『モンハンライズ』新要素の花結や交易、歌を使ったサウンド作りについてインタビュー

ophion
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 カプコンから3月26日に発売されるSwitch用ソフト『モンスターハンターライズ』の開発者へのインタビューを掲載します。

 本作は人気のアクションゲーム『モンスターハンター』シリーズの最新作。“翔蟲(かけりむし)”を使って、フィールドを縦横無尽に翔けたり、モンスターを操ったりが可能です。またオトモやモンスター、フィールドなどさまざまな要素が進化しています。

 お話を伺ったのは、辻󠄀本良三プロデューサーと一瀬泰範ディレクター。公開されたモンスターや世界観、マルチプレイなどについて質問しました。

 なお、インタビューはオンラインでの実施。インタビュー中は敬称略となります。

歌を使ったサウンド作り

――体験版のタイトル画面や事前に見させていただいた映像の食事シーンなど、本作では歌を聞くシーンが多いように感じています。これまでのタイトルよりも、歌や言葉が特別な位置づけになるのでしょうか?

  • ▲画像は体験版のもの。

一瀬:サウンド制作チームからの提案もあって、本作ではサウンドを作るうえでのコンセプトとして、歌などを使って“言葉の持つ力”をサウンドに盛り込むことにチャレンジしています。

 すべての要素に歌が入っているわけではありませんが、BGMにバックコーラスが入っているといったように、声も楽器の一部としてサウンドを制作してきました。その中で重要な位置づけのものについてはキャラクターが歌っています。

 いろいろな方に協力いただいており、聞きごたえのある『モンスターハンター』の曲になっているので実際に聞いて確かめてほしいですね。

――『モンスターハンター』で“歌”といえば、歌姫が思い浮かびますが本作に歌姫は登場するのでしょうか?

一瀬:歌姫はいませんが、受付嬢の2人がストーリー上でも大事な役割を担っており、そこに紐づいて集会所や里のBGMは彼女たちが歌っているような形で曲を構成しています。

 また、映像でお見せした料理施設のお団子歌は、ヨモギちゃんが歌っています。機能としてはシーンカットも用意していますが、食事シーンは一度見ると飛ばしがちになってしまうので、何回聞いても楽しんでいただけるものに仕上げたつもりですので、是非是非何回も料理施設へ足を運んで聞いてみてください。

――お団子について、これまでの食事システムとの違いを教えてください。

一瀬:本作の食事は、3つの団子を組み合わせて食べるものになっています。個々の団子にはそれぞれスキルが設定されており、プレイヤーは自分が発動したいスキルの団子を3つ選びます。

 ゲームの進行に伴ってお団子の種類は増えていき、実際に食べる三色団子のバリエーションが増えます。また、拠点であらかじめ食べる他、クエスト開始後もキャンプでお団子を食べることができます。

既存のモンスターの狩猟は懐かしくも新鮮なものに

――動画ではフルフルとビシュテンゴの狩猟シーンが見られました。これらのモンスターはどのくらいの進行度で狩猟できるモンスターなのでしょうか?

一瀬:どちらも序盤から中盤にかけて登場するモンスターで、そこまで狩猟難易度の高いモンスターではありません。

――と、いうことはいくつかのタイトルで見られたような初心者の壁という位置づけになるのでしょうか?

一瀬:フルフルは作品によって登場するタイミングが異なるモンスターですが、本作ではイメージされているように少し狩りに慣れた初心者が「おっ、手ごわい」と思ってくれるような位置づけになっています。

――フルフルのアクションはこれまでの作品に登場したものに近い形になるのでしょうか?

一瀬:そうですね。これまでのシリーズのプレイヤーさんにとっては懐かしさを感じるアクションが多数用意されています。

 ただ、プレイヤーのアクションが大幅に増えていることに伴って新しいアクションや調整を行ったアクションもありますので、フルフルに限らずこれまでに登場したモンスターにも新鮮さを感じられるようにしています。

――これまでの作品に登場したモンスターに対しても、“翔蟲”を利用した新たなアプローチが可能なのでしょうか?

