ARISE GIFTはどう大洗町を盛り上げる? 元アニメ宣伝プロデューサーが語る立ち上げの経緯

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 アニメ『ガールズ&パンツァー』の舞台として、一挙に知名度が上がった茨城県・大洗町。その新ポータルサイト“ARISE GIFT(アライズギフト)”が10月15日にオープンしました。その立ち上げについて、サイトを運営する株式会社ハイド&ルークの代表取締役・廣岡祐次さんにお話を伺いました。

  • ▲廣岡祐次さん。

 廣岡さんは、かつてバンダイナムコアーツに籍を置き、『ガールズ&パンツァー』をはじめ、数多くの作品の宣伝を担当されたこともある方。そんな廣岡さんは、2019年より大洗町でコワーキングスペース“ARISE CO-WORKING(※大洗シーサイドステーション2F/日曜定休)”の運営を開始し、そして新たな事業としてARISE GIFTを立ち上げました。

 “ARISE GIFT”はどのようなサイトなのか? 立ち上げの経緯やその目的は? そういった諸々の詳細を、廣岡さんご本人にインタビューでお聞きしました。

大洗の魅力を伝える地域密着型のポータルサイト

――まずは“ARISE GIFT”の立ち上げの経緯をお伺いしたいです。

廣岡さん:一番の理由は、私が『ガルパン』の広報を担当していた人間で、町と携わる過程の中で、大洗という町に魅せられて、町のためになる事をしたいと思ったことです。元々はこのサイトを通じて町の情報を発信していきたいと考えており、頑張って大洗で働いている皆さんと、そんな皆さんが営んでいるお店について発信していくことをメインに考えていました。

――廣岡さんが起業をしたタイミングで“ARISE GIFT”の計画は立てていたのでしょうか?

廣岡さん:前職をやめた後コワーキングスペースを営みつつ、、“ARISE GIFT”を作ることは、1年以上前から決めておりました。時期としては、2019年4月に今の会社を立ち上げまして、6月にコワーキングスペースを作り、そのタイミングではすでに「こんなサイトを作りたいと考えています」という話は周囲としていました。

――その当時はどのような運営をされていく計画だったのでしょうか?

廣岡さん:弊社は民間企業なので、当たり前ですが目先の会社の経営もしていかなければなりません。その中で、当初計画していたようにはうまくいかず、想定していないことも多々ありました。

――具体的にどのような問題があったのでしょうか?

廣岡さん:例えば当初は、自店の情報の発信について困っている方のホームページを作成、リニューアルするなど、WEB関連の作業を細々と事業展開しながら、徐々に売上を上げつつ、今回のサイトを立ち上げる計画でした。ところが実際にやってみると、意外とそのニーズがないとわかりました。

――WEB上における店舗の情報発信は需要があるようには思えますが……。

廣岡さん:大洗でお店を営んでいる方々は、『ガルパン』のファンの人たちと交流するために、すでに多くのお店がTwitterをやっています。それがあれば、来てくださる方への発信は十分で、ホームページをリニューアルしたいという需要は少なかったんです。

――なるほど。それでたどり着いた方法がクラウドファンディングだったと。

廣岡さん:はい。サイトを立ち上げる際にはもちろんお金がかかりますが、そういった背景もあり、資金調達の手段としてクラウドファンディングに挑戦しました。今年の2月のことですね。

――今年の2月といえば、ちょうど新型コロナウイルスの影響が出始めたころですよね……。

廣岡さん:そうなんです。クラウドファンディングを開始したら、今度は新型コロナウイルスで大きく社会が変化していきまして、4月からは弊社が経営しているコワーキングスペースもパタリと人がいなくなってしまい、観光の町なのに町全体でも人がまったく来なくなる事態になってしまいました。町の皆さんからは、東日本大震災後の風評被害が出ていた頃の厳しさを超えるほどの状態だ、なんて声も上がっていました。本当に誰も来る人がいませんでしたから。

――そして、今年は海楽フェスタもあんこう祭の開催も見送られることになってしまいました。

廣岡さん:3月に行われる「海楽フェスタ」と11月に行われる「あんこう祭」は大洗で行われている2大イベントですが、そのお祭りが開催できないことによる影響は観光の町である大洗にはとても大きいですよね。他にも影響は多数あり、学校は休みになり、宿泊施設もお客さまがいない状況が続きました。

――一番影響が出ていたタイミングの大洗の様子はどうでしたか?

