『SAO』川原礫先生に20の質問。アニメの振り返りや《ユナイタル・リング》編の注目点など

てけおん
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 電撃文庫『ソードアート・オンライン』の作者・川原礫先生のインタビューをお届けします。

 昨夜、ついに最終回が放送されたTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld』。最終回の放送後には、『ソードアート・オンライン プログレッシブ』のアニメプロジェクト始動が発表されるなど話題が尽きません。そんな中、川原礫先生にはメールインタビュー形式でさまざまな質問にお答えいただきました。

 これまでのアニメ展開を振り返ってみての感想のみならず、現在展開中の《ユナイタル・リング》についてのお話、さらに、この記事を読んでいる人だけのマル秘ネタもいただけたので、最後までお見逃しなく!

――『SAO アリシゼーション WoU』最終章をはじめ、『SAO』のアニメ展開を振り返ってみてのご感想をお聞かせください

 一期からこの作品に関わってくださった全ての制作スタッフ様やキャスト様、応援してくださった視聴者様にひたすら感謝するばかりですね。ことにWoU最終章は、いまだから可能な最先端の表現手法がこれでもかと詰め込まれていて、毎週超絶クオリティに圧倒されました。

――アニメについて#WoUcomというハッシュタグを用いてご説明をされていました。なぜこの解説をしようと思ったのか、実際にやってみた手ごたえ、発見などありましたら教えてください。

 テレビアニメは1話30分(本編尺だけなら約22分)しかないので、原作にある情報を全て盛り込むのはどうしたって不可能なんですよね。もちろん脚本会議の段階で最適な取捨選択を追究するんですけど、それでも零れる部分はあるので、原作未読の視聴者さんが疑問に思いそうなところを少しでもフォローできれば…と思って始めました。原作既読の方も、読み物として楽しんでくださったようで、それは嬉しかったですね。準備が大変ですが(笑)。

――《アリシゼーション》編は、アニメにおいても小説においても現状、『SAO』の中で最大のエピソードになっています。特に小説ではWeb版から大幅に加筆をしていますが、どの部分が最も大変でしたか?

 加筆と言っても、全体にまんべんなく、少しずつ筆を入れた感じなので大筋はほとんど変わってないんですよね。一番大きい変化はユージオが整合騎士になってキリトと戦う展開ですが、私ではなく担当編集者の三木さんのご要望によって盛り込んだ部分なので、自分の中で気分を作るのに少々苦労しました。いまでは騎士ユージオも気に入っていますが。

――『SAO』のアニメのスタート後、執筆に何か変化が起こったことなどはありましたか?

 あちこちで言っていますが、原稿を書いている時、キャラクターたちが声優さんの声で喋るようになりましたね。そのおかげで、台詞がより自然な感じになったと思っています。

――『SAO』の中で、特に難産だったエピソードはどれですか?

 全部苦労しましたが、やはり生まれて初めて書いた長編小説である《アインクラッド》編ですね……。「これおもしろいの?」とか、「これ書いて何か意味があるの?」とか、「こんなんでプロになろうとか本気?」とか、ネガティブな囁きとの戦いでしたから(笑)。そういう意味では、書けば本になることがほぼ確定しているというのはなんと幸せなことかと思いますね!

――現在展開中の《ユナイタル・リング》編について、注目してほしいポイントはどこですか? 描いていきたいテーマについてもお聞かせください。

 色々ありますが、《ユナイタル・リング》編はいままでのエピソードで最もゲームシステムの構築に力を注いでいるので、「このゲームおもしろそう」と思って頂ければ嬉しいですね。テーマは色々ありますが、SAO世界が今後どうなっていくのかという未来像を示せればと思っています。

  • ▲サバイバルMMO《ユナイタル・リング》。電撃文庫21巻からは、ここを舞台にしたキリトたちの新たな冒険と戦いが描かれていきます。

――作中ではキリトたちが年齢を重ねていますが、話し方の変化など、注意している点はありますか?

 そこはむしろ、あまり変えないように意識しています。キリトやアスナはもともと、アインクラッド編でも年齢不相応に大人びていたので、やっと精神年齢と実年齢が近づいてきたのかな、と。いまは《ユナイタル・リング》世界を若者らしく、生き生きと楽しんで欲しいですね。

――『SAO』は今年で電撃文庫リリースから11周年となりますが、続けてきたことで大変なこと、うれしいことはなんですか?

 これはどんな作家さんも同じでしょうけど、モチベーションの維持がいちばん大変ですかね……。デビュー時からずっと、実力以上に評価して頂いているという意識があるので、「上に行きたい」みたいな部分はもうずいぶん前に満足しちゃってるんですよね……。いまは、モチベーション云々を意識せずとも、なりわいとして自然体で書けるようになりたいと思っています。

――『SAO』のキャラたちと一緒にゲームを遊ぶとしたら、どんなゲームを遊びますか?

