想像を超える内容のパッチ5.4について吉田直樹氏インタビュー! 来年は『FF14』を一段階引き上げる何かが!?

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 フリートライアルの範囲が『蒼天のイシュガルド』までと大幅に拡大し、多くの新規プレイヤーをエオルゼアへと導いて飛躍を遂げている2020年の『ファイナルファンタジーXIV(以下FFXIV)』。その2020年最後の大型アップデートとなるパッチ5.4“もうひとつの未来”が、12月上旬に公開される。

 そこでパッチ5.4公開の約1カ月前のタイミングで、本作のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏に、今回の注目ポイントをインタビュー。11月27日に開催予定の『FFXIV』プロデューサーレターLIVE(PLL)の前に読み込んでおけば、PLLの理解度もグッと深まること間違いなし! なお、ストーリーに関する部分は、パッチ5.35までのメインクエスト&サブクエストをクリア済みの前提でお話をうかがっているので、未プレイの方は注意していただきたい。

※インタビューはオンライン上でのリモート形式で11月2日に実施。

さらなる新アシエンの登場で物語はさらに加速する!

――第60回PLLのなかで、パッチ5.4のタイトル“もうひとつの未来”は、“希望の園エデン”でのリーンとガイアの関係性にもかかっているとのお話がありました。またメインストーリーではパッチ5.xシリーズのラストに向けての動きがあると思いますが、まずはこのタイトルに込めた想いから教えてください。

吉田直樹氏(以下敬称略):先日のPLLでもお話をしましたが、仮に『漆黒のヴィランズ』がなかった場合、世界には第八霊災と呼ばれる災厄が発生して、英雄を含む光の戦士たちは黒薔薇(猛毒の化学兵器)の脅威でみんな倒れるはずでした。そして公開中の“漆黒秘話”でも描かれていますが、その先には異なる未来が展開するはずだった……というわけです。

 ところが『漆黒のヴィランズ』で水晶公や第一世界の人たち、暁の血盟メンバーたちと力を合わせて、オリジナルアシエンたちの“夢“というか“野望”……彼らにとっては“希望”でしたが、それを打ち砕いたことにより、本来想定されていない未来が生まれました。これを“正史”と呼ぶのがふさわしいかわかりませんが、誰も見たことがない未来が始まっています。

 当然本来ならば、第一世界も光の氾濫により光属性に偏って、第八霊災を発生させる要因になるはずでした。ですがそれも光の戦士たちの手で防がれたということで、第一世界に関しても新たな未来が始まっています。パッチ5.4では第一世界の住人であるリーンやガイアたちの未来も同時に“希望の園エデン:再生編”で描かれていくので、それら2つを総合して“もうひとつの未来”という言い方をしています。

 ちなみに、この“もうひとつの未来”という単語だけを聞くと、今生きている世界とはさらに違う未来を指しているように感じるかもしれませんが、そうではなくて“もともとあるはずだった未来から違う未来へと進み始めた”という意味になっています。

――その意味ではプレイヤー視点でも、“もうひとつの未来”の今後の展開はまったく予想できないですよね。例えば『紅蓮のリベレーター』から『漆黒のヴィランズ』に移るときも、第一世界が舞台になるとは、発表されるまで誰も想像していませんでしたが、今回もプレイヤーの想像を超えるような舞台や展開が待ち受けていたりするのでしょうか?

吉田:パッチ5.4は当然拡張パッケージではないので、ガラッとリソースを入れ替えられるかと言われるとそうではありません。『漆黒のヴィランズ』ほどのインパクトがあるかと問われると、それはさすがにありません。舞台はいったん第一世界から原初世界へと戻りますが、みなさんが想像している以上に、いろいろなことが起こり始めます。パッチ5.4はその導入にすぎない、と思ってください。

――ガレマール帝国との戦いも1つのテーマになっていくのだろうと想像はしていますが、一方で現在、メインストーリー以外にも“セイブ・ザ・クイーン”や“ウェルリト戦役”で、多角的に帝国との戦いが描かれています。となると、メインストーリーではどのような形で帝国との戦いが描かれるのでしょうか?

