ただのデスゲームではない! 熱い人間ドラマや恋模様が胸を打つ『FATAL TWELVE』をレポート【電撃PS】

電撃PlayStation
公開日時

 インディーズゲームチーム・あいうえおカンパニー(現LYCORIS)が手掛けたPC向けソフト『FATAL TWELVE』が、PS4に移植され、8月8日に発売されます。

 本作は死の運命を迎えたはずの12人のなかから“生き残る1人”を決めるために、12週間をかけて、お互いに脱落させ合う儀式の真相に迫っていくサスペンスビジュアルアドベンチャーです。

 発売に先駆けて、PS4版をプレイしてみてわかった、システムや物語の見どころなどをレポートしていきます!

互いに脱落させ合うデスゲーム“女神の選定”に挑め

 本作の主人公は、喫茶ライオン館のマスター代理をしている女子高生・獅子舞凛火。彼女は帰宅途中に電車内で起こった爆発事故に巻き込まれたはずが、気がつくとライオン館で、いつものように友だちたちと談笑しているという不思議な体験をします。

  • ▲凛火はメッシュの入った髪のせいで、学校では不良のレッテルを貼られている。実際は見た目と違い、友だち想いの優しい女の子です。

 その後も何事もなかったように、毎日を過ごす凛火。しかしある夜、夢の世界で女神・パルカに出会ったことで事態は一転! 彼女は自身がすでに死を迎えたものの、それが改変され、同じような運命を背負っている11人の人物たちと、生き残るために互いに脱落させ合う“女神の選定”の参加者であることを知るのでした。

  • ▲女子高生たちの微笑ましい日常と、非現実的な儀式の温度差にゾクっとさせられます。

 他者を脱落させる方法は、現実世界で参加者の“氏名、死因、未練”を突き止めると手に入るカードを3枚集め、脱落させたい相手を指名すること。

 しかし参加者のなかには、凛火の友人である未島海晴の姿も……。凛火は参加者のさまざまな想いに触れながら、儀式に挑んでいくことになるのでした。

  • ▲事故の後遺症のためか、自分の死因や未練を忘れている凛火。それが物語にどんな影響を与えることになるのでしょう?

 物語の途中に選択肢が発生しますが、“誰を脱落させる”や“誰の情報を調べる”など、“女神の選定”に直接影響を与えるものはなく、“誰とどう過ごすか”というエンディングに影響するものばかりになっています。

 選択肢によってバッドエンドにいくことはありますが、左右どちらかを選ぶと即ゲームオーバーなどの理不尽な展開はないので、精神的なストレスもなく遊べると思います。

 ストーリーのボリュームはかなり多めですが、一度進めたシナリオを巻き戻して選択肢を選び直したり、既読スキップがあったり、アドベンチャーゲームに欲しいシステムが完備されているので、複数のエンディングを見るために、繰り返し遊ぶのも快適です。

海晴の愛を受け入れるかどうかは貴方次第!

 “お互いを脱落させ合う=生き残る未来を奪うデスゲーム”ということで、殺伐とするんだろうなと思っていたんですが、登場人物はよくも悪くも人間味がある人物ばかりで、想像していたほどのギスギス感はありませんでした。

 死にまつわる作品ではありますが、グロテスクなシーンはないのでご安心ください。いっぽうで、サスペンスらしい情報をめぐる攻防や、参加者同士のニアミスなど、ヒリつくような展開がたっぷりと用意されているので、そのへんは楽しみにしていただければと思います。

 基本的には主人公の凛火視点で物語を追っていきますが、ほかのキャラクターサイドの出来事も描かれて“女神の選定”をさまざまな視点で見ることができます。

 そのなかで知っていく参加者たちの生き様や未練は涙腺を刺激するものも多く、私はいろいろなキャラクターに感情移入してしまいました。そのため“女神の選定”とは矛盾しますが、全員に生き残ってほしいと何度思ったことか……。

 死の運命と向き合ったキャラクターたちの織り成す、人間ドラマを見守れるのも本作の見どころだと思います。

 魅力的な登場人物ばかりですが、そのなかでとくに注目すべきなのは主人公の友人・未島海晴でしょう。彼女は儀式の参加者でありながら、主人公のために行動することを宣言している頼もしい存在。信頼して協力できる人物がずっと側にいてくれることは、何よりも心強く感じました。

 なぜ海晴がそこまで凛火のために行動するかというと、そこには隠しきれないほどの愛があって……。プレイヤーはほのかな百合要素どころではなく、重くて深い海晴の愛を感じながら物語を進めていくことになるのです。

 彼女とどんな関係でいるのかは、選択肢で決定することができます。ちなみに私は海晴の魅力にノックアウトされて、気持ちに応えるような選択ばかり選んでいました……。知的でカッコいいのに、好きな人の前ではかわいくもなってしまうとか最高じゃないですか?

 しかし、生き残れるのはどちらか1人だけ。“女神の選定”の真相はもちろん、彼女たちの恋の行方も気になり、どんどん先に進めたくなる作品です。

 海晴以外のキャラクターについても“●●は天使”とか“やっぱり××は強い”など、魅力的な登場人物たちについてたっぷりと語りたいのですが、些細なことでもネタバレになってしまう作品なので、ここでは自重させていただきます……。

 ぜひいろいろな人に布教して、発売後に語り合いたい作品になっています。

 PS4版は原作スタッフによる描き下ろしシナリオやイベントCGが追加されているなど、すでにPC版をプレイした方でも楽しめる内容になっています。

 夏休みなどにじっくり遊べる作品ですので、ぜひチェックしてみてください。

(C)2019 LYCORIS/PROTOTYPE

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります


FATAL TWELVE

  • メーカー:プロトタイプ
  • 対応機種:PS4
  • ジャンル:ADV
  • 配信日:2019年8月8日
  • 価格:4,600円+税

FATAL TWELVE(ダウンロード版)

  • メーカー:プロトタイプ
  • 対応機種:PS4
  • ジャンル:ADV
  • 配信日:2019年8月8日
  • 価格:4,300円(税込)

関連する記事一覧はこちら