『SEKIRO』アップデートレビュー。ボスの再戦・連戦は攻撃スタイルが異なる新ボス追加&新規層のケアも充実

電撃PlayStation
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 フロム・ソフトウェアとアクティビジョンのタッグによって、2019年3月に発売された『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(セキロ:シャドウズ・ダイ・トゥワイス。以下『SEKIRO』)』。本作は血なまぐさい戦国と日本古来の美しさが混在する独特の世界観や、刀と刀がぶつかり合うスリリングな剣戟が特徴。

 その優れた世界観やゲームデザインは世界中から高く評価され、現在の累計販売本数は500万本を突破しています。また、それに伴いThe Game Awards 2019ではゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞、といったように世界中のゲームアワードで数々の賞を与えられたほか、文化庁メディア芸術祭では優秀賞をも受賞しました。

 そして2020年10月29日。『SEKIRO』の『GAME OF THE YEAR EDITION』がお値打ち価格で発売&無料アップデートが実施され、さまざまな追加機能が実装されます。

 既にゲームを体験済みの人にとっては、いわゆるボスとの再戦やボスラッシュの実装は大きな注目ポイント。ボスとのヒリヒリするような剣戟アクションは多くのプレイヤーをトリコにしただけに、手軽にボスと再戦できる本機能は、ファンにとっては心待ちにしたものとも言えるでしょう。

 また、新規プレイヤーに対するケアもアップデートにより追加。アップデートで追加される”残影”という機能は”プレイヤーが任意のタイミングで自分の行動記録を撮り、他プレイヤーと共有ができる”、というもので、より本作が遊びやすくなる機能です。

 今回、アップデートで拡張される機能を先行して体験する機会を得ましたので、インプレッションを交えつつ一挙に紹介していきます。

アップデート内容一覧
●類稀な強者との再戦・連戦
●姿変え
●残影

類稀な強者との再戦・連戦

 鬼仏に機能が追加され、一度撃破したボスとの再戦・連戦が可能になります。さらに本要素には、本編とは攻撃スタイルの異なる”葦名弦一郎”を始めとした、3体のボスが新規に登場します。

  • ▲“再戦”では、“戦いの記憶”または“戦いの残滓”を所持している類稀な強者から、好きな1体を選び戦うことができます。

 
  • ▲“連戦”では、決められた順番で類稀な強者たちと1体ずつ順に戦い、倒すと次の強者へ進むことができます。また、連戦には複数種類があり、画像はその1つ”不死断ち”。

【解禁条件】
再戦
該当ボスの“戦いの記憶”または“戦いの残滓”の所持
※“巴流 葦名弦一郎”は“剣聖 葦名一心”の戦いの記憶の所持が条件
連戦
2周目以降かつ、連戦で戦うボスの“戦いの記憶”または“戦いの残滓”の所持

 なお再戦、連戦ともに、敗北すると元の世界に戻されてしまいます。また、連戦の種類は以下の通り。

御子奪還
鬼刑部→まぼろしお蝶→心中の弦一郎
修羅
柔剣 エマ→葦名一心→怨嗟の鬼→???
不死断ち
獅子猿→大忍び 梟→宮の破戒僧→巴流 葦名弦一郎→???
死闘踏破
いわゆるギミックボスを除く全部のボスとゲーム進行順に戦闘(!)

 いずれのモードも、本編の進行状況に関わらず攻め力が固定されるのが特徴(身体力やアイテムの所持数、装備状況などの各種セッティングは鬼仏に対峙したときのものを引き継ぎます)。周回を重ねて攻め力が上がっていても、ボスと戦う緊張感は損なわれません。

 また、記憶の中から元の世界に戻ると、再戦、連戦で使用したアイテムと形代、形代の購入のために使用した銭は元の状態に戻ります。そのため、“神食み”や“おはぎ”といった貴重な回復アイテムを気兼ねなく使用できるのがウレシイ。

 ちなみに再戦・連戦時のボスの強さは、ちょっと試してみたところ「だいたい2周目よりは強い?」といった感じ。アイテムは所持上限数と在庫がある限り使い放題ということもあって、難易度は完全強化された狼をベースに設定しているのかな、という印象を受けました。なお“苦難”や“鐘鬼”の効果も引き継ぐことができるので、さらなる高難度を求める人も安心してください。

 連戦ならではの特徴としては、強者を1体撃破するごとに鬼仏が出現し、休息による回復瓢箪や1回分の回生の力の補充、形代の購入が行えます。もちろん、鬼仏の各機能を利用せず次に進むことも可能なので、腕に自信のある方はご自身による縛りプレイもできます。

 なお、攻撃スタイルが異なる追加ボスについての細かい言及はここでは避けますが、個人的にはいずれも「マジか~!」と、思わず心の声が漏れ出てしまうような調整が入っていました。「強敵たちの新たな魅力、発見!」という感じなので、ゲームはもうクリアしたよ、という人こそ体験していただきたい内容です。