吉田:コンテンツは“メインストーリー” “セイブ・ザ・クイーン”“ウェルリト戦役”と分かれてはいますが、すべての物語が絡み合ってきています。イメージとしては、現在の『FFXIV』はメインストーリーだけでなく、シナリオの要素があるものをすべて使って物語を展開している状態です。

 帝国は皇帝であるヴァリス帝の崩御により跡目争いに発展していて、そこに火を付けているゼノスやアシエン・ファダニエルの存在がチラつく形で提示され、まさに大混乱に陥っています。もともと帝国には強い大将軍たちが複数いて、各々が強力な軍事力を持っており、帝国をより理想的なものにすべく、それぞれの考えで動こうとしています。だから、瓦解していっているようでもあり、逆に個々の勢力が強まっているというような状況でもあるわけです。

――多くのプレイヤーは大半のコンテンツに触れているとは思いますが、例えば「まだ“ウェルリト戦役”は実装ぶんまで終わっていないんだよな……」という方がいたら、メインストーリーと合わせてぜひやっておくべきでしょうか?

吉田:そうですね。英雄である光の戦士たちが第一世界で活躍している間に、帝国という存在がどんどん瓦解している一端なども見えてきます。第VII軍団のネールも第XIV軍団のガイウスもそうであったように、将軍たちがガレマール帝国に対してどんなビジョンを見ながら、何を目的やポリシーにして戦っているのか、それぞれが違う形で描かれます。そこはぜひプレイしてご覧いただきたいですね。

――そしてメインストーリーの見どころでもあるのがアシエン関係の展開で、先ほど話に出たアサヒの顔を持つアシエン・ファダニエルの存在も注目が集まっています。ですが、彼はオリジナルでないアシエンであることから、どうしても立ち位置的にはトリックスターのような存在なのかな、と想像してしまいます。そのあたりはいかがでしょうか?

吉田:言動が既にトリックスターですが、彼が先々の主役なのかどうかは、この先をじっくりご覧ください。じつはパッチ5.4全体で出てくるアシエンは彼だけではないんですが……今はこれくらいで……(苦笑)。

――おおなんと!

吉田:アシエンについてはオリジナル全員が肉体と魂を失った状態に等しいわけですが、彼らはパッチ5.3で描いたようにクリスタルを使い、オリジナルたちの記憶や知識、大本で分断されたオリジナルの魂を持つ人たちを、“転生組”として順次統合してきました。

 そのなかにはオリジナルたちの影響をより強く受けているアシエンもいれば、一方で「そんなものを押し付けられても、俺は俺だしな」という考えを持つアシエンもいるわけです。

――そうなると、より個性的なアシエンが顔を見せてくる感じでしょうか?

吉田:彼らのなかにはオリジナルから託された“アシエンとしての使命”と、ある種分断された歴史を歩んできたからこその自我が、うまく共存する者もいれば、そうでない者もおそらくいます。光の戦士と同じ魂を持つとされるアルバートも、やはり違う存在になったのと同じです。

 そういう部分がどう描かれるかに注目していただきたいです。このあたりはまだまだ語れないことがいっぱいありまして、この先パッチ5.4だけでなくその先まで、キャラ付けを固めて年単位で展開していきます。だから、アシエンの物語はまだ終わっていないのです。

――今後もアシエンの物語は続くということなんですね。

吉田:はい。古代人たちの想いがどういうものだったのか、ゾディアークに核をささげたという側面などは、エリディブスのくだりですでに描かれました。でも「実際のところハイデリンとは何なんだ?」という疑問や、「そもそもハイデリン=ヴェーネス派も怪しい」という予想もあります。

 さらに「ヴェーネス派とゾディアーク派は、本当に仲違いするような関係だったのか?」など、そのあたりはまだ描けていない部分。これから本当の意味での“ハイデリン&ゾディアーク編”の完結に向かって進んでいくので、みなさんぜひ覚悟をしてお待ちください。

――となると、光の戦士・闇の戦士である英雄=プレイヤー自身が何者であるのかも、だんだん浮き彫りになっていく感じでしょうか?

