鳥取県の砂丘化に四国志!? 根底に流れるサクラの血とトンデモ大作戦『サクラ革命』の物語を振り返る
- 文
- まさん
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セガとディライトワークスが共同制作するiOS/Android用アプリ『サクラ革命 ~華咲く乙女たち~』のメインストーリーを振り返ります。
本作は、コンシューマで展開している『サクラ大戦』シリーズの系譜を受け継いだ新たなサクラシリーズです。時代は歴代シリーズの遥か未来となる太正100年。現実とは異なる架空の時代(西暦にすると2011年)と各地方を舞台に、ありえたかもしれない可能性の未来を描いています。
現在、メインストーリーは九州、中国、四国を通過し、第三章まで実装済み。さらに、先日のアップデートで待望の読み返し機能“ストーリー回想”が搭載されました。
本作は『サクラ大戦』とはシステムやゲーム性も大きく異なりますが、その根底に流れるものは紛れもなく『サクラ大戦』の血脈。太正100年の乙女たちと交流しながら悪しきモノを打ち払っていく物語は、まさに『サクラ大戦』の未来に相応しい形となっています。
また、ゲーム内では“150万DL突破キャンペーン第2弾”の一環として、3月10日15:59までメインストーリーの消費APが1/2になる“奪還応援キャンペーン”が実施中。通常より少ないAPでメインストーリーが読める絶好のチャンスです。
今回は、おふざけとシリアスのバランスが絶妙な『サクラ革命』のメインストーリーを紹介。第一章~第三章を振り返りつつ、物語の魅力と好きな乙女を推していきたいと思います。ぜひ、最後までお付き合いください。
地方出身の太正モダン娘vs現代風トップアイドル集団!
奪われた日本を取り戻せ! 敵は政府公認の帝国華撃団。こちらは自称・帝国華撃団!? テロリストとして日本政府から追われる立場、というすごい状況から始まる『サクラ革命』。
アプリゲームとしても『サクラ大戦』シリーズとしてもなかなか挑戦的なのですが、これが意外や意外、メインストーリーが非常におもしろいのです。自分も『サクラ革命』にハマっていてイベントごとにしっかり課金していますし、現在もバリバリ育成中。次のイベントも楽しみに待っています。
遊んでからとくに驚いたのは、なんと言っても味方側の設定ですね。今までのシリーズでは政府側について帝都で人気の歌劇団を運営しつつ、裏では日本を救う帝国華撃団として戦ってきたのですが、今回は政府の敵。
全国各地に出現した“降鬼(こうき)”を祓い、元の人間に戻すために全国各地に建てられた霊力塔を破壊しながら旅をするという設定。完全に政府を敵に回しています。
もちろん、浄化するために各地方のラストでは公演を行うという歌劇団要素もありますが、肩身の狭さがすごい。『新サクラ大戦』では帝国華撃団が弱体化していましたが、もうそれ以上。地方のドサ回りを行う小劇団くらいの規模になっています。
そうなんですよ。歴代シリーズにおける帝国華撃団の立ち位置とは正反対! むしろ、今までの帝国華撃団は政府側の“大帝國華撃団B.L.A.C.K.”として存在しており、人々が熱狂しているのも彼女たちなのです。この逆転した立場が、全国の旅を通してどう変わっていくのかも見どころといえるでしょう。
四十七都道府県の乙女たちを集めて吉良首相を討たんとする構図は、まさに忠臣蔵ですし、それに対する政府側の“大帝國華撃団B.L.A.C.K.”は研究生含めて108名。こちらはきっと水滸伝がモチーフだと思われます。太正モガたちの忠臣蔵vs平成風アイドルグループの水滸伝!?
ちなみに“大帝國華撃団B.L.A.C.K.”のトップスタァ・統星プラナは、見た目もクールで今風のトップアイドルといった印象を受ける乙女です。プロローグでは一緒に行動するので、彼女たちと華撃団活動をしたいと思った人も多いはず。私は思いました。ああ、早くプラナ君たちと交流したい……! 大帝國ガチャを実装してください!!
