メビウスのメビュームシュートが腕を完全にクロスしない理由は? 『ウルバト』インタビューで開発秘話を直撃

カワチ
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 バルタン星人やキングジョーといった『ウルトラマン』シリーズに登場する怪獣たちが活躍する、バンダイナムコエンターテインメントのスマートフォン向けアプリ『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』。

 新要素のジオラマ追加や、ハーフアニバーサリー記念で盛り上がる本作について、本作のプロデューサーを務めるバンダイナムコエンターテインメントの小美野日出文氏にインタビューを行いました。

【訂正とお詫び】記事公開時、記事の見出しと本文にウルトラマンメビウスがスペシウム光線を使うという記載がありましたが、こちらは誤認でした。正しくは、スペシウム光線ではなくメビュームシュートとなります。訂正してお詫びいたします。

怪獣を育てるというコンセプトと、シミュレーションというジャンルを選んだ理由

――『ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ』はどのようなコンセプトで生まれたゲームなのでしょうか?

小美野:『ウルトラマン』シリーズの怪獣を育てるというコンセプト自体は最初から決まっていて、育成した怪獣をどうやって活躍させるかという部分は試行錯誤を重ねました。

 アプリゲームのトレンドというものを考えたとき、かつてはシンプルでわかりやすいゲームが多かったと思うんです。それはコアなユーザーが楽しめないという意味ではなく、ファーストタッチの遊びやすさをかなり重視していたという意味です。

 それは基本無料のビジネスモデルなので、とりあえずストアのランキングなどからダウンロードしてみて、ゲームがおもしろかったら続けるという遊び方が多かったからだと思います。

  • ▲本作のプロデューサーを務めるバンダイナムコエンターテインメントの小美野日出文氏。

 ただ、昨今は新作のアプリが続々とリリースされており、第一印象で興味をもってもらえなければそもそもダウンロードしてもらえないという形に変わってきていると思います。

 イメージとしては家庭用のゲームに近いかもしれませんが、リリース前に公開するビジュアルのインパクトやPVのクオリティ、友だちの評価やほかのユーザーさんのレビューといったものがより重要になってきました。

  • ▲メインとなるゲームはシミュレーション。戦略的なバトルを楽しむことができるほか、オートによる手軽なプレイが可能。

 そのため、『ウルバト』は見た目のこだわりはもちろん、最初こそちょっと取っつきにくくても、遊んでいるうちにユーザーさんが試行錯誤することを楽しく思えるような、きちんとした『ゲーム』を作ろうと思いました。

 最初は2Dイラストで2頭身の怪獣が動くみたいな構想もありましたが、上記に合致しないため、やめた経緯もあります。

――なぜ怪獣をフィーチャーしようと思ったのでしょうか?

小美野:シリーズの主人公はウルトラヒーローで間違いありませんが、各話の主人公は怪獣だと思うんです。

 私自身の話になるのですが、父親が『ウルトラマン』シリーズが大好きで、家にウルトラヒーローや怪獣のソフビ人形が山ほどあったんですよ。それだけあっても1体1体にいろんな思いでがありました。誕生日に買ってもらったチャンドラー(パワード版)とか、兄にとられた多数の怪獣達とか……。

 こうやって1体1体の怪獣が愛されるのも『ウルトラマン』シリーズの魅力かなと思いますし、この怪獣を主人公にするのも『ウルトラマン』シリーズらしいのかなと思いました。

  • ▲なつかしい怪獣からニュージェネレーションと呼ばれる最新の作品の怪獣までバラエティ豊かな怪獣が登場。

――ゲーム性の部分でこだわった部分はどこですか?

小美野育成のやり応えですね。もともと育成というジャンルは長所を伸ばしたり短所をなくしたりとユーザーによって育て方が異なる点が魅力です。


▲怪獣ごとの個性もありつつ、スキルの継承で自由度の高い育成が可能となっています。

 さらに『ウルトラマン』シリーズは相当な数の怪獣がいるので、そこでも個性が出せると思いました。アクションを入れるとユーザーの腕前に左右されて育成の価値と怪獣の個性の演出が弱くなってしまうと思い、ジャンルは純粋なシミュレーションにしました。

なぜガシャではなくオークション形式に?

――本作はガシャではなく、マーケットというユーザー同士のオークション形式で怪獣を仲間にすることになりますが、どうしてこのような形になったのでしょうか?

