『十三機兵防衛圏』ぬいぐるみに込められた愛情。ファンがファンに届けるために作った驚きの作り込みに迫る
- 文
- 電撃オンライン
- 公開日時
アトラス×ヴァニラウェアが放つ快作SFアドベンチャー『十三機兵防衛圏』のぬいぐるみ制作秘話をお届けします。
このぬいぐるみを手掛けるのは、過去に『DARK SOULS(ダークソウル)』や『Bloodborne(ブラッドボーン)』、『SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE(セキロ:シャドウズ ダイ トゥワイス)』など、ゲーム関連のグッズ・アパレルの企画・販売しているブランドTORCH TORCHを運営している豆魚雷。
豆魚雷はもともと洋トイやフィギュアの輸入販売などを行うショップなので、「なぜぬいぐるみ?」と思いつつも、先に述べたタイトルのグッズは、異常とも言える作り込みでファンから高い評価を得ているだけに、今回の作り込みもきっとスゴいハズ。
ということで、豆魚雷の原田隼さん(TORCH TORCHのブランドを運営するディレクター)に担当者を紹介してもらい話を聞いてみたところ、やはり豆魚雷らしいファン目線を忘れない、熱量のこもった濃いお話がたっぷり聞けました。ガムシャラな熱量をぜひお楽しみください。
ファンとして、ファンに“14体“のぬいぐるみを届けたかった
――本日はよろしくおねがいします。
ミゲル:豆魚雷で『十三機兵防衛圏』のアイテムのディレクションを担当しています、ミゲルと申します。本日はよろしくおねがいします!
――なぜ『十三機兵防衛圏』のぬいぐるみを作ろうと思ったのでしょうか?
ミゲル:私がご縁があって豆魚雷で働かせていただくことになったのは2020年の2月だったのですが、そのときから「『十三機兵防衛圏』のグッズを作りたい!」と思っていました。採用面接からすでに、「豆魚雷で何をしたいか?」と聞かれた際、「『十三機兵防衛圏』の立体物を14人以上作りたい!」と言っていました。
じつは私は前職でフリーランスのゲームライターもしており、その最後の担当作品が同作だったんです。発売前から応援し続けてきた名作として、思い入れが深くありました。
――豆魚雷と言うと洋トイやフィギュアのイメージが強いですが、ぬいぐるみを作ることになったのはなぜでしょうか?
ミゲル:もちろん、最初はフィギュアを考えました。でも15人、ないしは14人ぶんを制作するとなると、フィギュアのノウハウをまなびながら進行するにはプロジェクトとしては巨大すぎる……。「ほかのやり方を考えてくれないか」と言われ、諦めざるを得なかったんです。
――ビジネスとして考えるのであれば、人気のあるキャラクターだけフィギュア化する、という判断もあり得たことだと思うのですが、14人でなければダメだったのでしょうか?
ミゲル:はい。“14人でなければならない”というのは最初から思っていて、曲げてはいけないと考えていました。“14人揃わないと意味がない”とも思っていたんです。『十三機兵』の魅力といえば、多くの人が“多彩なキャラクターたちによる群像劇”と答えると思うんですよ。
そのためまず、主人公である13人は全員グッズのラインナップに入れる必要がありました。さらに、主人公の1人である比治山と深く関わる沖野も入れなければならないと。そして何より、キャラクターたちに優劣を付けることができなかったんです(苦笑)。誰一人として外したくはなくて、これはビジネスを抜いた個人的な感情でもありますが、『十三機兵』を愛するユーザーの皆さんに14人すべてをお迎えしてもらいたかったんです。
――その辺りのこだわりの強さというか、ファン目線を優先してしまうのは、原田さんにも通じるところがありますね(笑)。
ミゲル:そんな上司であったからこそ、この企画は進行できたのだと思っています。そんなわけで、私の中では「14人ぶんを作らなければならない」というのは決まっていたのですが、先ほどお話した通り、14人ぶんのフィギュアは越えなければならないハードルが高すぎました……。
「じゃあ自分も含めて、ファンの皆さんが喜んでくれるものはなんだろう」と考えたときに思いついたのが、ぬいぐるみだったんです。
――アクリルスタンドやラバーストラップあたりも定番アイテムだと思うのですが、ぬいぐるみは思い入れが強かったのでしょうか?
