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新体験版も配信中! 『ブレイブリーデフォルトII』プロデューサーインタビュー

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 スクウェア・エニックスより2月26日発売予定のNintendo Switch用ソフト『ブレイブリーデフォルトII』。先日、新しい体験版“Final Demo”が配信開始! 2月の発売に向けて、いよいよその全貌が見えてきました。

 本記事では、まもなく発売される本編がどのようなものになるのか、プロデューサーを務める高橋真志氏にうかがってみました。

約6年ぶりとなる新作開発への意気込み

――ソフトの発売があと2カ月ほどとなりましたが、開発状況はいかがでしょうか。

高橋真志氏(以下、敬称略):無事、発売日を迎えられそうです!

――当初2020年予定だった発売日が2021年2月26日に変更となりましたが、発売延期は新型コロナウイルスによる影響だったのでしょうか?

高橋:はい、その影響は大いにありました。とくに緊急事態宣言が出されたころは、会社への出社も制限されてしまい完全にテレワーク体制に移行することになって。開発用機材を自宅で使うための環境を急遽整えたり、意思疎通をオンライン化にしたりと、慣れない環境でずっと開発現場もバタバタしていました。楽曲収録や、海外でのボイス収録などの作業もなかなか進まなかった状況でしたね。

 加えて、3月に配信した先行体験版で実施したアンケートの回答が集まり、その内容を真摯に受け止め、直さなければならないところは時間をかけてでも直そうという方向に舵を切ったタイミングでもありました。これらの要因が重なって、最終的には年内発売ではなく、2021年2月まで延期させてもらうことになりました。

――前作『ブレイブリーセカンド』から約6年を経ての新作となりますが、本作を開発することになった経緯をあらためてお聞かせください。

高橋:1つは『ブレイブリーセカンド』が発売されたあとも、他部署で制作してもらったブラウザゲームの『プレイングブレージュ』や、スマホの『ディーズレポート』『フェアリーズエフェクト』といったタイトルが継続して成功を収めてくれたことです。しっかりファンを作ってくれたことで、家庭用ゲーム機での新作に会社からゴーサインをもらえたと思っています。

 もう1つは、新作で『オクトパストラベラー』をリリースし全世界200万本を超えるヒットになり、JPRGのファンが全世界にこれだけたくさんいるんだということを再確認できたのも大きかったです。毎年年末には、開発チーム宛てに往復ハガキを送ってもらうとコメントを付けたオリジナルの年賀状にしてお戻しするという企画を続けさせてもらっているのですが、そこで「新作待ってます!」という熱いコメントを毎年いただいていたので、我々としてもそれに応えたいとずっと思っていました。

――作品名を『ブレイブリーサード』ではなく『ブレイブリーデフォルトII』にしたのは、どのような理由があったのでしょうか。

高橋:まず、前作の『ブレイブリーセカンド』が発売されてから5年以上もたっていて、ハードも3DSからSwitchに変わっているので、“前作を遊んでいないと楽しめないもの”にはしないように、という判断が最初にありました。

 誤解されている部分もあると思うので、これを機会に改めてお伝えできるとうれしいのですが、今回の『ブレイブリーデフォルトII』は前作までの世界観やストーリー、キャラクターに関する知識というのは必要なく、完全に一新された新しい世界が舞台になっています。そのあたりを理解してもらうために、どんな名前がふさわしいだろうと試行錯誤しながら考えました。

 『ブレイブリーデフォルト プレイングブレージュ』や『ブレイブリーデフォルト フェアリーズエフェクト』といったシリーズ作品もあるので、『ブレイブリーデフォルト“何とか”』という名前だと、「これは何作目?」とか「同じ世界のお話し?」といった誤解を与えそうな懸念があったので、新作であることをちゃんと理解してもらえるようにシンプルに『ブレイブリーデフォルトII』という、初めてナンバリングをつけたタイトルになりました。

――ちなみに、サブタイトルを付けるという案はなかったのでしょうか? 『フライングフェアリー』や『エンドレイヤー』のような、サブタイトルに隠された謎があるというのも、シリーズの特徴だったと思います。

高橋:これ以上長いタイトルになってしまうのはどうなのか、という懸念もありましたね。それと、前作までは日本版が出た1年後くらいに遅れて海外版がリリースされていたのですけど、今回は全世界同時発売ということで、どうしてもどこかの地域で先行入手されてしまう状況が起きてしまいます。ネタバレがすべてのゲームになってしまわないように、という配慮も今回はありました。

――今作ではハードがSwitchになりましたが、やはり作るならSwitchだという流れだったのでしょうか?

