特定のクエストが用意されていますので、すごくレベル上げを行いやすい環境になっています。とにかく昔ほど時間はかからなくなりましたので。

――キャラクターの実装については今後いかがですか?

細井:7月にはネルケを出せるよう準備中です。その後も『アトリエ』シリーズを含め、ガストブランドタイトルとのコラボレーションなども積極的に行っていきたいと考えています。

――それは楽しみです。ネルケはファンも多いですし、あとは『ネルケと伝説の錬金術師たち』をプレイした方から、過去作の主人公の活躍を見たいという声も多く聞かれていたので、『アトリエ オンライン』ならばそれを生かせる土壌があるのかなと。

細井:そうですね。もう登場させる許可を取る必要もいりませんし(笑)。

――たしかに(笑)。あとはやはり新作のライザも見てみたいですね!

細井:ライザも実装できるように努力していきますので、ご期待ください。

――では最後に本作をプレイしている方、そして未プレイの方へメッセージをお願いします。

細井:プレイをされていない方は、すでに遊んでいるコアユーザーさんとの差をすごく気にされると思います。現状、プレイしているユーザーさんも自分のペースでプレイを進めているお客様が非常に多いので安心して頂ければと思います。シングルでずっと遊べるモードもありますし、いつから始めても変わらない遊びを楽しめます。

 今ならばガチャ約100連分のログインボーナスがありますし、これを活用すれば現状のストーリーをクリアできるくらいまでの準備が整うはずです。育成自体も緩和がされていますので、より遊びやすくなりました。『アトリエ オンライン』はコンテンツとしてのクオリティが高く、楽しいゲームであると私たちも思っているので、興味がある方はぜひプレイしてみてください。

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アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~

  • メーカー: コーエーテクモゲームス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2018年10月3日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

アトリエ オンライン ~ブレセイルの錬金術士~

  • メーカー: コーエーテクモゲームス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2018年10月3日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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