ミゲル:アクリルストラップも、もちろんリリースさせていただきました。全17種と大所帯となっており、並べると圧巻です(笑)。心苦しいですが、ぬいぐるみは14種以上を増やせなかったため、玉緒さんファンはぜひアクリルキーホルダーを三浦たちと飾っていただければと。
ぬいぐるみは、私自身がオタクとして趣味でいろいろ集めていましたし、ぬいぐるみなら、ユーザーの皆さんの身近な立体物になると思ったんです。でも普通のぬいぐるみを作るだけじゃおもしろくないな、とも思いました。
「なにか『十三機兵防衛圏』の世界背景を表現できる、遊べるギミックはないか……」、そう考えて盛り込んだギミックが“マグネット”です。それぞれのぬいぐるみの手にはマグネットが仕込んであり、キャラクター同士が手を繋ぐことができるようになっています。
これで買っていただいた方に、キャラクター同士の関係性を簡単に表現してもらうことができるな、と。このほか、たとえばクレープや肉まんを自作して持たせることもできますし、アイデア次第でユーザーの皆さんに遊びの幅を持たせることができたと思います。
――ぬいぐるみの大きさは大きすぎず小さすぎず……、という印象を持ちましたが、どのように決めたのでしょうか?
ミゲル:大きすぎると日本の家は狭いので全員を飾ることができないし、小さくするとディティールを詰めるのを諦めなければならない……という事情はもちろんあります。
今回のぬいぐるみは全高15センチ程度なのですが、この大きさは市販されているぬいぐるみとしては、一般的な大きさなんですよ。手のひらサイズで、飾るにも邪魔にならず、持ち歩くにも便利な大きさですよね。でも一番の決め手は、やっぱり遊びやすさかなと思います。
――と言いますと?
ミゲル:私自身が、カフェや公園など、さまざまなロケーションでぬいぐるみと撮った写真をSNS上にアップしているユーザーさんを見て、「いいなー!」と思っていたんです。今回の大きさは“SNS映え”が決め手ですね(笑)。
――なるほど! 私もドールやフィギュアと旅をした写真をSNSで見たことがあります。
ミゲル:おっしゃったようにぬいぐるみと旅をしていただくのも楽しいですし、さまざまなシチュエーションであり得たかもしれないゲーム中の情景を作り込むのも、楽しいですよね。ぬいぐるみを買ってくださった方が自由に遊んでいただければ、企画者としてはありがたい限りです。
――ぬいぐるみを制作する上で、当然キャラクターの立ち絵からデフォルメをかけなければならないと思うのですが、そこはどのように行ったのでしょうか?
ミゲル:今回のぬいぐるみ制作にあたっては、造形(ソフビ)作家・イラストレーターのHAKUROさんにデザインをお願いしました。HAKUROさん自身、かわいく個性的なイラストを描かれる方ですが、キャラクターをきちんと描き分けることができる多彩な方でもあります。お願いしてよかったと思うクオリティのデザインばかりあげていただきました。
――デフォルメをするにあたっては、ディティールを残す部分と省略する部分が発生してくると思いますが、その辺りの判断もHAKUROさんが行ったのでしょうか?
ミゲル:もちろんHAKUROさんが行ってくださった部分が多くありますが、私からも細かい調整をお願いしました。作品に頭の先までドップリ浸かったファンの目線は、ファンアイテムを作るにあたっては当然必要になってくる要素なので、そこは僭越ながら私が担当した形となります。
――『十三機兵防衛圏』を作ったヴァニラウェアといえば、アートワークの評判も非常に高いゲームメーカーです。ぬいぐるみの制作に使用する生地の選定はどのように決めたのでしょうか?