廣岡さん:大洗って、個人経営の商店が多いんです。観光客に向けての事業も多いですが、例えば仕事の中には学校に給食のための食材を用意する、ホテルの食事のためにお酒を入れるなど、そういった流れまでもが全てストップしてしまいました。

――その中で見つけたニーズが通信販売だったわけですね。

廣岡さん:町の情報発信をメインに考え、サイトの立ち上げを計画していたのですが、圧倒的に高まっていたのは、通信販売の需要でした。今は少しずつ観光客の皆さんも戻ってきてはいますが、非常事態宣言の期間中は先ほどの通りで、当時すでに通信販売を行っている商店もありました。例えば、ラーメン屋の方がチャーシューを通販で売っているなど、これまでにない販売形式が生まれていました。

 でも、それは本来の事業がストップしているからできることで、通常営業が始まったら普段の業務と並行して続けることは難しいと思います。そこで例えば、弊社が通信販売を仲介し、店に方になるべく負担のかからない形で、商品の販売方法を確保できる環境を整えようとの狙いがありました。

――その結果、情報発信だけでなく通信販売も行うことにしたと。

廣岡さん:元々実施の予定はあったのですが、重要度が格段に上がった形ですね。町の頑張っている皆さんの情報などを能動的に発信していくことは変えずに、「ただ商品を置いているだけ」の通販サイトにはせず、特徴のあるサイトにしたいと思いました。。町の情報を発信していくことで、それをきっかけに定期的なサイトへの誘因を図り、結果的に取り扱っている商品の販売に繋げようと考えています。

――地元の方々とは、どのような協力体制をとっていくのでしょうか?

廣岡さん:よくある通販サイトは、プラットファームによって登録費や月額費、手数料などが取られるところもあるかと思いますが、弊社の場合は、単純なお店と弊社の卸売の関係です。なので、複雑なやりとりもなく、定価に近い価格で販売します。お店の方々は、通販における商品の登録をする必要もなく、顧客管理の必要もない。

 また、冷凍以外の商品は基本弊社で発送も担いますので、店舗はほとんど負担なく参画して頂けると思います。まずは商品の数をどんどん増やしていく形にしたいと思います。この度サイトがオープン致しましたので、そのページの実物をご覧頂きながら、色々なお店にインタビューなり、商品の相談なりをして行きたいと思います。

――クラウドファンディングを開始した2月から、どのような準備を行ってきたのでしょうか?

廣岡さん:お恥ずかしながら、クラウドファンディングが終了してからサイトオープンまで、予定より時間が立ってしまったのは事実です。そこは申し訳なく思っています。言い訳ではありませんが、町全体がゴールデンウィークの客足が壊滅的であることは見えていたこともあり、私は5月から、大洗観光協会が行った店舗支援クラウドファンディング『大洗「おかえり」ミッション!』の運営事務局に関わっていました。

 これは、町の事業者の直近の売上支援を行い、店舗は支援金という形で直近の売上を確保し、支援者には「支援した店舗で将来使える、支援額から10%上乗せられたチケット」が送られる、という仕組みです。

 私自身が直近でクラウドファンディングを行ったという事もあり、観光協会長の大里明さんに相談して、まずは町に貢献できてば……と考えて行動しましたが、並行して弊社サイトの立ち上げを行っていたので、結果時間がかかってしまいました。

――そちらでもクラウドファンディングに携わっていたのですね。

廣岡さん:はい。この2回のクラウドファンディングを実施して一番良かった点は、町の方との関係が作れたことです。町の特産品をリターン品として扱わせて頂いた事もあり、例えば、「何か困った事はありませんか?」とお声がけさせて頂くよりも、「クラウドファンディングでご協力頂けませんか?」と相談させて頂く方が、わかりやすいうえにお互いに関係を築きやすいですよね。

――“ARISE GIFT”のクラウドファンディングの際に、大変だったことはありましたか?

廣岡さん:大変だったことは、「何もかも」ですね(笑)。過去にやったことがありませんでしたから。町内では、それまでの関係値での人脈こそあれども、事業に関しては知識はほとんどなく、クラウドファンディングはもちろん、通販サイトの立ち上げも初の試みだったので、まず何をどうしていいかわからないことが大変でした。

――特に廣岡さんは異例の起業ですから、その分未知の領域も多いですよね。

廣岡さん:一から全て考えるのはかなり大変でした。例えば通販の利用規約とか、どこから作ればいいのやらという状態で。私の場合は起業ですが、前職とまったく違うまっさらな状態の転職された方は、少なからずこの気持ちがわかって頂けるのではないかと(笑)。

――実施したクラウドファンディングの結果はいかがでしたか?

