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【おすすめDLゲーム】『名探偵ジェニー・ルクルー』多彩な仕掛けに挑む謎解きアドベンチャー

信濃川あずき
公開日時

 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回はNintendo Switch用ダウンロードソフト『名探偵ジェニー・ルクルー』をお届けします。

 クラウドファンディングの資金調達に成功して2019年にリリースされたSteam版『Jenny LeClue - Detectivu』は、かわいらしいキャラクターとボリューミーな謎解きが評価を得ています。そんな本作が、Switchでも遊べるようになりました!

 手がかり探し、推理、パズル要素、会話の選択肢など、つねに頭をほどよく使える要素が盛りだくさん。ストーリーも、早く続きが読みたくなる中毒性があります。そんな本作の世界を紹介します。

 ……紹介の前に名称について記載しておきます。作中の主人公の名前は“ジェニー・レクルー”となっています。が、紹介ページのタイトルは『ジェニー・ルクルー』。

 紹介ページが誤訳していることも考えましたが、調べたところ“Le Clue”はフランス語で“手がかり”という意味のようで、あえて別にしているのかもしれません。英語タイトルは『Jenny LeClue - Detectivu』となっており、LとCが大文字になっていることもあえてのような気がします。

作者と一緒に紡ぐ小説の世界

 主人公ジェニーは、作家フィンケルスタインさんが執筆している小説の登場人物です。ジェニーが町のちょっとした謎を解くという内容で、これまで38作をリリースしている超ロングセラー小説。ところが、最近その売り上げがガクッと下がっています。

 このままではシリーズが終わってしまう……。作者はついに担当編集者のアドバイスに従い、平和だった小説の世界で殺人事件を起こすことを決意したのです。

  • ▲作家アーサー・K・フィンケルスタイン。『ジェニー・レクルー』シリーズを30年にわたり執筆してきました。
  • ▲作者としては平和な世界観を崩したくなかったのですが、シリーズを続けるためにやむを得ず殺人事件を起こすことにします。

 平和な町で小さな謎を解くシリーズだった『ジェニー・レクルー』の世界に、初めて起こる殺人事件。ゲームをプレイしながらジェニーとともに事件を追い、解決に導くのがプレイヤーの役目です!

  • ▲さあ、作者と一緒に物語の世界を作っていきましょう。

 物語の舞台はアーサートンという町。どこにでもある静かで小さな町でした。ひと通りのお店、学校、教会、警察署のある、旅に出ればどんな国でも見かけるような場所。この町に住むのが、主人公のジェニーです。

▲いきなり主人公が死んでいる……と思いきや、これは大学の授業です。
  • ▲ジェニーの母、元刑事のジュリー。大学で犯罪の解決について教えています。

 ジェニーは、母の授業を手伝うために死体役をやっていました。ところが、母親の著書をすべて読み、あらゆる捜査テクニックを身につけているジェニーは、周囲の大学生たちに先んじて謎を解決してしまいました。

 しかし、犯罪が起こらない町・アーサートンでは「この事件解決のテクニックも使わないだろう」と、大学生たちは言います。なんて平和な世界なんでしょう。

 そう思いましたが、そういえば作者は事件を起こすつもりなんですよね。今は平和ですが、この先何が起こるかヒヤヒヤと読み進めます。

  • ▲おしゃれには無頓着。とにかく大きな事件を解決する名探偵になりたいジェニー。少しひねたところがまたかわいいんです。

 ジェニーが名探偵になりたがっていることは、町のみんなが知っているようです。あちこちでみんながジェニーに謎を出してきますので、準備運動がわりにどんどん解いていきます。次から次へと出される謎に、ワクワクが止まりません!
 平和なこの町は、謎だらけでした。謎を解きながら町を進むと、ジェニーの人間関係も見えてきます。

  • ▲大学の学長、ストラウスベリーさん。年は違えどジェニーの友人で、母ジュリーとも親友です。
  • ▲謎を出されたら、対象をくまなく観察して推理します。くわしくは後ほど解説!
  • ▲町では不審者といわれている男性CJ。会話がいまいちかみ合わないけど、ジェニーとは親しい様子。
  • ▲ストラウスベリー学長の息子・キース。ジェニーにとって唯一の、年齢の近い親友です。

ついに起こる事件、その容疑者は母!

