【レビュー】ホラーゲーム『リトル・ホープ』をプレイ。1人で恐怖に耐えられない人もマルチで遊べる良作

まさん
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 バンダイナムコエンターテインメントより、PS4/Xbox One/PCで発売中のホラー・アドベンチャー『THE DARK PICTURES:LITTLE HOPE(リトル・ホープ)』のレビューをお届けします。

 本作は良質なホラー映画のように予測もつかないストーリー展開と、登場人物の判断を選択肢やQTE(クイックタイムイベント)によって展開が分岐していくシステムが魅力的な、“シネマティックアドベンチャー”と呼ばれるジャンルの作品です。そんな『ザ・ダーク ピクチャーズ』シリーズの最新作『リトル・ホープ』の感想をお届けしつつ、シリーズの魅力を掘り下げていきます。

 『リトル・ホープ』は、Supermassive Gamesが開発している『The Dark Pictures Anthology』の2作目。シリーズではありますが物語としての繋がりはなく、語り手として存在する“キュレーター”が用意したエピソードのうちの1つを見ていくというアンソロジー形式のドラマになっています。キュレーター以外の登場人物はいっさい続投せず、キュレーター自身もあくまで“物語の語り部”でしかないので、どの作品からはじめても問題ありません。

  • ▲廃村となったリトル・ホープで起きたバスの事故……。本作『リトル・ホープ』では、そこから始まる意外な事実と恐怖に満ちた一夜の顛末が描かれます。

 なお、本作はソロプレイのシネマティックゲームですがオンラインで最大2人。オフラインで最大5人のマルチプレイにも対応しています。オンラインは“シェアストーリーモード”。オフラインは“ムービーナイトモード”を選ぶことで、フレンドや家族と一緒に同じ物語を楽しめます。

 このレビューを書くにあたっては、オフラインでの“ムービーナイトモード”とソロプレイの両方を遊んでみました。アドベンチャーなので詳細なストーリーについては語りませんが、ムービーナイトモードではどのような要素があるのか。ソロプレイとの違いなども解説していきたいと思います。

1人でも多人数でも遊べるシネマティックホラー

 映画のように迫力のあるシネマティックホラーを作り続けることで定評のあるSupermassive Games。ホラーゲーム好きにはたまらないクリエイター集団が、その才能を結集させて作っている良質なアンソロジー作品が『The Dark Pictures Anthology』です。アンソロジー形式ですが共通するものは語り部のキュレーターのみで、内容はまったく異なります。

 日本のドラマで例えると、フジテレビ系列の『世にも奇妙な物語』でタモリだけが共通して出てくるようなものですね。だから、前作の『MAN OF MEDAN(マン オブ メダン)』を遊んでいなくても問題ないく楽しめます。そういう意味でも、非常にオススメしやすいホラーゲームかも。

  • ▲キュレーターはシリーズを通した“語り部”。絶対に物語へ介入することがありません。ときには、プレイヤーにヒントを与えてくれることもありますが……?

 周回することで細かな場面の違いを楽しめる作品ですが、1周のプレイ時間自体は4~5時間ほど。ムービーナイトを最大の5人でプレイしたとしても、長い映画を見るくらいの感覚で遊べます。ゲームと映画の中間とでも言うべきジャンルで、介入しつつも映画的に物語へ没入できるのが特徴です。

 家族や友人と一緒に深夜から朝にかけて遊ぶと、気分が盛り上がること間違いなし! ホラーゲームを1人でプレイするのは怖い……という人でも安心ですね。みんなで遊んでも怖いけど!

  • ▲油断したときに驚かせてくるので、ホラーゲームだとわかっていてもビビります。静止画ですら怖い。

 そんなわけで、今回はまずムービーナイトからプレイ。ソロプレイとの違いを見つつ、最後まで遊んでみました。もっとも、アドベンチャーなので物語に関しては序盤までの話しかしません。重度のネタバレはないのでご安心を。なお、今回はせっかくなので家族にも手伝ってもらうことにしたのですが、うちは4人家族。このゲームは最大5人なので1人足りませんね。なので、5人目は飼い犬(コントローラー操作は自分)に手伝ってもらって遊んでみました。最後の犬が明らかに役に立たない予感。

 では、早速ゲームを始めてみましょう。ソロプレイでは場面に応じて全員を操作するのですが、複数人でプレイする場合は誰がどのキャラクターを操作するか選ぶことになります。ちなみに、ムービーナイトは1つのコントローラーを全員で回しながら遊べるので、コントローラーは1個しかなくても大丈夫です。PC版ならマウスとキーボードでもOK。

  • ▲各プレイヤーの出番が来ると「〇〇! 君の番だ!」と画面に表示され交代できます。ちゃんと準備するタイミングがあるので、途中で離席してもゲームが失敗……なんてことはありません。

 キャラクターの出番は均等なわけではなく、どこでどのキャラクターにバトンタッチするかは遊んでみないとわかりません。なので、いつ自分の出番が来るのかドキドキできるのも魅力。選択次第ではキャラクターが無慈悲に死んでしまうので、責任も重大です。

過去の魔女裁判と現実が交錯する恐怖……

 衝撃的なチュートリアル(本当に衝撃的なので、どこがどう衝撃的なのかは秘密)を終えると、いよいよ物語が動き出します。今回の主役は、4人の大学生と大学教授。彼らは、バスの事故で廃墟となった街“リトル・ホープ”に迷い込んでしまうことに……。ここからは、プレイヤーの行動次第で彼らの運命は大きく変わります。選んだ行動や反応によって、彼らの性格や受ける印象も大きく違ってくるはず。

  • ▲ゲーム開始当初はヒステリックな社会人学生のアンジェラ。選択肢の選び方によってはイヤミな女性になったり、物分かりのいい女性になったりと印象が大きく変わります。

 選択肢には時間制限があり、基本的には2択のどちらかを選ぶか、何も言わないことで会話が進展。どれを選んでも物語は進むので、最初は気楽に選んでしまっても大丈夫です。序盤はそこまで命の危険に晒されるような場面もありません。序盤は、ね。


▲謎の人物から、お酒を飲めと勧められた場面。飲んでしまうか、飲まないほうがいいのか。こんな些細なことから重大なことまで、ゲーム中には多彩な選択肢が出現します。
  • ▲同じ場面でも、選択肢によってまったく違う反応に。どうでも良さそうな選択肢に見えますが、たった1つの行動がその後の展開に影響してくる可能性も……!?

 勇敢で頼れる教授として頑張るのも、すぐに怒る短気な教授を演じるのも、いつも大事な場面で口を閉じてしまうシャイな教授になるのもプレイヤーの自由。マルチプレイで遊ぶと、自分では選ばない選択肢を取られて焦ったり、QTEがヘタでやきもきしちゃったりと、他人と遊ぶからこそ起きるアクシデントも楽しめます。

 私はとあるポイントのQTEで失敗して全員を助けることはできませんでした。ああ、自分の飼い犬がコントローラーを操作してくれる天才犬だったら、あそこであの人も助かったのに……!

  • ▲メニュー画面を開くと、自分がそれまでに取った行動やキャラクター同士の好感度がどのように推移したのかも確認できます。

 実際に遊んでみるとわかるのですが、このゲームは本当に“夜の廃村”をさまよう雰囲気が出ていて、背筋がゾクゾクします! もしも夜中に1人で遊んだら、かなり怖いゲームですよ。画面も基本的に暗く、明るい場面はほぼありません。廃屋だらけの村を怪奇現象に翻弄されながら探索するだけでもヤバイ!

 それに加え、過去にこの町で起きた魔女裁判の幻影を予告なしに見せつけられるのがまた恐ろしい……。現実と過去が交差しながら追い詰められていく感覚がたまりません。しかも、映画ではなくあくまでゲーム。選択肢やQTEを選ぶだけではなく、自分でキャラクターを操作して探索する場面もしっかりあります。もう、歩いているだけで不気味!

  • ▲キャラクターを操作する場面でも、どこに行くか迷うことはないはず。画面は暗いのですが調べる位置はわかりやすく、次に行くべき場所も自然とわかります。

 ただでさえ怖いのに、ジャンプスケア(オバケ屋敷のように突然驚かせるホラーもののテクニック)的に怪異が襲ってくるし、人間の醜悪さを描いた過去の魔女裁判シーンは精神的にきついし、じわっとした恐怖と不意打ちのような衝撃が交互に襲ってきます。そういうときに限ってQTEが発生するのもよく出来てますね。

 QTEの種類は基本的なものから心電図にあわせてリズムゲームのようにボタンを押すもの。タイミングよく相手を狙って攻撃するものなど種類もさまざまですが、難易度はちょうど良い感じです。


 ホラーゲームだと理不尽に難しくて嫌になるようなものもありますが、本作のQTEはいじわるじゃありません。むしろ、全体的には簡単な部類。あくまでもプレイのアクセントになっています。しかしながら、緊張感のある場面で突然発生するので焦っちゃう。焦るので失敗しちゃうことも……。とくに、怪異に襲われている時は失敗=死が待っているのでわかっていても焦ります。さらに、場面によってはどちらを助けるかという二者択一の場面も発生。もう、どうしたらいいのかパニック! これこそが、ホラーゲームの醍醐味!?

収集要素も兼ねたヒントが独特でおもしろい!

