日本RPGの金字塔『イース』シリーズの歴史と物語を振り返る! 今後の新作にも期待!!
- 文
- Z佐藤
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日本ファルコムが創立40周年を迎える2021年。記念タイトルとして『英雄伝説 黎の軌跡(クロノキセキ)』が発表されていますが、往年のファンとしては『イース』の動きも気になるところ。
『イース』の歴史と魅力を振り返りつつ、すでに発表されている『イース』の今後もまとめていきます。
そもそも『イース』とは?~それは、まだ見ぬ世界と神秘を求める赤毛の冒険家アドル・クリスティンの“冒険日誌”!!
1987年6月にPC-88版『イース Ancient Ys Vanished Omen』が発売されて以来、ハードの性能やユーザーのニーズに合わせて進化を繰り返し、今なおアクションRPGの最前線を走り続ける『イース』シリーズ。
物語は、稀代の冒険家アドル・クリスティンを主人公として描かれ、彼が生涯をかけて幾多の冒険に挑み、後世に残した百余冊にも及ぶ“冒険日誌”をもとにゲーム化した、という設定で作り上げられている。
ただ各作品の物語はそれぞれで完結する内容になっており、どんな順番でプレイしても大冒険を十分満喫できる作りになっている。今回はアドルが冒険日誌を書き記した年齢順に、その足跡をたどっていく。
発売日 | タイトル | 機種 | アドルの年齢 |
---|---|---|---|
1987.6.21 | イース Ancient Ys Vanished Omen | PC-88 | 17歳 |
1988.4.22 | イースII Ancient Ys Vanished The Final Chapter | PC-88 | 17歳 |
1989.7.21 | イースIII WANDERERS FROM Ys | PC-88 | 19歳 |
1993.11.19 | イースIV MASK OF THE SUN | SFC | 18歳 |
1993.12.22 | イースIV The Dawn of Ys | PCエンジン | 18歳 |
1995.12.29 | イースV 失われた砂の都ケフィン | SFC | 20歳 |
2003.9.27 | イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣- | Windows | 23歳 |
2005.6.30 | イース -フェルガナの誓い- | Windows | 19歳 |
2006.12.21 | イース・オリジン | Windows | - |
2009.9.17 | イースSEVEN | PSP | 23歳 |
2012.9.27 | イース セルセタの樹海 | PS Vita | 18歳 |
2016.7.21 | イースVIII -Lacrimosa of DANA- | PS Vita | 21歳 |
2019.9.26 | イースIX -Monstrum NOX- | PS4 | 24歳 |
『イースI』『II』~エステリアと古代王国イースを舞台に冒険の幕が上がる!
『イースI』『イースII』では、冒険日誌“失われし古代王国”をもとにアドルが故郷の村を旅立ってから1年半後、17歳のときに初めて成し遂げた本格的な冒険が展開。
嵐の結界に閉ざされた島国・エステリアと、天空を浮遊するイースを舞台に、2つの作品で有翼人や古代王国イースにまつわる謎が解き明かされていく。
PC版が発売された当時、RPG(アクションRPGを含む)は難易度が高いものが多かったが、本作は“優しさ”をアピール。戦闘は敵に直接ぶつかる体当たり方式で、正面からではなく、半キャラ分だけ位置をずらすことでダメージを受けずに攻撃できた。
町の住人との会話や敵を攻撃するときはアドルを動かして体当たりをすればOK。しかも敵を攻撃する場合、半キャラ分だけ位置をずらせば一方的にダメージが与えられるなど、シンプルな操作が大きな話題を呼んだ。また、フィールドなら立ち止まっていればHPが自動的に回復する、レベルアップ時にHPが全回復するといった要素も戦略性を生んだ。
のちに、日本ファルコム自らがグラフィックやストーリーを大幅にリファインした『イースエターナル』を発売し、あらためて大きな人気を集めた。
『イースIV』~さらなる冒険を求め、エレシア大陸・西部の各地へ……
アドルが18歳のときに書き記した冒険日誌“セルセタの樹海”をもとに描かれる『イースIV』。こちらは原案のみに日本ファルコムがかかわり、開発を別のメーカーが請け負う形で制作され、トンキンハウスが手掛けた『イースIV MASK OF THE SUN』と、ハドソンが手掛けた『イースIV The Dawn of Ys』が発売された。
その後、2作品をもとに日本ファルコムが完全リメイクした『イース セルセタの樹海』が発売されることとなった。