高橋:そうですね。『オクトパストラベラー』でSwitchの開発のノウハウもたまっていましたし、どのハードに“ブレイブリー”シリーズのお客さんがいるかと考えたときに、Switchがベストだという判断はありました。

――ハードのスペック的には3DSから飛躍的に上がったと思いますが、開発的にやりやすくなった点などはありましたか?

高橋:できることが増えたので、キャラクター、グラフィック、音楽など、3DSと並べて見比べると大幅に進化しているのが随所に感じられると思います。そうした中でも、前作とまったくの別物に見えてしまわないよう、正統進化という形で受け入れてもらえるように心がけました。

 例えば町では、前作までは3Dの立体視でまるで“絵画の上を歩いている”という雰囲気を目指したものでしたが、今作でもその雰囲気は失わないようにしつつ、絵ではなく“ペーパークラフトの中にいる”ような町を作ろうということになり、それを一番初めの試作のときに作ってみて、「これでいこう」と判断しました。

 その他にも、フィールドに関しては鉄道模型を目指してみようなどと、リアリティに寄せるのではなくて“ブレイブリー”シリーズの温かみのある世界観のなかで、他タイトルと差別化できるグラフィック表現は何があるだろうというのをいろいろ試した結果になっています。

 スクリーンショットを見るだけではなく、実際にSwitchの画面で見て操作してみるとより実感できると思います。新しい体験版(Final Demo)も最近配信開始しましたので、まだプレイしていないという方は、ぜひSwitchの画面で確認していただければと思います。

――実際にプレイしてみると、ミニチュア感があってかわらしくもあり楽しくもあり、このグラフィックだから“ブレイブリー”シリーズだなという信頼感は感じさせられましたね。

高橋:そう言ってもらえるととてもうれしいです。

――Switchになって逆に難しくなった部分はあるのでしょうか?

高橋:3DSだと2画面を使えたというのが結構影響が大きくて、UI自体はイチから作り直さないといけませんでした。たくさんの要素を1画面に収め直しつつ、ただしパッと見た印象で複雑で難しいゲームに見られないように、という調整は時間がかかりました。

――音楽は再びRevoさんが担当されてますが、どのような経緯で決まったのでしょうか。

高橋:以前からRevoさんには何度もアタックをさせていただいていました。ただお忙しい方なので、難しいと言われ続けてきたのですが、このタイミングならできるかもしれない! という話をいただいたのが今から2年前くらいでしょうか。

 僕らとしても今回『ブレイブリーデフォルトII』というタイトルにしようということは決めていたので、やはり1作目を担当したRevoさんにお願いしたいと考えていました。

――ちなみにRevoさんにオファーする際、世界観やキャラクター、シナリオなどといったゲーム内の情報は、どのくらいお話ししていたのですか?

高橋:Revoさんはすごくきちんとゲームを遊んでくださる方で、ゲームにも詳しいので、ゲームの説明をするのに困ったことは一度もないんですよね。ですので、その段階でそろっているアート、シナリオ、ゲーム画面のスクリーンショットなどを全部お渡ししました。(大量に!)

 『ブレイブリーデフォルト』の時もそうだったのですが、シナリオ概要だけではなく、シナリオのテキスト自体を全部詳細まですべて読んでくださっているんですよ。シナリオの端々に登場したちょっとしたアイテムや、ロケーションのちょっとした置物などがくみ取られていたりして。なので、そこから先どういう曲にするかというのは、完全にRevoさんにおまかせする形でした。

 前作でもたくさん作曲していただいたんですけど、今作ではその比ではないくらい、たくさん作曲していただいたので、ぜひ楽しみにしてもらえればと思います。

世界観やキャラを一新! 思い切った決断のワケは?

