思考こそ至高な『オートチェス』レビュー。麻雀にも例えられるスマホの傑作
- 文
- hororo
- 公開日時
『Auto Chess(オートチェス)』というゲームをご存じでしょうか?
2019年の初めからPCゲームファンのあいだで話題になった『Dota Auto Chess』というタイトルをきっかけに、今ではiOS/Android用のゲーム『Auto Chess:Origin(オートチェス:オリジン)』として生まれ変わり、人気を博しています。
このゲームの成り立ちについてはあとで語るとして、まずは一体何がそれほどまでに人々を魅了したのか、その魅力を簡単に紹介したいと思います。
『Auto Chess』のゲーム性の特徴とは? 麻雀に似てるって、ホント?
『Auto Chess』のゲーム性は、よく麻雀に例えられます。
ゲームの目的は、毎ラウンドで配られる5つのユニット(駒)のうち、どれかを取って自分の陣営を強くしていき、バトルロイヤル制の対戦で生き残ること。
どんなユニットが配られるかにはある程度のランダム性があるものの、そこから何を取るのかはプレイヤーの選択です。
詳しいゲームの流れや仕組みにはのちほど触れますが、この“ランダム性と選択の繰り返し”が初心者でも運がよければ勝てるかもしれない、配られたユニットが微妙でもうまく選択していけば勝てるかもしれない、といった可能性を感じさせ、いい塩梅で人のプレイ欲をかき立ててくるのです。
そもそも『Auto Chess』の成り立ちとは? その歴史を振り返る!
より詳細な魅力を語る前に、本作の成り立ちについて軽く説明しておきましょう。興味がなければ読み飛ばしてしまっても構いません。
そもそもはPC用MOBA『Dota2』のMODとして誕生
もともと『Auto Chess』は、PCのゲーム販売プラットフォーム“Steam”で配信中のMOBA『Dota2』のMODのひとつでした。
MODとは、簡単にいうと改造データのようなもので、キャラクターの外見を変えたり、新しいゲームルールを作ったりとさまざまな種類があります。
現在では、パラメーターを不正にいじるなどという、違法性があるチートとは区別されて呼ばれることが多いですね。
つまり、もともと『Auto Chess』はユーザーが作った非公式のゲームルールだったということです。ここで公開されたのは、正式名称を『Dota Auto Chess』といいます。
『Dota Auto Chess』から,正式な単独ゲームへと進化
その後、大きな人気を博した『Dota Auto Chess』は、やがて単独で遊べるゲームとしてリリースされました。
それが今回紹介する『Auto Chess』です。
MODだった『Dota Auto Chess』は、あくまでも『Dota2』に付随する、ユーザーがカスタマイズしたルールのひとつでしかありませんでした。
そのため、ユニットには『Dota2』のキャラクターを使用していました。ですが、独立した単独のゲームとなったことで『Auto Chess』はユニットの容姿や名称が変更されています。
ちなみに『Dota2』のほうでも、『Dota Auto Chess』の流れを汲んだ『Dota Underlords』というタイトルがサービスが開始されましたが、それは今回は置いておきましょう。
ともあれ、ほかにも流れに乗るタイトルが次々と出てきているような、新たなジャンルを切り開いたのが『Dota Auto Chess』でした。そして、その本流ともいえるのが『Auto Chess』なのです。
要素はシンプル。ただし考えることは無限大にある奥深い戦略性
『Auto Chess』のユニットにはさまざまな種類があり、チェスや将棋の駒のように強さが異なります。
最初に述べたように、配られる5つのユニットから任意の駒をいくつか取って陣営を強化していくのですが、おもしろいのは、ただ強いユニットを取ればいいというワケではないところ。
ユニットにはいくつかの性能があり、それを加味したうえで、どれを取るかが重要です。では、実際にどんな違いがあるのか見てみましょう。
【駒ごとの違い】
・そのユニットを買う(取る)ために必要なゴールド
・ユニットのステータス
・ユニットの種族
・ユニットのクラ
ゴールドについて
最初に記載した“ゴールド”は、毎ラウンド自動で配られるお金のこと。
ユニットや経験値を買ったり、配られたユニットが気に入らないときにリロール(再抽選)したりする場合に使用します。
そう、ユニットは無料ではないので、自分の手持ちゴールドと相談して、最善の手を考えながら買う必要があるのです。なお、ゴールドさえあれば配られた5つのユニットをすべて買うことも可能です。
ちなみに、毎ターン入るゴールドには、いくつかのボーナスが設定されています。
勝ち続けることで得られる“連勝ボーナス”や、逆に負け続けると得られる“連敗ボーナス”、さらにラウンド開始時に所持しているゴールドの10の位の量に応じて入る“利子ボーナス”などです。