吉田:せっかくのMMORPGですし、僕たちもプレイヤーの皆さんに自由にロールプレイをしていただきたいという想いがあります。ですので、あまりガチガチに設定を追い込んでいくつもりはありません。そこは想像していただきたいですし、“自分はこうあるべきだ”とみなさんが考えられるところへ着地していければと思っています。せいぜい“漆黒秘話(第7話)“で書いたくらいまでが限界かと。「ブドウがおいしい」と言って突撃していく辺りまで(笑)。

――(笑)。あとはプレイヤーそれぞれのとらえ方しだいという感じでしょうか。

吉田:オリジナルのアシエンたちが、クリスタルを使って記憶や体験や知識を継がせようとしたことにとらわれたくはないんです。もし、オリジナルの魂というものが光の戦士にあったのだとすれば、 “自由に冒険していく”という精神が共通していればよい、それがプレイヤーの分身たる光の戦士らしさだと思っていますので。

“希望の園エデン:再生編”のボスは誰にも予想不可能!?

――次はメインストーリーに絡む新規インスタンスダンジョン(以下ID)“魔術工房 マトーヤのアトリエ”ですが、こちらの見どころを教えてください。

吉田:最近は比較的一本道で進んでいくタイプのIDが多かったと思いますが、今回はちょっと変則的になっています。メインストーリー上でやらなくてはいけないことは1つなのですが、いくつか工程があるので、それをID内でこなしていくという形です。変わりダネというか、最近のIDとはちょっと違います。

――過去のIDと比べてもオリジナル要素が強いのでしょうか?

吉田:今のルールに則って作った“名門屋敷 ハウケタ御用邸”とでも言いましょうか。“ハウケタ”もカギを開けていかなくてはいけないので、区画をクリアしたら戻って……ということをやる必要がありましたよね。今回はカギではないですが、工程にしたがって動く必要があります。

――効率的に進もうとすると、行かなくてもいい場所もあるのでしょうか?

吉田:それはないですが、ひたすら真っすぐ進むという形ではないです。ただ、プレイ時間はいつものIDと同じくらいに収まるように調整していますのでご安心ください。目新しい構成にはなってはいるかなと思います。

――発表されているコンセプトアートのアトリエ的な場所を中心に、ダンジョン内を探索していくイメージでしょうか?

吉田:あそこがメインエントランスに近いですね。

――ちなみにどちらの“マトーヤ”なのかはまだ内緒でしょうか?(笑)

吉田:そんなに謎かけをしたつもりはないのですが……“妙齢のマトーヤ”のほうです(笑)。

――次は“希望の園エデン”の完結編となる“再生編”ですが、展開としてはすべての属性の励起が完了し、いよいよ第一世界の“再生“が始まると思います。それだけに、この先どんな敵と戦うのか注目が集まっています。もともとエデンの名称や形状といった『FFVIII』ベースの要素があるだけに、やはり『FFVIII』に関連した敵ではないかと予想する方も多いですが……?

吉田:どうでしょう……。

――ラストになりますので「アルティミシアが出てくるのでは?」という予想もあります。

吉田:この“希望の園エデン”を作っていくうえでの一番の懸念材料は、ストーリー上で戦う各層のボスが想像しやすいということで、それは企画の初期段階から開発チーム内で話題になっていました。開発チーム内で話していた最大の懸念ポイントなので、 “覚醒編”を出したあとは皆さんの予想を裏切っていく形で、2体の蛮神を合体させたりもしました。

 氷属性のシヴァに関しても、まさかの“リーンが自身の体にシヴァを降ろす”という展開にして、みなさんの予想の先をいくような形を取りました。今回はさらにそれが進むので、たぶん予想はできないと思います。

――なるほど……。ちなみに、PLLではそのあたりをチラ見せしたりされるのでしょうか?

