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日本RPGの金字塔『イース』シリーズの歴史と物語を振り返る! 今後の新作にも期待!!

Z佐藤
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 日本ファルコムが創立40周年を迎える2021年。記念タイトルとして『英雄伝説 黎の軌跡(クロノキセキ)』が発表されていますが、往年のファンとしては『イース』の動きも気になるところ。

 『イース』の歴史と魅力を振り返りつつ、すでに発表されている『イース』の今後もまとめていきます。

そもそも『イース』とは?~それは、まだ見ぬ世界と神秘を求める赤毛の冒険家アドル・クリスティンの“冒険日誌”!!

 1987年6月にPC-88版『イース Ancient Ys Vanished Omen』が発売されて以来、ハードの性能やユーザーのニーズに合わせて進化を繰り返し、今なおアクションRPGの最前線を走り続ける『イース』シリーズ。

  • ▲燃えるような赤毛と、少年のように澄んだ黒い瞳を持った青年。エレシア大陸の西端、エウロペ地方の北東にある名もなき小さな山村に生まれ、幼少時代の経験から見知らぬ世界と冒険に強い憧れを抱いている。16歳のときに故郷の村を旅立ち、後世に100冊以上の冒険日誌を残した。剣を使った戦いに優れ、剣士と呼ばれることも多い。

 物語は、稀代の冒険家アドル・クリスティンを主人公として描かれ、彼が生涯をかけて幾多の冒険に挑み、後世に残した百余冊にも及ぶ“冒険日誌”をもとにゲーム化した、という設定で作り上げられている。


  • ▲ゲーム画面は『イースI』『イースII』ではトップビュー方式だったのに対し、『イースIII WANDERERS FROM Ys』でサイドビュー方式に一変。


  • ▲さらに『イースVI』からクオータービュー方式になり、以降に発売される作品に継承されていく。そして『イースSEVEN』からは3人のキャラクターを切り替えながら戦うパーティプレイのシステムを導入するなど、作品ごとに進化を続けている。

 ただ各作品の物語はそれぞれで完結する内容になっており、どんな順番でプレイしても大冒険を十分満喫できる作りになっている。今回はアドルが冒険日誌を書き記した年齢順に、その足跡をたどっていく。

  • ▲『イースI』と『イースII』は時系列が完全につながった前・後編的な構成だが、物語の時系列とナンバリングが一致していない部分もある。作中で過去のことが話題になることもあるが、各作品は1作で完結するため、どの作品からプレイしても冒険を満喫することができる。ちなみに『イースVIII』の物語は、時系列では『イースV』のあとに位置する。
発売日 タイトル 機種 アドルの年齢
1987.6.21 イース Ancient Ys Vanished Omen PC-88 17歳
1988.4.22 イースII Ancient Ys Vanished The Final Chapter PC-88 17歳
1989.7.21 イースIII WANDERERS FROM Ys PC-88 19歳
1993.11.19 イースIV MASK OF THE SUN SFC 18歳
1993.12.22 イースIV The Dawn of Ys PCエンジン 18歳
1995.12.29 イースV 失われた砂の都ケフィン SFC 20歳
2003.9.27 イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣- Windows 23歳
2005.6.30 イース -フェルガナの誓い- Windows 19歳
2006.12.21 イース・オリジン Windows
2009.9.17 イースSEVEN PSP 23歳
2012.9.27 イース セルセタの樹海 PS Vita 18歳
2016.7.21 イースVIII -Lacrimosa of DANA- PS Vita 21歳
2019.9.26 イースIX -Monstrum NOX- PS4 24歳

『イースI』『II』~エステリアと古代王国イースを舞台に冒険の幕が上がる!

 『イースI』『イースII』では、冒険日誌“失われし古代王国”をもとにアドルが故郷の村を旅立ってから1年半後、17歳のときに初めて成し遂げた本格的な冒険が展開。

 嵐の結界に閉ざされた島国・エステリアと、天空を浮遊するイースを舞台に、2つの作品で有翼人や古代王国イースにまつわる謎が解き明かされていく。

  • ▲『イースII』では、当時としては斬新だったアニメーション処理をオープニングデモでリリアが振り向くシーンに採用。その革新的な演出は“振り向きリリア”として多くのPCゲームファンのド肝を抜いた。なお当時、ほとんどのPCゲームショップでは、このデモを無限ループで延々と流していた。

  • ▲シリーズではお約束(?)となっているのが、何らかの理由で主人公のアドルが冒険の舞台に漂着すること。『イースI』『イースII』がそうだからといって引き継ぐこともないように思われるが、もはやユーザーが期待する部分の1つに!? なお、たいてい漂着時には過去作で入手した宝剣や剣技などを失っている。

 PC版が発売された当時、RPG(アクションRPGを含む)は難易度が高いものが多かったが、本作は“優しさ”をアピール。戦闘は敵に直接ぶつかる体当たり方式で、正面からではなく、半キャラ分だけ位置をずらすことでダメージを受けずに攻撃できた。

 町の住人との会話や敵を攻撃するときはアドルを動かして体当たりをすればOK。しかも敵を攻撃する場合、半キャラ分だけ位置をずらせば一方的にダメージが与えられるなど、シンプルな操作が大きな話題を呼んだ。また、フィールドなら立ち止まっていればHPが自動的に回復する、レベルアップ時にHPが全回復するといった要素も戦略性を生んだ。

  • ▲なつかしの半キャラずらし。

  • ▲ヒロインの存在も、『イース』シリーズに欠かせない要素の1つ。『イースI』『イースII』には、フィーナとリリアという2人の美少女が登場し、以降の作品にもアドルに好意を抱く魅力的なキャラクターたちが登場する。プレイヤーごとに好みが分かれることもあり、ヒロインについて論争が巻き起こることも。
  • ▲アドルがピンチに陥ったとき、壁を壊して助けにくることが多いことから、いつしか“壁壊しのドギ”と呼ばれるようになった力自慢の青年ドギ。もともと1人旅であったアドルだが、エステリアで出会ったドギに慕われ、よき相棒として行動するようになる。頼れる相棒の活躍も、ファンが期待を寄せるところだ。

 のちに、日本ファルコム自らがグラフィックやストーリーを大幅にリファインした『イースエターナル』を発売し、あらためて大きな人気を集めた。

  • ▲『イースI』『イースII』では、Falcom Sound Team jdkが手掛けるスピード感あふれる楽曲も大きな魅力。とくに『イースII』のオープニングで流れる「TO MAKE THE END OF BATTLE」は、アニメ演出も相まって、シリーズを代表する名曲として今でもその名が挙がるほど。現在のファルコムサウンドの原型が作られたのが、この2作品であるといってもいいだろう。

『イースIV』~さらなる冒険を求め、エレシア大陸・西部の各地へ……

 アドルが18歳のときに書き記した冒険日誌“セルセタの樹海”をもとに描かれる『イースIV』。こちらは原案のみに日本ファルコムがかかわり、開発を別のメーカーが請け負う形で制作され、トンキンハウスが手掛けた『イースIV MASK OF THE SUN』と、ハドソンが手掛けた『イースIV The Dawn of Ys』が発売された。

  • ▲『イース』シリーズをプレイするうえで、知っていると理解が深まる有翼人、龍神兵、エメラス(エメル)、ガルヴァシリーズなどについて語られる。さらに、アドルが《冒険家》という肩書を持つようになったいきさつも。有翼人エルディールとの出会いが、アドルの冒険心をさらに刺激することになった。

 その後、2作品をもとに日本ファルコムが完全リメイクした『イース セルセタの樹海』が発売されることとなった。

  • ▲『イース セルセタの樹海』では“失われたアドルの記憶を探す”という収集要素があり、その過程でアドルの少年時代の様子が明らかになる。どうしてアドルは外の世界に興味を持つようになったのか? アドルに関しての知識を深めたいなら、本作もぜひ押さえておきたい。

 物語の本筋はいずれも共通で、禁忌の地とされていた広大な森林地帯《セルセタの樹海》に足を踏み入れたアドルが、有翼人の文明やかつてこの地にあったといわれるセルセタ王朝の謎に迫る大冒険が展開していく。

  • ▲『イース セルセタの樹海』には、ロムン帝国から赴任してきた若き女性総督グリゼルダが登場し、アドルの腕を見込んで樹海の地図作成を依頼してくる。彼女の出番はこの作品限定かと思いきや、なんと『イースVIII』でも見かけることに。今後、ロムン帝国とかかわりを持つ場面では、再び彼女と出会う機会も?

『イースIII』~ドギの故郷フェルガナでは、不穏な噂の真相究明に乗り出す

 『イース -フェルガナの誓い-』は、『イースIII WANDERERS FROM Ys』をもとに新たな設定を加えてリメイクした作品で、アドルが19歳のときに記した冒険日誌“フェルガナ冒険記”のエピソードが描かれる。

 旅の途中で不穏な噂を耳にしたアドルとドギは、真相を確かめるためドギの故郷であるフェルガナを訪れる。そこでドギの幼なじみのエレナに頼まれ、消息を絶った彼女の兄チェスターの行方を追うことに……。

  • ▲『イース -フェルガナの誓い-』では、ゲーム画面をサイドビュー方式+クォータービュー方式にリニューアルし、奥行きのある画面で冒険が展開。さらに火・風・地の精霊の腕輪で発動する「リングアーツ」は攻撃だけでなく移動にも役立つなど、アクションシーンが大幅に強化された。

 『イース -フェルガナの誓い-』では、先に発売されていた『イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣-』で再構築された世界設定に従い、ストーリーや登場人物の設定をリニューアル。ゲームシステムにも『イースVI』で好評だったジャンプアクションが採用され、完成度が大幅に増した。

  • ▲アドルが立ち向かうガルバランの設定も、『イースIII WANDERERS FROM Ys』ではフェルガナ地方に現れた魔王。それに対して『イース -フェルガナの誓い-』では、『イースVI』で再構築された世界設定に沿って、暴走した龍神兵という設定になった。その圧倒的な強さとともに、BGM「最強の敵」もプレイヤーの脳裏に深く刻まれている。

  • ▲『イース -フェルガナの誓い-』のヒロイン的な少女エレナだが、じつは「エレナ最強伝説」という逸話の持ち主でもある。その理由は、アドルが必死に突破したダンジョンにもかかわらず、たびたび先回りして姿を見せることから、じつはアドルより強いのではないか? という噂がささやかれ始めたからだ。はたして、その真相は?

『イースV』~かつて錬金術で栄えた幻の都ケフィンの謎を追う

 『イースV 失われた砂の都ケフィン』は“最後で最初のイース”というキャッチコピーのもと、日本ファルコムがスーパーファミコンのRPGとして発売した作品で、アドルが20歳のときに記した冒険日誌“失われた砂の都ケフィン”をもとに描かれる。

  • ▲剣を振って攻撃、盾を構えて防御、煉金魔法で遠距離から射撃、さらにジャンプを利用して高い位置にある敵の弱点を狙うなど多彩なアクションが可能。また、マップには高低差の概念が取り入れられ、入り組んだマップを攻略する楽しみも用意されていた。

 アフロカ大陸の交易都市・サンドリアを訪れたアドルは、かつてケフィンと呼ばれる都があった砂漠の探索を依頼され、前任者であるスタンの足取りを追って砂漠に足を踏み入れる。そこでニーナという少女を助け、ケフィンの謎に深くかかわることに。

 冒険の途中で出会う盗賊一家の末娘テラが『イースVI』で活躍する、本作で手にする最強の剣“イシオスブレード”が『イースVIII』に登場するなど、他作品との深いかかわりも見逃せない。

『イースVIII』~絶海の孤島セイレン島で、仲間たちとの漂流生活が始まる

 アドルが21歳のときに体験し、冒険日誌“ゲーテ海案内記”として書き記した出来事が描かれる『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』。

  • ▲操作するキャラクターを切り替えながら敵に対処していくパーティバトルを軸に、多種多彩なスキル攻撃、爽快感バツグンのEXTRAスキル、さらにフラッシュムーブやフラッシュガードの要素もあったりと、完成度の高いバトルシステムを搭載。キャラクターごとに戦法も異なり、スピード感&爽快感あふれるバトルが楽しめる。

 サンドリアから旅客船ロンバルディア号に乗船したアドルとドギは海難事故に見舞われ、“永遠に呪われた島”といわれるセイレン島に漂着する。

 そこで出会った人々と漂流村を作り、島を脱出するための準備を進めていくアドルだったが、その過程でダーナと呼ばれる少女と意識を共有するという不思議な現象を体験をすることに。

  • ▲漂流者の1人として『イース セルセタの樹海』に登場したグリゼルダが再び登場。島の謎を解き明かすための手掛かりをもたらしてくれる。また、彼女自身の素性について気になる発言も。

 漂流者たちと協力して漂流村を発展させたり、島を探索してマップを作成したり、獣の襲撃から漂流村を守る迎撃戦が発生したりと、絶海の孤島での漂流生活は驚きと発見が満載。アドルを操作するパートは、3人のキャラクターを切り替えて戦うパーティバトル、ダーナを操作するパートでは1人で進むことになり、異なるテイストのバトルが楽しめるのも魅力だ。

  • ▲日本ファルコムのマスコット的な存在であるみっしぃも登場。仲間の1人ラクシャの父が残した資料によれば“出会った者に幸運をもたらすという神出鬼没の生き物”らしい。同じく仲間の1人リコッタはみっしぃの言葉を理解でき、料理を持ってきて渡せるようになる。『イース』の世界に存在しているなら、今後の作品でも出会えたりするかも?

『イースVI』~カナン諸島で《ナピシュテムの匣》にまつわる冒険に挑む

 『イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣-』は、アドルが23歳のときに書き記した冒険日誌“翼の民を求めて”をもとに描かれる。

 ロムン艦隊の攻撃で海に落ちたアドルは、カナン諸島の島に漂着。そこでレダ族の少女イーシャを助けたことをきっかけに、カナンの大渦、そして《ナピシュテムの匣》の謎に迫っていく。

  • ▲ボス戦では、攻撃をスレスレで回避し、一瞬のスキをついて反撃! といったスリリングなバトルが可能。弱点を探したり、効率的な攻撃方法を模索しながら立ち回るという、アクションゲームやアクションRPGの根幹ともいえる楽しさを存分に満喫させてくれる。また、ボス戦のBGM「MIGHTY OBSTACLE」はシリーズ屈指の名曲としてライブでも演奏される機会が多い。

 シリーズの1つの区切りとなった作品で、グラフィック、アクション、BGMなど、あらゆる部分を強化。また、シリーズの物語に深くかかわる有翼人の設定も再構築され、本作を起点として以降の作品が制作されていった。

  • ▲巨大なハルバードと符術を使って戦いを挑んでくる黒衣の傭兵ガッシュ。たびたびアドルの前に現れ、「余計なことに首を突っ込むな」と警告してくる。なお、『イースSEVEN』にも再登場し、そちらではパーティメンバーの1人として力を振るってくれる。

 ゲーム画面はクオータービュー方式で、ジャンプ斬り、下突き、ダッシュ斬り、ダッシュジャンプ斬りなどが可能。さらに魔法の力を宿した3本のエメラス剣を駆使し、剣ごとに異なる魔法を発動して戦うこともできた。

『イースSEVEN』~北アフロカ大陸で展開する《五大竜》の伝承

 アドルが冒険日誌“アルタゴの五大竜”に書き記した体験が描かれる『イースSEVEN』。

 “巨獣”と呼ばれる超大型の獣が闊歩する大地、北アフロカ大陸にあるアルタゴ公国を訪れたアドルは、消えた古代民族の謎や《五大竜》の伝承を追い求めるうち、アルタゴの存亡にかかわる危機に立ち向かうことに。

  • ▲巨体ながらも多彩な攻撃を仕掛けてくる五大竜とのバトルは白熱! 画面奥から追いかけられたり、灼熱の溶岩に潜って攻撃してきたり、海中を舞台に戦う場面もあったりと演出的にも手の込んだ作りで、いずれも手に汗握るバトルが楽しめた。

 2009年からコンシューマ市場へと本格参入した日本ファルコムが、PSPをプラットフォームとして初めて手掛けた完全新作の『イース』。攻撃タイプ(斬撃、打撃、射撃)の異なるメンバーを切り替えて戦うパーティプレイのシステムや、スキルやEXTRAスキルを駆使した爽快感あふれる立ち回りなど、アクション部分にもシリーズ初となる要素も多数導入されており、シリーズのオールドファンから新規ユーザーまで多くのプレイヤーを魅了した。

  • ▲冒険の途中で『イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣-』に登場したガッシュと遭遇。アドルに1対1での戦いを申し込んだのち、力を貸してくれる。アドルのことをライバル視しているようで、なかなか面倒くさい性格だったり? 今後の作品にも顔を出してきそうなキャラクターだ。

『イースIX』~監獄都市バルドゥークに囚われたアドルの運命は?

 アドルが24歳のときに書き記した冒険日誌“バルドゥークの檻”をもとに描かれる『イースIX -Monstrum NOX-』。

  • ▲ストーリーにはミステリーテイストな部分もあり、バルドゥーク監獄の謎、怪人たちやアプリリスの正体、アドルと赤の王との関係などを推測しながら楽しむのもオススメ。ミスリードを誘うよう伏線もあったりして、最後まで目が離せない展開に仕上げられている。

 アトラス洋で発生したロムン艦隊消失事件の重要参考人として手配されていたアドルは、旅先の監獄都市バルドゥークでロムン兵に身柄を拘束される。監獄からの脱獄を試みたアドルだったが、その最中に銃を手にした義手・義足の女性アプリリスに出会ったことで《監獄都市》と《怪人》にまつわる奇妙な事件に巻き込まれていくことに。

  • ▲監獄に囚われたアドルは、ロムン帝国の尋問官イングリドから質問を受ける。アドルは、魔法、有翼人、錬金術、古代種、ナピシュテムの匣、さらに水難事故が多いことや、その土地古来の武具や品物を持ち出しては紛失していることも話したようだ。彼女との一連のやり取りは『イース』ファンなら思わずクスっとなるところ。