新しい『サクラ大戦』を描く上で立場を逆転させているところもポイントなのですが、この2つの華撃団の対比もおもしろいところ。敵となる“大帝國華撃団B.L.A.C.K.”のメンバーは明らかに現代風のトップアイドル集団。平成や令和的なトップアイドルという印象なんですよね。服装も基本的に統一されていますし、まさに訓練された政府のアイドル集団。
それに対して、主人公が率いる我らが帝国華撃団は太正モダンな服装センス。素材も器量もよいのですが、どこか垢ぬけきっていない地方から出てきたばかりのアイドル感が漂っています。それもそのはず、彼女たちは各地方出身かつ全国でスカウトする素人集団。まさに発展途上の地方アイドルなのです。
最初に出会う咲良しのちゃんからして、太眉、パッツン髪、着物という現代のメインヒロインとしては挑戦的なデザイン。敵が令和の今風なのに対し、こちらは太正(大正)時代が100年まで延長した今風。西暦にすれば2011年と現代に近いのですが、太正モダンのセンスを受け継いだ感じで最初は驚きました。
ですが、『サクラ大戦』シリーズの世界から延長して生まれた未来としては、主人公側のデザインのほうが正統に近い形なんですよね。そして、新たに気づかされるのです。ご当地感のある太正乙女は、これはこれで愛おしいと……。
初見では、自分も相当ビックリしたんですよ。ずいぶん思い切ったものだと。そもそも、乙女たちの服装センスは作中のファッションデザイナーが指摘するくらいなので意図的なんですよね。
あえて太正風な意匠を散りばめつつ、武骨な霊子ドレスとのギャップと物語を通じて描かれる成長で魅力的に見えてくる。各地方を巡る関係上、以前までのシリーズよりも加入から事件解決までの速度感は上がっていますが、じっくり遊んでもまだまだ乙女の信頼度が上がりきらず、底は見えません。
登場する乙女たちは髪形や服装こそ太正100年時代のモダンなセンスですが、素材としてはカワイイ子や美人がそろっています。この現代のようでどこか違う感覚が新鮮。
作中の看板や雑誌の横書きが右から左へ書かれていたり、やはり現代に近い時代であっても違うのです。大正や昭和のレトロ感が漂う太正100年(西暦2011年)という架空の時代におけるリアリティも好きなところですね。
そんな乙女たちがヘンテコ大作戦飛び交うシナリオを通して成長する姿は、まさにもう1つの『サクラ』シリーズ。そう。乙女たちのキュートさはもちろん、ぶっ飛んでいるようでちゃんと着地するシナリオも魅力的なのです。というわけで、ここからはシナリオの魅力について少し語らせてください。
次から次へと出てくるトンチキ大作戦でギアがかかる第二章
先ほども書いたように、日本の敵ということで設定はシリアス。ですが、暗い話ではありません。敵がやってくる作戦の規模が壮大なトンデモっぷり。いい意味でムチャクチャやってくれます。
たとえば、第一章の時点で敵の総督・マモンがやってくる作戦からして豪快。「熊本城を解体してネオ熊本城を建設しようとする」、「別府の温泉からパイプラインを引いて自宅を温泉にしようとする」などなど、やってる作戦が日曜日の朝の怪人レベルです。こんな総督さっさとクビにしましょうよ、吉良首相!
この時点でぶっ飛んでいるように感じるかもしれませんが、まだまだ序の口。第一章はゲームの世界観と乙女が加入する流れのチュートリアル的な話なので、まだ全然振り切れていません。すでに、でたらめな作戦の片鱗が見え隠れしていますが導入レベル。
物語が本格的に動き出すのは第二章からですね。とくに、シリアスとヘンテコな作戦のバランスが絶妙なのが第二章。現在実装されているなかでも一番好きなシナリオです。
ご当地の特徴を利用しつつ、最終的には作戦としても大きな意味があることがわかり、真面目な話も展開していく笑いあり涙ありの話の完成度は、現状で一番魅力的なシナリオだと思います。
中国総督・時田梅林の指示のもと「山陰と山陽を逆転させて都会化する」、「鳥取砂丘を埋め立てて、鳥取県を砂漠化して観光地化する」などの正気とは思えない作戦を実行する敵たち。鳥取砂漠もわざわざ砂を空輸して、人力で埋め立ててるんですよ。やることが豪快すぎて突っ込みが追い付かない!
豪快かつアホっぽい作戦だけならギャグでしかないのですが、この第二章の本質はそこではありません。メインとなるのは中国総督の兄・時田松林を師匠と慕い、彼のもとで学び、志をともにした中国地方の乙女たち。
しかし、敬愛していた松林の死によって乙女たちは立場も志もバラバラとなり、空中分解した状態になっています。中国が舞台ということで松下村塾が元ネタだと思われますが、この中国地方の乙女たちの成長と再結成が泣けるのです……!
カリスマ的な支持を集める男性の指導者のもと、集まった乙女たちが志をともにする。しかし、志半ばで指導者が亡くなってしまう。中国地方の乙女たちの姿は、歴代シリーズでありえたかもしれない途中で負けた華撃団のifとしても見られます。
もしも、大神一郎や大河新次郎、神山誠十郎を途中で失ってしまったら……。華撃団の乙女たちはどうなっていたのか。そんな光景が頭によぎるくらい、乙女たちの姿が痛々しいのです。
そこにお出しされてくるムチャクチャ大作戦! 大都会となったメガロポリス出雲がドバーンと出現!! 福山潤さんのボイスで堂々としゃべる時田梅林のおかげで、なんだか説得力があるような気がしてきちゃうのもまたズルい。
『サクラ革命』のシナリオを象徴する章でもあるので、気になる人はまずはここまで遊んでみてください。
やりすぎなところもあるけど、これもアリ!? パロディ満載四国志
シリアスに決めてくれた第二章から、打って変わってパロディ満載の第三章。三国時代のようになった四国を舞台に、争い合う各県を救う物語が描かれます。
四国の各地を独立させて均衡を保つ“天下四分の計”を実現するため、司令と帝国華撃団が四国を巡り……って、何言ってんの!? 次回予告の時点でおかしかったんですが……。
敵はもちろん、降鬼(こうき)……ではなく黄色い布を被ったこうきん。やっぱり四国志ですからね。登場するモブや敵たちもどこかで見たような絵柄の人たちが出てきて……って、大丈夫!?
おふざけ全開で突っ込みが追い付かない話ではありますが、九州で立ちはだかったベリアルの再登場など真面目な見どころも。メインストーリーでここまでギャグに振り切って次からどうなるのかと思いきや、第四章は予告を見る限りシリアスなので、やっぱりこのゲームは読めません。
カワイイ、強い、個性派ぞろいの乙女たち。限定キャラは取り逃せない!?
ストーリーもおもしろいのですが、やはりメインとなるのは乙女たちでしょう。このゲームはまだ始まって3カ月ほどですが、現時点で実装されている乙女たちも魅力的。ガチャで引いたばかりだと、素性がよくわからなくて誰だろう……? と謎が多い感じなのですが、ストーリーを通して魅力が掘り下げられると、愛着が湧いて育てたくなります。
ただ、別の地域から先行して参戦した一部の乙女は、ストーリーやイベントに登場していないことも。そうした乙女たちは公式サイトや公式Twitterでプロフィールなどを公開しているので、そちらを見て想像を膨らませましょう。
とくにイベント限定キャラはカワイイうえに強いので、今後の復刻があったら確実にお迎えしておきたいもの。
九州花組の“玉野アンジェリカ”は必殺攻撃を撃つのに必要な“気力”を上げる技を多く持ち、シューターとしても強い現状の最強キャラになっています。復刻したら絶対引いておきましょう。
ただ、期間限定キャラは復刻するまでは手に入らないので、今から始めた人たちに向けた推しキャラも紹介します。
やはり、個人的には★4とは思えない性能をしている回復キャラの“伊万里くすの”がお気に入りかな。引っ込み思案な性格をしているのですが、そこがキュート。あと、ドレスのデザインも魔法少女風でいい!
★4“伊万里くすの”は、常設の霊力調査(ガチャ)“霊子水晶調査”だけでなく、現在開催中の“奪還応援キャンペーン 九州乙女 ピックアップ調査”にも登場しています。これは、九州・中国・四国それぞれに登場する乙女を中心にピックアップする期間限定霊力調査で、手に入りやすくなっていますので、ぜひ!
また、★3のタンク役ですが、育てると下手な★5ではかなわないほどタフに味方を守る“天神ひめか”も★3にしておくには惜しいほど。使っていて愛着が沸きました。
もちろん“咲良しの”も好きですし、セガ(ゲーム内ではSAGA)の魂を体現する……というよりもゲーム機をそのまんま装備している“最上むつは”も捨てがたし。
ほかにも、まだまだ魅力的な乙女たちがたくさん登場します。3月中旬より九州・中国・四国の乙女が登場する新たな期間限定イベントが開催されることが公式から発表されました。新イベントをより楽しむためにも、今のうちにメインストーリーの内容は押さえておきたいところ。
各地方の乙女たちがストーリーを通して成長し、章ごとのラストで歌劇の公演を行う。姿や立場は変われど、彼女たちも帝国華撃団。自分も彼女たちの旅の終わりがどこに行きつくのか、最後まで見届けるつもりです。
奇抜な設定と太正浪漫の延長上な世界観に驚いた人もいるかもしれませんが、これも立派な『サクラ大戦』シリーズ。ストーリーでもフレンドを借りられるようになり、クリアもしやすくなりました。ぶっ飛んでいるけど根底に熱き血潮が流れるメインストーリーを見るだけでも価値があるので、ぜひプレイしてみてください!
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