『ディアブロ2 リザレクテッド』かつて味わった“地獄”を蘇らせる! その意気込みを開発者に聞く!

hororo
公開日時
最終更新

 Blizzard Entertainmentから2000年に発売され、ハック&スラッシュというジャンルを根付かせた草分け的作品『ディアブロ2』がとうとうリマスター化! 『ディアブロ2 リザレクテッド』として蘇ります。

 当時のゲームバランスはそのままに、グラフィックを刷新。かつ収納箱の拡張や複数キャラクター間での共有化など、利便性が向上しているほか、クロスプログレッションによって複数のプラットフォーム間で共通のセーブデータを使用可能になるなど、とにかく遊びやすくなった印象を受けます。(※ゲームソフトは個別に購入する必要アリ)

 そんなBlizzcon 2021の隠し玉とも言える本作について、ゲームデザイナーを務めるアンドレ・アブラハミアン氏と、リード・アーティストのクリス・アマラル氏にお話をうかがうことができました。

●動画:ディアブロ II リザレクテッド アナウンストレーラー

 なお、本作については日本語版の発売も決定しています。オリジナルの『ディアブロ2』日本語版は、当時はカプコンから発売されていましたが、本作のローカライズは新たに収録されたものになるそうです。ただし、当時のグラフィックで遊べるモードに関しては仕様が異なるらしく、現状では未決定とのことでした。

かつて味わった“地獄”を蘇らせる! その意気込みを開発者に聞く!

――なぜ初代『ディアブロ』ではなく『ディアブロ2』をリマスターしたのか、その理由をお聞かせください。

アンドレ・アブラハミアン氏(以下、敬称略):理由のひとつは、『ディアブロ』は現状でGoG.comでプレイできるからです。加えて『ディアブロ2』は最近20周年を迎えたばかりですし、今年はBlizzard自体が30周年です。

 それに併せた特別なもの……アクションRPGというジャンルを確立させた名誉あるゲームを、ということもあって『ディアブロ2』が選ばれました。並行して開発されている『ディアブロ イモータル』や『ディアブロ4』も、『ディアブロ2』とのつながりが深いことも理由ですね。

クリス・アマラル氏(以下、敬称略)(以下、敬称略):他のアクションRPGに影響を与えたゲームとしても代表的なタイトルですし、現在のゲーマーにも受け入れられる作品ではないでしょうか。

――本作の開発はどのチームが担当しているのでしょうか?

アンドレ:本作のために作られた個別のチームが担当しています。全員が『ディアブロ』シリーズのファンなので、リメイクを発表できることは誇らしいですね。

クリス:シリーズの各タイトルを手がけるチームは別々ですが、『ディアブロ』という大きな世界に関わる立場として、コミュニケーションは欠かさずに取っています。

――2021年発売と発表、現在の開発の進行度は?  また発売時期のヒントを教えて頂けないでしょうか?

アンドレ:現状では2021年内ということ以外にお伝えすることはできませんが、アルファテストへの申し込みが始まった、ということをヒントと捉えて頂ければと。皆さまからのフィードバックをお待ちしています。

――PCのほかに、さまざまな機種での発売が発表されましたが、PlayStation 5や、Xbox Siries S/Xは専用に作られたものなのか、各機の互換機能を使ったものなのかが気になります。

アンドレ:互換ではなく、次世代機、現世代機ともに両方をサポートしています。

――リマスターをするうえで重視したことについて教えてください。

アンドレ:ゲームデザインの面では、オリジナルが持つ楽しさを、そのまま再現することを重視しました。2000年~2001年のあの時代のちょっとしたクセみたいなものを残し、『ディアブロ2』のファンが好きだった要素は変えないことを意識しています。

 一方で、初めてのコンシューマへの移植にあたって、PCでもコンシューマでも進歩を共有できるクロスプログレッションを導入するなど、当時のおもしろさを損なわないような変更は取り入れています。

 例えば、収納箱のスペース拡張や、キャラクター間での共有化などですね。あとはゴールドを拾わずとも、自動的に回収してくれるオプションなども付けました。昔ながらのプレイを楽しみたい人は、この機能を設定でオフにすることもできますよ。

クリス:アートとしても、懐かしさを出すことで20年前の経験をさせたいという想いがあります。当時の感情を揺さぶり起こすようなものを目指すため、70%ほど昔のテイストを残しつつ、30%を新しいイメージで作り上げるという指針を設けました。

 70%の部分に含まれる昔の色や形、トーンといったものを忠実に再現するために、オリジナルの素材をそのまま使用しています。あえて目を細めて画面を見ることで、昔の画面と受ける印象が変わらないかどうかをチェックしていましたよ。

 キャラクターのデザインに関しては武具にもうちょっと機能性を付けたデザインに一新していますが、全体的に見た際に、昔のデザインと見比べても違和感がないものに仕上がっていると思います。3Dモデルについても、オリジナル版のスクリーンショットを撮り、トレースして再構築しているため、当時のイメージそのままに見えると思います。

――『ディアブロ2』のデスペナルティはトラウマになるほど強烈だった印象ですが、本作で変更などはありますか?

アンドレ:本作では新しい体験よりも、オリジナルのプレイ感を忠実に再現することを重視しているため、ゲームバランスへの変更はありません。あの当時のゲームは難しいものも多かったですし、もし攻略本を今も持っているなら、かなり有用なのではないでしょうか(笑)。

――配信では昔のアート資料を持ち出して公開されていましたが、そういったアートを見られるギャラリー要素や、機会を設ける予定はないのでしょうか?