廣岡さん:クラウドファンディングはおかげさまで目標の203%のご支援をいただき、目標額300万円のところ約611万円のご支援を頂く事ができました。参加された店舗の方々からお祝いの言葉もいただき、まだ関わりの無い店舗の方にも、弊社のサービス知ってもらえるきっかけになったのではないかなと思います。

――クラウドファンディングが、さらにサービスの宣伝に繋がったわけですね。

廣岡さん:小さい町なので「こういうサービスをやっている人がいる」と皆さんが広めてくれることもありました。具体的な話では、宿泊施設である「浜野屋」さんにご協力頂き「1週間大洗に泊まりつつ、弊社のコワーキングスペースで働ける権」をリターン品で出させて頂いたのですが、その後「浜野屋」さんの女将さんへ、イワシ料理の名店である「味処 大森」さんの女将さんから連絡があり、「うちも何かできないか」と問い合わせをいただいて、内容を説明して下さったんです。その後に私の方にも連絡があり、結果「味処 大森」さんのリターン品も加えさせていただいた、というような嬉しいお話もありました。

――今回のクラウドファンディングが成功した秘訣はどこにあったと考えていますか?

廣岡さん:初めての挑戦でしたが、終わってみても成功の方程式などは全くわかりません(笑)。ただ分かった事も色々ありまして、実際に挑戦した結果、支援して下さった方の年齢や性別などを分析してみますと、やはり『ガルパン』のファンと思われる方々が多くいらっしゃるであろう事です。改めて本当に感謝しております。なので、『ガルパン』ファンの方を含めて応援してくださった方々にしっかりと応えなければ、という想いが強くなりましたね。600万円って、相当な額ですから。

――広報として活動されてきた前職の経験が生きた、ということはありましたか?

廣岡さん:それは大いにあると思います。余談ですが、クラウドファンディングって一般的に、SNSの活用はTwitterよりもFacebookの方が圧倒的に支援者が多いというデータが出ているらしく、やはり顔が見える人への支援の方が支援者側も行いやすいようです。

 一方で、弊社が行ったクラウドファンディンの割合は、TwitterとFacebookで9.5:0.5の割合で、圧倒的にTwitterの方が強かった。ファンの方はTwitterを中心に活動されている方が多く、そのことからも『ガルパン』ファンの方の支援が大きかったのかなと。クラウドファンディングの事務局の方にも「SNSの割合は異例です」と言われました。

『ガルパン』グッズも商品ラインナップに!

――“ARISE GIFT”では『ガルパン』のグッズの販売も行われていますよね。

廣岡さん:ええ。元々今回描きおろしたイラストは今年の「海楽フェスタ」で出す予定のものでした。当然ながら、私も新しい大洗の事業者として、『ガルパン』と大洗が好きと言ってくださる皆さんに、『ガルパン』のグッズを出すことで喜んでもらいたいと考えており、準備していたものです。

 そうしていたところ、ご存じの通り今年は祭りがなくなってしまいました。そこで、せっかく描きおろしたイラストと、それを使用したグッズをどう皆さんにお届けするか考えた際、通販機能を持つサイトを作るのであれば、そのオープンに合わせて展開しようと思いました。

――商品開発については、前職で関わっていた分野ということで慣れているところもあったのでしょうか?

廣岡さん:これもまた同じようなお話になってしまうのですが……。もちろん私、グッズ製作そのものはやったことがありませんでした(笑)。だから、これも何をすれば良いかわらかない状態でした。

 アニメ作品の広報宣伝をやっていて、コンテンツを扱っていましたので、グッズを販売するまでの権利許諾の流れや、どんなグッズが世に出ているのかみたいな部分はわかるんですよ。ところが、グッズを作るときにJANコードを登録したり、パッケージ裏面に載せる原材料表記の類は何を表示すればよいのか? 自分で成分を調べる必要があるのか? といった部分はまったくわかりませんでした。

 それを自分で進めるのはとても大変で、お世話になっている「大洗まいわい市場」を経営している常盤良彦さんにいろいろとお話を聞いたり、OEMの取引先を探したりして、なんとか完成させることができました。やはり、知識がないことばかりの挑戦で、改めて事前に勉強しておくことが大切だなと痛感させられることばかりですね。

――グッズに使用されている『ガルパン』のイラストですが、何かコンセプトがあったのでしょうか?

廣岡さん:はい。劇場版から登場した“ボコミュージアム”という施設に来たあんこうチームが、一般的な女子高生が遊園地に行ったような感覚ではしゃいで、お城の前で写真を撮りました!!! ……というイメージです。

  • ▲こちらはキャンバスアート。

 加えて、このイラストのチョイスには、単純に私が「ボコ」というキャラクターが好きという理由がありまして(笑)。なので、今後は“ボコミュージアムで売っていそうな商品”という考え方でグッズを作りたい気持ちもあります。その第1弾として、まずはボコミュージアムに関係したイラストをチョイスしました。

――みほたちが身に着けているグッズなどにもこだわりがあるわけですね。

廣岡さん:イラストでみほたちが持っている小物も、こちらから指定させて頂いて描いてもらいました。頭に着けているカチューシャも人によって形が違っていて、パーカーやポシェットをそれぞれ身に着けています。ここでイラストとしてボコグッズを出しておくことで、将来これを商品化できたらいいなという想いはあります(笑)。ただ、衣類を作るのは少し難しい部分があるので、実現についてはまだ何ともいませんが、そういった方向で商品を展開できればと思っています。

――その他の商品については、どのように内容を決定したのでしょうか?

廣岡さん:キャンバスアートは、私は前々から「描きおろしイラストを一番活かせる」グッズだと思っていて、絶対に外せないと思っていましたので、自分でメーカーに直接依頼しました。その他の商品のチョイスはグッズを製作するメーカーさんにご相談する形になりました。

  • ▲カーサイン
  • ▲ペール缶

  • ▲クッション

――今後も新たな『ガルパン』グッズを発売する予定はありますか?

廣岡さん:まだまだ商品は増やしていく予定ですので、ご期待いただければと。ただ、超零細企業ゆえに在庫を持つことが難しく、予約販売とさせて頂き、数が見えてから製造に入る形式である点は、ご了承いただければと思います。第1弾の締め切りは、10月31日までです。

地方が注目される今。改めて大洗の魅力を伝えたい

――今さらになりますが、廣岡さんから見た大洗という町についてもお聞きしたいです。

廣岡さん:大洗が『ガルパン』の舞台として、こうして注目されているのは奇跡以外のなにものでもないと思っています。恐らく、真似をしようと思ってもできないことですよね。その中で、基本にしてもっとも強い部分は、大洗の店主の皆さんがファンの皆さんを快く受け入れているから。これが一番だと思います。2012年から続くこの人気は、日々の関係づくりに尽きるのではないかと思います。

――大洗はファンとして訪れる人たちに対しての、地元の人々の温かさがありますよね。

廣岡さん:お店とお客さまの関係ができれば、お客さま同士の繋がりも発展してきますよね。新型コロナウイルス感染症が広まる前には、現地で知り合ったファンの人たちが、今も年に1、2回は大洗で会い続けている、という話も聞きます。そういう繋がりが、今の大洗を作っているのではないでしょうか。

――そういった関係性に廣岡さんは心を打たれて起業を決意したと。

廣岡さん:お店の方が、超前向きに作品を盛り上げて下さった結果ですね。そうやって頑張っている人たちに魅力を感じて、自分もその一員として関わりたいという気持ちが生まれた結果、こうして活動しています。ファンの皆さんも、感じていることは同じなのではないでしょうか。

――今後の“ARISE GIFT”について、どのようなサービスを増やしていこうと考えていらっしゃいますか?

廣岡さん:まだ立ち上げたばかりのサイトで、スタートの商品取り扱い店舗数は8店舗だけですが、今後はとにかく取り扱う商品を増やす方向で動いていきます。そして、ARISE GIFT上でお店の紹介記事などもどんどん展開していく予定です。

 流れとしては、取り扱う商品を増やす、そしてその商品を売っている店舗さんへの取材記事を上げる……という形を考えています。ただ商品を取り扱うだけでなく「記事にして、皆さんの声を届けたい」というスタンスで、その店舗の歴史や魅力を取材して、商品を拡充させていきたいと考えています。

――商品に関しては、今後どのようなものが取り扱われるようになるのでしょうか?