 最近あんまりゲームで遊べてないんですよね……(笑) でもやっぱり彼らと遊ぶならMMORPGでしょうね! わいわいボス戦をやりたいです。ミスっても怒られなさそうだし。

――キリトの前には様々な手強いキャラたちが立ちふさがりますが、川原先生から見て「もっとも敵に回したくない!」というキャラは誰でしょうか?

 みんなあまり関わり合いになりたくないですが、やはりガブリエルですかね……。他の連中は基本ゲーマーですけど、ガブリエルはリアルで殺しにくる人なので……。

――川原先生は現在、複数の作品を同時展開して執筆されていますが、切り替えのコツのようなものはありますでしょうか?

 ないですね! 毎回、頭の切り替えに苦労しているので私もコツを知りたいです!

――物語を作る仕事で生きていこうと決めたのはいつぐらいでしょうか?

 「そうなれたらいいな」という漠然とした希望は中学生くらいから持ってましたけど、小説家一本でやっていけそうと思えるようになったのはデビュー後4、5年目くらいだった気がします。

――デビュー当時のご自身にアドバイスできるとしたら、なんと伝えますか?

 「ビットコインを全力買いしておけ」です! ……そういうことではないですよね。うーん、「映像化を見据えて話を作れ」とかですかね? 同じ場所で延々会話が続くシーンとか、アニメのシナリオにする時えらい苦労したので……。

――アイデアを思いつくために、意識的になさっていることはありますか?

 最近はもう、「思いつこうと思って思いついたアイデアはたいてい使えない」と割り切ってます。原稿を書いていく中で、自然に生まれてきたアイデアじゃないとストーリーに馴染まない感があるので。逆に言えば、「アイデアに悩む前に手を動かす」ことですかね。

――2020年(8月時点)でおもしろい! と感じたコンテンツはなんですか?

 ゲームは、なかなかAAAタイトルを本腰入れて遊ぶ時間が取れないんですが、最近だと『They Are Billions』っていうストラテジーゲームがおもしろかったですね。もともと『スタークラフト』が大好きだったので……。

 アニメもあまりチェックできてませんが、マンガは色々ありますね! 『兄の嫁と暮らしています。』『僕の妻は感情がない』『オレが私になるまで』『よふかしのうた』『大ダーク』『サメガール』『野人転生』『鬼塚ちゃんと触田くん』『ショートショートショートさん』『ゴールデンゴールド』『剥かせて!竜ケ崎さん』『の、ような。』『ダークギャザリング』『穂高輪花のチャリと飯。』とかが最近おもしろかったです!

――今もっとも注目されているニュースはなんですか?

 それはやはり新型コロナウイルス関連になりますよね……。第二波がこのまま収束して、それが流行の終息に至ることを願うばかりです。あとはイーロン・マスクの《ニューラリンク》ですね! いよいよ人間でテストを始めるらしいので注目しています。名称に親近感ありますし。

――1週間お休みをもらえたらやってみたいことはなんですか?

 旅行、できれば海外に行きたい! んですがいまはそういう状況じゃないですからねえ。幸せなことに去年まで、毎年複数の海外イベントに招待して頂いて、どこの国も凄く刺激的で楽しかったんですが、今年は国内でも海外でもありとあらゆるイベントが中止になってしまったので……。またいつか海外イベントに呼んで頂ける日が来ることを祈っています。

――担当編集者さんのすごいところを教えてください

 それはもうたくさんありますが……三木氏で言えば、大KADOKAWAを辞めて独立したのはほんと凄いなあと。あのまま編集長を続けていればいずれ役員、そして社長の目もあった気がするのに! でもいまのほうが生き生き仕事をされているとも思うので、ストレートエッジをKADOKAWAと互する、いや超える会社に育ててほしいですね!

――誰も知らない『SAO』のマル秘ネタをひとつ教えてください

 え~~~~あるかな……(笑) えーと、アルゴは実はハーフで、正式な本名は《帆坂カリーナ朋》と言います。

――今後の『SAO』の展開についてお話しいただける範囲で教えていただけますか?

 『アリシゼーション WoU』の最終回放送後にお知らせがありましたが、ついに『ソードアート・オンライン プログレッシブ』シリーズのアニメプロジェクトが始動しました!

  • ▲アインクラッド攻略を第一層から描いていく『プログレッシブ』シリーズ。現在は6巻まで刊行されています。

 浮遊城アインクラッドを舞台に繰り広げられるキリトとアスナ、キバオウたちの新たな物語にどうぞご期待ください!

電撃文庫『ソードアート・オンライン プログレッシブ』第1巻

  • メーカー:KADOKAWA
  • 発売日:2012年10月10日

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