 個人的にうれしかった要素としては、連戦の締めに登場する追加ボスは会っただけで、“再戦”で選択が可能になること。本作のトライアル&エラーのやりやすさはここでも踏襲されており、ミッチリ練習を積んでから連戦に挑むことができます。

 また先に述べたとおり、連戦は途中で敗北すると最初からやり直しになってしまうので、各ルート最終戦の緊張感は相当なもの。基本的には、持てる力と技とアイテムのすべてを出し惜しみなく発揮して先に進んでいく、という“ゲーム本編をクリアして、各種スキルやアイテムをすべて入手した方に向けたコンテンツ”のように感じました。

 本作ならではの密度の濃い剣戟アクションが好きな方なら、正直これを遊ばないのはもったいなさすぎる! 連戦ではとくに“おはぎ”や“お米”は「お腹いっぱいになるまでほしい……」と感じたので(笑)、まだ本編で取りこぼしのある方は、ぜひアップデート前に準備を進め、この激闘に身を投じていただければと思います。

姿変え

 “葦名の古忍び”や“天狗”など、3種の衣装が追加に。追加衣装の入手には条件がありますが、一度入手すれば、いつでも鬼仏から狼の外見を変更することが可能になります。なお、どの姿に変更してもステータスには影響しません。

  • ▲新衣装の天狗。
  • ▲新衣装の葦名の古忍び。

【解禁条件】
アイテム“別の記憶”の入手。別の記憶の入手条件は下記の通り。
葦名の古忍び:いずれかのエンディングを見る
修羅:類稀な強者との連戦・修羅ルートをクリア
天狗:類稀な強者との連戦・不死断ちルートをクリア

 追加された衣装はいずれも新規に作られたもので、どれもじっくり見てよし、動かして見てよし、の内容に仕上がっているのですが、“別の記憶”のフレーバーテキストにも注目です。

  • ▲フロム・ソフトウェアならではの想像力を掻き立てるテキストはここでも健在。この姿が何を意味するのか、新たに思いを巡らせることができました。

残影

 プレイヤーの行動を最大30秒まで記録し、“残影”として、ネットワークを介してほかのプレイヤーの世界に配信できるようになります。また、残影には“覚え書き”と呼ばれるメッセージを付与することも可能。

 さらに、自分の世界に配信された残影は評価することができ、自分が残影を評価すると、評価された残影を残したプレイヤーのHPが傷薬瓢箪1個分回復します。

  • ▲”風評”というアイコンが表示されます。

【解禁条件】
チュートリアルイベント終了後。
(PS4ではタッチパッド押下で残影メニューを表示できる)

 記録するタイミングは任意なので、たとえばいわゆる難所の突破方法がわからず困っている人に向けて、的確な行動を示すことができるようになっているのがポイント。

 『DARK SOULS(ダークソウル)』や『Bloodborne(ブラッドボーン)』に実装されていた血痕では「この辺で人がいっぱい死んでるな」という状況や死に様がわかりましたが、本作ではより能動的な攻略方法を残すことができるようになっています(それを逆手に取った遊び方もできそうですが…笑)。そのため、似ているようでけっこう違う、という印象です。

  • ▲覚え書きに適切なコメントを残せば、より初心者に向けた具体的な攻略情報にすることができます。

 また、残影が表示されるのは狼だけなので、敵を利用すれば”何もないところで狼が急に吹っ飛んでいく”といった、奇抜な残影も残せます。実装後には想像力豊かな職人の登場が期待できるでしょう!

 もちろん、ボス前エリアで「御子様のため…」とお互いを鼓舞するメッセージが辺り一帯に書かれるような、にぎやかな葦名国も体験できそうです。新規プレイヤーに対しては攻略手段として活用でき、既存プレイヤーも一心のように、改めてフラリと葦名を散歩したくなりそうな仕掛けだと感じました。

『GAME OF THE YEAR EDITION』も発売!

 アップデート配信と同日に、お買い得価格になった新パッケージも発売されます。初回限定版は特装パッケージと、ゲーム序盤の攻略情報を掲載した攻略本付きなので、「気になってはいるけど難しいんでしょ……?」という人は、今こそプレイのとき!

 今回のインプレッション執筆にあたり、カンを取り戻す意味で最初からクリアまで、みっちり葦名国を駆け巡ってしまいましたが、本作のおもしろさを再び実感し、夢中になってしまいました。その理由の仔細を改めてここで語ることはしませんが、それでもなお言いたいのはボス戦のバランス調整の見事さ。

 本作の戦闘システムは非常に独特で、アクションゲームが苦手な方でも諦めずに何十回と挑戦していれば、最初は「絶対ムリ!」と思っていたはずが、不思議といい勝負ができるようになってきます。

 この「ちょっとずつだけど、俺、上手くなってるわ」という“自分自身の成長の実感”が本当に楽しく、またそれが実を結んで死闘を制したときの爽快感は、1回倒したとしてもそれ以降も何回も戦いたくなるほど、本当に気持ちいい! 「『SEKIRO』をやっていない」というアクションゲームが好きな方も、この機会にぜひプレイしてみてください!

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