『ジャックジャンヌ』プレイレポ・ストーリー編。演劇にかける少年たちの想いに圧倒される物語!

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 ブロッコリーより3月18日に発売されたNintendo Switch用ソフト『ジャックジャンヌ』。人気漫画家の石田スイ氏が原作、キャラクターデザイン、シナリオを手掛ける新作少年歌劇シミュレーションゲームです。

 本作のプレイレポートを物語&キャラクター編と、システム編の2回に渡ってお届け!

 今回は読み応え抜群のストーリーと、主人公の仲間でありライバルでもあるキャラクターたちの魅力をご紹介します。

セリフを一言たりとも聞き逃せない重厚な青春群像劇

 物語の舞台は、劇団・玉阪座の役者を育成する名門ユニヴェール歌劇学校。この学園に入学できるのは男子のみで、男性役を演じる役者はジャック、女性を演じる役者はジャンヌと呼ばれます。

 主人公・立花希佐(名前のみ変更/声優:寺崎裕香※ON・OFF機能有)の兄・継希はこの学校の至宝と呼ばれ、玉阪座での活躍を期待されていましたが何故か行方不明に……。

 自身も演劇に興味を持ちながら、家族を助けるために夢を諦めていた彼女でしたが、学校長の中座秋吏(声優:子安武人)から特例として入学への試験参加を認められ、見事それを突破。

 彼女は“女性であることを隠し通すこと”、“1年の最後にある最終公演で主演になること”を条件にユニヴェール歌劇学校の生徒として過ごすことに!

 序盤から石田スイさんの美麗なイベントCGと一緒に主人公の演劇や兄への想いをていねいに説明してもらえるので、女の子でありながら男子限定の歌劇学校に入学すると言う展開も無理なく自然な流れで受け入れることが出来ました。

 ユニヴェール歌劇学校は1年生~3年生まで所属する4つのクラスがあり、生徒主体の個性的な劇団を形成。1年間に行なわれる5回の定期公演(新人公演、夏公演、秋公演、冬公演、最終公演)で、最も優れたクラスを目指してそれぞれが競い合っています。

 “クォーツ”クラスに入った主人公は、1年生主体の新人公演でいきなり主役の“アルジャンヌ”に抜擢。

 男性トップの“ジャックエース”になった織巻寿々(声優:内田雄馬)や役を得た世長創司郎(声優:佐藤 元)、先輩たちのサポートで自分の役を掴んでいきますが、活躍に嫉妬する同期の1年生との間には不協和音が生まれていて……。

 クラスのメンバーは演劇を作る仲間であると同時に、役の座を競い合うライバルでもあるんですよね。舞台のキラキラした部分だけでなく、どうしても生まれてしまう負の感情もしっかりと描かれているのがとてもリアル。

 その問題にしっかりと向き合って乗り越えていく主人公たちの姿がとってもステキで、青春っていいなと思ってしまいました。さりげなく手助けしてくれる先輩方も、またカッコいいんですよね。

 公演がどんな結末になるかは、ぜひみなさんの目で確かめていただきたいです。


 続く夏公演では一転して、主人公は男性役である“ジャック”として出演することになります。

 もともと女性である彼女が、男性を演じるのは体格的にも所作的にもかなりの難題。ついつい周囲と自分を比べてしまって落ち込む姿にとても共感します。

 それでも持前の豊かな感受性や強い気持ちで自分らしい“ジャック”の道を切り開いていく姿が魅力的で、主人公としてだけでなく1人の役者として彼女のことを応援したいという気持ちになりました。

 公演ごとに成長していく主人公と仲間たちのドラマと、彼女たちが作り上げる舞台から目が離せなくなります。

 しかも本作の凄いところは、彼らが作ってきた公演を作中作としてしっかりと見られること。台本に合わせて衣装も変化するので、いろいろな姿のキャラクターたちを見ることができますよ。

 私はプレイ環境によっては音声をオフにすることもあるのですが、本作はBGM&ボイスが聴こえる状態でプレイすることを強くオススメします。

 キャスト陣の熱演と音楽の効果によって、テキストを読むだけでは体験できない、大きく感情が揺さぶられるシーンが随所に用意されているのでぜひその臨場感を味わっていただきたいです!

メインキャラクターは人としても役者としても推したくなる人物ばかり

 主人公は、主に“クォーツ”の仲間である6人と絆を深めていくことになります。

 皆、主人公に優しく接してくれますが他のクラスと因縁があったり、何か秘密を抱えていそうだったり、相手と親しくなるほどもっと内面を知りたくなる人物ばかりです。

  • ■高科更文(声優:近藤孝行)……華やかな容姿と圧倒的な舞踏力を持つ、女役のトップ格“アルジャンヌ”。舞台の上の誰よりも女性らしい姿も、日常のひょうひょうとした姿の彼もどちらもかっこいいです。
  • ■睦実 介(声優:笠間 淳)……男役トップ格の“ジャックエース”で、コンビを組む高科の器であることに徹しています。寡黙ですがいつも周囲に気を配っており、後輩にも手を貸してくれる優しい先輩。よく山に行くなど、少し謎が多いのも気になるところです。
  • ■根地黒門(声優:岸尾だいすけ)……“クォーツ”の組長で、役者、脚本、演出までこなす天才肌。エキセントリックな言動で周囲を混乱させることもありますが、組を想う気持ちが強いのは間違いなし。個人的に、練習着のTシャツにも注目です。

 主人公が本来の姿を隠していることもあり、序盤までは信頼や友情の意味合いが強い印象です。同性(と思っている)からこそ聴ける気持ちであったり、距離感であったりを体験できるのも本作ならではの楽しさかなと思います。

  • ■白田美ツ騎(声優:梶原岳人)……少女のように可愛らしく、“ジャンヌ”として活躍する“クォーツ”の歌姫。中身はクールで、自分の武器である音楽以外への関心は薄め。それでも的確な忠告をしてくれるなど、何だかんだ後輩の面倒を見てくれるところが優しいです。
 
  • ■織巻寿々(声優:内田雄馬)……主人公の同期で、ひと目を引く華やかさを持った“ジャック”。明るいムードメーカーですが、芝居に関してはやや不器用なようです。主人公がある役で見せた女性らしい芝居に、本気で照れるなど初心なところもあります。本当の性別を知ったときの反応が、とても楽しみな人物。
  • ■世長創司郎(声優:佐藤 元)……主人公の幼なじみで、彼女が入学した経緯や、女性であることを知っている頼もしい味方。舞台に対する思いは強く努力もしているのですが上手く表現できず、活躍する主人公たちに複雑な思いを抱えてしまいます。優しい彼を、何としても救ってあげたいところです。

 しかしどんなに信頼関係を築いても、主人公は性別を偽っている状態なんですよね。本当のことを相手が知ったとき、その関係にどんな変化が生まれるのか考えるとちょっと怖くなります。

 また公式サイトのQ&Aには、“結果として恋に落ちることもあります”という気になる単語も! 一体誰と恋に落ちるのか、これは全ルートプレイ必至です。

 また“クォーツ”以外のクラスに所属する生徒たちも、おもしろいキャラクターが揃っています。
 
 秀でたダンサーと“ジャック”が多い“オニキス”、美しく歌の上手い“ロードナイト”は、主人公の才能を認めて転科を迫ってくることも!? 

 ライバルでありつつも、お互いの才能を認め合っている各クラスの関係性は見ているだけでも楽しい気持ちになります。


 唯一雰囲気が異なるのが、個性的な生徒ばかりが集まるクラス“アンバー”。“クォーツ”の先輩たちとも縁がある天才・田中右宙為(声優:神尾晋一郎)が率いるこの組が、中盤以降物語を大きく動かすことに……。

 ほかの組のメンバーと交流する機会も多いので、期待していてください!

 明日のプレイレポート第2弾では、ステージを盛り上げるリズムパートなどシステム面についてご紹介します。

(C)Sui Ishida/BROCCOLI

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