――世界観やキャラクターが一新されていますが、これまでのシリーズとは世界観やストーリー的な部分でのつながりはまったくないのでしょうか?

高橋:そうですね、前作からお話し的なつながりはないです。今回初めて“ブレイブリーデフォルト”シリーズを知ったという人や、プレイしてみようと思った人でも気兼ねなく遊べるように、世界観やキャラクターを一新しました。

――メインキャラクター4人は、前作に比べると年齢が高めな印象ですが、これは意識して高めにしたのでしょうか?

高橋:そうですね。コマンドバトルのRPGを楽しみにしていてくださる、制作チームの我々とまさに同世代の皆さんが遊ぶものとして考えた時に、少年少女の冒険物語というよりは、もうちょっと落ち着いた大人な話になるようにという思いもあり、主人公たちを全員成人にしました。

――アスタリスク所持者は、個性豊かなキャラクターがたくさん登場すると思うのですが、今作もキャラクターごとにイラストレーターが違うのでしょうか?

高橋:今作はすべて生島直樹さんのデザインです。もともと開発チームの一員として『ブレイブリーセカンド』も一緒に作ってきた仲間でもあるのですが、「ブレイブリーを作りたい!」という想いで浅野チームに来てくださった方で。その後『オクトパストラベラー』のメインキャラクターデザインで大活躍していただきましたが、本作ですべてのアスタリスク所持者のデザインをすることになり、とくに気合が入っていて、素敵なキャラクターたちを仕上げてくれたと思います。

シリーズの魅力であるバトルシステムも調整には毎回苦労が!

――ブレイブ&デフォルト、ジョブシステムなどは前作から引き継がれていますが、バトルシステムで過去作から変えた部分はありますか?

高橋:行動順のゲージを可視化したり、ランダムエンカウントからシンボルエンカウントになったりといった変更はありますが、基本的に“ブレイブ&デフォルト”“ジョブ&アビリティ”がコアになっているという部分は変わっていません。

――“ブレイブリー”シリーズは、ジョブとアビリティの膨大な組み合わせに加え、1ターンで連続行動できることもあって、バトル調整がとくに難しい作品だと思います。調整に関して意識したことはありますか?

高橋:バトルのゲームバランスに関しては、毎回とても苦労していますし、一番時間をかけているところです。社内のいろいろな人にプレイしてもらって、戦術が“人によって違いが出る”かどうかをとくに意識していました。せっかくたくさんジョブとアビリティがあるゲームなので、このジョブは使えない子…、となってしまうのはとても悲しいので、できるだけいろいろな戦術の幅を持たせられるように心がけています。

――今作でも新しいジョブが登場しますが、前作までのジョブをどこまで引き継いで、新しいジョブをどのくらい追加しようといった部分も、悩んだところではなかったのでしょうか?

高橋:『ブレイブリーセカンド』では、『ブレイブリーデフォルト』で登場したオーソドックスなジョブに加える形だったので、比較的ピーキーな新しいジョブが多く登場していたと思います。しかし、『ブレイブリーデフォルトII』では、また原点に戻って王道のジョブをしっかりおさえようと考えました。白魔道士、黒魔道士、モンク、シーフといった、誰もが能力をイメージしやすいジョブを基本にしつつ、本作ならではのジョブを序盤から終盤までまんべんなく入っていくようなバランスにしています。

――前作ではエンカウント率を自分で変更できましたが、シンボルエンカウントになった本作はエンカウント率を変更できるのでしょうか?

高橋:敵が避けていくようになるアイテム(魔除けの光)や、逆に敵を呼び寄せることができるアイテム(魔物の餌)があります。本作では、複数の敵が近くにいる状態でエンカウントすると“連戦”というものが発生し、勝利するといつもよりジョブポイントを多く獲得できるボーナスが付きます。なのでとくにジョブレベルを上げたいという時は、魔物の餌を使って敵を呼び寄せると連戦しやすくなって、かなりジョブレベルを上げやすくなります。ぜひ挑戦してみてください。

――バトル難易度は“カジュアル”“ノーマル”“ハード”の3種類がありますが、難易度で変わる要素はありますか?

