『ライザ2』開発者インタビュー! 『アトリエ』らしい作り方で生まれた続編の魅力を細井Pが激白
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コーエーテクモゲームスから12月3日にPS4、PS5(ダウンロード版のみ)、Nintendo Switchで発売される『ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~』(Steam版は2021年1月26日発売予定)のインタビューを掲載します。
本作は昨年発売された『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』の正統続編。主人公のライザが続投する初の『アトリエ』シリーズとなっています。
発売を目前に控えた今回、制作の指揮を執る細井順三プロデューサーへのインタビューを実施。本作に関する気になるアレコレをお聞きしたので、ぜひプレイ前の予習として一読してみてください。
なお、インタビューはオンライン上でのリモート形式で実施。インタビュー中は敬称略。
ライザという女の子の成長物語をしっかり作りたかったからこその続投!
――『ライザのアトリエ2』の企画はいつくらいからスタートしたのでしょうか?
まず『ライザのアトリエ2』を作ろうと思ったきっかけですが、これはよく言われるのですが“売れたから”というのは半分正解で、半分違うんですよね。私のなかでは前作の『ライザ』の企画を立ち上げた時から、次作も同一主人公で行きたいと考えていたんです。
ただ、そうは言ってもやはりライザというキャラクターがユーザーさんに受け入れられなければ、続投というのは難しいわけです。
そういうこともあり、私のなかで今回もライザにしようと最終的に決定したのは『ライザのアトリエ』の発売から1週間後くらいですね。売れ行きも好調でライザが人気であることがわかりましたので。もちろん、そのあとは社内会議などがありますので、最終的にこの形で続編が決まったのは去年末くらいです。
――ライザが続投ということで、当然のことながらトリダモノさんにキャラクターデザインをお願いされた形ですが、正式にオファーをされたのはどのタイミングだったのでしょうか?
私のほうからは『ライザ』の発売前から、「次は“2”で行きたいんですよね」とトリダモノさんに話してはいました。
――すでに細井さんのなかにあった“続投への想い”は伝えられていたんですね。主人公が続投という形ですが、過去に『2』と付くタイトルは『イリス2』や『マナケミア2』などありましたが、主人公が変わらないパターンは初ですよね?
『アトリエ』シリーズとしては初になります。
――その初めてにチャレンジしようと思った一番のきっかけなどはありますか?
これまでの『アトリエ』シリーズは“アーランド”シリーズ、“不思議”シリーズのようにだいたい2~3作を1つの括りにして展開してきています。言い方は悪いかもしれませんが、そうなるとどうしても作品を重ねるうちに、例外もありますが、売り上げも上がりにくくなっていました。「それは仕方がないことだよね」ということをチーム全体も思っていました。
その要因にはさまざまな状況が関係しているとは思いますが、私としては1作目が一番売れているのであれば、その1作目の主人公をそのまま続投させることも期待されている可能性もあるなと。今までやっていないのであればやるべきという風に思いました。
あとは私自身が『ハリー・ポッター』シリーズのように、主人公が成長していくような物語が非常に好きなんです。でもそれは『ハリー・ポッター』シリーズならば、あの世界も非常に魅力的ですが、やはり“ハリーの成長”が見たい方がとても多いと思うんですよね。
『アトリエ』シリーズの場合は例えば“アーランド”シリーズならば、ロロナ、トトリ、メルル、ルルアという4人の主人公で、アーランドという世界をシリーズとして継続して描きました。そのため、1作目の主人公だったロロナは、その後の作品ではメインとして語られることはありません。
サブキャラクターと言うと語弊があるかもしれませんが、ロロナのその後をそういったサブ的な立場で見る機会はありますが、ファンの皆様のなかにはやはりロロナを主人公という形で、トトリやメルルたちと絡む続きのお話が見たいという方もいらっしゃると思うんです。
もちろん、彼女たちや“アーランド”シリーズを否定するわけではなく、単純にそういうシリーズの展開も考えるべきじゃないかなと考え、今回主人公を継続したいなと『ライザのアトリエ2』を作る前から思っていたしだいです。
求められているものを確実に届ける『アトリエ』らしい作り方
――前回の『ライザ』はとにかく新しいことにチャレンジしようという姿勢で、『アトリエ』として支持された部分は残しつつも大胆に改革した作品になりました。『ライザのアトリエ2』ではどういった目標を抱いて制作を進めていったのでしょうか?