ミゲル:その辺りはキャラクターそれぞれにこだわりをもって決めました。全体的なこととしてお話できるのは、肌の生地色ですね。普通、ぬいぐるみはいわゆるベタな肌色の生地を使うことが多いようなんです。それはぬいぐるみが健康的に見えるためでもあります。
ですが、今回はそのセオリーから敢えて外しました。それはなにより、ヴァニラウェアの平井さんが描かれる、淡いタッチを再現したかったためですね。ベタな肌色ではなく、より透明感のある、淡く繊細なニュアンスを持った生地色を使っています。
――あと、なんというか、このぬいぐるみはさわり心地がいいですね。
ミゲル:ぬいぐるみは飾るものでもありますが、手にとって触って遊ぶものでもありますよね。そのため、さわり心地はかなり意識したポイントでもあります。素肌と髪の毛には“ボア”系の生地を採用して、モコモコふかふか感が出るようにしています。
制服の部分も手触りのよい、柔らかい生地を使っています。制服の全パーツに印刷の乗りがよいナイレックスという生地を使うことも考えたのですが、そちらの場合は手触りがどうしてもザラッとしてしまって。
制服については、初稿の段階からある程度クオリティが高かったのですが、そのときに使用していた生地がどうしても“布に色がプリントされている”感がありました。見えない部分ではありますが裏面が白いままだったので、安っぽい印象を受けたんです。なので、布色と布を調整して、より高級感のあるものに変更しています。
――そのほか、全体的な制作のポイントはありますか?
ミゲル:輪郭の表現は顎や首あたりのラインを表現するために、顎の部分に生地を1枚使うのが今のトレンドですが、今回はラインをはっきり見せるよりは、全体的にコロコロしたほうがかわいいと思って、“ダーツ”という縫製技法で表現しました。これは裁縫で曲線を表現するために行う基本的なテクニックで、取り立てて難しいものではないのですが(笑)。ペーパークラフトで、ノリしろにノリ付けして貼り合わせて曲線を作っていくイメージが近いかもしれません。
あとは綿の詰め方や量を調整して、顔の下部分がぽってり、コロコロしたかわいいシルエットになるようにしています。
目の表現もこだわりがあります。今回、虹彩の表現はプリントではなく刺繍を採用したのですが、当初、虹彩の表現に使用する刺繍糸を1色で試してみたんです。結果、キャラクター性を再現するにあたって、最終的に2色に変更しました。また、瞳のハイライトも立体的な刺繍を施しています。
じつはこの変更に伴って、制作の工数がかなり増えてしまったのですが、目の刺繍の色はおそらく、私も含めて多くのぬいぐるみファンの方が気になるところだと思うんですよね。先ほどもお話した通り、平井さんのアートワークはとても繊細なので、それを再現するためには、やはり妥協できないなと。
――こだわりは同作への愛情を感じさせますね。
ミゲル:純粋に『十三機兵防衛圏』というタイトルで「これじゃない」と自分が思うアイテムを作りたくなかったんです(笑)。
――では、それぞれのぬいぐるみについて、こだわりを聞かせてください!