吉田:そうですね。今編集しているトレーラーでは、1層、2層のボスは出すのではないかと思います。3層、4層はビックリすると思うので、そこは事前には公開しません。楽しみにお待ちください。3層はメチャクチャカッコよくて、PR目線でいえば本当は公開したほうがよいのですが、驚いていただきたいのでそこは伏せさせていただいています……。

 あまり話してしまうとPLLのネタがなくなってしまうのですが、第一世界や“希望の園エデン”は“想像力“を中心にデザインをしてきているので、さらにそれが進むと思っていただければ。

 あとはみなさん“共鳴編”でリーンとガイアが仲よしになってよかったな、みたいな空気になって安心されているかもしれませんが、そうはいってもガイアは“闇の巫女”です。彼女がどうなるのかはまだ決着がついていませんし、謎の声についてもまだ何もわかっていません。そのあたりも想像に加えていただけるとよいかと思います。

――これまでのレイドコンテンツのラストは、どのストーリーも感動的な展開が多くて評判がよかったわけですが、今回もある意味第一世界のエンディング、総まとめのような物語になりそうでしょうか?

吉田:“総まとめ”と言ってしまうと、どうしても『漆黒のヴィランズ』のメインストーリーに出てきた人たちが絡むんじゃないかという想像に流れていってしまいそうなので、そうですとはあまり言いたくないのですが……。やはりリーンとガイアは第一世界で生きていかなくてはいけません。

 しかも、それぞれ光と闇の力を持っているわけで、彼女たちがどんな未来に向かって歩いていくのかという意味でいえば、光の戦士たちが残した足跡が“もう1つの物語”としてちゃんと完結するので、たしかに総まとめにはなると思います。

――次に、今も多くのプレイヤーでにぎわう“セイブ・ザ・クイーン”&“南方ボズヤ戦線”ですが、こちらはパッチ5.45でのアップデートが予定されています。まずは“リコレクション”の名が付いて光り始めた“セイブ・ザ・クイーン”のレジスタンスウェポンですが、パッチ5.45のアップデートに対応するには、光るところまで進めておけばいいのでしょうか?

吉田:はい、続きはリコレクションのあとですので、出来る強化はすべて行っておいていただければ。

――ちなみに“セイブ・ザ・クイーン”&“南方ボズヤ戦線”のコンテンツは、パッチ5.45以降も5.xナンバーで続いていくという認識で問題ありませんか?

吉田:はい、それで大丈夫です。パッチ5.45で“グンヒルド・ディルーブラム”が実装され、こちらはノーマルと零式という二つの難易度があります。これがエンドコンテンツのように捉えられるため、これで終りの印象もあるのかもしれませんが、この先のパッチに更にもう一つフィールドを使ったシリーズコンテンツを予定しています。零式は相当難しいので、今すぐ挑まない方は、その先のフィールドコンテンツで更に自己を強化して、遡って挑戦していただくようなイメージです。

――そうなるとパッチ5.4はアイテムレベル(IL)の更新タイミングであり、“希望の園エデン零式:再生編(以下、零式:再生編)”の攻略途中になるので、レジスタンスウェポンがその攻略に役立つくらいの強さに強化されるのかが気になります。

吉田:当然“零式:再生編”の報酬武器のILは超えませんし、新しいアラガントームストーンで得られる武器くらいのILになるのではないでしょうか。ただ、実装がそもそもパッチ5.45なので、“零式:再生編”の初期攻略勢には間に合いません。 “零式:再生編”に挑まれる方は“極エメラルドウェポン破壊作戦”の報酬装備か、新式装備にマテリアをガチ禁断して挑むかのどちらかになると思います。

 そのうえで「それらの高難易度コンテンツにはあまり急いで行かないんだよね」という方は、“南方ボズヤ戦線”でレジスタンスウェポンを強化してから、いろいろなコンテンツに挑んでいただければと思います。そこの考え方はこれまでと変わっていませんので、過去の武器強化コンテンツをイメージしていただければ、だいたいそれと同様になるようにデザインしています。

――なお、現状の“南方ボズヤ戦線”に対するプレイヤーからのフィードバックなどはいかがでしょうか?