『ライザのアトリエ2』については保守的な言い方になってしまうかもしれませんが、すごく“『アトリエ』的”な作り方になっています。1作目はいろいろなものを取り入れよう、いろいろなものを捨てていこうというチャレンジ的な作品でした。
シリーズというゲームデザインにユーザーさんもある程度予測がついてきていると思っていたので、我々が考える“シリーズの再構成”であり“新しい『アトリエ』”というものを考えたんです。
おかげさまで多くの方に受け入れられ、『ライザ』へのフィードバックをたくさんいただけまして、そこで前作の作り方が一定以上の方に受け入れられたと感じました。そこで『ライザのアトリエ2』では従来の『アトリエ』の作り方に戻して、ユーザーさんからいただいたフィードバックに応えるように作っていったというイメージです。
そうしたうえで、新たなおもしろさや体験をみなさまに感じてもらえる作りを目指しています。もともと『アトリエ』シリーズの2作目、3作目はそういったフィードバックを反映してよりよいものを作るというスタイルでやってきました。今回はそのやり方に完全にならっていますね。ですので、制作コンセプトも大きく違います。
――たしかにプレイさせていただき、前作で「これがほしかった」と思う要素がしっかり盛り込まれていて、“痒い所に手が届く”的な印象をすごく受けます。フィードバックを確認するなかで、前作でヒットした要因の分析もされたとは思いますが、どこがヒットにつながる要因になったとお考えですか?
やはりキャラクターデザインが多くの方人に受け入れていただけた部分だと思っています。ゲーム的な面で言えば、フィールドでの表現力の向上でしょうか。あとはバトルと調合のシステムを既存のものから“改善”ではなく“一新”させたことで、この新鮮味が受け入れられたのだと我々も感じています。このあたりは想定していた部分ですね。
想定していなかった部分でいえば、ユーザー同士で作った採取地を共有できるシステム(トラベルボトルのパスワード)を盛り込んだのですが、思ったよりも使用頻度が低くて、これについてはあまり需要がなかったのかな……という印象でした(笑)。
これがあることでシステムボリュームは増えていたのですが、そのぶんシナリオボリュームが足りないのでは、というフィードバックもいただいていました。ですので、今回トラベルボトルはやめて、シナリオのボリュームを大幅に増強させ、ユーザーさんが求めるものを増やしていったという形です。
――世界累計出荷本数が50万本を突破と、かなりのセールスを記録している『ライザ』ですが、新規ユーザーと既存ユーザーの割合的なものはどうだったのでしょうか?
正確な数はわかりませんが、半々くらいかもしれませんね。非常に新規の方に受け入れていただけたと感じています。
ありがたいことに、『ライザのアトリエ2』は前作以上の予約をいただいています。前作よりいかないのではないかという声もありましたが、『ライザ』のファンになってくださった新規の方が、今回もついてきてくださっているということが、数字にもしっかり現れたと思っています。
――『ライザ』での結果を見て、『ライザのアトリエ2』への社内的な期待なども大きくなったと思います。例えば開発規模が拡大されたというような変化はあったのでしょうか?
そこまでの変化はありませんね。ガストブランド自体がもともとそんなに大きなものではないですし、増員はしていますが、2倍、3倍というような規模の拡張ではないです。
――となると基本的には前作でタッチされていたスタッフを中心に作られたと?
そうですね。前作のスタッフにプラスαして増えたくらいです。
――等身大フィギュアもそうですし、公式サイトでコスプレイヤーさんを使うなど、プロモーション周りはだいぶ派手になったのかなという印象を受けるのですが?