小美野:ある程度の人気の傾向はあるとはいえ、好きな怪獣というのはユーザーさんそれぞれで違っていて十人十色になってくるかなと。

 そのため、そもそもレアリティで怪獣をわけるという考え方自体が難しく、初期レアリティの違いこそあるものの、すべての怪獣を最高レアリティの星6まで育てられる前提で考えていきました。

 そうなると、いわゆるアタリやハズレのような概念も作りにくく、ガシャというランダム性が高いシステムにしてもあまり意味がないのかなと判断しました。

 すべての確率が均等なガシャにするというアイデアもありましたが、本当に単なる闇鍋的なランダム要素は意味がないですよね。

 結局、自分も含めてウルトラ怪獣のファンは“お目当ての怪獣が欲しい”わけで、いっそ“欲しい怪獣だけを狙い打てる”システムにしようと。その結果、オークションシステムにして、お客さん自身に適正となる価格を選んでもらうことにしました。

  • ▲ガシャが存在せず、マーケットで好きな怪獣を落札して手に入れることができるのが特徴。また、特定のアイテムを集めることで怪獣を生成して仲間にすることもできます。

――テレビでギャラクトロンが活躍した時にマーケット価格が高騰するなど、オークションでの人気がユニットの性能だけではないところもおもしろく感じました。

小美野:そうですね。スケジュールの兼ね合いなどでタイミングを合わせるのは難しいですが、テレビシリーズとのリンクがうまくできた時はうれしいですですね。

 7月6日からは、ウルトラマンタロウの息子が活躍する『ウルトラマンタイガ』の放送も始まりましたが、もちろん『ウルバト』にも『タイガ』の怪獣を登場させていく予定です。

 リアルとゲームで連動をできると盛り上がることも多いので、そういった仕掛けも積極的に考えていきたいですね。

――どの怪獣も星6まで育てられるので、人それぞれ自分好みの怪獣を推せるところもよいですよね。ゲーム中のフレンドでも、初期は星2や星3の怪獣をレベル90まで育てている人をよく見かけます。

小美野:現在、バトルアリーナで強いと言われているマガバッサーも、“兄弟の絆”で活躍する巨大ヤプールも、レアリティの低い星2の怪獣ですからね。

 育て方や使い方しだいで初期レアリティが低い怪獣もしっかりと戦えるという部分は、ある程度実現できていると思います。

――余談ですが、マーケットはナビゲーションのボイスもテンションが高くていいですよね。

小美野:公式生放送にも出演した開発の那須さんのアイデアを受けて、今のキャストとなりました。ボイス演出はナヴィ役の茅野愛衣さんと、マーケットの仕切り役的なゼットン星人の大塚芳忠さんに担当していただいたのですが、どちらも素晴らしい芝居ですよね(笑)。

――ところで、なぜマーケットの販売をゼットン星人が担当しているのでしょうか?

小美野:スーツ姿で登場することもあり、マーケットというフォーマルな場に似合うかなと思いまして。

 結果、全然フォーマルじゃない、めちゃくちゃ明るいキャラクターになって、今回のマーケットのコンセプトデザインともとてもマッチしましたね(笑)。

  • ▲テンション高くオークションを盛り上げてくれます!

原作再現している技やカメラワークに注目!

――このアプリでとくにユーザーさんに注目してもらいたいポイントはどこでしょうか?

小美野:原作再現している技の数々ですね。再現にはすごくこだわっていますし、原作と違うアングルの場合も「この怪獣のいちばんいいアングルはここだ!」という部分を突き詰めて作っています。

 こういうシミュレーション作品の場合は味方と敵のターンでキャラクターを反転させて見せるのがセオリーですが、本作では一番よいアングルを見てほしいので、あえて1種類の角度の映像しか用意していません!(笑)

――そこがこだわりなんですね。

  • ▲こだわっているというアングルに注目!

小美野:はい! 明らかにシミュレーションのセオリーとは違いますが、左右対称でない怪獣も多く、こだわったポイントではあります。

 ハーフアニバーサリー記念で、ログインするだけで簡単にアイスラッガーを使うウルトラセブンの必殺技ピースを入手できるのですが、そのアイスラッガーを投げるときの手の添え方1つとっても、かなり監修をいただきました。


 また、例えばウルトラマンメビウスがメビュームシュートを撃つときは、腕が完全にはクロスしていないんですよ。これはなんでかと言うと、メビウスはまだルーキーという設定があるからです。

 このように、細かくチェックしていただいて、完成度が高い3Dモデルと演出を実現できています。

 またウルトラマンメビウスはゲーム中に登場していませんが、実装された時にはぜひ腕の部分もチェックしてみて欲しいですね。

――選ぶのは難しいかもしれませんが、小美野さんのお気に入りの怪獣について教えてください。

小美野:とくに必殺技でかっこいいと思ったのはグエバッサーですね。回転するところを何回も作り直してもらいました。ただ、まだゲーム内には実装していないので楽しみに待っていてほしいです。

――普段のプレイではどのような編成で遊んでいますか?