こういったボーナスを意識しながら、ゴールドをやりくりしていくのも、プレイするうえで重要になってきます。
経験値(プレイヤーのレベル)について
そして、もうひとつ重要なのが経験値。経験値を得ることでプレイヤーのレベルが上がり、盤面に出せるユニットの数が増えていきます。
そのため、レベルで優位に立てば、それだけ戦闘も有利になる仕組みになっています。
くわえて、レベルが高いほど能力値の高いユニットが配布されやすくなるため、戦力の充実を図るうえで無視できない要素といえるでしょう。
一応、毎ラウンド開始時に少し経験値が得られるので、プレイしているだけでもプレイヤーのレベルは上がっていきます。
ですが、あえてゴールドを使って経験値を買うことで、レベルの有利を早い段階で取りに行くという戦略も可能になるわけです。
ユニットの種類や性能について
次にユニットについて見てみましょう。ユニットにはそれぞれ性能があり、強弱が存在します。
強いユニットほど購入ゴールドが高かったり、配布確率が低かったりでバランスを調整されています。
そして注目したいのが、ユニットの種族やクラス。これらを一定数揃えることで、シナジー効果が発生します。
例えば、“ウォリアー”は3体揃えると“味方のウォリアー全員の物理防御が5上がる”という効果を発揮します。
このように、ユニット単体の強さと種族・クラスのシナジーを狙ってユニットを購入していくことが、勝つためには必要になってくるのです。
ユニットの配置について
ユニットの配置にも気を配らねばなりません。チェスの名を冠するだけあり、本作の盤面は碁盤目状に区切られています。
そこに自分のユニットを配置するわけですが、ユニットによって攻撃できる射程や範囲が異なったり、攻撃する前の移動方法にクセがあったりするのです。
攻撃したい敵に誘導するためには配置も考えなければなりません。
これらの要素は単体で見れば非常にシンプルなものばかりですが、ゲーム中はすべてに気を回すことになります。
しかも毎ラウンド操作できるのはわずか30秒のみ。限られた時間で何を選ぶのか。そういった“選択”の繰り返しが本作ならではの楽しみなのです。
不要なプレッシャーはいらない! 気楽に楽しめる対戦がリプレイ性を高める!
個人的に『Auto Chess』が遊びやすいと思った理由のひとつが、対戦形式です。
本作は基本的にほかのプレイヤーとオンライン対戦を行うゲームです。参加人数は8人(初心者用モードは4人)で、最後の1人になるまで戦い続けます。
厳密には、毎ラウンド参加者の盤面の“コピー”やCPUのモンスターなどと戦うため、相手と直接戦っているわけではありませんが……。
ともかく、戦闘に負けると、盤面に残った相手のユニットの総コスト(ゴールド)に等しいダメージを受け、プレイヤーの体力がゼロになったら脱落、という形式で進みます。
対戦というと身構えてしまう人も多いかもしれませんが、この方法は“相手と直接戦っている感覚”を極力減らすことに成功しており、対戦時の心理的ハードルをかなり下げていると感じました。
例えば通常のチェスでいえば、対戦相手は1人だけです。するとどうしても“相手”を意識してしまう。
ですが、相手が7人もいると、すべての盤面を把握することは極めて困難です。なので、対戦相手の手を読むという行為より、いかに自分の盤面を強くするか、という部分に意識を集中できるのです。
もちろん、人が減ってきた場合は相手の盤面をチェックして、勝てないようであれば対策を講じるという場面もありますが、その頃には対戦によるプレッシャーなどは感じないでしょう。
すぐに次に移れる、切り替えの早さもポイント
また、バトルロイヤル型の対戦ゲームに多い特徴ですが、負けてしまった際にすぐにゲームを終了し、次のゲームを始められるという切り替えの早さも魅力です。
「今回は(ユニットの)引きが悪かったな~」などと言いつつ、次のゲームに即座に移行して、また楽しむ。こういったテンポのよさも『Auto Chess』にハマってしまう要因のひとつです。
まとめ:“考える”ことが多いけど、考えることそのものが最高に楽しい良作
最終的にどんな陣容にするかを見据えてユニットを買っていくものの、実際に引いたユニットしだいで途中でプランを変更したり、どこでゴールドを使うかを見極めたり、はたまた今の盤面の配置は万全なのかを確認したりと、とにかく考えることが多い『Auto Chess』。
この“考える”という行為そのものが、本作において最高に楽しい瞬間なのです。
難しいことは何もないので大丈夫。確かに毎ラウンド30秒という短い時間を有効活用するには、いろいろなことを覚えておくと有利ではありますが、プレイしているうちに自然と覚えていきます。
無料でダウンロードできるので、とりあえず気軽に2、3戦遊んでみて、この“頭を悩ませる楽しさ”を味わってみてください。
© 成都龙渊网络有限公司
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります