『ホヅミ先生と茉莉くんと。』でラブコメ初挑戦! 葉月文先生イチ押しシーンは?【電撃文庫インタビュー】

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 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。今回は、『ホヅミ先生と茉莉くんと。 Day.1 女子高生、はじめてのおてつだい』を執筆した葉月文先生のインタビューを掲載します。

  • ▲本作の表紙イラスト(イラスト:DSマイル先生)

 本作は、売れない作家ホヅミこと“空束 朔(からつか はじめ)”と、謎の女子高生“白花 茉莉(しろはな まつり)”がミリオン作家を目指して協力する、甘々癒し系ラブコメです。

 デビューから早六年。未だに重版未経験の売れない作家、ホヅミこと空束 朔(からつか はじめ)はスランプに。そんな悩めるホヅミの前に、ある日、白花 茉莉(しろはな まつり)と名乗る謎の女子高生が現れます。

 彼女の協力のもと、夢のミリオン作家を目指しホヅミは再び執筆に励むのですが……!?

「ホ、ホヅミ先生! これは本当に執筆に必要なことなんでしょうか!?」

 ホヅミ先生は、茉莉にどんな“協力”をさせているのでしょうか? 気になった人は、このインタビューを読んだ後にぜひ購入して読んでみてくださいね!

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 元々は“年の差同居もの”という企画からスタートしました。そのプロットでOKもらって、実際に一冊分書き上げて。書き上げて……。

 それから、どうなったのか。

 気になる方は、是非、“ホヅミ先生と茉莉くんと。”の第一話“作家と担当と打ち合わせ”を読んでいただけたら。そこに書いてあることが全てです。

――作品の特徴やセールスポイントを教えてください。

 可愛い女子高生に構って欲しい。

 そんな男性作家のしょっぱい夢と希望と欲望をたっぷり放り込み、コトコトじっくり煮詰めたところでしょうか。味付けにハチミツと砂糖を加え、甘めに仕上げています。

 作品を彩ってくださるDSマイル先生のイラストが、また可愛いんです。茉莉くん、マジ天使。一番のセールスポイントはもちろん、DSマイル先生のイラストですっ!

――作品を書くうえで悩んだところは?

 これまで発表してきた作品より“ライトノベル”を強く意識して書いたのですが、“葉月文”の色を残しつつ“ラノベ”らしさを取り入れるのに苦労しました。

 “ラブコメ”というジャンルへのチャレンジも初だったので、その系統の本を百冊くらい読んで、読んで、読んで、勉強しました。

 大学入試の時より頑張ったかもしれません。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 プロローグを書き始めてからエピローグの初稿をあげるまでは、ひと月くらいですね。まあ、それからもたくさん直したりしたので、今の形にするのにさらに半年以上の時間を費やしています。

 ちなみに最初の企画が通ったのは、一年近く前のことです。

 皆様にようやくお届けできて、嬉しいです。

――執筆中のエピソードはありますか?

 今作は、主人公であるラノベ作家の“ホヅミ”が執筆の為という大義名分を盾に女子高生の“白花茉莉”に、メイド服やバニーやブルマ、それからスク水なんかのコスプレをしてもらうという非常に頭の悪いエピソードから始まるのですが、そんなプロローグを書き上げた数日後、僕が今まさにそんな小説を書いていることなぞ知るはずのない高校時代の友人数名から、何故かプレゼントと称して、“スク水”が贈られてきました。紺色のヤツです。もちろん、女性用です。まだ、季節は夏の盛りでした。

 お前ら、頭、おかしいんじゃねーのぉぉぉ、と全員に怒鳴ったものの、捨てるわけにもいかず、未開封のスク水は結局、一巻の執筆の最後までパソコンの横に鎮座していました。どころか、冬を迎えた今もまだここにあります。開封する勇気は、僕にはありません。

 ほんと、あいつらは馬鹿です。大馬鹿です。

 ……どうすんだよ、これ。

 ちなみに友人たち曰く、一度着るとクセになる、らしいです。

 おかしいな。僕を含め、全員、男のはずなんですけどね。

――本作の主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 実はこの“ホヅミ先生”という色んなものを拗らせてる主人公って、担当さんがお酒に酔った勢いで思いついたキャラなんですよね。まあ、肉付けを行ったのは自分なので、言い訳はできないですが。テンションが高い分、執筆すると僕からエネルギーをごっそり持っていく燃費の悪いキャラだけど、傍から見ている分には楽しいので割と好きです。