14体すべてに、妥協なく向き合う
鞍部十郎
全14種のぬいぐるみのベースモデルとして、まず鞍部と冬坂から作ったのですが、鞍部はかなり苦労したキャラクターですね。一時は「鞍部ってなんだ? 鞍部らしさってどこなんだ!?」と迷走したくらいで。今、初校を見返すとまったく鞍部ではない(苦笑)。
そもそも、『十三機兵防衛圏』って「ツインテールでピンク髪!」のような、明確で強いキャラクターの個性付けはされていないですよね。誤解を恐れずに言えば、普通の子……だけど、ちょっと違う雰囲気を持っている。そのなかでも、鞍部はとくに“違う雰囲気”を出すことに苦労しました。
最終的にはサイドの髪の長さや後ろ髪の流れている箇所、前髪の微妙な長さや傾きなどで鞍部らしさをうまく表現できたと思いますが、ミリ単位で調整を繰り返しました。個人的には第一ボタンが空いているところと、そこからカッターシャツが覗いているところがお気に入りです。表情も穏やかな笑顔のなかに、凛々しさが覗くように眉の角度には注意を払いました。
冬坂五百里
冬坂は後ろ髪のボリュームを出すことにとにかく苦心しました。じつは、生地をたくさん使ってパーツを広げればボリューム感が出る、という話ではないんです。生地を広げすぎるとたわんでしまって、髪の毛がペラペラの布のようにしか見えなくなってしまうんですよ。ですので、ボリュームがあるように見せるため、カットパターンは調整を繰り返しました。
あと、髪留めはプリントで表現するのが主流だと思うんですが、そこは冬坂のチャームポイントでもあるので、きちんと立体物として制作しています。
薬師寺恵
薬師寺は髪がサラっと広がっているのがポイントです。かと言って、髪のパターンを広げすぎるとたわんでしまいます……。ですので冬坂同様、カットパターンは調整を繰り返しました。
また彼女はゲーム中だと物語の展開上、あまり笑顔を見ることができない子ですが、鞍部家でご飯を皆に振る舞うときに見せるような、優しい笑顔が本来の薬師寺だろうと思い、その表情をピックアップしました。余談ですが、薬師寺はご飯と一緒に写真を取ると、まるで彼女がご飯を作ってくれたように見えるので、とても写真映えします(笑)。
関ヶ原瑛
関ヶ原はイラストだと髪がややツンツンしており、髪の色としても髪の房の形が目立つキャラクターですよね。でも髪の毛がゴワゴワしている雰囲気でもない。フワっとツンツンしている感じは、うまく生地の特徴と噛み合ったと思います。
最終的に髪の房のパーツは1つにして、前髪と後ろ髪に挟み込んだパーツとセットで、その表現をデフォルメすることにしました。前髪のライン取りも苦心したポイントです。イラストでは短くカットされた前髪からおでこが覗いているのですが、ぬいぐるみはデフォルメが効いているので、バランスを取るのになかなか苦労しました……。
ちなみに制服のジップラインはプリントではなく縫い付けで表現しています。関ヶ原は“未来の咲良高校の制服“なので、彼と鷹宮は制服のカラーを変えています。
三浦慶太郎
三浦はなんと言っても学帽です。最初は学帽を縫い付けることも考えていたのですが、ゲーム中、彼は学帽を脱いで機兵を起動しますし、学帽を脱いで埃を掃う仕草が印象的ですよね。そのため学帽は着脱可能になっています。“キャップではなく学帽“という形状がちゃんと再現できるよう、天やマチ部分のパターンも、こだわった部分です。
また、三浦はスネの部分にゲートル(脚絆)として包帯をあてていますが、イラストを見てもわかるように、使い込まれた感じの色味になっていますよね。そのためぬいぐるみでも、色味を白ではなく、泥で汚れたような、煤けたような色にしているのもポイントです。
南奈津乃
南は眉毛がくっきり見える前髪がチャームポイントだと思っていますが、サイドのくせ毛のようなボリュームや、後ろ髪のショートボブ感もポイントです。髪留めはぬいぐるみならではの表現として、フェルトを何枚も重ねて厚みを出しています。
あと、ゲーム中やイラストでは、南はジャージのジッパーを開けたままですよね。そうなると、ジャージの裏の処理が見えてしまい気になると思うのですが、着ぶくれしない範囲で裏地(身返し)をつけています。ジャージの着こなし方も多少はアレンジが効くようになっていますので、遊んでもらえるとうれしいですね。
網口愁
網口は表情がお気に入りです! 女子に向けるウインクがうまく表現できたかなと(笑)。髪を上げていただくと見える、眉毛の形も彼らしいと思います。笑顔の白い歯もプレイボーイ感に繋げられて、よかったですね。
網口は学ランのボタンを留めていないキャラクターですが、南のジャージと同様、学ランの身返しもきちんと作っていますので、ぬいぐるみで遊ぶ幅も広がっていると思います。そういうところも含めて網口らしく仕上がったと思っています。
あと、網口は髪型が複雑で、デフォルメになかなか苦労しました……。全体的にくせっ毛ですし前髪が左右中央にふわっと広がっていて。ぬいぐるみではパーツ1つを貼付することでそれを再現することにしたのですが、そのパーツの位置しだいで印象がまったく変わってしまうので、何度も調整を重ねた部分でもあります。
鷹宮由貴
鷹宮は目の刺繍の色を試行錯誤したキャラクターですね。彼女の髪の色はゲーム中だとうっすらと緑がかっているのですが、その色味は非常に繊細で、再現は困難でした。そのため目の刺繍の色で鷹宮らしさを表現することにしました。刺繍に使っている糸は一見グレーなのですが、少しだけ緑を入れています。
鷹宮のロングヘアは最初、中に綿を詰める予定もあったのですが、サラサラ感をちゃんと表現したかったので、あえて中に綿はいれず、生地を2枚貼り付けて表現しています。
手にはめている指ぬきグローブは最初合皮を使用しようとしていたのですが、合皮は劣化が早い素材なので、プリントで再現することにしました。長く遊んでもらえるとうれしいです。もちろん、セーラー服から覗くヘソチラも再現していますよ!