吉田:僕らが単純にサーバーサイドから見ている数字ですが、最も挑戦人数が多かった“禁断の地 エウレカ(以下エウレカ):アネモス編”よりも倍以上の方にクリアしていただいています。“エウレカ”はTime to Win(プレイ時間を割いたぶんだけ強くなる要素)としてけっこう尖らせたコンテンツなんですが、やはり先細りしてしまうところに欠点があります。これ以上シリーズを続けても先鋭化し過ぎる、という点です。

 ただ、“バルデシオンアーセナル”という大仕掛けを“ヒュダトス編”に入れたことで、あとからプレイをするという方もいて、ずいぶん長く遊んでいただいているコンテンツになりました。ただ、これは“エウレカ“の全コンテンツが完成してからなんです。

“南方ボズヤ戦線”は“エウレカ”でいただいているフィードバックをより反映して、先鋭化するのではなくみんなが横に広く遊べるように、土台をまったく新しくして作っています。そのぶん、縦の幅がまだ短い。しかし、エウレカ以上にプレイしていただいており、海外でも非常に好評です。“アネモス編”を実装したときは、評価が真っ二つに分かれ、海外では「もうアップデートするな」とまで言われることも多かったのです(苦笑)。

 僕らはよりたくさんの人に遊んでもらえるフィールド型の “新しい形の遊びの場”として“南方ボズヤ戦線”のシステムを作りました。やはりベース設計、システム設計をイチからやっているので、パッチ5.35の実装ぶんはどうしてもエンドコンテンツ寄りではない。すでにレジスタンスランクをカンストされている方はたくさんいらっしゃって「カンストするとやることがない」とも言われています。

 たしかに“エウレカ”と比較すると“バルデシオンアーセナル”がないのでやり込みという部分では物足りないかもしれませんが、そこについてはこれから先で用意されていくので、何段階か経て増えていくのを通して見ていただければと思います。

 とはいえ、例えば攻城戦のクリティカルエンゲージメント(CE)待ちをやっているときに、スカーミッシュに参加する意味がないとか、やることがないなどの課題は見えているので、そのあたりは今後のアップデートのなかでやれることなどを考えていきます。

 ランクがもうちょっとあってもよかったのにとか、もう少しランクが上がるのが遅くてもいいのに、といったお声もあります。ただ、僕は延命のためにあれ以上ランクアップの速度を遅くするのは避けたく、それこそ“ランクアップのための作業”を繰り返すことになってしまいます。悩ましいですね……。

 今後も似たようなタイプのコンテンツを作っていこうとしたときに、例えばランクをジョブ別にすれば、ほかのジョブでもランクを上げて……という形にできなくはないのですが……。

――でも“スカーミッシュはこのジョブでやるけど、攻城戦にはこのジョブで行きたい”という方もいますし、やはり悩ましいですね……。

吉田:そうなんです。だから痛し痒しですね。こういうシステム設計の部分では、すべての方の需要を満たすのがいかに難しいことなのかを感じます。

“エウレカ”は1年半かけて、すべてが完成してから人が増え、長く遊んでいただけるという長寿化しためずらしいタイプのコンテンツでした。もちろん、拡張パッケージまでの空き時間があったということも大きいのですが。

 一方で“南方ボズヤ戦線”は本当に初動からたくさんの方にプレイしていただけているので、今の『FFXIV』のプレイヤーにとっては、スカーミッシュやCEのような仕組みで遊んでいただくなかで、自分の好きなように時間を配分するという形がベストなんだろうなと感じています。

 ひとまず“南方ボズヤ戦線”については、今回の反響を踏まえて調整を入れられるところは入れていきますし、パッチ5.45のさらに先でもフィールド型のコンテンツを計画しているので、そちらのほうでもやり込み要素などを提供できたらと考えています。

――ちなみに“グンヒルド・ディルーブラム”ですが、ノーマルが24人、零式が48人での参加と発表されています。こちらはどんな流れで挑むコンテンツになりますか?

