ダルカイザーやバレンタインイベントの裏話も。『インサガEC』1周年インタビュー(シナリオ編)

カワチ
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 スクウェア・エニックスが配信中の、PC/スマートフォン向けRPG『インペリアル サガ エクリプス』が10月31日に1周年を迎えることを記念してインタビューを実施。

 プロデューサーの奥州一馬氏(スクウェア・エニックス)、ディレクターの藤本洋介氏(シンク・アンド・フィール)、シナリオを手掛けるゲームライター&小説家のベニー松山氏に前作『インサガ』から続く想いや、1周年のキャンペーン内容、2周年に向けての意気込みについてお聞きしました。(※インタビュー中は敬称略)

  • ▲写真左から、ベニー松山氏、奥州一馬氏、藤本洋介氏

 インタビュー前半ではシナリオの知られざる制作秘話を中心にお届けしていきます。

『インサガ』を運営しながら開発された『インサガEC』

――『インサガEC』1周年おめでとうございます! Flashの終了で4年続いた『インサガ』がサービス終了し、新たに『インサガEC』を開発するなど、立ち上げから大変だったと思いますが、ここまで続けてきた感想をお聞かせください。

奥州:もともと『インサガ』自体が『サガ』シリーズの25周年記念で立ち上がったタイトルでした。

 それがもう5年も経ち、シリーズ30周年になっているのですから、時が経つのは早いです。『インサガEC』の1年もあっという間でしたね。

藤本:先日の“TGSオンライン2020”でも『サガ』シリーズが30年もずっと続いている偉大なタイトルであることを改めて実感し、我々もそのなかの5年に携われたと思うと感慨深いです。

ベニー:自分も『インサガEC』に関しては、ずっとシナリオを書き続けているので「もう1年も経ったのか」という印象です(苦笑)。

 ただ、『インサガEC』のシナリオを書くのはすごく楽しいです。伏線を明かしていないものなどもあり、今後も書かなければいけないシナリオはたくさんあるので、この1周年は素直に喜びつつも、まだまだ先を見据えていきたいと思っています。

――『インサガEC』は前作の『インサガ』を運営しながら準備していたのでしょうか?

奥州:そうですね。Flashが終了するという噂は聞いていたのですが『インサガ』を好きだと言ってくれるユーザーさんも多かったので、どうにか形として残したいと考えました。

 チームはこのメンバーしかないと思っていたので、藤本さん、ベニーさんに相談しながら新しい『インサガ』を作っていきました。

――同時に2作品を進行するのは大変だったのではないでしょうか?

奥州:確かに。ただ、同時に進めることで、どのような形で『インサガ』のシナリオを終了させるのか、どうやって次の『インサガEC』のシナリオと繋げるのかといったことを考えることができたのはすごくよかったです。

ベニー:準備期間があったので『インサガ』と『インサガEC』の世界観をリンクさせることができました。

――『インサガ』をそのまま続けるという案は無かったのでしょうか?

藤本:もちろんその議論はありました。『インサガ』そのものをHTML5に組み換えて継続することも検討はしたのですが、Flashに最適化して作り込まれたものを移植するには技術的に難しく、結果として新しいものを作ることになりました。

奥州:新規ユーザーが入りやすいようにストーリーを作りたかったですし、システムも追加の形ではなく根本から組み直したいなと思いました。

佐賀コラボの思い出を聞いてみた!

――個人的には佐賀コラボにもシナリオが用意されていたのが印象的でした。“ワラスボ”を知らなかったので写真を見てビックリしました。

ベニー:最初はコラかと思いますよね(笑)。

――実際に佐賀に行って実物を見てみたくなりました。

奥州:そう言ってもらえるとうれしいですね。

 佐賀コラボは、『サガ』シリーズと佐賀県の両方の魅力が伝わってほしいと思って作りました。もともと佐賀県と『サガ』シリーズは長年コラボをしていますが、『インサガ』シリーズでの大規模なコラボは実現できていませんでした。

 そのため、今回のコラボはとても感慨深かったです。佐賀県さんは前向きにアイディアを提案してくれたり承諾してくれたりしたので、とても企画を動かしやすかったです。

ベニー:つぼにゃんのセリフを書く必要があったのですが、公式サイトに掲載しているものしか情報がなかったので苦労しました(笑)。

――コラボキャラのセリフもベニーさんが膨らませたんですね。

ベニー:つぼざむらいのテーマをヘビロテしながら執筆しました(笑)。

ダルカイザーやバレンタインなど、印象的なイベントの裏話をトーク!