物語の本筋はいずれも共通で、禁忌の地とされていた広大な森林地帯《セルセタの樹海》に足を踏み入れたアドルが、有翼人の文明やかつてこの地にあったといわれるセルセタ王朝の謎に迫る大冒険が展開していく。
『イースIII』~ドギの故郷フェルガナでは、不穏な噂の真相究明に乗り出す
『イース -フェルガナの誓い-』は、『イースIII WANDERERS FROM Ys』をもとに新たな設定を加えてリメイクした作品で、アドルが19歳のときに記した冒険日誌“フェルガナ冒険記”のエピソードが描かれる。
旅の途中で不穏な噂を耳にしたアドルとドギは、真相を確かめるためドギの故郷であるフェルガナを訪れる。そこでドギの幼なじみのエレナに頼まれ、消息を絶った彼女の兄チェスターの行方を追うことに……。
『イース -フェルガナの誓い-』では、先に発売されていた『イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣-』で再構築された世界設定に従い、ストーリーや登場人物の設定をリニューアル。ゲームシステムにも『イースVI』で好評だったジャンプアクションが採用され、完成度が大幅に増した。
『イースV』~かつて錬金術で栄えた幻の都ケフィンの謎を追う
『イースV 失われた砂の都ケフィン』は“最後で最初のイース”というキャッチコピーのもと、日本ファルコムがスーパーファミコンのRPGとして発売した作品で、アドルが20歳のときに記した冒険日誌“失われた砂の都ケフィン”をもとに描かれる。
アフロカ大陸の交易都市・サンドリアを訪れたアドルは、かつてケフィンと呼ばれる都があった砂漠の探索を依頼され、前任者であるスタンの足取りを追って砂漠に足を踏み入れる。そこでニーナという少女を助け、ケフィンの謎に深くかかわることに。
冒険の途中で出会う盗賊一家の末娘テラが『イースVI』で活躍する、本作で手にする最強の剣“イシオスブレード”が『イースVIII』に登場するなど、他作品との深いかかわりも見逃せない。
『イースVIII』~絶海の孤島セイレン島で、仲間たちとの漂流生活が始まる
アドルが21歳のときに体験し、冒険日誌“ゲーテ海案内記”として書き記した出来事が描かれる『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』。
サンドリアから旅客船ロンバルディア号に乗船したアドルとドギは海難事故に見舞われ、“永遠に呪われた島”といわれるセイレン島に漂着する。
そこで出会った人々と漂流村を作り、島を脱出するための準備を進めていくアドルだったが、その過程でダーナと呼ばれる少女と意識を共有するという不思議な現象を体験をすることに。
漂流者たちと協力して漂流村を発展させたり、島を探索してマップを作成したり、獣の襲撃から漂流村を守る迎撃戦が発生したりと、絶海の孤島での漂流生活は驚きと発見が満載。アドルを操作するパートは、3人のキャラクターを切り替えて戦うパーティバトル、ダーナを操作するパートでは1人で進むことになり、異なるテイストのバトルが楽しめるのも魅力だ。
『イースVI』~カナン諸島で《ナピシュテムの匣》にまつわる冒険に挑む
『イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣-』は、アドルが23歳のときに書き記した冒険日誌“翼の民を求めて”をもとに描かれる。
ロムン艦隊の攻撃で海に落ちたアドルは、カナン諸島の島に漂着。そこでレダ族の少女イーシャを助けたことをきっかけに、カナンの大渦、そして《ナピシュテムの匣》の謎に迫っていく。
シリーズの1つの区切りとなった作品で、グラフィック、アクション、BGMなど、あらゆる部分を強化。また、シリーズの物語に深くかかわる有翼人の設定も再構築され、本作を起点として以降の作品が制作されていった。
ゲーム画面はクオータービュー方式で、ジャンプ斬り、下突き、ダッシュ斬り、ダッシュジャンプ斬りなどが可能。さらに魔法の力を宿した3本のエメラス剣を駆使し、剣ごとに異なる魔法を発動して戦うこともできた。
『イースSEVEN』~北アフロカ大陸で展開する《五大竜》の伝承
アドルが冒険日誌“アルタゴの五大竜”に書き記した体験が描かれる『イースSEVEN』。
“巨獣”と呼ばれる超大型の獣が闊歩する大地、北アフロカ大陸にあるアルタゴ公国を訪れたアドルは、消えた古代民族の謎や《五大竜》の伝承を追い求めるうち、アルタゴの存亡にかかわる危機に立ち向かうことに。
2009年からコンシューマ市場へと本格参入した日本ファルコムが、PSPをプラットフォームとして初めて手掛けた完全新作の『イース』。攻撃タイプ(斬撃、打撃、射撃)の異なるメンバーを切り替えて戦うパーティプレイのシステムや、スキルやEXTRAスキルを駆使した爽快感あふれる立ち回りなど、アクション部分にもシリーズ初となる要素も多数導入されており、シリーズのオールドファンから新規ユーザーまで多くのプレイヤーを魅了した。
『イースIX』~監獄都市バルドゥークに囚われたアドルの運命は?