比治山隆俊
比治山に関しては、髪のデフォルメに注力しました。単にボサボサなのではなくて、伸びざらしであるという感じを表現したかったんです。HAKUROさんには、「比治山はお風呂にあまり入っていないので、ベタベタごわごわしています」とまで伝えており、「なんだそりゃ」な注文であったと思います(笑)。
また比治山の学ランの裏地部分ももちろんオレンジで再現しています。グリーンのシャツと合わせてほどよい差し色になっていてかわいく、お気に入りです。ぜひ、たくさんの焼きそばパンと一緒に写真を撮ってあげてほしいですね。
如月兎美
如月といえば、三編みです! 彼女の長い三編みは、髪の毛に使っている生地を実際に三編みにして、立体感をもたせています。このサイズのぬいぐるみだとプリントで再現されがちなところではありますが、やはり如月はこの髪型がチャームポイントなので、こだわりました。あと、前髪の一部の色を若干変えて、生え際感ももたせています。
如月は、平井さんの描くキャラクターのなかでも一番彩度の高い瞳が際立ちますよね。刺繍の色選びが難しいなか、それを表現できたときはガッツポーズでした。
緒方稔二
緒方は俗に言うリーゼントスタイルが目を惹くキャラクターです。そのため、ポンパドールという前髪部分のボリューム感にこだわっています。なんとも言えないぬいぐるみのモコモコ感とうまく噛み合ったと思うので、ぜひ触っていただきたいです。
ポンパドールの凹み部分にちょうど縫い目を持って来ているので、ポンパドールの独特な形状もうまく再現できています。リーゼントスタイルのぬいぐるみってあまり見ないので、どうなるか不安だったのですが、けっこううまく行ったのかなと。それと、凛々しい眉毛と気だるそうな目も絶妙に表現できたと思っています。
また緒方はゲーム中、唯一ベルトの色が確認できるキャラクターなので、ベルトの色も再現しています。他のキャラクターのベルトもアトラスさん、ヴァニラウェアさんに監修していただきましたので、手に取ってくださった方は、よろしければチラっとめくってチェックしてみていただきたいです。
東雲諒子
東雲は儚くて繊細な感じを出すために、眉の形や口元などをとくに強く意識したキャラクターです。そして包帯も重要な要素です。
最初は包帯に使用していた生地が薄くて、接着剤の透明な色が透けて見えてしまっていました。そのため生地を厚くしようと決めたまではよかったのですが、すると前髪の貼付に干渉してしまう……。ある程度しっかりした包帯の束感と髪の縫い目の調整は難儀しましたが、最終的にはキレイに収まってくれて、高級感をだすことができました! 写真では分かりづらいのですが、ちゃんと首元にも包帯が巻いてあります。
サイドのハネっ毛は原作イラストだとごくわずかに描かれていた程度だったのですが、公式のデフォルメイラストにも描かれていて、それがとてもかわいらしかったので、アクセントとしてぬいぐるみでも強調することにしました。
郷登蓮也
郷登も鞍部と同じく“らしさ”をどう表現するか迷ったキャラクターですね。“キャラクターをうまくデフォルメしたイラスト”をぬいぐるみにそのまま落とし込んでも、“らしさ”につながらないと気付かされたキャラクターでもあります。郷登も結局、鞍部や関ヶ原と同様、前髪を数ミリ単位で調整してぬいぐるみとしてのデフォルメ化を追求していきました。
初稿を見ていただければ分かる通り、かなり郷登は難航した子でもあり、その分「これだ!」と決定打を見つけ出したときにはスッキリとした気持ちになったものです(笑)。
