『P5R』×東急電鉄の街歩き型謎解きラリー開催! 謎解きクリエイター集団に謎解きゲーム事情を直撃!!
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2020年12月26日(土)から2021年3月16日(火)まで開催される、アトラスの『ペルソナ5 ザ・ロイヤル(P5R)』と、東急電鉄とのコラボ謎解きイベント“東急線謎解きラリー×ペルソナ5 ザ・ロイヤル「ミステリアス鉄道QQQ(スリーキュー)」”。本イベントを手掛けるのは“お祭りが日常に。”をコンセプトに、リアル謎解きゲームのイベント・体験型イベントなどの企画・制作・プロデュースを行うNAZO×NAZO(ナゾナゾ)劇団(株式会社ハレガケ)です。
本イベントの開催を楽しみにしている人の多くは、もちろん“『P5R』のファン”でしょう。ですが、これまでNAZO×NAZO劇団が手掛けてきたリアル謎解きゲームと同様に、本イベントは“謎解きゲームファン”にもしっかり刺さる内容となっており、新作の“リアル謎解きゲーム”に参加できる日を楽しみに待っている謎解きゲームファンも多いはずです。
そこで電撃オンラインでは、新しいイベントスタイルのひとつとして定着した“リアル謎解きゲーム”について、NAZO×NAZO劇団で制作を担当しているディレクターの曽根智宏氏、広報担当の今西美樹氏にインタビューを行い、今や大きな市場に成長した“謎解き”というエンタテインメントの魅力や最新事情についてうかがってきました。
読者の中には、“リアル謎解きゲーム”という遊びを未体験の人も多いとは思いますが、“ゲームを攻略する行為”と“謎を解く行為”には、同種の快感を味わえるのもポイント。TVゲーム好きならリアル謎解きゲームの世界にもすぐに飛び込めるはずなので、ぜひ12月26日(土)から始まる「ミステリアス鉄道QQQ」にも参加してみてください。
なお、ファミ通.comでは本イベントについて、また別の視点の記事を掲載中。『P5R』ファンで“謎解きゲーム”未経験者が感じた本イベントがテーマとなっているので、また違った視点の記事を楽しめますのでそちらもぜひご覧ください。
NAZO×NAZO劇団(ハレガケ)とは?
NAZO×NAZO劇団(ハレガケ)はもともと謎解き×演劇というコンセプトで、RPGをリアルにしたようなキャストが登場人物として、参加者とコミュニケーションをするイベントを行っていた集団です。やがて、今回のようなコラボイベントや企業イベントなどを手掛けていくような会社へと成長。
●制作ディレクター 曽根智宏氏
謎解き黎明期から数多くの謎を作成し、現在までに多くの謎解きをプロデュース。
●広報担当 今西美樹氏
株式会社ハレガケの広報としてさまざまなリアル謎解きゲームイベント情報を発信。
“謎解きゲーム”で自分が活躍できる“主人公体験”を届けたい
――そもそも“謎解きゲーム”のおもしろさってどこにあると思いますか?
今西美樹氏(以下、敬称略):弊社の代表である黒田(洋介氏)は、実際にいろいろな謎解きをプレイするなかで、「自分で考えて楽しみながら動ける」という謎解きゲームのおもしろさに気付き、会社の事業自体も自分が活躍できる“主人公体験”を重視する方向性に決まっていきました。それがやがて社会のニーズにもうまくハマり、リアル“謎解きゲーム”が世間的にもプロモーションイベントとして発展してきているのが今の状況です。
――“謎解きゲーム”自体は、2013年頃から世間に浸透し始めたという印象がありますが、当時の謎解きゲームを取り巻く風景はどんな状況だったのでしょうか?
曽根智宏氏(以下、敬称略):世間に浸透し始めた当時は、サブカルチャーが好きな人たちだけが集まって遊ぶ遊びでした。どんな謎解きゲームに行っても、お客さんが「あ、この前もお会いしましたね」となる感じで、いつも同じ顔ぶれ(笑)。なので「一過性のブームなんじゃない?」とよく言われていたのですが、そんなことはなくそのまま毎年市場規模が大きくなって今に至っている状況だと思います。
――なるほど。その頃NAZO×NAZO劇団さんはどんなイベントを仕掛けていたのでしょうか?
曽根:初期の頃は、公演型のホールを使った自社企画が中心ですね。そこでキャストを使ってイベントを進めるタイプです。
そのあと2014年くらいからは、観光地を巡るような周遊型のイベントが始まりました。パンフレットを手に入れて、現地を訪れるようなタイプですね。そこで、販売促進ツールとしても使えるのではないかということで、商業施設と一緒に企画を進めたり、IP系とコラボしたりするイベントも増えてきました。
今西:創業時は公演型が多かったのですが、徐々に周遊型が増えまして、今はほぼ周遊型のイベントが中心ですね。周遊型のイベントがプロモーションの1つの事例として、だいぶ浸透してきたという印象があります。
2020年になるとコロナ禍という状況もありましたので、リアルイベントを開催することが難しく、オンラインイベントが新しいタイプのイベントとして定着しつつあるのかなと思います。
曽根:オンラインのよさは、人が集まりにくい状況下でもイベントを開催できるようになったことでしょうか。あと、海外の方とも気軽に一緒に遊べるようになったことを、僕はすごくおもしろいと感じています。
世界中のESCAPE ROOM(エスケープルーム)がオンライン公演をやり始めて、僕はコロナ禍の間にいろいろな国のエスケープルームを体験することができました。この流れは今後も続くのではないでしょうか。
――海外では“謎解きゲーム”をエスケープルームと呼ぶのですか?
曽根:基本的にエスケープルームと呼んでいます。世界の主流は、5人くらいで部屋に集まって、暗号を解いて部屋から脱出するゲームです。日本では“エスケープ”でも“ルーム”でもないイベントも多いので、“謎解きゲーム”と呼ぶことが多いですよね。
――オンライン型のイベントを体験されている方はまだまだ多くないと思いますが、遊び方自体は基本的にリアルの公演型と変わらないのでしょうか? オンラインならではの画面の見せ方のような、特別なツールを使うのかなどが気になります。
今西:弊社でもキャストを使ったオンライン公演をコロナ禍で開催しており、主にDiscord(ディスコード。ゲーマー向けのボイスチャット用ツールとして使われることが多い)やZoomを使っていますね。あとはオンラインのコンテンツとして、“Web謎”というWeb上で遊べる謎解きも展開しています。
それ以外にもチャット形式で手軽に遊べるLINE謎解きゲームも制作しています。ひとくくりにオンラインといっても、弊社が開催しているようなオンラインでのキャスト公演もありますし、Web上でカンタンに遊べる仕掛けのものもありますね。
曽根:オンラインのプラスの要素のもうひとつは、「ここは村です。酒場に行くとマスターと話せます」「道具屋に行くと道具屋の主と話せます」という状況をリアルより作りやすくなったことです。公演型のイベントでは個別に部屋を作る必要があり、会場の空間スペース的にも世界観を演出することが大変でした。
それがオンラインでは、宿屋や道具屋のルームをDiscord上で作成すれば、スペースを気にせずに仮想の空間で“村がここにある”という状況をカンタンに構築できます。
――たしかにそれは大きなメリットですね。ルームでの対応はリアルと同じくキャストさんが対応するのでしょうか?
曽根:弊社でも“キャストと絡むのが楽しい”という公演が、コアユーザーさんからも支持されているので、それをオンラインでもできるようにと考えて作ったシステムですね。
――イベント規模にもよりますが、一度にだいたい何人くらいの方が参加できる想定でしょうか?
今西:最大で5人組のチームが6つくらいですね。30~40人だと思います。
コロナ禍で大きく舵を切ることになった“謎解きゲーム”業界
――先ほどコロナ禍というお話がありましたが、2020年はその影響でイベントの開催が難しかった1年だと思います。やはりNAZO×NAZO劇団さんでも中止の案件が多かったのでしょうか?
曽根:そうですね。このイベントも、当初はもっと早く実施できる予定でした。
今西:3月頃から進めていたイベントが中止や延期されることが多くなり、4月上旬にはリアルイベント案件の多くが動きづらくなりました。それで弊社としては4月に入ってから、オンライン型や物販などの新しい事業を模索し始めて、6月末くらいから実際に動きだしていった流れです。
――最近は少しずつイベントも再開されている印象を受けますが、4月までに止まっていたプロジェクトはふたたび動き始めたのでしょうか?