 ゲームシステムは『イース セルセタの樹海』や『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』などに採用されていたパーティプレイやスキル攻撃&EXTRAスキルなどの要素はそのままに、新たに“異能アクション”と呼ばれる要素をプラス。狙った場所へ瞬間移動したり、壁を駆け上がったり、空中を滑空するといった能力が備わり、バトルだけでなく探索活動もより奥深く楽しめるようになった。

  • ▲さまざまな異能を備えた《怪人》たちの協力を得ることで異能アクションを獲得。まさに縦横無尽に街やダンジョンを探索することができる。獲得した異能アクションはキャラクターを切り替えなくてもコントローラの操作で利用できるため、瞬間移動→壁を駆け上がる→滑空……など、直感的な操作で切り替えながら使えるのも魅力だ。

その他の『イース』~多くの外伝・派生作も展開

 『イース』シリーズにおいて、唯一アドル以外のキャラクターが主人公の外伝的な作品『イース・オリジン』についてもフォローしておこう。

 本作では『イースI』『イースII』から700年前のエステリアを舞台に、なぜ古代王国イースが天空を浮遊するようになったのか? なぜダームの塔が築かれたのか? といった謎をめぐり、すべての起源(オリジン)となるドラマが描かれる。

  • ▲高低差のある立体的なマップで冒険が進行。ユニカは神官の家系に生まれながら魔法が苦手で、斧や剣を武器に戦う近接戦闘タイプ。それに対してユーゴは天才的な魔法の素質を持つ青年で、魔法を駆使して戦うことができる。シリーズの伝統といえる奥深いボス戦も健在で、バリエーションに富んだ攻撃を仕掛けてくるボスとのバトルも見逃せない。

 物語の主人公は、ユニカ=トバとユーゴ=ファクトから選択可能。2人の物語をクリアすると3人目の主人公として“鍵爪の男”が選べるようになり、数々の謎が解明される仕組みになっている。

 ゲームシステムは『イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣-』の流れを継承した作りで、クオータービュー方式の画面でバトルやマップの探索を行っていく。

  • ▲神殿から姿を消した双子の女神、レアとフィーナの行方を追うことも目的の1つに。すべての謎を解き明かしたとき、もう1度『イースI』『イースII』をプレイしたくなる。

 ちなみに『イース・オリジン』は2006年にPC用として日本ファルコムが開発・発売を行ったが、コンシューマへの移植は長らく行われず、DotEmuによってPS4/PS Vitaに移植されたのは2017年とかなり後のことであった。

 このように、『イース』シリーズは日本ファルコム以外のメーカーによる移植や外伝作品も行われており、なかでもPCエンジン CD-ROM2でハドソンから発売された『イースI・II』は当時としては非常に珍しいボイス演出も用意されたもので、それらをきっかけに『イース』シリーズのファンになった方も多いのではないだろうか。

 そのほかにもPC用MMORPG『イースオンライン』、記憶喪失の赤毛の冒険家アベル・レンフォードが活躍するDS版『イース・ストラテジー』、ドギがダルク=ファクトと戦う携帯電話用アプリ『新イースI-3D-外伝』など、多くの外伝・派生作が輩出されてきたことも、『イース』シリーズの1つの特徴と言えるだろう。

『イース』シリーズの今後~シリーズ35周年に新作スマホゲームと、まだまだ展開は続く!

 というわけで、かなり駆け足ながら『イース』シリーズの歴史とアドルの足跡をたどってきましたが、いかがでしたでしょうか?

 ちょっと気の早い話ですが2022年は『イース』シリーズ35周年のメモリアルイヤーになりますので、それに合わせたシリーズの完全新作……順当に考えるとナンバリング10作目となる『イースX』なんかを期待しちゃいますよね。

 また、2021年春配信予定として『イースVI-~ナピシュテムの匣~』がスマホオンラインRPG『イースVI Online~ナピシュテムの匣~』として登場することが発表されています。
(『イースVI Online~ナピシュテムの匣~』の情報は別記事にも掲載しています)

  • ▲公開されたビジュアルには、海中の大きな渦の中を巨大沈没船がその渦に乗って沈んでいく幻想的なシーンが描かれている。さらに、その中心には本ゲームの主人公アドルらしき赤髪の人物の姿も!?

 35周年にとどまらず、40年、50年とシリーズが続いてほしいものですが、願わくば、60歳を超えたアドルが挑んだ最後の冒険と言われる北極点のエピソードも、いつかは楽しんでみたいですね!

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