 ここまで語ってきたようにプレイヤー自身の選択が重要なゲームではありますが、じつはまったくのノーヒントではありません。ゲーム中でキャラクターを動かせるときに探索しておくと、ヒントとなる“絵画”が手に入る場合があります。

 絵画は収集要素も兼ねているのですが、これを見つけるとオマケとして“未来で起きるかもしれない場面”を一瞬だけ見ることができるのです。つまり、その場面に遭遇するかもしれないという“予感”ですね。

  • ▲“予感”はかなり断片的で、手に入れた直後だとどのシーンなのかもわかりません。ですが、実際に遭遇すると「あっ、ここだったのか!」と気づくはず。

 この“予感”は重大なヒントなのですが、必ずしも完璧なものではありません。この場面へ到達する前にキャラクターが死んでしまっていたり、自分の選択次第では発生しないこともあります。それに、いつ“予感”のシーンが発生するのかもわかりません。ヒントではあるのですが、断片的なので生かせるかどうかはプレイヤーしだい。

 しかしながら、たとえば二者択一で誰かを助けなければいけないときに“予感”を見ているのとみていないのとでは全然違います。“予感”を見ていれば、どうやって助けるのか気づくかもしれません。絵画以外にもさまざまなアイテムが各地に隠されているので、探索をする楽しみも用意されています。

  • ▲新聞や本の情報を読んでいくことで、リトル・ホープの世界観や事件を深く知る手がかりが得られる……かもしれません。

 なお、本作は章仕立てになっており、章の節目ではキュレーターがそれまで取ってきたプレイヤーの行動に対して評価や賞賛をしてくれる場面も。結構煽ってる感じで「この野郎……!”と思う時もあるのですが、彼はあくまでも語り部なので仕方ないですね(笑)。

  • ▲こちらの探索が甘かったことを指摘しつつ、あれを探しておけばな~と煽るキュレーター。手遅れなら言わないでくださいよ! 腹立つわ~!!

 マルチプレイで遊んでいるときは、章の節目ごとにプレイヤーたちのプレイスタイルが評価されるシステムもあります。ゲーム自体の攻略にもストーリーにも直接関係することはありませんが、心理テストのような感じで評価を見ながらワイワイ話してみると楽しいかも?

 さて、もう少し具体的に物語の魅力も語りたいところですが……ストーリーについてはあまり語り過ぎるとおもしろくなくなってしまうので止めておきましょう。序盤から終盤まで伏線が張られながら、それが見事に回収されていくので、こればかりは実際に見てもらったほうがいいと思います。

 エンディングもいくつか存在していますが“大枠の謎”自体は一緒。割とどうしようもない状況のエンディングでも、おそらく謎自体は解けるかと。なので、謎に関する部分については、1周だけ遊んでも消化不良なんてことにはならないでしょう。もちろん、あまりうまく行かなくて納得の得られない結末になる可能性もあり得ます。そんな人は手に入れたヒントを頼りに、違う選択肢を選びながらもう1周するのもアリです。

 ちなみに、PS4版では発売と同時にDLC『キュレーターズカット』も無料配信されます。こちらは、ゲームクリア後に選べる別ルート。本作の物語を違う視点から追うことで、新たな見方ができるかもしれません。

  • ▲チュートリアルの時点から何かが違う!? 具体的にここから何がどう変わっていくのか。それはDLCを導入した人のお楽しみということで……。

 同シリーズ作品の『マン オブ メダン』もそうだったのですが、このシリーズはホラー映画を自分で操作するようなプレイ感覚でシステムもわかりやすく、普段ゲームをあまりしない人にもオススメしやすいですね。前作とは登場人物もストーリーの流れもまったく違うので、単品として楽しめるのも良いところ。

 クリアすると次回作の予告が流れるのですが、そちらも期待できそうなシチュエーションでした。ホラーゲームが好きな人はもちろん、みんなで映画を借りてみるような感覚で遊べる本作。1人で遊んでも複数で遊んでも、それぞれ異なる楽しみ方ができるので、ぜひ自分好みのプレイスタイルで楽しんでみてください!

©2020 SUPERMASSIVE GAMES Limited. “The Dark Pictures Anthology”
“Little Hope” and “SUPERMASSIVE GAMES”
are trademarks or registered trade mark of SUPERMASSIVE GAMES Limited. All rights reserved.
BANDAI NAMCO Entertainment logo is a trademark of BANDAI NAMCO Holdings Inc. All rights reserved.
Published by BANDAI NAMCO Entertainment Europe S.A.S. and its affiliates.
Developed by SUPERMASSIVE GAMES Limited.

THE DARK PICTURES:LITTLE HOPE(リトル・ホープ)

  • メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ADV
  • 発売日: 2020年12月3日
  • 希望小売価格: 3,200円+税

THE DARK PICTURES:LITTLE HOPE(リトル・ホープ)(ダウンロード専用)

  • メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
  • 対応機種: Xbox One
  • ジャンル: ADV
  • 配信日: 2020年10月30日
  • 価格: 3,200円+税

THE DARK PICTURES:LITTLE HOPE(リトル・ホープ)(ダウンロード専用)

  • メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
  • 対応機種: Steam
  • ジャンル: ADV
  • 配信日: 2020年10月30日
  • 価格: 3,200円+税

THE DARK PICTURES:LITTLE HOPE(リトル・ホープ)(ダウンロード版)

  • メーカー: バンダイナムコエンターテインメント
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: ADV
  • 配信日: 2020年12月3日
  • 価格: 3,200円+税