アンドレ:今のところ予定はありません。ただ、今回のように見つけてきた資料の話をするのはいつもワクワクします。最近、壁に描かれた絵画などの、環境用のファイルを見つけました。

 また、各アイテムに書かれているルーンなど見つけたときも興奮しますね。開発内部でも、そのようなものを見たいという声は聞くので、ギャラリーは作りたいと思ってはいるのですが、残念ながらお約束はできないんです。

――グラフィックをオリジナルのものへと切り替えて遊ぶこともできるとのことですが、このオリジナルのグラフィックは、新たに2Dのデータを書き起こして作っているのでしょうか?

クリス:オリジナル版のグラフィックは本当に当時のまま使用しています。

――サウンドも当時のものを使用しているのでしょうか? 7.1ch対応ということで、新しい音源なども追加していますか?

クリス:ゲーム内の音楽や会話音声などは基本的にそのままですが、少しブラッシュアップしたものになります。足音の反響音や、周囲で水が滴る音、金属製の装備がぶつかって立てる音など、そういった背景音は少し追加しました。

――当時の技術的な問題から発生していたバグや遅延といったものは、どの程度改善されたのでしょうか?

アンドレ:本作は今のBattle.netの作品として発売されるので、現状のネットワークやセキュリティの品質で遊べることになります。ネットワークを通したゲームプレイの改善や、チート行為への対策なども可能な限り行う予定です。

――オリジナルの『ディアブロ2』や『ディアブロ3』は、長期的なアップデートやサポートを行っていますが、本作では発売後もイベントやラダーシーズンの更新などといった継続的なサポートはあるのでしょうか?

アンドレ:まず、オリジナルの『ディアブロ2』のBattle.net版はこのまま継続します。本作に関しては、昔のバランスの『ディアブロ2』を提供することを目標としているため、今のところそれ以上のことについては考えていません。

――本作はMODに対応するとのお話ですが、どういった判断でこの決断を下したのでしょうか? コンシューマでは厳しいかと思いますが、PC版のBattle.net上でMODのフォーラムが設置されるなどのサポートは考えていますか?

アンドレ:MODに関しては禁止することはありません。むしろサポートしていきたいと思っています。MODを通してコミュニティが盛り上がっていくのは嬉しいですから。

 もちろん、オリジナルの『ディアブロ2』で使えたMODのすべてが使えるとは言えませんが、昔よりもデータが扱いやすくなっていると思いますので、逆にMODを作りやすくなるのではないでしょうか。

 本作はクロスプログレッションの対応によって、PC版とコンシューマ版でのセーブデータの共有化が行えますが、MODを使用したPC版からコンシューマ版へとプレイを切り替える際にどうするかは、これから考えなければならない問題ですね。

――クロスプログレッションでプレイする機種を変更した場合、オプション機能はどの程度引き継げるのでしょうか?

アンドレ:今のところはなんとも言えませんね……。ただ、スキルのコントロールに関しては、キャラクターごとにマウス+キーボード用とパッド用、それぞれのキーバインドを設定できるようになっています。

――パッド操作ではマウス操作と勝手が違うことから、バーバリアンのリープ(跳躍)やソーサレスのテレポートといった移動スキルを使用した際に、一定の距離を飛ぶように調整されていると聞きました。また、『ディアブロ3』ではコンシューマ移植の際にドッジロールが追加されましたが、そのようなパッド向けのサポートは用意されているのでしょうか?

アンドレ:当時のゲーム性を再現したいことに加え、クロスプログレッションでPCとコンシューマを行き来できることを加味し、パッド操作向けの新しい操作を付け加えることは予定していません。

 むしろ、PC版でもパッドで遊べるような変更が主ですね。機種、操作方法を問わずに、可能な限り似たような操作性を実現できるように努力しています。

――PCとNintendo Switchでいっしょに遊ぶといったようなクロスプレイは可能なのでしょうか?

アンドレ:クロスプログレッションというのは、あくまでも自分のセーブデータを機種を問わず共有化する機能であり、クロスプレイとは別物です。なので、別々の機種同士でのクロスプレイには対応していません。唯一、リーダーボードだけはすべての機種が共有することになります。

――『ディアブロ3』のNintendo Switch版では画面分割プレイができるなど、独自の仕様がありました。本作では機種ごとによる要素の違いなどはあるのでしょうか?

アンドレ:コンシューマ機の性能に合わせて、例えばモデル数を調整したりといった細かい調整はしていますが、ゲームプレイ自体が異なることはありません。

 あくまでも画面解像度の違い程度ですね。画面分割に関しては、もともとの『ディアブロ2』の精神からはかけ離れているなと思ったので、今のところは実装の予定はありません。

――最後に、アンドレさんとクリスさんの好きなクラスと、プレイスタイルを教えてください。

アンドレ:悩ましいですね。白兵型が好きなので、ワーウルフやワーベアに変身できるドルイドが今は好きかもしれません。たまには遠隔攻撃系のキャラも使ってみたくなりますけどね。

クリス:ペットを扱うクラスが好きなので、ネクロマンサーを使って大量のペットで押し寄せるのが好きですね。


――ありがとうございました!

©2021 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

ディアブロ II リザレクテッド

  • メーカー: Blizzard Entertainment
  • 対応機種: Windows PC、Xbox Series X|S、Xbox One、PS5、PS4、Nintendo Switch
  • ジャンル: ハックアンドスラッシュ系アクションロールプレイングゲーム
  • 配信日: 2021年
  • 価格: 未定
  • CERO: 審査中

関連する記事一覧はこちら