吉田:突入自体はガンゴッシュにいるNPCに話しかけて行います。そこで専用のコンテンツファインダーのようなものが開く形です。零式に挑む方はパーティ募集でしっかり準備したいだろうと思いますので、実装にあわせてパーティ募集システムも48人用にアップデートします。それを使ってメンバーを募集していただければと。ノーマルはフリーロール制のアライアンスレイドの新しい形だと思っていただくのが、一番スムーズだと思います。

 ただ、遊び方がやはり“バルデシオンアーセナル”スタイルなので、ロストアクションを使ったり、フリーロールをそれで補ったりなど、異なる点もありますので、新たな感覚で挑んでください。

――パッチ5.35の攻城戦でも“ライアン攻略パーティ”のように、役割がはっきり分かれているのが新鮮でした。

吉田:特に零式はパーティに明確な役割があったり、全体に謎かけがあるなど、相当の歯ごたえをご用意しています。

――となると、ノーマルは通常のアライアンスレイドのように、みんなでワイワイやりながらチャレンジできるくらいの難易度になりそうですか?

吉田:はい、ノーマルはあまり身構えずに、ワイワイやっていけば、ストーリーを楽しめるようになっています。ウィークリークエストも用意されていますので、気兼ねせずにぜひ。ただし、“零式”のほうはかなり難しいので、挑む方は長期間、じっくりと攻略に挑んでいただければと思います。

最終段階となるイシュガルド復興ではいよいよ……!?

――既存コンテンツのアップデートも多いパッチ5.4ですが、まずは青魔道士のアップデートからうかがいます。今回はどんなタイプの青魔法をラーニングできるのでしょうか?

吉田:今回もおもしろい技が用意されていますが、ボス系の見た目にもおもしろく、強力なものも存在しています。

――それだけにラーニングは大変な感じになりそうですか?

吉田:青魔道士を実装した当時のような“確率でラーニングするから大変……”といったことはないので、そこまで大変ではないと思います。ただ、今回レベルキャップが70になり、レベル70のコンテンツに行けるようになるので、そこでのチャレンジはもちろん増えます。

――今回実装される青魔法により、新しい遊びや立ち回りができるようになったりはしますか?

吉田:前回の“エーテルコピー”ほどの大きな変化は入れていません。いったんあれで原型はできたと思っていますので、今回はすんなり遊んでいただけるのではないかなと思います。

――青魔道士ログも合わせて拡張されますが、こちらの対象コンテンツにはどんなものがありますか?

吉田:“オメガ”シリーズとか……“零式”は相当難しいと思います。僕の場合年齢のせいなのか、挑むと「ヤバい、もう覚えてないぞ!?」となるので、ギミックを思い出すところからですね(笑)。

――同じように“マスクカーニバル”も追加されますか?

吉田:今回レベル70用にミッションが追加されます。新しいボスになりますので、ぜひ挑んでみてください。けっこう歯ごたえありますよ!

――となると、前回までのマスクカーニバル(ジークフリード戦)はクリアしておいたほうがよさそうですね。

吉田:はい。その先へ続く形になります。

――ちなみに青魔道士のレベルキャップは、いずれほかのバトルジョブと同じレベル80になる可能性があるのでしょうか?

吉田:青魔道士のレベルについては、プレイヤーのレベルキャップに並ぶことがないというのが基本ルールです。仮に“何か大きなもの”が発売されて、プレイヤーのレベルキャップが上がれば、レベル80まで開放される可能性はありますが、並ぶことはありません。

――次にギャザラー・クラフター関連として、スカイスチールツールのアップデートも予定されていますが、次が強化の最終段階になるのでしょうか?

吉田:そうですね。

――強化にかける時間や労力は、これまでと変わらない感じでしょうか?

吉田:はい、変わらないように調整しています。

――ちなみに“セイブ・ザ・クイーン”の武器同様、これらの主道具も「いつか光るのでは?」と期待している方がいますが……?