いろいろとご協力をいただけたので、様々なことにチャレンジできているという感じですね。等身大フィギュアは前作でWonderful Worksさまに作っていただいたものが好評だったことと、1/7スケールフィギュアの売り上げも好調だったので『ライザのアトリエ2』でも実現することができました。
“日本人的な感覚”で多感な年齢になるように3年後を選択
――本作は前作から3年後と、少し時間を空けての展開になりました。この設定にした狙いがあれば教えてください。
前作のライザは17歳で、その3年後となると大体20歳くらいじゃないですか。じつは『ライザ』にある根底の考え方は“日本人の感覚”なんですね。やはり18歳くらいから20歳までの間って多感な時期で、日本の場合は学生の方もいますが、社会人になる人の割合もすごく増えてくるじゃないですか。
このように18~20歳までは環境の変化による幅が広いんです。だから、そこをフィーチャーしたくて、今回3年後という設定にしています。クラウディアは普通に仕事をしていますし、タオはまだ学生なんですね。レントはわけあって放浪中ですが(笑)。
そしてライザは自営業というわけではありませんが、島で学校みたいなものを開いて子どもたちに授業をしていて、仕事としては錬金術士としての依頼を日ごとこなしています。
そのようにいろいろな職業を通して目線などが変わってくるわけで、そういった立場の仲間たちがもう一度再会したときに、どういった物語が紡がれるのかを描きたくて3年後にしています。例えばクラウディアがロミィに商品の値下げを提案されて交渉するシーンも、それをライザが見て「私はそんなことしたことないな」と言うんですよ。
私はこの“日本人的な感覚”は、『アトリエ』だから描ける部分もあると思っていまして。前作では日本人的な感覚で、舞台も我々の開発があった長野県とか地方の雰囲気を取り入れて都会と田舎の差を感じられるように作ったという経緯があります。
――長野と言われるとなんだかしっくりきます(笑)。田舎の村・ラーゼンボーデン村とは異なり、王都はかなり規模が大きくなりました。改めて世界観作りのこだわりポイントがあれば教えてください。
王都に関しては横浜や東京っぽくしたかったんです。ただ、基本的には発展途上の国で、それゆえに周りにいろいろ遺跡群があるわけですが、そこに住んでいる人は遺跡には興味がなく、商売して生活することが優先というレベルなんです。
やはり文化への関心ってある程度生活のレベルが上がらないと「保護しよう」みたいな考えが出てこないと思うんです。ライザたちがいる王都はまだそのレベルまでは到達していないけれど、一定以上の水準はあるというイメージですね。
――“君を離さない、たとえこの力を失っても――”というキャッチコピーは、前回の“ばいばいアトリエ。この冒険を、ずっと忘れない”と同じように物語の結末にかけたものなのかと予想されますが、前回の“ひと夏の冒険譚”のような、振り返ると楽しかった的な明るいノリは継承されているか気になります。このあたりはいかがでしょうか?
前作にあったノスタルジーさというものは、本作でも存在しています。テーマとしても“ひと夏の冒険”が自分の人生にどう影響を与えるのかという。人は思い出によって成長していくよね、というのが『ライザのアトリエ2』のテーマでもあるので。
――そんな本作のメインコンテンツは遺跡の探索と謎解きになりますが、例えば同じ遺跡でも雰囲気がガラッと変わることがあるのでしょうか?
そうですね。今回は水中神殿のような場所もありますし、バリエーションに関しては新鮮さを感じていただけると思います。
フィーを通してライザの“母性”を感じ取ってほしい
――3年という年月を経過させたことによりキャラクター作りでよかったこと、逆に大変だったことはありましたか?