今西:そうですね。当初は“イベントはなんでも厳しい”みたいな風潮でしたが、謎解きゲーム業界だけでいえば、人が密に集まらない周遊型や、以前からWeb上での謎解きゲームもありましたので、そちらに振っている企画が徐々に動き出しています。
とくに周遊型は外での開催が可能であったり、室内で開催しても一カ所に固まらないという開催の仕方なので、三密になりにくいイベントになっているかと思います。このタイプのイベントは7月くらいから少しずつお問い合わせもいただけていて、今は案件が多数動いているという状況です。
――三密という部分では、実際の謎解きにもそれを避けるように意識した謎作りがなされているのでしょうか?
曽根:キャストと絡むようなものは基本的には少ないですね。自社公演ではキャストと絡むことは多少あります。以前は“ハイタッチをしよう”みたいな内容がありましたが、今は当然のことながら一切ありません。その代わりになるものが何かできないかなと、アイデアをいろいろ練っている状況です。
あとは細かい部分でいえば、テーマパークなどの掲示パネルを見る場合は、その場にとどまらないように写真を撮影して謎解きすることを推奨するようにしています。あとは配布する冊子にも“集まらないでください”というような注意事項を入れる形で対応しています。
【東急電鉄】新型コロナウイルス感染症予防に関する当社の取り組みについて
リピーターを呼びたくても呼べないジレンマがある“謎解きゲーム”
――ゲーム業界でも特定のメーカーやゲームシリーズには熱心なユーザーがついていることが多いですが、謎解きゲーム業界も同じように熱心なユーザーさんはいらっしゃいますか?
曽根:SNSなどでレビューを書かれている方はいらっしゃいます。
今西:イベント開催後のアンケートでは、謎解きファンの方からはとくにたくさんのご感想をいただけます。
――ちなみに、周遊型イベントの場合アンケートを取るのが難しそうですが、どうやって集めるのでしょうか?
今西:公演型の場合は終演後にアンケート用紙をお渡しして書いていただくのですが、周遊型の場合は謎解きキットに二次元コードを記載して、Web上で回答できるアンケートを用意させていただいています。
――公演型のイベントの場合、イベントの雰囲気自体を気に入って何度も来られる常連もいらっしゃるのでは?
曽根:基本的にはリピーターは禁止となっています。
――あ、そうなんですね。
曽根:基本的にみなさん、“リピーターはダメだよ”という謎解きゲーム界のモラルみたいなものが浸透していますね。
今西:“謎解きゲーム”が好きな方は、大前提として「新たな謎を解きたい!」という目的で来られています。一度クリアした“謎解きゲーム”は答えがわかっているので、同じ公演を何度もリピートするということは少ないように思います。ネタバレをしたくないという風潮が強いのもその影響が大きいのではないでしょうか。
――IP系コラボイベントの場合は、作品が好きな友だちを誘って「おもしろかったから行こうよ」とリピートするというケースもあると思います。そういった部分はどうお考えですか?
曽根:原作ファンの方が何回も来られるような公演型のイベントでは、初めて遊ぶ方と混ざらないように専用席を用意するなど対応したこともあります。ただ、わりと明確に“リピート禁止ですよ”と打ち出していることが多いですね。
――今のコンテンツは、とにかくリピーターとして何度も足を運んでもらって、ファンを囲い込むようなビジネスが主流な印象ですが、1回限りというのはいろいろな面で大変ですよね。
今西:周遊型のIP系コラボイベントの場合は、ファンの方が何回も来ていただけるような物を作りたいという要望をいただくことが増えてきています。例えば、謎解き以外にサブコンテンツのような位置で楽しめるボイスなどを複数収録して、毎度別のボイスを聴くことができるというような内容ですね。
曽根:ゲームをクリアするともらえるステッカーがランダムだと、何度も足を運んでしまうというようなものもあります。
――ちなみに“謎解きゲーム”のコアファンの方は、本当に謎解きが好きで参加されている方が多いと思います。そんな猛者たちが集まるなかで、クリア者がゼロだったイベントはありましたか?