 ヒロインの“茉莉くん”は、ホヅミの性格とバランスをとった結果、とても素直な可愛い女の子になったんじゃないかなと思ってます。とはいえ、まだ担当さんにも話していない裏設定では彼女も色々と拗らせているのですが。

 その面倒臭さが表面化するところまで、このシリーズを長く続けられるといいなあ。

――特にお気に入りのシーンはどこですか?

 デートシーンですね。

 一巻では主人公であるホヅミが、年上美人編集の双夜とクリスマスデートをして、それからひと月も経たないうちに年下の可愛い女子高生である茉莉と遊園地デートに出かけます。けしからん。羨ましい。僕もしたいっ! 誰かしよっ!

 年上にリードされるデートと、年下をリードするデート。

 一冊で二度美味しい、それぞれの良さが出たシーンになったのではないかな、と思っています。

 読者の皆様はどちらが好みでしょうか?

――今後の予定について簡単に教えてください。

 二巻は早めに出したいね、と担当さんと話しています。テーマは大体決まっているので、夏くらいの発売を目指して頑張ろうと思います。

――小説を書く時に、特にこだわっているところは?

 有難いことに、ファンレターやSNSでの感想で、“透明感のある綺麗な情景描写”や“キャラが現実にいるかのような心理描写”が好きだと褒めていただくことが多いです。僕としてもその二点はとても注力しているところなので、きちんと読み取ってくれる読者の方にいつも感謝しています。

 今作では話のテンポを優先して情景描写は少なめにしていますが、要所にピンポイントで挟んでいますので、これまでの葉月文作品が好きな方にはそういうところに気付いてニヤリと笑っていただけたら嬉しいです。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 夜の誰もが寝静まった町を、お気に入りの音楽を聴きながら星を眺めつつ一人で歩き回っています。長い時は、一晩明けるくらいまで。

 なにかを考える時、じっとしているより体を動かした方が頭の回転がいいって、京大法学部に(何故か理系のクラスから)現役合格した高校時代の親友が言ってました。医学的根拠があるのかは知りません。

――学生時代に影響を受けた人物・作品は?

 電撃文庫の大先輩である“橋本紡”先生です。

 『リバーズ・エンド』は僕のはじまり。

 『半分の月がのぼる空』は人生のバイブルです。

――今現在注目している作家・作品は?

 たくさん、本当にたくさんあるのですが、あえて一つだけ挙げるとするなら、んー。そうですね。“八月朔日”先生の『放課後、制服姿の君と。』でしょうか。

 彼とは、ライバルのような、兄弟のような、親友のような、親子のような、そんな間柄なので。

 イエーイ、“八月朔日”先生、見てるー?

 宣伝しておいたよー!

 ちなみにですが、“八月朔日”先生って“はちがつついたち”先生ではなく“ホヅミ”先生と読むのですよ。

――その他に今熱中しているものはありますか?

 サウナです。

 僕も早くサ道を究め、年始に実家で弟が着ていた“サウナ”パーカーが似合う一人前のサウナーになりたいです。

――最近熱中しているゲームはありますか?

 最近ってわけではないですが、ようやく情報が解禁された『月姫リメイク】が今、とっても楽しみです。特報PVを繰り返し見てます。

 発売予定は、2021年夏。

 それまでに二巻の原稿を書きあげなければ。

 あとPS5が欲しいです。

 僕の家のハード、PS2で止まってるので。

 抽選、全然当たらないんだよなあ。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 タイトルの通り、これは“ホヅミ先生”と“茉莉くん”と、そして僕とあなたが重ねる、なんでもない、でも、ちょっとだけ特別な日々の話です。

 本を読んでくれたあなたの今日が昨日より少しだけ素敵な一日になりますように、そんな祈りを込めました。

 だから、もし楽しんでいただけたのなら、笑ってください。

 ――それが、僕やホヅミが今日も小説を書く理由です。

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