18~20歳の間ってすごく変わる人もいれば、あまり変わらない人もいるじゃないですか。タオは声変わりをして背も伸びてかなり変わったので、ある種とてもデザインしやすかったですね。ライザやクラウディアはあまり衣装を変えたくなく、素朴な女の子のままでいてほしかったので、その差を出すのがすごく大変でした。
今回3年という時間を経ていますが、この3年間で成長はしているんですが、人生を動かすような何かを得てほしいわけではないんです。ユーザーさんが見ていないところで「実はこんなことがありました」というのは、あまりよくないと考えていまして、ユーザーさんが想像してきた通りの3年間の過ごし方をしてほしかったんですよ。
あの“ひと夏の想い出”を経て、それぞれが島を出ました。島を出たという結果はあの冒険の延長線上にあるものですし、ユーザーさんが想像されるであろう「あの時約束したことを変えずに頑張っている」というキャラクター像にしたかったんです。だから「●●に大きく影響されました」というようなものは入れていません。
前作のエンディングからライザたちが直進してきた結果を今回は描きたかったんです。普通に成長していると“好きなことは好きなまま”で変わらないじゃないですか。
――確かにたいていの人は、いくつになっても好きなことは変わらないですよね(笑)。
私は何か大きな挫折をしない限り、そこが変わることはないと思っていまして。だから3年という時間で、どこまで変えるべきかを考えるのがすごく難しかったですね。
――そんなキャラクターたちですが、続投となるライザ、タオ、レント、クラウディアの前作ファンに注目してほしい見どころを教えてください。
タオがものすごく成長したと思います(笑)。やはり都会に出てきてひとり立ちして、だいぶ変わったなという印象ですね。
――今回のタオはライザと肩を並べるくらい頼もしく成長していて、すごく好きになる人が多いキャラクターになったと思います。
タオが、都会に出て成長したという結果が一番反映されていて、逆にライザの場合は田舎にいたから大枠はあまり変わっていないんですよね(笑)。もちろん、自分に対して自信は持っていますし、“一歩引いて”物事を見られるようになるなど成長している部分はありますが、大きく性格が変わったわけではありませんので。
クラウディアの場合は仕事をし始めた結果、シビアなことも知り始めているし、自由時間が無くなっていくなかでの「ライザと冒険できるのは最後かもしれない……」と想いを秘めながら、今回の冒険に同行していく感じです。
レントは前作で“人を見返してやりたい”という想いを抱いていたわけですが、それが本当に自分のためなのか、世の中のためになるのかと思い返して、今はいろいろと悩んでいるという感じです。
――では新キャラクターとなるフィー、パトリツィア(パティ)、セリ、クリフォードが、それぞれどういった魅力を持つキャラクターなのか教えてください。フィーは言えないことが多いと思いますが(笑)。
フィーは謎が多い生き物ですが、ライザに母親的な“母性”を感じてもらいたくて出しています。前作のライザは最終的には誰かのためにはなりますが、自身のために直線的、直進的な視点で動いていました。でも、本作はフィーという子どものよう的な存在ができたことで、“この子のために!”と母親的な視点で動く新しいライザの姿が描けるんじゃないかなと。
――確かにプレイをしていると、ライザのフィーへの愛が半端なく厚くて、そこは前作のライザとは大きく印象が異なる部分で新鮮です。ではパティについてはいかがでしょうか?
パティはライザと対比になるようなキャラクターです。彼女は都会っ子でお金持ちなんですよ。だから田舎者の気持ちもわからないし、ライザがズケズケ入ってくる感じを彼女は持ち合わせていないんですよね。なぜなら、都会と田舎では他人への興味の度合いが違いますからうので。それで、ライザもパティもそれぞれでカルチャーショックというか、ギャップを感じていく……みたいな。そこをぜひ見ていただきたいです。
クリフォードはトレジャーハンターとしてお宝を探しているキャラクターです。彼にとってトレジャーハンターは家業的なもので“仲間と何かする”という行為に対して、とくに何も感じていませんでした。仲間も“必要だから使う”みたいな感覚だったわけです。
ですがライザたちとの冒険を経て彼は“初めての青春”を味わうことになり、それでだんだんと変わっていくという部分が見どころですね。
セリは前作に登場したリラと同じオーレン族で、オーレン族が持つ異界の設定を拡張させるキャラクターとして登場させました。だから、セリとリラは基本的に同じ方向というか、異界という世界観を広げるための役割を担っています。
――いろいろキャラクターについて伺いましたが、今回トリダモノさんとのやり取りで印象に残っているキャラクターはいますか?
全員大変でしたね(笑)。毎日7時間くらいミーティングをしていました。オンラインミーティングをトリダモノさんと私とディレクターの3人で行っていて、打ち合わせしている内容をトリダモノさんがその場で反映させて描いていくんです。
それでその合間にこちらが黙っていると「一人で作業しているのと変わらないから、細井さんたち何かしゃべってくださいよ」と言われて。トリダモノさんがひたすら描かれているところで、我々は全然関係ない雑談をしていましたね(笑)。そんな感じのやり取りを全部のキャラクターで繰り返していました。
――このコロナ禍という状況になったことで、オンラインでのやり取りが増えたと思いますが、以前よりも密に連絡を取り合うようになった感じでしょうか?
今年の3月まで長野に事業所があったこともあり、もともとオンラインでの打ち合わせがメインでした。なので、そこについてはとくに変わらなかったですね。トリダモノさんもやり取りでの大変さというよりも、精神的な部分でのご苦労があったと思います。
それに開発のほうも大変でした。ちょうど3月くらいは各パーツが組み上がってきて「これから実装していくぞ!」というタイミングで、そこから在宅ワークに切り替わりましたので、影響を大きく受けたと思います。
――あとは先ほど話題にも出た前作のアンペルとリラですが、登場するということは発表されています。彼らは仲間にはならないのでしょうか?
仲間にはなりません。彼らは彼らで別の目的で行動していて、ライザはライザの目的があるので、あえて合流させることはないかなと。
――前作で人気だったロミィさんをはじめ、魅力的なサブキャラクターが多数登場しますが、予想以上に彼らとの会話も多くあり、ドラマに厚みを感じます。
ここは完全にユーザーさんからのフィードバックを反映した形ですね。いろいろなご意見をいただきましたが、一番多かったのが“キャラクターシナリオを充実させてほしい”でした。ですので今作は非常にボリュームを持たせた作りにしています。
システムは新しいことがすべて正義ではない
――フィールドアクションに泳ぐ、登る、魔物に乗る、ほふく前進などが加わり、よりフィールドの広さが伝わるようなゲームデザインになりました。今回これらを用意した狙いと、それによってどんな発見などがあるのか教えてください。
フィールドに関してもフィードバックですね。また、前作は感じがしていましたいくらフィールドをキレイにしても、アクションできる部分が増えなければ大きく意義がないのかも……と思いました。
そういうことを思い、登ったり、泳いだり、潜ったりというアクションを追加しました。キャラクターの表現としてかわいらしいところも見せられます。これにより高低差、縦の表現が生まれたので、例えば高台にアイテムを置くなどゲーム設計としても非常に有用になりましたし、ユーザーの皆さんにも楽しんでいいただける要素になるだろうと考え、今回用意させていただきました。
――確かに前作はマップを見て移動することが中心でしたが、今回は実際にフィールドを眺めて「あ、あそこに行けそうだ」というような、歩き回る楽しさというのが増している印象でした。
ありがとうございます。ユーザーさんの反応も楽しみです。社内での評価も高く、実装してよかったと思っています。
――水中のエリアなどがあり、前作以上に光の表現が美しく目を奪われますが、フィールドデザインをするうえでこだわったポイントを教えてください。
フィールドデザインについては、前作から大きく方針転換はしていません。陰影をキレイに付けるなどを踏襲して、作業的にこなれてきた結果かもしれません。
――そんなフィールドで発生するバトルですが、前作はAPをじっくりためて計算して使い、CCはここぞというために温存しておくなど、“守り”寄りな印象を受けました。本作はAPをためる手段が増え(ジャストガードなど)、CCもスキル使用で溜まるなど、とにかく“攻め”のバトルデザインという印象です。
今回はアイテムの存在価値が圧倒的に高くなっています。前作では「スキルを使えばいい」というご意見もありましたが、今回はスキルについては相当調整しています。アイテムで攻撃したり、ステータスを上げたりすることでの効果を強め、アイテムの価値というものをかなり高めました。
ただ、前作はアイテムを使うのにCCを使わざるを得ないので、CCは使いたくないと感じていたと思います。我々もテストプレイをしていましたが、フィードバックを見るとそれがストレスを与える原因になっていたなと。そこで今回は極力ストレスを排除する方向で、バトルシステムを設計しました。
――キャラクターにセットできるアイテムの数が全員4つという点も、ストレスをなくすためという配慮でしょうか?
そうですね。前作でストレスがあった点でしたので改善しました。あとは直感的にバトルシステムを楽しんでいただきたかったので、前作は通常攻撃のみボタンを押す形になっていましたが、ボタンもそれぞれ役割で分け、より直感的に遊べるようになりました。
基本的には前作と同じような遊び方はできますが、今作はスキルをバンバンつなげていくことが可能です。とはいえ最初から無理に全部を操作しようとするのではなく、戦闘に慣れてからそういうことも意識していただけれけば問題ありません。例えば「自分のターンが回ってきたら○ボタンを連打します」とかですね。要はターン性のRPGのよさを、ストレスなく進化させているイメージです。
プレイ動画を見た人から「忙しそうに見える」というお声もいただいていますが、それは見栄えが忙しいだけであって、実際に遊んでいただければわかると思います。
――参加メンバーが4人(メイン3人+サブ1人)に増えたことが大きな変更の1つだと思いますが、こちらもフィードバックの反映でしょうか?
当然フィードバックもありましたが、どちらかといえば『マナケミア』シリーズのようなバトルシステムでしょうか。こちらのシステムは非常に好評だったので、それを進化させたらという形で今回実装してみました。
――何かしら“『アトリエ』のイズム”を継承して追加していくスタイルなんですね。
そうですね。やはりいろいろな作品を作っているなかで、新しいことがすべて正義とは思っていないんです。新しいことが正義である部分もあるし、振り返ることも重要なんですね。そこはバランスを見ながらやらないといけない部分だと思っています。
――あとは細かい部分ですが、前作はなかなかタクティクスレベルが最大まで上がらず、“フェイタルドライブ”を見るチャンスが少なかったですが、今回はいかがでしょうか?
“フェイタルドライブ”が頻繁にに出せるかと言われるとそうではないですね(笑)。とはいえ、前回はタクティクスレベルを上げることが正解、みたいな形でストレスの要因にもなっていました。そこは“とにかくストレスをなし”にという方向に振り切って作りましたので、ご安心いただければと思います。
――『アトリエ』の柱の1つである調合ですが、今回も前作同様にマテリアル環を使った“リンケージ調合”を継承しています。そこは好評だったことが大きいのでしょうか?
そこが一番大きいですね。やはり好評だった部分をあえて変える必要はありませんので。
エボルブリンクに関しては、もっとこだわったアイテムを作りたいという方がいっぱいいらっしゃったので、そこにマッチするようなシステムを取り入れました。こちらは本当に『アトリエ』好きの方に向けたシステムですね。
――ちなみにエボルブリンクで完成するアイテムはランダムでしょうか?
ランダムではないです。法則性はあります。
――今回は入口がわかりやすいままで、その先の「もっとこだわりたい」という部分も用意されえていて、すごく楽しい調合になっていますね。
今回は調合レベルも廃止したので、ユーザーさんごとに作りたいアイテムを目指して調合していただけたらと思います。
――スキルツリーでレシピを習得する形になりましたが、調合のなかからレシピを抜き出したのには理由があるのでしょうか?
今回は2作目じゃないですか。だから一度覚えたはずなのに、もう一度ライザにレシピを覚えさせるのは嫌だったんですね(笑)。レシピ変化で調合中に入手するレシピはありますが、設定としては、調合道具や場所や材料などもろもろ変わると、レシピ自体も変えざるを得ないということです。
ただ、ライザ自身はレシピを覚えているので、さらにレシピを覚えていくことに違和感があったんです。そのため、スキルツリーでもう一度学んだ結果「こういうレシピだよね」と発想していくという形になっています。
――すごくしっくりきました(笑)。
スキルツリーに関してはフィーとの関係性と連動しているので、そこもシナリオを進めていくうちにわかっていただけるんじゃないかなと。
――あとは調合で“OverLoad”ゲージがマックスになると調合効果があがる仕組みがありますが、ランダムでの変化という部分はこれくらいでしょうか?