また郷登のメガネはイラストだとフレームが薄いので、当初はPVC(薄いビニール)で表現することを考えていたのですが、経年劣化が早いことなどを考慮して、鷹宮の指ぬきグローブと同様、最終的にはフェルトで表現しています。末永くかわいがっていただけると、とてもうれしいですね。
沖野司
沖野はいわゆるピヨ毛と右に流れている髪がポイントですよね。このパーツも、調整を繰り返した部分でした。また彼のミステリアスなイメージは、目の刺繍の色と表情で表現しています。何より、沖野は女装キャラということで、ほかの男性キャラと比べると若干まつげが長いところが、隠れたチャームポイントですよ。
ぬいぐるみ以外のグッズも注目
――ところで、豆魚雷はぬいぐるみ以外にもたくさん『十三機兵防衛圏』関連のグッズを作っていますね。
ミゲル:それは私が『十三機兵防衛圏』が大好きだからです!!!(笑)今回は私がほしいと思ったものや、ファンの皆さんが手元に置いておきたい、と感じていただけるようなものを企画させていただきました。まぁ、作っていて自分でも「種類が多すぎでは?」と思いましたが……(苦笑)。
――こちらのグッズ類もなにかこだわりがあれば教えてください。
ミゲル:アクリルキーホルダーは主人公13人だけでなく、沖野司や沢渡美和子、柴久太など、本作を彩る重要人物たちもラインナップにいれました。それは“本作が群像劇である”ことに由来しており、世界背景をアイテムで表現したいと考えたときに、誰も外したくないと思ったからなんです。
欲を言えば井田や森村先生なども盛り込みたかったのですが、すでに全17種の時点で大変で(苦笑)、実現できなかったのが残念です……。
ぬいぐるみ以外でとくにお気に入りなのは、フロストマグですね。機兵搭乗中のイラストが描かれたマグに“液体を注ぐ”というのは、作品の考察する方々は思わずニヤリとできるかなと。
またヴァニラウェアといえば、緻密で繊細な背景アートも見逃せない魅力の1つです。今回はそれをより身近に感じられるように、フルグラフィックポーチや大きめのエコバッグのデザインに落とし込んでみました。よく映画などで、ポスタービジュアルを敷き詰めたアイテムがあるのですが、『十三機兵防衛圏』のアートならそういったデザインも映えると思ったんです。
私は本作のセリフやアートが大好きなので、1万枚ほど画面写真を保存しているんです(笑)。そのなかから“ネタバレは避けつつも、印象深いシーン“を選択してデザインしました。
また、いわゆるヴァニラめしはおいしそうなうえに、なによりカワイイということで、デザインパターンにしてタオルやSサイズのエコバッグ、ボールペンにアレンジさせていただいています。
――『十三機兵防衛圏』ファンの皆さんにひと言お願いいたします。
ミゲル:豆魚雷はファン(作り手)からファン(ユーザー)へアイテムを届ける、というポリシーがすべての大前提として存在します。私は入社してまだキャリアは浅いですが、『十三機兵防衛圏』のグッズに関してもその大前提を変えずに、なんとか皆さんにアイテムをお届けすることができたかな……と思います。たくさんグッズを作りましたので、お気に入りのものがないか、ぜひ覗いてみてください!
各種アイテムは”豆魚雷 ZAKKA SHOP”や、アトラス公式ショップ”アトラスD-SHOP”さんなどでお取扱中です! ぬいぐるみはとくに、どの子もかわいくかわいく仕上がっており、ひとりでも多くのファンの方のお手元に届けばいいな、と願っていますので、どうぞよろしくお願いします!
(C)ATLUS (C)SEGA All rights reserved.
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります