『戦国無双5』鯉沼プロデューサーにインタビュー【前編】開発の経緯と驚きのキャラクターデザイン

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 2004年に初代『戦国無双』が発売されてから17年目を迎えた2021年2月、満を持して発表されたコーエーテクモゲームスの“『戦国無双5』”。7年ぶりとなるナンバリング最新作では、応仁の乱後から始まる戦国時代の初期を、戦国武将の代表格である織田信長と、その信長を討った明智光秀という2人の武将の生き様を中心に描かれます。


 これまでのシリーズでは語られていなかった若き日の信長の姿や光秀との出会い、織田家を取り巻く武将たちとの死闘、そして本能寺の変へと続く激動の時代を、信長、光秀それぞれの視点で描く、新たな解釈の戦国ドラマが繰り広げられます。

 そこで今回は“新・戦国無双、始動――。”というキャッチコピーのもと鋭意制作中の本作を、鯉沼久史プロデューサーのインタビュー(前編・後編)で掘り下げます。発表内容と合わせて読み解いて、『戦国無双』シリーズの新章幕開けを体験できる6月24日を、楽しみに待ちましょう!

  • ▲鯉沼久史氏。コーエーテクモゲームス代表取締役社長

17年の歴史があるからこそ改めて原点を描き直すことを決断!

――最新作は『戦国無双5』とナンバリングでありながら、物語、キャラクター、ビジュアルが一新されて大きく舵を切った形の作品となります。その決断に至った一番の理由から教えてください。

鯉沼久史氏(以下敬称略):『戦国無双』シリーズは17年目を迎えますが、1作目では織田信長の時代を描き、2作目が関ヶ原の戦いを中心とした物語、そして3作目で織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と3代にわたる“戦国の三傑”を取り上げました。さらに前作の『戦国無双4』はその集大成的な位置づけの作品として発売し、シリーズとしては戦国時代の初期から江戸時代初期までの物語をほぼ取り上げています。

 そのため、次に作るものはこのまま同じキャラクターでシリーズを続けていくのか、それとも新生という形で新しく始めるのかなど、開発側ともかなり議論を重ねまして。その結果、17年間シリーズを続けてきたこともあり、「17年前に描いた物語を現行機の技術で描いたらどうか?」という話になりました。

 例えば大河ドラマでも、脚本や役者や監督を代えて同じ時代を何度も描いていますよね。それもあって本作は、初代『戦国無双』を新たな台本で描き直す、という結論に至りました。また、物語以外のアクションについても、シリーズを重ねたことでいろいろ洗練されて成熟した部分がありますので、そういった部分でも進化を十分にお見せできるのではないかなと考えています。

――進化についてはファンも大きく注目していると思いますが、17年で積み上げてきたものをこのタイミングで変えることに対して“怖さ”みたいなのはありませんか?

鯉沼:そうですね。今まで遊んでくださっていたファンの方に、どう受け入れてもらえるのかはすごく気にしている部分ではあります。もちろん、もろ手を挙げて万人が賛成して受け入れられるとは思ってはいませんが、基本的にはシリーズの根幹となる部分は大切にして、魅力的に感じる表現の部分を変えることによって、“新生『戦国無双』シリーズの幕開け”を感じていただきたいと思っています。

――変えたい、という意見はスタッフの間からもけっこう挙がっていただのでしょうか?

鯉沼:また同じストーリーをやるの? みたいな話は出ていましたね(苦笑)。そこはユーザーさんの皆さんからもさまざまな意見をいただいてはいましたので、新しさ、新鮮さをどう出すのかということで、今回は一からやり直すという形で進めることになりました。

――『戦国無双4』の発売以降も、『戦国無双4‐II』や『戦国無双4 Empires』などのタイトルは発売されていましたが、ナンバリングの更新という意味では7年ぶりとなります。そこまで発表に時間がかかった理由とは?

鯉沼:『戦国無双4』の発売以降「『戦国無双5』はどうするんだ?」という議論は、かなり長い間行っていました。じつは『戦国無双5』をやろうと企画が立ち上がっては、何回か立ち消えて、を繰り返していたんですよ。今までをベースにして作ってみてはみたものの「新鮮味もないし、ユーザーさんからしたらこれはどうなんだろう!?」と。

――立ち消えた試作の段階では、『戦国無双4』のビジュアルやキャラクターをベースに作られていたのでしょうか?

