電撃オンライン

開発者に聞くスマホ版『オクトパストラベラー』の今後。12月アプデの新要素“名もなき町”の狙いとは?

長雨
公開日時
最終更新

 スクウェア・エニックスより、好評配信中のiOS/Android用シングルプレイRPG『OCTOPATH TRAVELER(オクトパストラベラー) 大陸の覇者』

 12月中旬に初の大型アップデートを迎える本作のプロデューサーの横山祐樹氏、開発ディレクターの鈴木裕人氏、運営ディレクターの木寺康博氏のインタビューを複数回に渡ってお届けします。

 ラストとなる第3回目は、ロードマップのお話を含めて今後の展望についてお聞きしました。

『オクトパストラベラー 大陸の覇者』の今後は?

――2021年2月までのロードマップが公開されていますが、話せる範囲で今後の展望を教えてください。

鈴木:12月から始まる新たなメインストーリーが大きな軸になっていて、新章追加時には新たなタウンも解放されていきます。

 フレイムグレースやヴィクターホロウなど、Switch版に登場したタウンが数年前はどんな風景だったのか、楽しみにしていただきたいです。

 また、このインタビューが掲載されるころにはすでに実装済ですが、11月のタウンアップデートで星4のトラベラーストーリーが追加され、寄り道要素も増えていく予定です。

本作の終盤はかなり難易度が高く、なかなかクリアできないという声も届いていますが、実は過去に到達したタウンに加えられている施策のタウンアップデートで高レベルの装備を入手しやすくなっています。

 “上級討伐への道”のクエストを始めると“フィールドコマンド”の“さらに聞き出す”ができるNPCが増えて、戦力アップができるので、強敵にも勝ちやすくなるはずです。

“名もなき町”は癒しの場であり、帰るべき家。そして、物語本編で行き詰ったプレイヤーへの救済手段

――新コンテンツの“名もなき町”も期待しています。どんなコンテンツなのでしょうか?

鈴木:本編は難易度を高めに作ってあるので、ライトなプレイヤーの方たちにもゆったりプレイして楽しめるような追加コンテンツをお届けしたく、制作したコンテンツです。

 そのため、難易度は低めになっています。“富・権力・名声を極めし者”の2章をすべてクリアすると“名もなき町”を遊べるようになりますが、ちょうどそのあたりから敵の強さも増していきます。

 メインストーリーで行き詰った方への救済策的な意味もありますので、“名もなき町”を遊んで戦力を強化して、メインストーリーを先に進めていただければ。

 v1.1.1以降のやり込み要素にもなるのですが、“名もなき町”と関連した“追憶の塔”を遊ぶと、序盤でもで強化可能な武器を入手できます。ゆくゆくはかなり強力な装備に育て上げられるようになる予定なので、ぜひコツコツ育ててみてほしいですね。

 物語としては、新キャラクターの建築士の女性ネフティと協力して、町に建物を増やして住人を呼ぶ、ほんわかしたサイドストーリーです。

 町づくりといっても、好きな建物を自由に建てていくわけではありません。ただ、町を自分で大きくしていく体験はテストプレイをしても楽しいと感じますし、特別なアイテムも手に入ります。

 日替任務が豪華になったような気持ちで気軽に楽しんでいただきたいですね。

――最初からエンディングまで遊べるのでしょうか?

鈴木:いえ、“名もなき町”は今後のアップデートでストーリーや新要素が増えていく形を採っています。

 のちに追加されるナッツ畑では経験値アイテムのナッツを獲得でき、牧羊場ではお金を稼ぐことができます。そういう部分も含めて、メインストーリーで行き詰った方へのフォローができるように、プレイヤーと一緒に育てていく町にしたいです。

――登場する住人は、どこかのタウンから連れてくる形になるのでしょうか?