 ジェニーは母ジュリーと会うために、彼女がいると思われる図書館へ向かいます。ところが、図書館の様子がなんだかおかしい……。カウンターにスタッフがいないどころか、館内に人の姿がありません。事件の気配を感じたジェニーは、図書館の奥へとひとり進んでいきます。

  • ▲背景に小説の地の文が書かれています。演出がおしゃれですね。
  • ▲電動のはしごシステムが故障し、行く手を阻みます。ここも謎解きで解決!
  • ▲無人の図書館をひたすら奥へ。時刻は16時ごろ……まだ人がいてもおかしくない時間です。不気味ですね。

 ついに図書館の最奥へと辿り着いたジェニー。そこで見たものは……やっぱり、死体だったのです。わかってはいたけれど、平和な世界が失われたことに喪失感を覚えました。

  • ▲作者による地の文の語りが、わかりやすく状況を伝えます。この落ち着いた語り口調がまた不気味です。
  • ▲死体を目撃するジェニー。ついに、本当の事件が起こってしまいました。
  • ▲なお作者は、この世界で殺人を起こしてしまったことを強く後悔しているようです。

 ジェニーは犯人の気配を感じて追いかけますが、逃げられてしまいました。高所から落ちて気を失ったジェニーが眠っている間に、事態は進展。事件の第一容疑者とされたのは……なんと母ジュリーだったのです。

  • ▲ここまで完璧に謎を解いてきたかっこいいジェニーのピンチ! 何とかしてあげたくなります。
  • ▲容疑者とされたジュリーは牢屋に入れられてしまいました。

 目覚めたジェニーは、新聞で状況を知りました。そこに書かれていたのは、事実とは反することばかり。なにせジェニーは事件現場を見ているのですから。

 メディアも警察も、母が犯人だと思い込んでいる。母を助けられるのは自分しかいない! ジェニーは母を助けるため、事件を自分の力で解決することにしたのです。

  • ▲母を助ける! ちょっとひねた少女ジェニーのまっすぐな決意に、胸が熱くなります。

推理やパズルでつねに頭が活性化!

 ジェニーが謎を解くには、まず手がかり探しから始まります。充分な数の手がかりが集まったら、ジェニーはそこから真実を導き出すために愛用のジャーナル(手帳)にメモを書き込みながら推理を行います。

  • ▲カーソルを動かして、怪しいところを探します。
  • ▲時には、隠れた手がかりを引っ張り出すため愛用の拡大鏡を使います。
  • ▲怪しいところを見つけると、ジェニーがどう怪しんでいるのかをコメント。このあとの推理のため、コメントは重要です。
  • ▲手がかりが出そろったら、いよいよ推理です。関連すると思われる手がかりを選びます。
  • ▲選んだ手がかりがあっていれば、ジェニーの推理が進みます。

 見つけた手がかりに対してジェニーが何を思ったか、そして「今解くべき謎は何なのか」を念頭に置いて、必要な手がかりを選ぶことが重要です。ほどよく頭を使いますし、サラサラとメモが書き込まれていく推理パートが楽しくて夢中になってしまいます。謎が解けた爽快感をジェニーと共有しているというのもいいですね。

 ジェニーの解く謎はこれだけではありません。彼女の行く手を、さまざまなタイプのパズルが阻みます。

  • ▲ダイヤルの線をあわせるパズル。連動して他のパネルが動いてしまいます。
  • ▲可動式書棚を動かして通路を作ります。意外と複雑でした。
  • ▲ケーブルを正しく接続するパズル。筆者はこれが非常に苦手です。
▲メモの内容を読解して、文が示す場所を探します。そもそもボートの運転にテクニックが必要です。
  • ▲部屋の中の怪しい場所を調べて、アイテムを探すといった物探しも。

 背景の怪しい場所を探したり、パズルを解いたり、推理をしたり……あらゆる謎解き要素が詰まっています。謎に飢えている謎解きファンに、たっぷりと活力を供給するはずです。

 さらに、おまけとして収集要素もあります。ジェニー愛用のジャーナルは“ステッカー”を貼り付けて自由に飾り付けができるのですが、このステッカーはあちこちに隠されています。

  • ▲やっぱりジェニーも女の子。手帳をかわいくデコってあげましょう!
▲ステッカーは背景に潜んでいたり読んでいるチラシに溶け込んだりしています。拡大鏡でよーく探しましょう。

 このステッカー収集要素がまた中毒性が高いんです。ステッカーはどれもデザインがよく、集め始めたら全部欲しくなってしまいます。でも、そこはやっぱり謎解きゲームですので、一筋縄ではいきません。「こんなところ見落とすよ!」と言いたくなる場所に、巧妙に隠されています。

  • ▲得られる情報が変わるなど、会話の選択肢も重要です。どの選択をしたのかは、ジャーナルに記録されています。

 クセが強いところがかわいいジェニーと一緒に、一見平和に見えるけどどうやら裏がありそうな町アーサートンをすみずみまで調べ尽くしましょう! そして、ジェニーのお母さんを救うことができるのか……。ぜひ、プレイして結末を確かめてください。

(C) 2020 Mografi & Joseph Russ

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『名探偵ジェニー・ルクルー』

  • メーカー:Mografi
  • 対応端末:Nintendo Switch
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 配信日:2021年2月25日
  • 価格:2,499円(税込)

『Jenny LeClue - Detectivu』

  • メーカー:Mografi
  • 対応端末:PC(Steam)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 配信日:2019年9月19日
  • 価格:1,980円

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