【ゲーム雑談紀行】『天穂のサクナヒメ』についてインタビュー! 日常的なことが起きているだけで楽しい
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- kbj
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電撃の編集やライター、クリエイターなどなど、いろいろな人とゲームについてゆるく話をしていくコーナー“ゲーム雑談紀行”を掲載します。
第16回の話題は、引き続き『天穂のサクナヒメ』について。ソフト開発を手がけた“えーでるわいす”のなるさんと、こいちさんと語っていきます。
『天穂のサクナヒメ』とは?
鬼が支配する“ヒノエ島”を舞台に豊穣神サクナヒメが大暴れ!
さまざまな“武技”による華麗な連続攻撃と伸縮自在の“羽衣”による縦横無尽な爽快アクションが楽しめる。
そして、本作のもう1つの特徴が“米づくり”。田起こし、田植え、収穫など1つ1つの工程を丁寧に行いよい米を収穫するほど、豊穣神サクナは強くなる!
ゲームが大きなブームになったことをきっかけに、農林水産省によるインタビューが実施された。
Facebook:https://www.facebook.com/maffgohan
Twitter:https://twitter.com/maff_gohan
参加者
なるさん
ソフトを企画開発した“えーでるわいす”の代表にして、本作のプログラマーを担当。
『天穂のサクナヒメ』のゲーム中で、拾うとうれしいのは松茸。
こいちさん
ソフトを企画開発した“えーでるわいす”所属。グラフィックアート、CG全般を担当し、脚本も制作した。
『天穂のサクナヒメ』のゲーム中で、拾うとうれしいのは熊肉。
kbj
電撃オンラインの編集で、インタビューの聞き手。
『天穂のサクナヒメ』のゲーム中で、拾うとうれしいのは蛙。
日常的なことが起きているだけで楽しい
――建物の配置はどのようにして決められたのでしょう。
こいち:上から順に、アクセスする頻度が高いものになっています。
――個人的には、屋根から田んぼを眺めるのが好きなのですが、拠点やダンジョンでお気に入りの場所はありますか?
こいち:僕は、序盤に出る“万牙洞”というダンジョンがお気に入りです。構造的にゲームをしている感が強い場所になっています。
棘がいっぱいあるので鬼をぶつけて倒したり、宝を探したりという、基本ルールが詰まっている場所です。サイズ感が手ごろで、広すぎないところも気に入っています。
なる:長く作っていた、田んぼと我が家でしょうか。
我が家はこの期間で一気に作るという手法ではなく、5年半の開発中に少しずつデザインが固まったり、物が増えていったりしたので特に思い入れがありますね。
――村に対しての田んぼの大きさは、どのようにして決めたのでしょう。
なる:一畝(いっせ)という本物の田んぼの単位から決めました。
内製エンジンでの開発でしたから、開発中に少しずつ機能が増えていって、初期のころにはできなかったことが後半ほどできるようになっていったことが理由として大きいです。
また、オリジナルのゲームというのはストーリーや仕様なども時間をかけて固まっていくため、どこか一部分だけを一気に完成クォリティまで作り切ることはそもそも難しく、拠点である我が家は開発の本当に終盤まで手が入り続けていました。
――田右衛門は下手ですが、マネて稲作することはできるんですよね。また、ゲームが進むと助けた河童も他の場所で稲作をしてくれているのはユニークな仕組みですね。
なる:サクナが作業する一畝の田んぼだけでは十分な収穫量を満たすことができないので、周辺にも田んぼができることになりましたが、プレイヤーが他の田んぼの作業までするのは、ゲーム的に無理があると感じたので、仲間たちが管理してくれているということになりました。
――そのような設定は2人で考えられたのですか? それともこいちさんが考えたのですか?
なる:基本的にこいちさんです。ゲーム的に要求される要素にあわせて、シナリオや世界観を作っていくのがこいちさんの担当というイメージです。
――物語や世界観を作るに際して、どのようなことを意識されたのでしょう。
こいち:世界観はゲームの内容ありきで考えました。それを“都合がよすぎる感じ”に思われないよう、説得力を出すために資料を調べたり、登場人物や物事の理由を決めていったりしました。
――調べていく中で印象的だった資料は?
こいち:個人的に頼ったのはポルトガル宣教師の書いた日葡辞書(にっぽじしょ)という資料です。本作の世界観は室町時代をベースにしているのですが、当時の史料は大名などが中心で、戦争や経年劣化もあってか庶民の生活の記録はなかなか残っていません
日葡辞書はポルトガル宣教師が本国向けに書いた室町日本の記録で、庶民の生活にも言及されており貴重な史料として研究されていたようです。そういった解説書や論文を手がかりにしました。
――ゲームシステムと世界観をつなぐうえで、どのようなところを心掛けましたか?
こいち:一番大きいのは、ヒノエ島の時間の流れを変えたことです。ゲーム中で何年も経過するので、人間界と同じ時間の流れにすると、キャラに対して時間の流れが早すぎておかしなことになります。
そういった理由もあり、時間に関してあいまいにするため、神様の世界を舞台にしました。
――作っていく中で、どこらへんで手ごたえを感じましたか?
なる:稲作シミュレーションが入り、ゲーム全体がある程度、形になった段階で、村パートには要素を足せば足すほどおもしろくなる手ごたえがありました。
例えば、犬をなでたり抱っこしたり、季節や時間に応じて虫や鳥の鳴き声が聞こえたり、部屋の隅にクモがいて調べられたり。村のパートは作れば作るほど、おもしろくできるところだと思います。
――個人的には合鴨が田んぼに入っていくのを見るのが好きですね。
なる:そういうゲームのルールとは関係ないような、日常的なことが起きているだけで、なぜか楽しいんですよ。
――合鴨ですが、その年の最後に逃がすか、食べるかという選択肢が出たのに驚いたというか、笑ってしまいました。当時は発売前で情報が出ていなかったので、逃がしてもどうなるかわからない。それであれば目先の利益で食料にするのか……迷いましたね。
こいち:現実では合鴨は育ちすぎると稲も食べてしまうので、食害にもなります。なので、はじめはお肉にすることしかできませんでした。
ただ、ゲームを作っていくうえで「そもそも食害するくらい合鴨が育っているのであれば、小屋から出さないだろう」ということで、お肉にするか、逃がすか選択できるようになりました。
なる:現実的には合鴨は食べるんですよね。食べない選択肢も可能だけど、どちらがいい、どちらが悪いという話ではないので、明確にどちらがいいのかを表現しないようにしました。現実には生態系の問題で放しちゃダメですが。
――確かに(笑)。動物で気になったのが牛です。後半に牛が入ってきて、これでさらに便利になるのかと思ったら……意外とそうでもなかったんですよね。
なる:牛はミスですね(笑)。
――え? ミスなんですか?
なる:本来であれば、牛の性能が一番いいべきなんですが、思ったほど効率がよくなかったのです。牛を設計したのが開発の初期で、その後に農技の要素が入りました。農技を使うサクナの方がすごくて、牛の性能を越えてしまったんです。
また、ゲーム本編の実装に時間がかかってしまったので、牛を実際のゲームの流れで使えるようになったのが、今年の4月、5月くらいでした。そのためあまりバランス調整を行えず、牛が出てくるのが終盤なのに、性能が農技よりよくない形になってしまいました。
アップデートで対応しようかと思ったこともあったのですが、今は、もうあまりいじらないほうがいいのかなと考えています。
⇒1月6日掲載回に続きます!
『天穂のサクナヒメ』発売後インタビューまとめ
(C)2020 Edelweiss. Licensed to and published by XSEED Games / Marvelous USA, Inc. and Marvelous, Inc.
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天穂のサクナヒメ
- メーカー: マーベラス
- 対応機種: PS4
- ジャンル: ARPG
- 発売日: 2020年11月12日
- 希望小売価格: 4,980円+税
天穂のサクナヒメ
- メーカー: マーベラス
- 対応機種: Switch
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