鈴木:現状では、このコンテンツのための新しいキャラクターがメインです。

 シナリオが盛り上がりすぎて、敵も味方もかなりコミカルな人たちになっています(笑)。

 『大陸の覇者』のメインストーリーをプレイすると疑われてしまうかもしれませんが、ドロドロしていませんし、人も死なないはずなので、ご安心を(笑)。ぜひ、ネフティたちの楽しい話にいやされてください。

 12月後半のアップデートの話ではありませんが、ログインボーナス的な手紙をくれている学者猫のアイラも登場する予定です。

 ちなみにあの子のモデルはうちの猫で、ついつい監修を厳しくしてしまうため、スタッフから追加のモーション制作が恐れられています(苦笑)。

 また、名もなき町にはミィという黒子猫が登場するのですが、とても細かくドット絵でのモーションをつけていますし、可愛い鳴き声もあります。

 こちらもかなりの力作ですので、ぜひ見て和んで欲しいですね。

木寺:動物ネタといえば、もう1つ。シェパードロックに羊がいるんですがタッチすると毛を刈れて、ドットイラストも変化します。

鈴木:ちょっとしたノリで作ってしまいましたね。ちなみに羊毛は高く売れるので、なかなか美味しいです。

木寺:勘のいい方は気づいていますが、ゲーム内で手に入るある貴重品も“名もなき町”に関係があるものになっています。

鈴木:現時点では役に立たないのですが、何のアイテムか気になってもらおうと言う意図で初期から入れておきました。

 プレイヤーは皆さん=トラベラーなので、基本はホームを持たない旅人です。ただ、長い旅路なので、“名もなき町”が旅から帰ったときのホームのような存在になっていけばいいなと思っています。

新要素の闘技大会はPVP……ではなくて、1人用のやり込み要素!

――もう1つの注目コンテンツが“闘技大会”です。こちらは、どのような内容なのでしょうか? PVP(プレイヤー同士の対戦)のようにも感じますが?

木寺:エンドコンテンツ寄りの内容になっていて、予選、本戦と勝ち進み、優勝すると決勝の相手が仲間になります。PvP要素はなく、こちらが用意したエネミーと戦っていただく形です。

 闘技大会のキャラは仲間にすることで初めてトラベラーストーリーを遊べるようになるので、ぜひそのキャラを仲間にすることを目標に闘技大会に挑戦してみてください。

鈴木:作曲家の西木さんに、闘技大会専用の格好良いBGMも用意していただきました。かなり力をいれていますね。

木寺:随所に特殊な演出や仕掛けも用意しているので、ぜひお楽しみに。

 ……と、こんな風にメンバー内で話し合って盛り上がって浮かんだ仕様が、本作ではかなり実現できています。

鈴木:横山には、優しく許していただいています(笑)。

横山:気がついたら、仕様が盛られています(笑)。

鈴木:現場も、面白いものであれば「頑張ります」と言ってくれる良いチームになっていると思います。ただし、もちろん面白いと思ってもらえないものや、面白さに対してコストが高すぎるものにはしっかり難色を示されるので(苦笑)。

 良いものを本気で作ることができる、信頼できるスタッフが揃っていて助かっています。

――開発チームのモチベーションが高いんですね。

横山:弊社の齊藤陽介が、「ゲームは人を楽しませるものだから、自分たちも楽しまなくちゃね」とよく言っています。自分も楽しく仕事をしようと思っていますし、チームとしてのモチベーションは意識していますね。

鈴木:現場では意見を絞ることはせず、いいアイデアはどんどん採用しています。皆で意見を出し、よいものにしていくサイクルを保つことで、今後もしっかりとしたコンテンツをお届けしたいです。

――開発者が楽しんでいるのは、ユーザーにも伝わる部分だと思います。

横山:結果として、いいものになりますよね。

鈴木:いい意味でのインディー感は大事にしていて、各自のこだわりがゲームに現れるようにしています。

木寺:ドット絵も、アーギュストの挙動とか細かいこだわりがすごいですよね。

横山:ヘルミニアのあるシーンでは、「ドット絵でそこまでやるのか」とか、「ドット絵でのあんな演出は初めて見た」という感想を見ましたね。

鈴木:SNSでも、「そこまで作らなくてもいいのに」という意見を見て、僕もそう思いました(笑)。もはやこだわりなのか、趣味なのか……。

 指示を出していないモーションをたくさん作ってくれて、いつの間にか実装されていたりします(笑)。現場にイノベーションが起こっているということなので、いいことですけどね。

今後もSwitch版に登場したキャラたちが続々参戦

――ロードマップには書かれていませんが、新たなトラベラーも続々と参戦しています。先日もSwitch版の主人公ハンイット、サブキャラクターのヒースコート、テレーズが追加され、Switch版との橋渡しと言いますか、また遊びたいと言う気持ちが強くなりました。今後もSwitch版のキャラは登場するのでしょうか?

