物語に一喜一憂し選択肢に悩んだ『ライフ イズ ストレンジ』を紹介【綾那のゲームに夢中】

綾那
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 さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム“綾那のゲームに夢中”の連載第38回をお届けします。

 皆さんは、最近、いかがお過ごしですか?

 私は機械音痴なりにいろいろ調べながら、PCにSSDを増設し、遠慮なく新しいゲームをダウンロードできるようになってホクホクの今日このごろです。

 終わってみると意外と簡単でしたが、機械音痴としてはPCの蓋を開けるだけで緊張しますからね。

 万が一なにかを引きちぎってしまったとしても、“時間を巻き戻す能力”とかあったら、安心なんですけどね。

 今回書かせていただくゲームは、そんな時間を巻き戻す能力を得た女子学生が、小さな田舎街を舞台に奮闘する物語。

『Life is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』です。

 タイムリープものが好きな人なら一度は聞いたことがあるであろう“バタフライ効果”、“カオス理論”がゲーム中に出てきます。

 名作と名高いこのゲームを最近になってプレイしたのですが、こんなにも行動や選択肢を慎重に考えたゲームはありませんでしたね。

 なお、この記事には『Life Is Strange』の軽度のネタバレが含まれます。プレイを予定している方は、ご注意ください。

マックスとクロエ……感情が揺れ動く様にハマる

 主人公のマックス(本名はマクシーン)は写真撮影が好きな女子学生。内気だけど正義感が強く行動力があります。また、物事を冷静に見られる性格の持ち主です。

 それに対して親友のクロエは、感情的に行動しがち。見ていてこちらも冷や冷やするのですが、マックスが冷静なため、この性格がいいコンビネーションを生んでいるんです。

 マジメなマックスと不良気味なクロエ。

 ペアとなるキャラの性格が真反対だからこそ、異なる意見で衝突し、お互いを理解しようとして成長していくわけです。

 このプロセスを、ティーンの少年少女が乗り越えていくのがたまらなくいいんですよね。

 マックスは、舞台であるアルカディア・ベイを離れて、シアトルに5年間いました。マックスは再びアルカディア・ベイに戻ってくるのですが、その間、クロエはレイチェルという子と親友に。そしてそのレイチェルは行方不明になっていたのです。

 レイチェルを探すクロエの手伝いをマックスもすることになるわけですが、だんだんレイチェルに嫉妬してるような一面を見せます。

 シアトルにいた間、マックスはクロエに連絡していなかったようなので、そこを突かれると痛いのですが、目の前でレイチェル、レイチェルと言われるとさすがのマックスもおもしろくないわけです。

 女子同志で感情の揺れ動く様が、見ていて「青春だなぁ」と思いました。

 でも今考えてみると、「おもしろくない」というのはマックスを通して私が思った感情だったのかもしれません。

 クロエにキスしてみたり、誰もいない学校のプールで泳いだりとかして、めっちゃドキドキしたわけですしね!!!

 だんだんクロエに対して抱いている感情が、“ライク”なのか“ラブ”なのか分からなくなってくるドキドキ感がありました。

 個人的にはトレーラーにある、線路を2人で歩くシーンがすごくお気に入りです。名作映画『スタンド・バイ・ミー』を彷彿とさせるだけでなく、イメージ通りのアメリカの田舎街っていう感じが好き。

 ただ、その前に行う瓶探しはつらかった……諦めようかと思うほど見つからないし、視点をグルグル回して探していたら酔ってくるしと……散々でした。

 後半にもこの瓶が出てきた時は、思わず身構えてしまいました(笑)。

 登場人物がみんな魅力的で、脇役がいないと感じるところもすごくよかったポイントの1つです。

 色々思うところはあるけれど、私はビクトリアがお気に入りですね。

 お金持ちの家の子でプライドが高いし、いじめの主犯格でもあるビクトリア。でも喋ってみると、彼女が育ってきた環境に原因があるのがわかり、ある日ポロっと「ねぇ。私たちって友だちになれないのかな」なんて言ってくるのがね……。

 「カワイらしいところもあるじゃない」って、ほだされてしまいました(笑)。

 こっそりフィギュア集めている所もいいですね。

感情移入したゲームだからこそ選択肢がつらい……

 マックスが授業中に見た“大きな竜巻が街に迫ってくる夢”。

 そのあと女子トイレで青い蝶を見つけて写真を撮影していると、クロエが同級生のネイサンに銃で撃たれてしまいます。

 そこからマックスは時間を巻き戻せる力を得て、本編が始まるわけですが、これは“ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?”いうカオス理論を暗示しています。

 タイムリープ物って、脚本や構成がややこしくて大変だと思うのですが、この作品は物語の作りや伏線がとてもしっかりしていて読みやすかったです。そして、展開にただただ驚かされました。

 時間を巻き戻せる能力とともに、マックスはもう1つ“写真にシンクロするとその写真が撮られた時間軸にタイムスリップできる”能力も得ていました。ただ戻すだけでなく写真が撮られた場所に自分がいれば、シンクロでき、その時に行くことが可能なんです。

 そこで変えた運命は、写真が変わっていくことで見て取れます。演出をふくめて、こういうとこもセンスを感じますよね。

 これでさらに運命の上書きできる幅が広がり「なるほど、そう来たか!」と鳥肌がたつシーンも。

 ただし、運命というものは皮肉なもので、誰かを助けると別の誰かがつらい目にあってしまう。このまま上手くいくと思っても、結局はどうにもならずに絶望してしまう……。

 おまけに時間を巻き戻すことは、体には負担がかかるようで、たびたびマックスが鼻血を出してつらそうにする場面がありました。

 それでも彼女は体を張るんです。私のマックスは、つねにクロエの為に体を張りましたね。

 あと、最初は聖人のようなマックスでありたかったので、嫌がらせをしてきた相手も受け入れ、すべてを許しました。

 話をしてみれば、みな何かしらの悩みを抱えて生きているティーンエイジャーで、ちゃんと話すことでお互いを理解できる。そういう所もよかったですね。

 自分がそのいじめっ子たちと仲がいい時間軸も存在していて「お! いいじゃない!」ってなるんですが、やっぱりすべてがハッピーなわけではない。

 物すごくつらい選択を突きつけられて、マジで頭を抱えて考えたり……。

 たかだゲームの選択肢。されどゲームの選択肢。

 選んだもので、自分という人間が垣間見える瞬間でもあります。

 ゲーム中、どちらを選んでも余りにもつらく、重いものがあり「なんでこんなこと、選ばせるんだよ……」って辛かった場面もちらほら。

 ゲームでさえこんなに苦しいのに、もし現実でこんな選択をすることになったら卒倒するかもしれません。

 日々いろいろな選択を迫られているけれど、そこまで気にせずに日々を過ごしている人が多数だと思います。

 その選択次第で誰かの生死が決まるとか、そんなことあまりないですし、あっても非日常だと思ってしまうじゃないですか。

 でも「どうしてあんなこと言っちゃったんだろう」とか「なぜあの時にちゃんと行動してなかったんだろう」という思いは、誰しも一度は経験したこと、あるはずです。

 『Life is Strange』ではほんの些細な行動で未来が変わるし、よかれと思ってやったことでとんでもない結果を招いてしまいます。これらは現実でも起こりうることなので、すごく考えさせられます。

 このゲームに感情移入すればするほど、きっと思い悩むでしょう。

 特に最後!

 最後の選択肢は、このゲームを遊んで一喜一憂してきた人にとって、究極の選択だと思います。

 どんな決断を迫られるのかは書きません。遊んだことがない方はぜひとも自身の目で確認してください。そして遊んだことのある方は、また一度思い出して下さい。

 私は一瞬迷いましたが、それがさも当たり前かのように右を選択しましたね。普段なら絶対に左を選んでいたと思うんですが、マックスとして過ごした時間は確かに私の考え方を変えていました。

 やり終わって感じたのは、すごく出来のいい海外ドラマを見終わった満足感。“神ゲー”という表現より“名作”という表現の方が、このゲームには似合いますね。

 マックスがイヤホンを付けるとスっとまわりの雑音がなくなり、Syd Mattersの『To All of You』が流れてくるあの瞬間が、『Life is Strange』の世界観を表しているような気がします。

 プレイしたあなたが最後の選択肢をどちらにしたのか、機会があれば教えていただきたいです。

Life is Strange (C) 2015, 2016 Square Enix Ltd. All rights reserved. Developed by DONTNOD Entertainment SARL. Life is Strange is a trademark of Square Enix Ltd. Square Enix and the Square Enix logo are trademarks or registered trademarks of Square Enix Holdings Co. Ltd. All other trademarks are property of their respective owners.

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ライフ イズ ストレンジ

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ADV
  • 発売日: 2016年3月3日
  • 希望小売価格: 4,444円+税

ライフ イズ ストレンジ(ダウンロード版)

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: PS3
  • ジャンル: ADV
  • 配信日: 2016年3月2日
  • 価格: 4,444円+税

ライフ イズ ストレンジ(ダウンロード版)

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ADV
  • 配信日: 2016年3月2日
  • 価格: 4,444円+税

『ライフ イズ ストレンジ』

  • メーカー:スクウェア・エニックス
  • 対応端末:PC(Steam)
  • ジャンル:AVG
  • 配信日:2016年3月3日
  • 価格:4,444円+税
  • ※PC(Steam)版は海外版に無料の日本語アップデートファイルをインストール

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