アドルが24歳のときに書き記した冒険日誌“バルドゥークの檻”をもとに描かれる『イースIX -Monstrum NOX-』。
アトラス洋で発生したロムン艦隊消失事件の重要参考人として手配されていたアドルは、旅先の監獄都市バルドゥークでロムン兵に身柄を拘束される。監獄からの脱獄を試みたアドルだったが、その最中に銃を手にした義手・義足の女性アプリリスに出会ったことで《監獄都市》と《怪人》にまつわる奇妙な事件に巻き込まれていくことに。
ゲームシステムは『イース セルセタの樹海』や『イースVIII -Lacrimosa of DANA-』などに採用されていたパーティプレイやスキル攻撃&EXTRAスキルなどの要素はそのままに、新たに“異能アクション”と呼ばれる要素をプラス。狙った場所へ瞬間移動したり、壁を駆け上がったり、空中を滑空するといった能力が備わり、バトルだけでなく探索活動もより奥深く楽しめるようになった。
その他の『イース』~多くの外伝・派生作も展開
『イース』シリーズにおいて、唯一アドル以外のキャラクターが主人公の外伝的な作品『イース・オリジン』についてもフォローしておこう。
本作では『イースI』『イースII』から700年前のエステリアを舞台に、なぜ古代王国イースが天空を浮遊するようになったのか? なぜダームの塔が築かれたのか? といった謎をめぐり、すべての起源(オリジン)となるドラマが描かれる。
物語の主人公は、ユニカ=トバとユーゴ=ファクトから選択可能。2人の物語をクリアすると3人目の主人公として“鍵爪の男”が選べるようになり、数々の謎が解明される仕組みになっている。
ゲームシステムは『イースVI THE ARK OF NAPISHTIM -ナピシュテムの匣-』の流れを継承した作りで、クオータービュー方式の画面でバトルやマップの探索を行っていく。
ちなみに『イース・オリジン』は2006年にPC用として日本ファルコムが開発・発売を行ったが、コンシューマへの移植は長らく行われず、DotEmuによってPS4/PS Vitaに移植されたのは2017年とかなり後のことであった。
このように、『イース』シリーズは日本ファルコム以外のメーカーによる移植や外伝作品も行われており、なかでもPCエンジン CD-ROM2でハドソンから発売された『イースI・II』は当時としては非常に珍しいボイス演出も用意されたもので、それらをきっかけに『イース』シリーズのファンになった方も多いのではないだろうか。
そのほかにもPC用MMORPG『イースオンライン』、記憶喪失の赤毛の冒険家アベル・レンフォードが活躍するDS版『イース・ストラテジー』、ドギがダルク=ファクトと戦う携帯電話用アプリ『新イースI-3D-外伝』など、多くの外伝・派生作が輩出されてきたことも、『イース』シリーズの1つの特徴と言えるだろう。
『イース』シリーズの今後~シリーズ35周年に新作スマホゲームと、まだまだ展開は続く!
というわけで、かなり駆け足ながら『イース』シリーズの歴史とアドルの足跡をたどってきましたが、いかがでしたでしょうか?
ちょっと気の早い話ですが2022年は『イース』シリーズ35周年のメモリアルイヤーになりますので、それに合わせたシリーズの完全新作……順当に考えるとナンバリング10作目となる『イースX』なんかを期待しちゃいますよね。
また、2021年春配信予定として『イースVI-~ナピシュテムの匣~』がスマホオンラインRPG『イースVI Online~ナピシュテムの匣~』として登場することが発表されています。
(『イースVI Online~ナピシュテムの匣~』の情報は別記事にも掲載しています)
35周年にとどまらず、40年、50年とシリーズが続いてほしいものですが、願わくば、60歳を超えたアドルが挑んだ最後の冒険と言われる北極点のエピソードも、いつかは楽しんでみたいですね!
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