廣岡さん:大洗が中心であることは変わりませんが、産直販売所である「大洗まいわい市場」では茨城県内のさまざまな特産品を取り扱っていますので、「茨城県内」の特産品もお届けしたいと考えています。ただし、大洗を軸足にするという枠組みは変えず、あくまでその範囲を守った形でサービスの拡充を行う予定です。ここでいきなり「栃木県の特産品です!」というブレ方をしないようにします(笑)。

――大洗だけでなく、茨城県全体を盛り上げるようなサイトを目指すわけですね。

廣岡さん:はい。その特産品を扱う方々にも取材を行うことで、大洗だけでなく、茨城県の魅力をお伝えして、興味を持っていただけるきっかけを作れるのではないかと思います。茨城県と言えば、北海道に匹敵するくらいの農産物の生産が盛んで、生産数全国1位のものもたくさんあります。

 一方で、大洗は観光の町なので、大洗ならではの農産物のようなものはほとんどありません。ところが、大洗を一歩出て見ると、ひたちなかの干し芋、鉾田のメロン、茨城町のお米など、有名な農産物がたくさんあります。そこも含めて、“ARISE GIFT”にて発信していきたいと考えています。

 別に食品ではなくても、笠間焼など工芸品でもアリだと思っています。茨城県全体については、私もまだまだ調べ切れていない状態ですが(笑)。

――その他にもまだありますでしょうか?

廣岡さん:ええ。先ほど『ガルパン』のグッズを紹介した際に“第1弾”と言いましたが、こちらも引き続き様々なグッズを開発していく予定です。そしてもうひとつ、町内のお店と共同開発して“新しいお土産”を作りたいと思っています。

――その理由をお聞きしてもいいでしょうか?

廣岡さん:例えば仙台でしたら『萩の月』、北海道でしたら『白い恋人』のような、“ここはこれ!”という強いお土産って、茨城にはまだないと思うんですよ。そんな“なにか”をこれから作っていきたいと思っています。

――その他に、この社会情勢の変化で廣岡さんが感じたことはありましたか?

廣岡さん:まず、このコロナ禍で世の中の価値観が変わってきています。弊社が営業するコワーキングスペースでは仕事をする場所を提供しているわけですが、昨今多くなってきたテレワークを通して「会社に行かなくてもいいじゃないか」と思った人がたくさんいると思います。そういった仕事に対する新しい価値観が生まれたのは間違いないところだろうと。

 そして、地方に関連した話では、自宅で仕事をするなら地方に住んだ方が良いと考える方も増えてきていると思います。テレワークで東京にいるのと変わらない仕事ができるのだとしたら、そのまま地方に移住すれば、単純に可処分所得が増える訳で、通勤の時間も無くなるわけですから。

――確かに。そうなると、大洗に引っ越してみたいと思う人も出てきますよね。

廣岡さん:例えば、弊社のコワーキングスペースの利用者の中でも、週1で東京に通って、あとは弊社の店舗で仕事をされている方もいらっしゃいます。その点、大洗の“90分で東京に出られる立地”は非常に優れた武器だと思っていて、実際に私も今も神奈川県川崎市から大洗まで通っていますし。家賃も「駐車場付き」で東京の半分近くの相場で暮らせますし、この生活を体験すれば価値観も大きく変わると思いますよ。

――厳しい状況だからこそ、都心にはない地方が持つ魅力が注目され、それを発信する場所が必要ということですね。

廣岡さん:今年は新型コロナウイルスによりマイナスな部分は山ほどあります。大洗も大変なことになっていますが、そんな中であえて前向きな考え方をすれば、地方が見直されるいい機会になったところもあるだろうと思っています。

 そこで“ARISE GIFT”としてできることは……? と考えていくと、「大洗に行きたい、住んでみたい」と思えるような魅力を発信していくことなのではないかと。そして、大洗に行きたくても行けない方に特産品やグッズをお届けして、大洗の皆さんの売上にも貢献できる――この点も大きな役割として捉えています。

――では最後に『ガルパン』ファンや大洗が好きの方、今後サイトを利用される方々に向けて、メッセージをお願いします。

廣岡さん:まず今回クラウドファンディングでご支援をいただいた511人の皆さん、大変感謝しております。本当にありがとうございました。昨今の変わってしまった価値観の中で、また違った視点で大洗の町を感じて頂き、その魅力に気付くきっかけになる一助として、このサイトが役立てばと思っています。まだまだ発展途上のサイトですが、これから皆さんのお役に立てるサイトになれるように努めて参りますので、よろしくお願いいたします。

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