鯉沼:そうですね。ビジュアルやキャラクターなどはそのままでは商品にならないとわかっていたので、試作の段階で手を加えることはしていませんでした。主に同じキャラクター設定、世界観設定で『戦国無双5』として何ができるだろうという部分で議論して、企画内容やシステムをいざ立ち上げようとするとどうしても行き詰まってしまった……というのが試作の流れです。

 結局「これで本当に大丈夫なの?」という疑問に結論がつくまで時間がかかりまして、最終的に私のほうで「これでやろう」と決断したのが、このタイミングだったという形です。そのぶん、我々としても本作はチャレンジであると考えていますし、それに対する下準備はしっかりできているのではないかなと。

――そこまで悩まれただけに、『戦国無双5』の開発へ本格的に踏み切るあと押しとなった要因があったのかが気になります。

鯉沼:シリーズは17年と長い時間が経っていて、今は『戦国無双』『真・三國無双』を遊んで弊社に入ってきた開発メンバーもいます。そんなメンバーたちと新しくチャレンジしていくのもありだなと考えたことでしょうか。

“ダブル主人公”だからこそ描ける戦国時代の根底にある“下剋上”!

――織田信長、明智光秀のそれぞれの視点から描く戦国ドラマが体験できると発表がありましたが、いわゆる“ダブル主人公”になるのでしょうか?

鯉沼:やはり戦国時代でも信長が生きている時代が、一番熱いドラマがあったと考えています。そこで戦国キャラクターの代表である信長と、その信長を討ったとされる光秀を“ダブル主人公”という形にして、2人の生きざまを中心に物語を濃く描こうと考えました。

 例えばこれまでのシリーズで語られていなかった信長の若い頃の姿とか、光秀との出会いなど、織田家を取り巻くキャラクターたちのエピソードなどですね。これらをしっかり描くことで、戦国時代の根底にある“下剋上”を演出でき、これならば新しいシリーズ展開ができるのではないだろうかと考え、『戦国無双5』ではその形を採用しています。

  • ▲織田信長
  • ▲明智光秀

――となると、2人の物語は出会うまでは異なる視点で、出会ってから合流してときには分岐して、最後は本能寺の変へたどり着く、というようなイメージでしょうか?

鯉沼:まだ詳細はお話できないのですが、クロスしながら歴史が進んでいくというイメージで考えていただければと思います。

――となると、これまで以上に細かいエピソードを拾っていく形になりそうですね。

鯉沼:はい。これまでと違って同一エピソードを信長、光秀の視点で追いかけていくので、細かくなる予定です。また、信長と光秀それぞれの視点だけで描かれる個別のエピソードも用意されています。そういった意味でもより細かくなると思います。

――信長と光秀以外のキャラクターで、例えば秀吉の視点で物語を追いかける展開などはあるのでしょうか?

鯉沼:こちらはいろいろな群像にスポットを当てた展開を用意している、とだけお答えさせてください。

――ではドラマを盛り上げるための、ゲームオリジナルのif展開などはあるのでしょうか?

鯉沼:歴史をそのままなぞるだけでも仕方がないので、当社ならではのファンタジー的な考えは入れさせていただいて、ストーリーを盛り上げる予定です。

――信長、光秀を主役に選んだことでの体験ポイントや、この2人だからこそ味わえる魅力などを教えてください。

鯉沼:これまでの『戦国無双』シリーズは各キャラクターをまんべんなく、ある程度有名なエピソードを取り上げるような形でした。今回は2人に焦点を当てて物語を描いていますので、今まで以上に織田家の移り変わりが見えてくると思います。

 また“光秀が信長の生き方にこんな感じで絡んでいた”という部分も、今回の物語では表現できたのではないでしょうか。そういう意味では、これまでのシリーズでは戦国史の表面的な部分が見えていたのに対して、本作では人物像が見えてくる作品になっていると思います。

――印象としては大河ドラマを見ているような、ドラマ部分での厚みがあるわけですね。

鯉沼:そう感じ取って遊んでいただけたらうれしいですね。あとは信長の若い頃を描くので、今までのシリーズで触れていない時代も描けるのもポイントです。

――たしかに今回は信長のキャラクタービジュアルが若武者になっていて、ファンの間でも話題になっています。このビジュアルの一新という部分で一番力を入れている部分と、苦労している部分はどこでしょうか?

鯉沼:変えるだけでなく、よくなったと思っていただけないといけませんので、難しかったですね。和的な表現という部分はかなり意識しました。最近の流れでは当社の『仁王』もそうですし、他社さんの戦国時代を舞台にした作品も含めて、日本の文化がグローバルにも非常に受けている状況です。

 そういった意味でも「『戦国無双』ならではのビジュアル表現はやりたいよね」ということで、今回はカラフルな墨絵といいますか、ちょっと変わったイラスト調の表現にできたのではと思っています。あとはシリーズのイメージを壊すことは避けたかったので、新しいテイストをどこまで入れて問題ないかなど、CGディレクターが力を入れて確認しています。

 キャラクターのデザインに関しては、じつはこれまでのキャラクターの輪郭などはそのまま使っていて、どちらかといえば化粧を変えたり、年齢を重ねさせたり、若返らせたりという部分で変えています。だから見比べていただくと、なんとなく面影を感じていただけるのではないでしょうか。

――たしかに光秀の印象は大きく変わりませんね。逆に秀吉や家康がだいぶ変わっていたので、モデルのベースが同じというのは驚きました。

鯉沼:家康は過去シリーズモデルから若返らせた形なんです。ただ「これが本当にこうなるの?」とスタッフの間でも話が出たので、年齢を重ねていく途中段階の家康もデザインして検証してみたり(笑)。また、秀吉も顔の輪郭などは基本一緒です。彼も顔のパーツを見るともともとイケメンでして、若返らせると今回のような形になるんですよ。ですので、まったく違うなという印象を持たれるのはおそらく家康かなと。

  • ▲豊臣秀吉
  • ▲徳川家康

――このおかっぱの男の子が、あの姿になるというのはなかなか直感的に想像できないですよね(笑)。あとは過去シリーズからのキャラクターでいえば、今川義元のイケメンっぷりも驚きました。

  • ▲今川義元

鯉沼:そうですね。一番ビックリされたのは今川義元なのかなと。じつはもともと義元は意外と美形で、これまでは化粧をしてあのような見た目になっていた……、という感じですね(笑)。

――先ほど本作はダブル主人公のような形で本能寺の変までをしっかりと描いていくとのことでしたが、やはり信長や光秀の外見は時代に合わせて変わるのでしょうか?

鯉沼:そこはユーザーさんが感情移入できるような形で提供できればと考えていますが、続報を楽しみにお待ちください。ただ「信長のビジュアルは統一したイメージで作るように」と、シブサワコウからも言われていますので、今回のいわゆる“いわゆるうつけ時代の信長”はアプリの『100万人の信長の野望』なども参考にしたデザインになっています。

――今回の信長のデザインはどういったところがポイントでしょうか?

鯉沼:信長の衣装は、『戦国無双』シリーズで着ていた鎧の雰囲気を踏襲できていると感じていまして、そういう意味でも設定にあったデザインにできたと思います。今回はうつけ時代の信長ということで、どれだけ肌を露出させていくのかと、大名であるが故に甲冑を着させる必要があるという点を両立させるデザインは、試行錯誤していた感じです。

 あとは主人公という明確な位置づけがあるキャラクターなので、当初のカラーはけっこう赤が使われていました。ただ、今までのシリーズのイメージもあり「信長のイメージは赤ではないでしょう」となって、いろいろ変更したといういきさつがあります。

――『戦国無双』の信長でいえば、赤のイメージはあまりないですね。では光秀のデザインはいかがでしょうか?

鯉沼:光秀はこれまでの『戦国無双』シリーズの光秀と、そんなに大きくは変わっていないと思います。過去のデザインから若返らせてという形ですが、今回はこれまでよりも武者、武士という側面を少し強く出していますので、より戦いにあったようなデザインにしています。

 また、髪型も印象が異なると思います。今まではロングでサラッとした髪質が多かった光秀ですが、今回は戦いやすいように髪を束ねています。また信長の相棒であり、ダブル主人公という立ち位置ですので、並び立ってもおかしくない強さを感じられるようなデザインにしています。

<<インタビュー後編へ続く>>

(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.
※画面は開発中のものです。

戦国無双5

  • メーカー: コーエーテクモゲームス
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 発売日: 2021年6月24日
  • 希望小売価格: 8,580円(税込)

戦国無双5

  • メーカー: コーエーテクモゲームス
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: アクション
  • 発売日: 2021年6月24日
  • 希望小売価格: 8,580円(税込)

戦国無双5(ダウンロード版)

  • メーカー: コーエーテクモゲームス
  • 対応機種: PS4
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2021年6月24日
  • 価格: 8,580円(税込)

戦国無双5(ダウンロード版)

  • メーカー: コーエーテクモゲームス
  • 対応機種: Switch
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2021年6月24日
  • 価格: 8,580円(税込)

戦国無双5(ダウンロード版)

  • メーカー: コーエーテクモゲームス
  • 対応機種: Xbox One
  • ジャンル: アクション
  • 配信日: 2021年6月24日
  • 価格: 8,580円(税込)