高橋:変わるのは敵の強さ(速さ)だけで、シナリオなどそれ以外の要素には影響はしませんので、ご安心ください。自分に合った難易度を選んでいただければと思います。いつでも好きな時に変えられるので、ボスがちょっと手強いなと感じたときに難易度を下げるといったこともできます。

2つの体験版を配信! ユーザーに寄り添う姿勢がより良い作品を生み出す原動力に

――3月に配信された先行体験版について改めてお聞きしたいのですが、手ごたえはいかがでしたか。

高橋:制作現場も追い込みの大変な時期だったので、作ろうか、辞めようか、と悩んだところではありましたが、出してよかったと思っています。アンケートは全世界から1カ月で2万人以上の方々が回答してくださり、本作に対する期待を生の声で知るきっかけにもなりましたし、それは開発の励みにもなったと思います。これはこのままでいける、これは改善しないと出せない、などと開発の現場でも迷いが少なくなったので、とてもよいフィードバックができたと思います。

――アンケートのフィードバックを動画で公開したというのも驚きでした。このような形で伝えることにした理由を教えてください。

高橋:3月以降、発売までだいぶん時間が空いてしまって、みなさんもどうなっているのだろうと気になっていたかと思うので、製品版でどのように対応しているのかをメッセージとして発信できればと思った次第です。それを動画にしようか、ウェブサイトでまとめようかと考えはしましたが、やはり“声”で伝えたほうが伝わることもあるという判断で、あのような形で動画にさせてもらいました。

――比較動画のような形で出していただけたので、とてもわかりやすかったです。そして先日、新たな体験版(ブレイブリーデフォルトII Final Demo)が配信となりました。いきなりで驚きましたが、この時期に配信することになった意図などありましたら教えてください。

高橋:年末年始のタイミングで新しくSwitchを手に入れて遊んでいる方も多いと思うので、年末年始の休みの間に『ブレイブリーデフォルトII』の体験版を遊んでいただけるとうれしいなと。普通なら発売直前くらいに配信すると思うのですが、今回はちょっと前倒しで配信することにしました。

 今回の新しい体験版(Final Demo)は序章の次の章、“1章”の始まりから中盤までの物語を楽しむことができます。「なんで途中から?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、短い時間で体験してもらうものとして、しっかり4キャラクターがそろった状態、かつジョブチェンジも複数できる状態、で遊んでもらったほうが、このゲームの面白さを感じてもらえるだろうという思いから、この形にしています。

――新体験版のストーリーの流れやジョブを手に入れる順番、覚えるアビリティなどは製品版と同じなのでしょうか?

高橋:そうですね。キャラクターレベルは20、ジョブレベルは10までという制限はありますが、基本的に製品版と同じです。メインストーリーも1章の始まりから中盤までの流れとして同じですが、サブクエストの一部やパーティチャットなどは製品版でのお楽しみに、というものもあります。

――新体験版クリア後のおまけ要素として、カードゲーム“B&D”を遊べるようになりますが、これは製品版でも楽しめるのでしょうか。

高橋:もちろん楽しめます。製品版にはたくさんのカードが登場するので、ぜひカードコレクターにもなってもらえたらうれしいです。

――最後に、発売を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。

高橋:“ブレイブリー”シリーズをずっと心待ちにしてくださっているファンの皆さん、本当にありがとうございます。『ブレイブリーデフォルトII』を開発、リリースできるのはファンのみなさんの熱い声のおかげだと思っています。もう2カ月ほどだけお待たせしますが、数年分の思いを込めて楽しんでいただけたらうれしいです。

 そして、シリーズを初めて知ったという皆さん、「IIから遊んでいいのかな?」「まずはIから遊ばないとだよね?」という心配はまったくありませんので、まずは体験版(Final Demo)を遊んでみて、ぜひ製品版もお手にとっていただけたらうれしいです。

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※画面はすべて開発中のものです。

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ブレイブリーデフォルトII

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: RPG
  • 発売日: 2021年2月26日
  • 希望小売価格: 7,480円(税込)

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