Nintendo Switchの西部劇FPS『Call of Juarez: Gunslinger』から見る“アメリカの形”

澤田真一
公開日時

 Nintendo Switchで配信されているFPSゲーム『Call of Juarez: Gunslinger』は、低価格ながら良質なタイトルとして人気を集めています。

 19世紀末から20世紀を生きたアメリカのカウボーイになり、当時の銃を使って襲いかかる強敵を倒していくというこのゲーム。単にアクションの面白さだけでなく、アメリカの歴史を垣間見ることができる良作に仕上がっています。

 今回はこのゲームをプレイしつつ、アメリカという国の本質に迫りたいと思います。

田舎町にやって来たカウボーイ

 1910年。アメリカ・カンザス州アビリーンのとある酒場に、年老いたカウボーイが馬に乗りつけてやって着ました。この時代は、既にT型フォードが街を走っています。自動車に泥をはねられた馬上の男は、サイラス・グリーブス。20世紀に対応しきれていない、昔ながらのガンマンです。

 ですが、サイラスは有名人。というのも、アメリカには“ダイムノベル”という安価な娯楽小説が流通していて、サイラスの生涯も相当な脚色を付け足されながら広く知られています。

 たまたま酒場にいた青年ドワイトは、ダイムノベルの大ファン。あのサイラス・グリーブスがアビリーンにやって来たと聞いて、すっかり大興奮してしまいます。そしてサイラスに、ダイムノベルの内容は真実だったのかを質問します。

 『Call of Juarez: Gunslinger』は、サイラスの記憶とダイムノベルの記述の狭間にある真実をたどっていきます。

スピード感満載の西部劇

 ビリー・ザ・キッド、パット・ギャレット、ヘンリー・プライマー、ダルトン兄弟。『Call of Juarez: Gunslinger』には、名だたるガンマンや悪党が登場します。

 一般に言われている話と真相は合致していることもありますが、そうでないこともあります。ドワイト青年はまるで答え合わせのように、いろいろなことをサイラスに問いただします。かつてサイラスが歩んだ過去を思い出しながら話を進めるため、ゲームの途中で突如建物が出現することも。

 作中でサイラスが使う武器は、これぞ西部劇という形状のリボルバー拳銃、長銃、散弾銃、そしてダイナマイト。たまにガトリング銃を操作する場面もあります。

 いかんせん昔の銃だから装填に時間がかかり、アクションももっさりしているのでは……という先入観を持ってしまいますが、実際はスピード感に富んでいます。特に二丁拳銃で撃ちまくった時は、何とも言えない爽快感がこみ上げます。

 グラフィックもレベルが高く、西部開拓時代のアメリカが見事に再現されています。

虚構と真実の狭間

 ダイムノベルは、アメリカのエンターテイメントの基礎と言えるもの。

 サイラスがドワイト青年に質問攻めにされた40年後、アメリカではゴージャス・ジョージというプロレスラーが一世を風靡しました。スパンコールが光り輝くガウンに、貴族のようなブロンドの頭髪。観客を見下すその態度は大いに嫌われましたが、同時にジョージの惨めな敗北を望む人々で試合会場を満員にしました。

 それだけではありません。実用化間もない白黒テレビはジョージの試合を映し出し、画面の前に黒山の人だかりを発生させました。つまり、ジョージこそがテレビを全米の一般家庭に普及させたということです。だからこそ、彼はアメリカ史年表にその名を残しました。

 虚構と真実の狭間。真相の答え合わせ。アメリカ人が最も熱狂するのは、ダイムノベルの延長線上のエンターテイメントです。

 となると、作中でサイラスが語っている昔話も真実なのでしょうか?

 1864年に死んだと言われているヘンリー・プライマーはじつは生きていて、最終的に奴を墓場に送ったのは俺だ……などという話をサイラスは平気で口にします。それが実際に起こったことなのか、サイラスのホラなのか、或いは彼の認知症の表れなのかは、当事者以外には知る由もありません。しかし、そんな話にドワイト青年は真剣に耳を傾けています。

 ちなみに、このドワイト青年は間もなく陸軍に入隊し、のちにヨーロッパでアドルフ・ヒトラーの軍隊と戦うことになります。そう、彼は――。

やり込み要素も有

 『Call of Juarez: Gunslinger』のNintendo Switchダウンロード版は、2,200円(4月12日15時59分までは50%オフの1,100円で購入可能)で販売されています。

 わずか2,000円台でここまで遊べるのか! というのが筆者の正直な感想です。スコアを重ねることで新しいスキルや伝説の武器を入手でき、サイラスが強くなっていきます。やり込み要素もあるゲームで、周回を重ねても飽きない工夫が施されています。

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