一瀬:翔蟲を使わなければ狩猟できないモンスターはいませんが、使うと快適に狩猟できたり簡単に回避できる攻撃があったりするという仕組みは意図的に入れているものもあります。

 空中で停止して地面を薙ぎ払う攻撃をかわすというイメージですね。

――ビシュテンゴの見た目や動きは、どんな生物をモチーフにしているのでしょうか?

一瀬:どのモンスターもそうなのですが、いくつかの要素を複合的にモチーフにしています。ビシュテンゴは全体のイメージは天狗やカラス天狗をモチーフに取り込みつつ、生き物として猿をイメージしました。

 動きのモチーフとしては日本のコマのイメージから、尻尾を軸に回転するといった要素を盛り込んでいます。

 また、猿の要素を取り入れたモンスターなので、他のモンスターにはない動きとして“柿を投げる”といったアイテムを使ったトリッキーな動きを用意しました。

――“猿”で“柿”と言うと、“サルカニ合戦”がイメージの元になるのでしょうか?

一瀬:そうですね。猿らしさを考えた時にプレイヤーがしっくり来るものとして、“サルカニ合戦”はビシュテンゴのイメージの元のひとつになっています。

 他のモンスターであれば、河童蛙・ヨツミワドウならば、河童だからアクションのなかに相撲からイメージしたものを取り込むなど、モチーフにした動物や妖怪に関連したものをアクションにも採用しています。

――新モンスターは妖怪をモチーフにしつつも、現実にも存在していそうな印象を受けます。そういったリアリティは意識しているのでしょうか?

一瀬:当然本作でもモンスターにしっかりとしたキャラクター性を出したいという思いはありました。

 『モンスターハンター』はシリーズを重ねる中で、さまざまなモチーフを使ってきています。本作では和風、アジアテイストを出すためにモンスターを構成する要素のひとつとして“妖怪”を取り入れています。

 モンスターを制作する際には、妖怪をモチーフにしつつ実際の生き物の生態を調べて、双方を合わせてゲームに落とし込んでいますね。

幅広いマルチプレイを体験してほしい

――製品版でのマルチプレイの始め方について聞かせてください。

一瀬:カムラの里にいる、アイルーのセンリというNPCに話しかけることでマルチプレイを始められるようになっており、そこでロビーを作成したり、探したりするという流れです。

 マルチプレイの流れについては次回情報出しで説明させていただく予定ので、詳細についてはもうしばらくお待ちください。

――マルチプレイで他のプレイヤーを視認できるのは、集会所のみになるのでしょうか?

辻󠄀本:本作では、集会所の内外問わず、他のプレイヤーと行動をともにすることができます。PVで集会所の外を走っているシーンがありましたが、よりにぎやかにマルチプレイを楽しめますよ。

一瀬:以前に見てもらった映像に修練場で他のプレイヤーと遊んでいるシーンがあったように、基本的に本作ではマルチプレイ中にあらゆる場面で行動をともにできるようにしています。

 里内で一緒にいる感覚が強くなっているので、同じ世界を他のプレイヤーとともにしている没入感をより直観的に得られるかと。

――昨今ではオンラインでつながるプレイヤーが多いと思いますが、そういったことも意識されているのでしょうか?

辻󠄀本:インターネット経由でのつながりをことさら重視している、ということはありません。むしろ携帯機モードがあるSwitchでリリースするので、より幅広い形でのマルチプレイを楽しんでもらうことをコンセプトにしています。

――マルチプレイ中の制限などはありますか?

一瀬:極力なくす方向で作っており、武器の生産やアイテムボックスにアイテムを出し入れするといった行動はマルチプレイ中でも可能です。

 ただ、不具合が生じてしまうようなごく一部の要素に関してはマルチプレイ中にはできなくしているものもあります。

オトモガルクは“猟犬具”で能力を拡張できる!