吉田:今回の主導具は、製作を行っている最中などに、かなりカッコよい光り方をします。ただ、製作中ではなく、抜刀時に光らせてほしい、と言われるとじつは仕組みが違うのでかなり難しいのです。ひとまず、その輝くエフェクトを見てみてください。

――期待しています! 次は漁師のアップデートで予定されている“フィッシュアイ”の調整ですが、こちらで釣りやすくなるヌシの対象範囲について、プレイヤーの方々の意見を聞きたいとのことでしたが、現時点でどのような感触ですか?

吉田:こちらは仕様を確定させました。次の第61回PLL(11月27日)にて詳細をお伝えさせていただきます。できるだけ間口を広げつつ、これまでヌシを釣ってきたベテランさんたちが満足できる形に調整できたと思っています。

――あとは“復興されたイシュガルドにハウジングエリアを実装してほしい”という意見も多いと思いますが、こちらはいかがでしょうか?

吉田:「なんで復興を予言するんだ」という話は置いておいて(笑)、パッチ5.4が復興の最後になりますが、今回の復興作業をやり切ったら、なんとなく見えてくるかもしれませんね。

――それはとても楽しみです!

吉田:イシュガルド復興のチェックもすべて終わりました。一つ一つの段階、とてもていねいに作られていますので、その復興の過程もぜひ見ていただければ。

――こちらは個別のコンテンツからは離れた要素になりますが、クリアしたダンジョンを自由に歩ける“自由探索”の実装が発表されています。これを用意した狙いなどを教えてください。

吉田:先日のPLLでは小田切(慧氏。ゲームデザイナー)が出演したこともあり、グループポーズ機能にかけて説明をしたので「UI班すごいな」という感じになりましたが、実際にあのコンテンツを企画しているのは『FFXIV』で“ライブ”と呼ばれている非バトルコンテンツゲームデザインの担当者なんです。

 ここはギャザラー、クラフター、ハウジング、オーシャンフィッシング、マンダヴィル・ゴールドソーサーなど、いわゆる“非戦闘コンテンツ”を作っているチームになっています。そのなかで若手のプランナーが「IDを使った新しい遊びを作りたい」と、けっこう前から粘り強く提案してくれていたのです。

「相当大変だよ、イレギュラーなことも多いし。もともとそういうことを想定していない作りだから根気がいるよ」と言っていたのですが、「それでも地道にチャレンジしたいんです!」となりまして。それで数パッチにかけて準備をしてきて、いろいろな部署とも連携を取りながら企画を進めてくれた感じです。

 そのぶんだけ、ユーザーホスピタリティ(プレイヤーへの心配り)がしっかりとなされ、かなりていねいに作られていると思います。例えば木人を自由に呼び出せて、アクションを撮影するための準備もしてくれました。

 また、ダンジョン内でマウントに乗れるとはいっても走るのは大変なので、ポータルがいくつか置いてあり、ボス部屋との行き来も自由になっています。粘り強く対応ダンジョンも増やしていきますので、じっくり遊んでいただければと思っています。

――先日の“YoRHa: Dark Apocalypse”のグラフィックチームへのインタビューでは、クリア後の探索で、攻略中には入れなかったり見えなかったものが確認できる点についてお話をうかがいました。同じように“自由探索“でもそのような仕掛けがあるのでしょうか?

吉田:“YoRHa: Dark Apocalypse”の探索はもともと“自由探索”とは別に挙がっていた企画ですね。それこそヨコオ(タロウ氏。『ニーア』シリーズのゲームデザイナー)さんからいただいたんじゃないかな。 “ログ”を集めるという要素を入れたいというアイデアがあったんです。

「せっかくここまでダンジョンもキレイに作っているので、クリア後に再突入してログを集められたらいいね」と、ヨコオさんからお話をいたただきまして。であればということで、逆手に取ってそういう仕込みをデザイン班、BG班が用意した感じです。

 IDの場合はそこまでの余裕がありません。“YoRHa: Dark Apocalypse”はアライアンスレイドで、さらに『ニーア』とのクロスオーバーコンテンツだからできたというところもあります。

どんなコンテンツから手をつけても満足できるパッチ5.4

――そろそろ取材時間のタイムリミットですが、やはりというか、当初用意した質問を半分以上残す結果になりました……。それほどのボリュームになっているパッチ5.4ですが、おそらく“エデン零式”に注目される方が多い一方で、ドマ式麻雀やトリプルトライアドなど、非戦闘系のアップデートも見どころが満載だと思います。今回、どんな形でプレイヤーにこのパッチを楽しんでほしいですか?