――『インサガEC』を振り返って、思い出深いシナリオはなんですか?

奥州:思い出深いシナリオという質問は難しいですね。『インサガEC』は『インサガ』の時代から繋がっているシナリオが多く、単体ではなく全体としての思い出になってしまいます。

――確かに『インサガ』を知らなくても楽しめますが、知っていることでニヤリとするシーンは多いですね。バレンタインと言えばドラゴンというのもお馴染みになってきました。今年はアセルスとオルロワージュのストーリーになっていて驚きましたが。

藤本:最初にドラゴンルーラーを登場させてから、毎年の恒例になっていますね(笑)。

 もともと河津さんからキャラクターの着せ替えはシナリオ上の説得力を必ず持たせて欲しいというオーダーをもらっていました。

 そのため、バレンタインやクリスマスなどの季節のイベントであっても、ちゃんと本作の世界観と組み合わせたものを作っています。

ベニー:初回のころは自分はメインシナリオしか手掛けておらず、期間限定イベントは監修のみ行っていたのですが、“ドラゴンルーラーをチョコにする”と聞いて、どうしたらこういうアイディアが浮かぶんだろうと思いました(笑)。

――日本の四季を『インサガEC』の世界観を折り込みつつ、膨大な人数が存在する『サガ』シリーズのキャラクターたちの出番を考えるのは大変そうですね。

藤本:だいたい『サガフロ』のキャラクターが悪さをしているような気もします(笑)。文明・科学レベルも高いし、現代的な文化もきっとあるだろうということで、設定を持ち込みやすいんですよね。

ベニー:発注を受けてから「どうすればいいんだ」と頭を悩ますことは多いですけどね(笑)。

――最近ではウルピナがIRPOと同行する展開が意外でおもしろかったです。

奥州:しっちゃかめっちゃかなパーティも多いですよね。多彩なメンバーのなかにまとめ役となるようなキャラクターをひとり用意して、ベニーさんに「このメンバーでお願いします」という形で発注しています。

――『ロマサガ3』のゆきだるまがアルカイザーに変身する“悪逆サイボーグの謀略!結集せよ、真のヒーロー!”のシーンも驚きました。

奥州:ダルカイザーはシナリオチームから提案されたアイディアで生まれたイベントでした。

ベニー:前作のシナリオでゆきだるまが正義の心を持っていることが描かれたので、その流れもあって生まれたものですね。

――キャラクターではなくシナリオ先行でイベントの内容が決まることもあるのでしょうか?

藤本:基本的には主要なキャラクターを決めてからシナリオをお願いする形です。

 運営型のゲームなので、まずはどのキャラクターを登場させるのかを最初に練ることになりますが、それまでの物語や伏線・小ネタなど総合的に考えています。

 そういう意味ではダルカイザー(ゆきだるま)、モニカイザー(モニカ)はそういう意味ではキャスティングもタイミングもハマってくれたように思います。楽しんでいただけましたかね?(笑)

奥州:期間限定イベントはメインイベントにも関係しているものが多いので、そこも関連しています。

 キャラクターたちはいろいろな地域で活動していますが、どのチームがどこでなにをしているのかという設定は物語で描かれていない部分も含めてしっかり決まっています。

ベニー:前作は何度もループする多重世界だったので自由に配置することができたのですが、今回はそうではありません。いないはずのキャラクターが急に登場するような、不自然なことが起きないように注意しています。

――シナリオもかなり複雑化してきて、面白くなってきていますね。

藤本:プレイヤーが混乱しないように、メインストーリーは主人公の視点で物語を進むようにしています。その時点で分からないことは、きっと分からないこととして受け取ってもらって大丈夫なはずです。

 逆に期間限定イベントは多数の視点で物語が進むので、そこの違いも楽しんでもらえればと思っています。

奥州:『サガ』シリーズらしく、わざと詳しく描かずに想像の余地を残している部分もあるので、そういったところもイメージを膨らませて楽しんでもらいたいですね。

ベニー松山さんが『インサガEC』のシナリオづくりで意識しているポイントは?