――体験版ではオトモガルクをハンターが活用している印象でした。オトモアイルーならではのメリットについて聞かせてください。

一瀬:体験版でプレイヤーの皆さんが活用していたように、移動に関してはオトモガルクを利用するとかなり快適になります。時に近接武器を装備している場合、ガルクに乗りながら武器を研げるのも大きなメリットです。狩猟面でもオトモガルクのほうが積極的に攻撃を仕掛けてくれますね。

 一方のオトモアイルーはハンターを回復したり、ワナを仕掛けたりといった補助面でハンターをサポートしてくれます。プレイに合わせてオトモガルクを2匹選んでもいいし、オトモアイルー2匹にしたりとかでもいいかと。

 ガンナーならば、オトモアイルーを2匹を連れてとにかくサポートしてもらうというスタイルもおもしろいです。

 個人的には「ガルクとアイルー1匹ずつがバランスがいいかな?」と感じているのですが、いろいろ試して自分にあったものを選んでもらえればと思います。

――オトモガルクの装備やスキルによる拡張性は、どのようなものが用意されているのでしょうか?

一瀬:ガルクにはクエスト進行で手に入る“猟犬具”と呼ばれる、普通の武器以外に装備させられる特殊なアイテムが用意されています。

 この猟犬具を付け替えることで、オトモガルクの役割を変えられるのです。PVでは傘のようなものを使っているシーンや鎖鎌のような長い武器を使っているシーンがいくつかありますが、こういったアクションの変化は猟犬具の違いによるものです。

移動の快適さと武器種ごとの狩りを両立させる翔蟲

――『モンスターハンターワールド:アイスボーン』のクラッチクローとは異なり、翔蟲による移動が納刀状態でしか使えないのはどういった狙いがあるのでしょうか?

一瀬:翔蟲による移動を納刀状態でのみ使えるものにするか、抜刀状態でも使えるものにするかは開発スタッフ内でも議題に挙がりました。

 その中で、抜刀状態でも翔蟲で移動ができた場合、“つねに翔蟲で跳躍して攻撃すればいいとなっては、武器ごとの個性が希薄になってしまう”という結論に至り、今のような仕組みになりました。

 翔蟲のアクションのベースには、“移動している時の軽快さや快適さを楽しんでほしい”というものがあります。そのうえで、武器ごとの特性を伸ばすようなアクションも追加したというのが、鉄蟲糸技も含めた本作での翔蟲を使ったアクションの位置づけになっています。

――新要素の“花結”について詳しく聞かせてください。

一瀬:“花結”はゲーム進行でもらえるブレスレット的なもので、クエスト中に取得したヒトダマドリによって上昇するパラメータの総量が変わってくる仕組みになっています。

 “花結”の種類によって、攻撃力の上限が高い、体力の上限が高いなど特徴が異なるので自分のプレイスタイルや、狩猟するモンスターに合わせて花結を付け替えて、合わせてクエスト中にヒトダマドリをどれだけ集めるかを考えるという遊びになっています。

――“花結”の入手にはランダム性はあるのでしょうか?

一瀬:まず、最初の花結はゲームを始めてすぐに手に入ります。その後、ゲームの進行とともに里長のフゲンからもらえるよう仕組みです。ですから、同じ進行度のプレイヤーなら同じ花結を手に入れられます。

――“交易”についても詳しい話を聞かせてください。

一瀬:カムラの里にあるオトモ広場で“交易”ができます。欲しいアイテムのカテゴリーにあわせて、派遣するオトモを選択するシステムになっています。

 また、“カムラポイント”というポイントを使ってアイテムを交換できる仕組みも用意しています。

――最後に、辻本さんからお伝えしたいことがあるとのことですが……。

辻󠄀本:本作『モンスターハンターライズ』ですが、かねてより海外からも要望の強かったPC版も2022年初頭を目安に開発を進めています。詳細はまだまだ先になりますが、決まり次第お伝えできればと思います。よろしくお願いいたします。

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