吉田:『新生エオルゼア』から丸7年が経過して、当時はレールの幅が狭く、プレイヤーは高難易度レイドにまっすぐ行くしかなかったと思っています。どうしてもこの手のエンドコンテンツ不足というのは、どのMMORPGでも付きまとってしまう要素ではあるのですが、『FFXIV』ではそこから少しずつ横に広げる努力をしてきて、『紅蓮のリベレーター』の頃から一気にそのペースが上がってきたと実感しています。

 今ではどのコンテンツから遊んでいただいても全然かまわないですし、レベルがカンストしてアラガントームストーンの装備を付けてさえいれば、基本どこにでも行けるデザインになっています。バトルにそこまで固執しない方なら、IDを回れる装備があれば十分ですし、今やプレイスタイルによってはアラガントームストーンすら集めなくてもいいくらいにはなってきていると感じています。

 ですから、やりたいことを自由に遊んでいただくのが一番いいのかなと。年末はいろいろなゲームが発売になりますし、一気に『FFXIV』のすべてをなめ尽くそうとしなくても『FFXIV』はサブスクリプション(定額)のゲームです。もはや「流れに乗って急いで進めなきゃ!」というものは、そんなにはありません。

 ご自身のペースや遊びたいものに合わせてチョイスをしていただき、好きなところからプレイしてもらうのが、今の『FFXIV』には一番ありがたいですし、そういうゲームに近づくことができたと思います。それを味わっていただければ幸いです。なにせ僕ですら最近コンテンツを忘れがちですからね(笑)。今は忙しくてプライベートキャラクターのログイン率が落ちているというのもありますが……。

――たしかに今は本当にいろいろとお忙しいですよね……。

吉田:実装前のチェックで何回もプレイしているということもあり、プライベートでは「ヤバい、まだプレイできていない!」というものが多くて(笑)。 今思い出しましたが、自分のプライベートキャラでまだ“Gウォーリアー”に乗ってなかった……。

――では最後に、2020年はいろいろな意味で激動の1年となりましたが、来年に向けて『FFXIV』はどう歩んでいくのか、ぜひ展望をお聞かせください。やはり一番大きな動きは、来年2月の新情報発表会からになりそうですか?

吉田:そうですね。この先もまだまだ突き進んでいきますが、来年は“新生”前から続いてきた『FFXIV』のいったんの総まとめと言いますか、集大成をお見せできたらいいなと考えています。新しいという意味では新情報発表会もそうですし、物理的なファンフェスが開催できないかわりに、デジタルでのファンフェスをどう楽しんでいただくかという部分に関してもそうです。

 来年は何か大きな、『FFXIV』を一段階引き上げるようなこともやっていけたらと思っています。その結果、みなさんの予想を裏切り、期待を超えていけるようなものをお見せする年にできたらなと思っています。

――パッチ5.3のメインストーリーで語られた“星と命の物語の最終章”としての大きな動きが、来年には待っていそうですね。

吉田:そうですね。しっかり提示できればいいかなと思っています。

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IMAGE ILLUSTRATION: (C) 2018 YOSHITAKA AMANO
※画面はPC版、PS4版のものです。

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ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ

  • メーカー: スクウェア・エニックス
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  • 対応機種: Windows
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  • 配信日: 2019年7月2日
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  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: Mac
  • ジャンル: MMORPG
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  • 対応機種: Mac
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  • 配信日: 2019年7月2日
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  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: Mac
  • ジャンル: MMORPG
  • 配信日: 2019年7月2日
  • 価格: オープン

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