――『サガ』シリーズはシナリオ、バトルともに自由な点が魅力だと思いますが、シナリオ面で変えてはいけないと思っている点や注意している点はありますか?

ベニー:『インサガEC』では会話を突き放さないようにしています。

 誰かがなにかをしようと提案したとき、「嫌だ」のひとことで終わらせないようにしています。そのため、面倒見のいいヘクターやロベルトは登場しやすいですね。

藤本:ディミルヘイムの成り立ちの理由もあって、「協力しない」という選択を取るキャラクターはほとんどいませんよね。

 逆に対立・反目・様子を見ようとするキャラクターには相応の理由があります。ですので、いずれの場合にも話が転がっていくという感じです。ベニーさん天才では?(笑)

――原作で救われなかったキャラクターも本作で救われたりもしますね。

奥州:そこからできる新たなつながりもあると思っています。前作で『サガフロ2』のサルゴンを救う話は開発チームでもかなり議論した部分だったので、反響が大きかったときはうれしかったです。

藤本:『アンサガ』のイスカンダールの力を借りるしかなかったです(苦笑)。

ベニー:イスカンダールがいるとなんでもできてしまうので、そこは万能にならないように気をつけていますね。

奥州:何度かシナリオ会議で「もうイスカンダールになんとかしてもらえば?」と言ったところ、ベニーさんに「それは駄目です」と言われました(笑)。

――ベニーさん的にシナリオで扱いやすいシリーズなどはありますか?

ベニー:シリーズというより、キャラクター性を生んでしまえばどのキャラクターも書けますね。

 たとえば『ロマサガ2』のクラスキャラは個性を出すのが難しいですが、いちど設定を膨らませればそこからは書きやすいですね。

――アマゾネスのジャンヌの男嫌いも本作でおもしろく広がっていますね。

ベニー:ジャンヌはトモエとの絡みで広がった部分が大きいです(笑)。

奥州:自分はアザミがここまで人気が出たことに驚きましたね。

ベニー:忍者という設定は便利ですよね(笑)。

奥州:アザミやヒューズはキャラ設定的に便利だから出番が多いですよね。

藤本:イスカンダールは駄目だけどアザミやヒューズはOKなんですよ(笑)。

ベニー:ヒューズは現場では活躍できるのですが、俯瞰で見る能力はないんですよね。そのためちょうどいい活躍ができるんです。

――『インサガEC』はシリーズのキャラクターが魅力的に描かれる一方で、直良有祐さんが手掛けたオリジナルキャラクターも魅力です。今後は謎に包まれていた部分も明かされていくのでしょうか?

ベニー:そうですね。最新ストーリーで真影帝国の過去について描きましたが、味わい深い悪役デザインに仕上がって、書いているうちに愛着も湧いた辺境伯を即座に退場させなければいけなくなって悲しいです(苦笑)。

奥州:現在進行中のメインストーリーを越えて、その未来までの骨組みまで、サービス開始の段階から作ってあります。今回のイベントで明かした真影帝国の過去は、大きなうねりのひとつになります。

藤本:ここからさらにストーリーは大きく広がっていくことになります。

 オリジナルのキャラクターたちはもちろん、各シリーズのキャラや、メインの物語に顔を出し始めた七英雄やエッグたちボスキャラがどのようにストーリーに絡んでくるのか注目してもらいたいですね。

インタビュー後編は近日公開

 インタビュー後編では、1周年に合わせた新要素や今後の展望など、システムに関連したお話をお聞きました。近日公開予定なので、こちらもお楽しみに!

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インペリアル サガ エクリプス

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • プラットフォーム: Yahoo!ゲーム ゲームプラス/DMM GAMES
  • 対応端末: Windows/Mac/スマートフォン
  • ジャンル: RPG
  • サービス開始日: 2019年10月31日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金