不確定要素はそれくらいですね。
――本作のメインコンテンツでもある遺跡の探索ですが、“追憶の羅針盤”で遺跡の欠片などを集めて、“探究手帖”で謎を解いていくという、考える楽しさが付加された印象を受けます。これを用意した意図など教えてください。
やはりその遺跡にある“何か”に触れてもらいたいなと。何かというのは、下に流れている設定というか。私は世界遺産を例によく言うんですけれども、ああいうのは設定や背景のストーリーを知って思いをはせるからこそ“エモい”わけですよね。それを感じてもらいたかったのが一番ですね。
――確かに遺跡中を見回して探索してという、トレジャーハントをしている感をすごく味わえておもしろいなと思いました。ちなみに、“探究手帖”を解いていくことでメインストーリーが進む形ですよね?
基本的に“探究手帖”はメインストーリーのアンロックと、スキルツリーのアンロックの両方を内包しているシステムです。
――なるほど。となると全部解かないと先に進めないというわけではないんですね。やり込み系の難易度が高い謎も用意されていると?
そうですね。なかにはどうしても解かなければならないものはありますが、必ずしも全部を解く必要はありません。
――あとはシステムの細かい要素になりますが、『アトリエ』ではおなじみの依頼システムが復活しました。
これもユーザーさんからのフィードバックになります。依頼に関しては、復活させてほしいという声を結構いただいておりきまして、それを受けて復活させることにしました。
――王都ならばいろいろな人から依頼が来てもおかしくないだろうと、設定的にも無理はないですよね。
そうなんですよ。1作目は島民たちとのもともとの関係性を大事にしたくて、作られたものを最初から感じさせるのが嫌だったので実装しませんでした。
――ぷに育成は解放された段階から積極的に活用したほうが、のちのち有利になりますか?
そうですね。最初から使っていただいたほうがいいです。アトリエに飾れるものや、素材などが手に入ります。とはいえ、ものすごく有利になるかといえばそうではないかもしれませんが(笑)。
――フォトモードが最初から利用できるのもうれしい点ですが、前回開催したフォトコンテスト的なものは予定されていますか?
はい、開催予定です。今回は表情を付けられるなど自由度が上がっているので、ぜひ序盤からいろいろなシチュエーションを作って撮りためてください。
シーズンパスもデジタルデラックス版もボリューミーな仕上がりに!!
――PS5版の発売が早い段階でアナウンスされ驚かされました。PS5版だからこその表現やメリットはありますか?
PS5版は圧倒的にロードが速いですね。あとはネイティブ4Kを出せるので、非常にキレイに見えるのではないかなと思います。
――ちなみに当初からPS5の制作は予定されていたのでしょうか?
PS5版も挑戦したいなとは思っていましたが、実際どれくらいに発売されるのかなど不明瞭な点が多くて……。最近とは言いませんが決まったのはけっこうギリギリのタイミングでした。
――シーズンパス周りの発表がされていますが、そのあたりの見どころを教えてください。
シーズンパスに関してはユーザーさんからのお声も参考にさせていただき、価格も検討しました。ボリュームは一切落としてはいないので、楽しんでいただける内容になっていると思います。
デジタルデラックス版は“クーケン島 採取ツアー”に加え、総合計で37着のコスチュームなど、非常にボリューミーな内容となっています。ご興味があれば手に取っていただければ幸いです。
――『ライザのアトリエ2』は前作の挑戦から進化へと舵を切ったタイトルとなりましたが、『アトリエ』シリーズ、ガストブランドとしてどんなタイトルになったとお考えですか?
我々としてはできる限りのことはやったかなという想いです。お客様に届けて恥じることのないタイトルになったと考えています。ただ、最終的に判断されるのはお客様なので、我々としては最高のものをお届けしたつもりですが、ぜひ遊んでいただいて、またフィードバックをいただければと思います。
――ちなみに、『アトリエ』シリーズといえば1シリーズで3作作ることが定番ではありますが、それについてはどうお考えですか?
まだ何も言えませんが、作りたいとは思っています(笑)。
――では最後に発売を待つファンに向けてメッセージをお願いします。
今年は本当に大変な状況となっていますが、我々も同じような状況下で苦労しながら開発をしてきました。こういった時だからこそ『アトリエ』のような“温かい世界”が望まれているのでは、と感じながら作った作品です。
ですので、ぜひこの“温かい世界”に触れていただいて、ライザの続きの物語を楽しんでいただけたら幸いです。
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