曽根:弊社ではありませんね。ただ、僕がユーザーとして参加した“謎解きゲーム”で、クリア者がゼロというのはありましたよ。
――その流れでお聞きしたいのが、IP系コラボイベントに参加される方は“謎解きゲーム”に触れている方ばかりではなく、いわゆる“解き方のセオリー”も知らない方が多いと思います。一方で“謎解きゲーム”であるがゆえに、その層にもしっかり楽しんでもらえる内容が求められると思いますが、そのバランスはどう調整されているのでしょうか?
曽根:周遊型のイベントは、基本的には諦めなければ全員がクリアできる内容になっています。制限時間もありませんし、失敗する理由は諦めるしかありませんので。公演型の場合は1時間のように時間で区切るため、どうしてもクリアできない方が出てきます。
コア向けにクリア率が5%の内容にすることもあれば、ライトユーザーに向けてフレンドリーに作ることもあります。コアユーザー向けの場合は、参加される方の謎に対しての熟練度も高いので、結局全体のクリア率は高めになりますが(笑)。
――ゲームの世界でも、作り手の想像を超える超絶プレイをされる方がいますもんね。
曽根:そうですね。あとは例えば制限時間が60分なところを40分でクリアしても、残りの時間も遊べるような要素を用意するなどしています。
――ここまで“謎解きゲーム”の制作をいろいろうかがいましたが、謎解きの作り手はどういったことを吸収して、謎作りに活かしているのかが気になります。
曽根:アーリーアダプター(流行に敏感で自ら情報収集を行う者の総称)が遊ぶサブカルチャーはいろいろあると思いますが、とにかくいろいろなものを吸収して、掛け合わして何かできないかなというのは日々考えていますね。
最近だと弊社では“マーダーミステリー”というゲーム(推理小説のような世界観の中で、登場人物になりきって遊ぶイベント)をベースにした、オンラインでやる公演型のイベントを開催しました。この“マーダーミステリー”は1年くらい前に中国から輸入されてきた遊びなのですが、1つの部屋で6~10人くらいがテーブルを囲んでそれぞれが演じるキャラクターの台本が渡されるんです。
物語は殺人事件が起こったという内容で、台本には“そのとき僕は何をしていました”というような内容が書かれていて、それを参加者同士でトークしながら事件の真相に迫るという遊びになります。それがアーリーアダプターの間で流行っていて、NAZO×NAZO劇団でもそういったことができないかと話題になり、先日初の“マーダーミステリー”イベントを開催した次第です。
今西:“オンラインマーダーミステリー”に関しては参加者評価も高く、追加制作も進んでいます。“謎解きゲーム”ファンの方のなかでも“マーダーミステリー”に対して興味があるという方も多く、#オンラインマダミスというハッシュタグで感想などが投稿されています。
――ちなみに“マーダーミステリー”は“人狼”のように犯人を捜す内容でしょうか?
曽根:そうですね。ただ、台本がある遊びなので、“謎解きゲーム”と同じ様に1回遊ぶと終わりというタイプになります。最近扱う店舗も増えてきて、流行ってきています。あとは5年くらい前から“スリープ・ノー・モア”という体験型のシアターが、ニューヨークで大ブームになっているんです。
これは館内にたくさんある部屋で役者が芝居をしていて、お客さんは館内を自由に歩き回って好きなシーンを自由に見に行けるという内容です。Zoomで100人くらいを相手にできるゲームを開催していたので参加してみて、僕らもZoomを使ってこんな感じのイベントができないかと話をしています。
このように新しいニッチなエンタテインメントを吸収して、何かを掛け合わせてイベントにできないかと日頃から考えています。
『P5R』らしい仕掛けがある“謎解きゲーム”の脚本はアトラス監修の完全新作!
――ではここからは『P5R』の“謎解きゲーム”についてお聞きしたいと思います。まずNAZO×NAZO劇団さんは過去にこういったIP系イベントはどんなものを手掛けられていたのでしょうか?
曽根:アトラスさんの作品だと『女神転生』や『世界樹の迷宮』がありますね。アニメならば最近は『NARUTO-ナルト- 疾風伝』や『鬼滅の刃』もやりました。
――先ほども少し話が出ましたが、IP系イベントでの“謎解きゲーム”制作での苦労点などあれば教えてください。
曽根:それは監修ですね。
――例えば「その謎はうちのイメージに合わないからやめてください」というような指摘でしょうか?