小美野:アリーナとの対戦用とクエストの周回用で編成を変えていますが、基本的にはかっこいい怪獣が好きですね。

 自分はシリーズの中でもウルトラマンG(グレート)やウルトラマンパワードの怪獣のデザインが好きでして。と言うと怪獣ファンの方なら、なんとなく察することができるかもしれませんが、“かわいい”よりも“かっこいい”派なんですよ。

 なので、グルジオボーンとかギャラクトロンとかをメインで使うことが多いですね。

新要素のジオラマモードはまだまだ進化する! 今後の展開もチラリ

――現在はハーフアニバーサリーキャンペーンが実施中ですが、この半年で印象に残っている思い出深いエピソードはなんですか?

小美野:本作は怪獣が主役ですが、ウルトラ必殺技という形でウルトラヒーローも編成に組み込めるようになりましたし、一部のクエストではZATメカを登場させることもできました。

※イベント“ウルトラマンタロウ降臨”はすでに終了しています。

 そのほか、対人戦であるアリーナや、防衛クエストなど、通常のプレイとは遊び心地が違うものも、この半年でいくつも用意することができました。こういった新しい遊びは、今後も引き続き用意していきたいと思っています。

※防衛クエストはすでに終了しています。

――最近は怪獣を進化させるためのDNAも手に入りやすくなり、ゲーム自体も遊びやすくなっていますね。

小美野:そうですね。デイリーミッションを改修するなどこまかい部分も修正して、日々遊びやすくなるように工夫しています。

 初期に遊んで、バランス的に微妙だと思って遊ぶのをやめてしまった方も、このハーフアニバーサリーをきっかけに遊びなおしていただけるとうれしいですね。かなり遊び心地が変わったはずですので。

 今ならミッションクリアで星6&レベル90のレッドキングを仲間にできますし、ログインするだけでウルトラセブンのアイスラッガーのウルトラ必殺技ピースをもらえます。スタートダッシュにも非常に役立ちますので、ぜひこの機会に『ウルバト』を遊び始めてほしいですね。

――ハーフアニバーサリーをきっかけに『ウルバト』をはじめようと思っているユーザーさんに注目してもらいたいポイントはありますか?

小美野:7月3日よりプレオープンした“ジオラマ”モードがイチオシです。自分で格好いいシーンや笑えるシーンなど名シーンを作って撮影できるモードで、とにかく怪獣を愛でることができます。

 仕事の疲れなどでゲームをプレイする気力がない状態の人でも楽しめますので、ぜひ触ってみてほしいですね。今はポーズの数が少ない状態ですが、アップデートでどんどん増やしていく予定なので楽しみに待っていただければと思います。

  • ▲ポーズだけでなくサイズを変更することもでき、自由にジオラマを作ることができます。

 最初のうちはTwitterなどのSNSを使う形でのコンテスト開催を考えていますが、やがてはゲーム内でのコンテストや作例の展示もできるようにしたいと思っています。

――ジオラマモードはまだまだ進化していくんですね。

小美野:まだプレオープンという段階なので、UIなどで使いにくい部分があって心苦しいのですが、それらはどんどん改修してきます。

 機能的にも、例えば撮影した画像をスマホの壁紙や待受画像にできるようなものの追加を考えています。現状は通常の横長の画面での撮影・保存しかできませんが、縦長に画像をトリミングできる機能を追加したいと思っています。

――ジオラマモードの進化が楽しみです。続いて、ゲーム全体の今後の展望についてお聞かせください。

小美野:“怪獣育成シミュレーション”と“怪獣を愛でられるジオラマ”という2軸で、どちらも単体のサービスとしてファンがつくような流れになるのが理想ですね。

 シミュレーションのほうは怪獣の追加を一番に考えています。将来的な願望ではありますが、シリーズごとに1体ずつは出したいですし、欲を言えばすべての怪獣をゲームに出したいと思っています。物理的に不可能な面もありますが、あくまで意気込みとして…。

 また、一方でジオラマモードのような新しい遊びもどんどん追加していきたいと考えています。

――生放送では、今後はメインストーリーにも力を入れたいとコメントがありましたが?

小美野:表に出してはいませんが、自分=プレイヤーが何者で、なぜこういった世界観で怪獣を育成しているのかなど、細かい設定は開発初期から考えています。

 カンがいい方ならゲーム中の様々な面でいろいろと考察ができるかもしれませんが、そういった部分も含めてゲーム中で語れるといいなと思っています。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

小美野:『ウルバト』はファンの方に支えていただいているコンテンツです。今後は1周年に向けて盛り上げていきますので、引き続き応援していただけますとうれしいです。

 公式生放送やアンケートを通じて、本作を応援してくれるユーザーさんと真摯に向き合いながら運営を続けていきたいですね。

(C)円谷プロ
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ

  • メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2019年1月16日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

ウルトラ怪獣バトルブリーダーズ

  • メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2018年12月20日
  • 希望小売価格: 基本無料/アイテム課金

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