木寺:そうですね。本編に登場してきたキャラの誰を出そうかというのはチーム内で相談しながら制作しているので、期待してください。

――ヒースコートの登場で、主人公だけじゃないんだという嬉しい驚きがありました。

横山:Switch版の主人公ではなかったので、どういう反応があるか我々も予想できずドキドキしながら見守っていたのですが、とてもいい反響をいただきました。

鈴木:あんなに愛されているとは。Switch版を知らない人から見るとおじいさんなので不安だったのですが、イケオジと受け入れられていましたね。

木寺:舞台が数年前ということでSwitch版に繋がる前日譚が描け、キャラの深掘りができるのはいい仕組みになったと思いました。

 ヒースコートのトラベラーストーリーでは、テリオン編で竜石がなぜ1個だけあったのかの謎が解けます。

横山:Switch版のキャラクターが出ることで、Switch版を遊ばれたお客様と、本作から遊んでいる新しいお客様の会話が生まれているのが嬉しいですね。

これから始める初心者でも楽しめる仕組みも

――これから注力したいことや抱負を教えてください。

横山:現在プレイしていただいているお客様は、Switch版からのファンの方なども含め、とても熱量の高い方が多いと感じていますが、今後は、本作で初めて『オクトパストラベラー』に触れる方や、時間がない中、少しずつプレイされる方も多くなると思うので、そのようなお客様にも、どうコンテンツを届けていくかが課題です。

――ストーリーが追加されていくぶん、最新コンテンツまで追いつきにくくなりますからね。

横山:そうですね。ただ、1つ方針が決まっていて、あとから始めた方でも楽しめるように、期間限定イベントはなるべく入れないようにしています。ご自分のペースで、楽しんでいただきたいですね。

鈴木:シングルプレイRPGというベースは崩さす、あとから来ていただいたお客様にもアップデートを楽しんでもらいたいという意味で生まれたのが“名もなき町”です。

 追加されたコンテンツで一緒に盛り上がって、幅広いユーザー間で一緒に会話ができるようになればなと。

 また“名もなき町”はメインストーリーと違って、あえて長期的なシナリオを確定させていません。お客様の声を聞きながら、より面白いコンテンツになるよう、連載的に作れるようにしています。

――個人的には1人用RPGとして大変満足しているのですが、今後マルチ要素を入れる予定はあるのでしょうか?

横山:運営型のコンテンツなので、アンケートなどでユーザーの皆さんの声を取り入れられる体制にしています。

 現状マルチは考えていませんが、要望が多かったら検討しますというスタンスですね。

――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。

木寺:たくさんの方に遊んでいただいて、お褒めの言葉や面白いと言う声も頂戴して、ちゃんと作ってよかったと思っています。

 これからもしっかりとしたRPGとしての体験を届け、『オクトパストラベラー 大陸の覇者』を楽しんでいただけるようにしたいです。

鈴木:自分は特にメインストーリーに注力してきましたが、極まった悪を描きすぎたので、皆さんに受け入れてもらえるかは心配でした。

 しかし「胸糞悪いけど好き!」と言うような複雑な愛情表現をいただくことが多く、まずは良い“題材”を提供できて良かったなと安心しています。

 シナリオ担当の普津澤と二人三脚でシナリオを作ってきて、監修やイベント制作などもこだわりの強い良いメンバーに恵まれたので、結果を評価していただけて本当に嬉しいです。

 今後のメインストーリー、期待を裏切らない完成度で作っていくつもりですので、是非楽しみにしていてください。

横山:多くの皆さんに『オクトパストラベラー』を届けたいというところからプロジェクトがスタートしたので、たくさんの方に遊んでいただいて、まずは「ありがとうございます」とお礼が言いたいです。

 今後も継続していくコンテンツですので、気に入っていただけたら周りの方に勧めて、一緒に作品を広げていっていただけたら嬉しいです。

大型アップデートは12月中旬に実施予定!

 やりこんでいるプレイヤーも新規の方も楽しめるコンテンツ満載の大型アップデートが、12月中旬に行われます。

 ますます広がっていく本作の世界を、この機会にぜひ冒険してみてください。

(C) 2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
(C) 2018, 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります


OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

OCTOPATH TRAVELER 大陸の覇者

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2020年10月28日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

関連する記事一覧はこちら