『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』クセになる魅力を感じたエピソードを紹介【綾那のゲームに夢中】
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- 綾那
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さまざまなゲームを遊び、愛するゲーマー女優である綾那さんのゲームコラム“綾那のゲームに夢中”の連載第23回をお届けします。
皆さん、こんにちは! 突然ですが、皆さんは年間にどれくらいの本を読まれていますでしょうか? 本とは言ったものの、昨今では電子書籍で通勤中などにもお手軽に読める時代なので、そっちの方でたくさん読んでいる方もいるでしょう。
そういう私はほぼ読んでいないので、このような稚拙な文章を書いているわけですが、まぁそんなことは前置きでしかないので以下略とします。
私同様に読んでいない人の中には、均等なサイズの文章が羅列しているのが苦手という人もいるでしょうし、自分の想像力が乏しい故に活字が苦手と感じている人もいるでしょう。
そんな方々にオススメしたいのは“サウンドノベル”というジャンルのゲーム。
もうこのジャンルでピンときたはずです。
今回書かせていただくのは、さまざまなアドベンチャーゲームを生み出したチュンソフト(現スパイク・チュンソフト)さんの代表作の1つ『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』です。
「え、『2』なの? そこは『1』でしょ?」と思ったそこのあなた。
実は私の『かまいたち』デビューは『2』なのです……。そして今でも『2』が大好きなのです。よって今回は『かまいたちの夜2』をお送りします。
実写ムービーの流れる不気味なオープニング
私が『かまいたちの夜2』と出会ったのは、友人の勧めでした。
前述のとおり、『1』をやっていなかったのですが「『2』からやっても大丈夫」と言われたのでソフトをプレイしたのです。
ただ、PS2本体とソフトの相性がよくなかったのか、“難”がありまして……ソフトを読み込む際にPS2を左右にゆっくり傾けて謎のご機嫌とりをしなければオープニングムービー前に止まってしまうんです。
起動ごとにその儀式を行っていたので、本作『かまいたちの夜2』の思い出の1つといっても過言ではないでしょう。現に今回プレイしに、電撃オンラインさんに行った時、クセでPS2に揺り籠をしてしまいました。
その揺り籠動作を終えて無事に動いてくれると、不協和音で鳥肌がたちまくる、ホラー映画のようなオープニングムービーが流れます。
このオープニングムービーが気持ち悪くて……とてもイイんです! クセになるので、起動する度にスキップすることなく毎回見ておりました。
しかも曲はあの東儀秀樹さんも担当されているので、雅楽がとても素晴らしい。そしてとても不気味です。
オープニングムービーは実写ムービーが流れるのですが、この時の画面はゲーム本編で流れるもの。なのでこのオープニングを見て、どんな話があるのかとワクワクできるところもいいんですね。
サウンドノベルは、文字通り音や映像がついている小説を読むスタイルのジャンル。このジャンルを確立させた『弟切草』を初めてプレイした時は、音と気色の悪い画面があることで、テキストを読むだけよりも圧倒的に怖いと感じましたね。
そしてこの『かまいたちの夜2』では、画面が動く動く。冒頭だけでも、風に髪がなびく様や、海の映像など、かなり作り込まれているのがわかります。全身真っ青なシルエットでも、動くことで演技力を感じられる、人物の斬新な表現手法ですよね。
顔はどんな造形なのか、いまどんな表情をしているのかなどは自分の想像力で構築できるので、自分の世界観を保てるのもいいです。私の脳内では美樹本さんとか、結構イケメンの山男ですから(笑)。
主人公とヒロインの名前は前作同様、変えることが可能です。私はそのままの名前を使ってしまうので、主人公はずっと矢島透でヒロインは小林真理でプレイしていました。こういう時に自分の名前はあまり使わないタイプです。
さまざまな物語が展開
島に到着して5分でバッドエンドを迎える場合もある本作。エンディングの種類はなんと105個!
一番メインとなる“わらべ唄篇”を終えた後に、“底蟲村篇”、“陰陽篇”、“サイキック篇”に分かれる選択肢が出てくるようになります。
基本的に分岐した先のストーリーはすべて異なる設定になっているのですが、基本は一緒です。
前作『かまいたちの夜』は本作の中では“ゲーム”として扱われており、ゲーム『かまいたちの夜』がヒットしたお礼に、モデルとなった前作の人々が原作者・我孫子武丸さんによって絶海の孤島である三日月島と呼ばれる孤島に招待されるのです。
この根となる設定からさまざまな種類のお話に発展していくのですが、ホラー、サイコパス、虫、エロティックなどなど……その種類は豊富。しかも壮大すぎてもはやファンタジー。最高に痺れる話が盛りだくさんです。
その中でも特に私が好きな話や、トラウマまったなしだったものをピックアップして書いていきます。
わらべ唄篇
やはり一番最初にやる“わらべ唄篇”は外せないでしょう。
島に着くまでに船長さんから三日月島の恐ろしい過去を聞き、本当にありそうなわらべ唄を教えてもらい、ワクワクとハラハラが止まらないのです!