曽根:謎解きの問題自体についての指摘はほぼありません。ストーリーやそこで出てくるキーワード関連ですね。
――たしかにストーリーはファンが楽しみにしている部分ではあるので、そこはしっかりと作り込む必要がありそうですね。
曽根:個人的にはIP系コラボイベントは、うまく謎を解く理由づけができたときは世界観が膨らんで楽しいなと思っています。例えば『ナルト』の場合は忍者の任務として与えられるので、プレイヤーの動機付けにピッタリなんですよね。
これが完全にオリジナルのストーリーだと、動機づけの部分を1~2行で説明しなくてはいけない場合もあるので、世界観を膨らませることがけっこう難しいんです。
――IP系コラボイベントの場合、ある程度「これは知っているよね」という体で進められるという点もありますか?
曽根:その作品のファンなら、「なんでこんなことを言われてやらなくてはいけないのか?」みたいなことも、すでにわかっているじゃないですか。あとは“謎解きゲーム”のイベントで表に出していない設定も理解しているので、スムーズに世界観に浸っていただけるのかなと。
――その世界観という面では、『P5R』のゲームで“心の怪盗団”がスマホを使って会話をするように、“謎解きゲーム”でもスマホ上で彼らの会話を楽しむことが可能で、ものすごく親和性が高いと感じました。このようなスマホを使う遊びは、今回のイベント前からも行っていたのでしょうか?
曽根:今回はレビューさん(合同会社)が開発した仕組みなので同じとは言えませんが、キャラクターとチャットをしながら進めていくという手法は、3~4年前くらいからやっていますね。
――スマートフォンを使ってというタイプは、やはり主流になりつつあるということでしょうか?
今西:徐々に定着してきているという印象です。最初の頃よりは受け入れやすくなり、おもしろがっていただけているのかなと感じます。やはりARやスマホチャットはユーザーさんの満足度という点では、アンケートでも高い評価をいただける傾向にあると感じています。
――では『P5R』のコラボイベントを制作するうえで、気をつけた点はありますか?
曽根:じつはもともとはプレイヤー=『P5R』の主人公という想定で企画を始めていなかったんですね。とくに今回は東急電鉄さんとのコラボでもあるので、『P5R』で重要なイセカイナビで発見するパレスに行くことができません。そのため主人公でない立場の人物が“心の怪盗団”にコンタクトを取るやり方のほうが、ストーリーを作りやすいのかなと考えていました。
ですが“やはり主人公は(P5Rの)主人公でなくてはならないだろう”と思い、その設定にどうストーリーを載せてイベントを作り上げるか悩みましたね。とはいえ、私たちも冒頭で話したように“主人公体験”ということを大事にしていました。パレスには入れないから、リアルでどうやればこの物語に自然と入れるだろうかというところからスタートしています。
『P5R』の主人公としてプレイヤーが動く必要があるとなったときに、なるべくプレイヤーが違和感を抱かないようにどうしようかと詰めていきました。「ここが東急のパレスです」と言われてもピンときませんし(笑)。だから現実世界で捜査することを主軸にしていて、パレスに入るのは……ってここから先はイベントを楽しんで欲しいですね。
――たしかに、ネタバレは避けたいところですね。
曽根:今回のシナリオは、アトラスさんに完全監修していただいてますし、この作品だけに登場するオリジナルキャラもいますので、ご期待ください。
――そこは『P5R』ファンは注目したいポイントですね! なお、ネタバレは避ける形でかまいませんので、“謎解きゲーム”自体が初プレイだというような方に向けて、“謎解きゲーム”のセオリー的なアドバイスがあればぜひ伺いたいのですが。
曽根:謎解きをするときは視野を広くというか、そのまま考えていてもわからなくなってしまった時は、考え方を変えてみてください。僕はよく“見る角度を変える”と言うのですが、「何かこれってさっき見たような!?」「違う見方をするのかもしれない」というように、視野を狭くしない、角度を1つに絞らないなど、水平思考での解き方が大事ですね。
――なるほど。あとは『P5R』のイベントでは、スマホでヒントを見ることができるのも、初心者的にはありがたかったです。これはいわゆる任意で選べる“難易度設定”の1つだと感じたのですが、そういった新規層への間口を広げる的なことはどうお考えですか?
曽根:ヒントは『P5R』のように都度出るものではありませんが、大抵のコンテンツで何かしら見られるようにしているんです。とくに周遊型では人によるフォローができませんので。たとえば冊子を購入して観光地をめぐるイベントの場合、注意事項に二次元コードが印刷されていて「謎解きに迷ったらこれを読み込んでヒントを見てください」とフォローしています。
――では最後にいよいよ始まる“東急線謎解きラリー×P5R「ミステリアス鉄道QQQ(スリーキュー)」”を待っている方に向けて、メッセージをお願いします。
曽根:このイベントはアトラスさんに監修をきっちりしていただき、完全新規のオリジナルストーリーになっていますので、『P5R』ファンのみなさんに喜んでいただける内容になりました。キットに使われているビジュアルは新規に描き下ろされたものですので、ファンアイテムとしても必見です。謎解きで立ち寄る東急線沿線も楽しいスポットが多いと思いますので、ぜひみなさんのご参加をお待ちしております。
あ、最後にひとつ宣伝していいですか?
――どうぞ、どうぞ。
曽根:2020年12月に僕が手掛けている新ブランドの“Tokyo Nazotoki Escape”から、新しい商品“World Detective Mystery Episode.Tokyo -The ENIGMA and the Secret Treasure-”(日本語版タイトル:世界旅行探偵シリーズ 東京編 -エリカの手紙と謎の暗号-)が発売されます。
もともと今年の春くらいに、英語で遊べるエスケープルームを東京に作りたいと考えて企画を進めていたのですが、残念ながらこのご時世でできなくなってしまいました。
NAZO×NAZO劇団(NAZO×NAZO劇団)ではなく、国際ブランドとしてロゴなどを制作していたんですね。そこでエスケープルームを作れないので、通販商品を作って海外にも販売しようと考えました。内容は手紙が届くのですが、その手紙に暗号などが入っています。
さらにWebへの誘導もあり、そこにアクセスすると動画が見られるようになっています。その動画が東京の街をめぐっていく映像で、その情報を見ながら手元の暗号を解いて、キーワードを入力すると次の動画へ、というコンテンツです。今後はこういったもので、日本以外の国にも“謎解きゲーム”を売っていきたいと考えています。
――リアルで物が届いて謎を解くというのは、とても楽しそうですね。
曽根:そうですね。あとは東京観光に来ることができない情勢なので、観光地をメインでめぐる映像になっています。こちらは英語版だけでなく、日本語版も作っていますので同じように地方の方でも、これを購入していただければ東京観光もできますのでぜひ!
――ありがとうございました。
イベント概要
名称:東急線謎解きラリー×ペルソナ5 ザ・ロイヤル「ミステリアス鉄道QQQ」
日程:2020年12月26日(土)~2021年3月16日(火)
エリア:東急線沿線(チェックポイント数カ所あり)
参加費:¥3,700(税込)
※東急線全線が1日乗り降り自由の「東急線ワンデーパス」(利用日当日限り有効)を含みます。
特典:特製クリアファイルバッグ(謎解きキットに付属)
発売場所:東急線各駅の窓口にて購入できます
※世田谷線・こどもの国線を除きます。
発売時間:各日初電から終電まで
プレイ時間:クリアまでに3~5時間程度を想定(制限時間なし)
主催:東急電鉄株式会社、株式会社KADOKAWA
特別協力:株式会社アトラス
協力:東急株式会社
企画協力:株式会社ハレガケ/レビュー合同会社/株式会社KADOKAWA Game Linkage
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ペルソナ5 ザ・ロイヤル
- メーカー: アトラス
- 対応機種: PS4
- ジャンル: RPG
- 発売日: 2019年10月31日
- 希望小売価格: 8,800円+税
ペルソナ5 ザ・ロイヤル(限定版)
- メーカー: アトラス
- 対応機種: PS4
- ジャンル: RPG
- 発売日: 2019年10月31日
- 希望小売価格: 13,800円+税