島に着いたら着いたで、「今夜は“かまいたちの夜”で大嵐がくるから島から出られませんよ」と言われる絶望。
その中で起こってしまう不可思議な殺人事件。
誰かの仕業なのか、それともこの島の祟りなのか。
密室に閉じ込められると、だんだんと疑心暗鬼になってきて、全員が怪しく思えてくるその混沌っぷりがいいですね!
また、ちゃんと推理をしていき、自ら犯人だと思う人を指定できるところもよかったです。
ちなみに私は、初見プレイでは島に着いて開始5分くらいでゲームオーバーになりました。プレイしたことがある人はわかると思いますが、あれは罠ですよ……。到着して5分でゲームオーバーになった人、少なくないと思います。
底蟲村篇
『かまいたちの夜2』で一番好きで一番トラウマになった、最高にエグくてグロいお話。“わらべ唄篇”からは考えられないおぞましさがあり、初見の時は気分が悪くなりました。
しかし、そこが癖になる不思議な魅力があるお話。わらべ唄も“底蟲村篇”になると詩や音楽が変わります。脳がおかしくなりそうな声と内容……しばらく耳から離れなくなるので注意です。
この話では、不老不死の研究をしていた過去があり、徐福伝説や姥捨て山伝説、人魚伝説などがある三日月島。その島の神社で祀られていたのは何と土蜘蛛。
島には底蟲村という廃村があり、民俗学を勉強していた真理はその村に興味を持ち、行ってみたいと言い出すのです。名前からしてすでにヤバイのに、どうしてホラー映画や小説とかのヒロインはそういう場所に行きたがるのでしょうね。
そこに待ち受ける衝撃の事実と展開は、たぶん一生私のトラウマです。特に描写が生々しいなと思ったのは、“とある実”を食べるとこですね。結構スペクタクルなお話なので、コアなファンも多いことでしょう。
サイキック篇
そうきたか! そうきたのか!! と興奮するお話。
名称でどういう感じか何となく予想がつきそうですが、テンポのよさとサイキック能力を駆使したぶっ飛んだ戦いがとても好きなんです。
そして何といっても、この“サイキック篇”は真理目線で話が進んでいくのがいいんです!
今までは主人公の透目線だったものが、このルートに入ると真理目線になる。何でしょう。自分の分身である透を客観的に見ている感じがするので、ちょっと気恥ずかしい感じになります。
官能篇
チュンソフトさんのサウンドノベルシリーズには、“ピンクのしおり”なるものが存在します。
「“ピンクのしおり”って何ぞや?」という方に簡単に説明しますと、ちょっとエッチなお話が読めるのです。まさに官能ワールド。ピンクの世界。だからピンクのしおり。
女の子たちの誘惑に、ちょっとクスッとなってしまうのですが、この官能篇、ただエッチなだけでは御座いません。フェロモンだだ漏れのようになってしまった透くんに、女の子たちが色仕掛けしてくるわけですけど、とある選択肢を選んでしまうと……アッー!!
その表現力にただひたすら笑える、心休まるお話です。
惨殺篇
こちらも名前の通り。もう話自体が真っ赤です。かなり猟奇的なので、グロい表現が苦手な方は注意したほうがいいかもしれません。
もともとがサイコパスというわけではなく、人に寄生する虫が原因で、寄生されると人を殺すことで快楽を得だすのです。
寄生虫が原因ということは、誰でも猟奇殺人犯になるということ。しかもここは絶海の孤島。絶望しかない中で透と真理は逃げるのですが……ラストは衝撃的な展開です。
上記以外にも魅力的なお話がたくさんあります。ただ、すべて書いていくのは無粋なので、興味を持った方はぜひとも自分でプレイしてほしいです。
物語の中には常軌を逸したものや、最後まで読まないと理解できないものもあるのですが、それがまた妙で中毒性があります。
“妄想篇”は全体的に電波じみています。ただ、オチを見ると納得できるので、そこもすごいと思うんですよね。ただ、なぜあのような表現をしたのかなど、いまだに理解できてないのですが(笑)。
個人的に一番ゾッとしたのが、三日月館にある見張り塔の階段を、下へ下へと降りていった先に広がっていた景色。本当にゾッとします。
この記事をよんで懐かしく感じた方は、もう一度好きなルートをプレイしてみてはいかがでしょう?
今回は個人的に思い入れの深い『2』を書きましたが、原点であり完成度の高い初代『かまいたちの夜』や、美樹本さんや俊夫さんのヤバイ性癖がわかる『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』も魅力的なのであわせてプレイしてみてください!
それではこの辺で……たんたんたんたんたんたん。
(C) Spike Chunsoft/我孫子武丸/田中啓文/牧野修/東儀秀樹/パッパラー河合/羽毛田丈史
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『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』
- メーカー:チュンソフト(現スパイク・チュンソフト)
- 対応機種:PS2
- ジャンル:アドベンチャー
- 発売日:2002年7月18日
- 希望小売価格:6,800円(税込)
『かまいたちの夜2 特別篇』
- メーカー:スパイク・チュンソフト
- 対応端末:PS Vita/PSP
- ジャンル:アドベンチャー
- 発売日:2012年3月27日
- 価格:2,037円(税込)