『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』映像ができるまでの作業工程や苦労が明らかに

電撃オンライン
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 3月28日に行われたAnime Japan2021にて開催された、ステージイベント“Production Works Channel【プロダクション】映像を生み出すスタッフの力~『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』より~”をレポートする。

 “Production Works Channel【プロダクション】映像を生み出すスタッフの力~”は、“アニメ作りにあこがれを”をテーマにした番組。今回は、5月7日から上映予定の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の演出を取り上げ、絵コンテから映像ができあがるまでの過程に込められた、技術や工夫を紹介した。

 出演者は『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』演出の原英和さん、撮影監督の脇顯太朗さん、制作デスクの岩下成美さん。

 原さんが行った作業は、素材を取りまとめたうえで、絵コンテや原画などを見て、指示を出したり、その修正通りになっているかをチェックしたりしていたとのこと。


 脇さんは、村瀬修功監督のこだわりに応じながら作業していたことと説明。村瀬監督の作品はダークさが特徴であるため、その状況や環境に応じて、背景に影がついているのか、キャラが浮き出たほうがいいのかなどを考えながら、行ったそうだ。

 スタッフ一丸となって、村瀬監督のやりたい方向に進んでいったと振り返ったのは、岩下さん。暗いビジュアルは村瀬監督の目指す方向であることを理解しつつも、『ガンダム』という作品を作るうえで暗くなりすぎないように、色がついているビジュアルを目指したとのこと。


 今回のカメラワークが立体的であるという話題が上がると、脇さんは「大変なことが多かった」とコメント。この作品はアニメーションしている映像が届いて、そこに“光”や“影”を付けていくため、カメラワークが立体的になることで考えることが多くなるのが、その原因だという。

 奥からモビルスーツが迫ってくるシーンは、本作品の中でも特にレイヤーの数が多い場面。公開された映像からは、背景、建物、演出、機体、炎などが、何枚にも及んでいるのを見て取れた。


 この理由は停電して暗いシーンだったためだという。暗い場面で光源が生まれた場合、それにあわせて演出パターンが発生。さらにバーニアや武装などモビルスーツ自体にも発光するパーツがあるため、結果としてレイヤー数が尋常ではなくなり、各スタッフの作業量が多くなったそうだ。

 「レイヤーが多いため、まとめるのも大変だった」と脇さんは当時を振り返った。

 クオリティの高さから注目を集める本作だが、他の作品以上に手間のかかる作業であったという。

 作業はさまざまなセクションで行われる。作業工程が多かった場合、各スタッフになぜこうなっているのか、どこを目指しているのかをしっかり伝えて作業してもらったと、原さんは説明。

 ここで岩下さんの口から、村瀬監督がこのシーンをほめていたことが飛び出した。普段、あまり褒めないためなのか、原さんと脇さんは当初半信半疑であったが、苦労が報われたと感じたようで笑顔を浮かべた。

 また、本作では作画に加えて、モビルスーツなどのディテールが複雑なものについては、CG(コンピュータグラフィックス)による3D表現が採用されている。

 メリットもあるが、作画との差があると見る際に違和感を感じるため、苦労も多い要素だ。ここには、サンライズが培ってきたノウハウがつめこまれていると岩下さんはコメント。第1話ということで模索しながらの作業だったが、細かく出した影指示に対して、CG班がこたえる形で作業が行われたようだ。

 作品に携わる脇さん、原さんともに作画とCGの融合はかなりうまくいっていると感じたようなので、見る際には注目してほしい。

 岩下さんは、本作の作業を振り返り、1本目ということでイメージの共有が大変だったことを明かす。その分、2本目以降に生かせる経験ができたと感じているようだ。

 脇さん、原さんは村瀬監督の考えを具現化することや、厳しいオーダーにこたえることに尽力したとのこと。

 最後に、業界を目指す人に向けたメッセージをお願いされた3人。「厳しいことは事実だが、やりがいのある仕事なので、遠慮せずに飛び込んでほしい」と岩下さんが話すと、脇さんは「一見すると簡単そうですが、苦労の積み重ね。だから助けてほしいです(笑)」、原さんは「基本的には敷居の低い業界になっているので目指してください」と続けて、イベントを締めくくった。

 第二次ネオ・ジオン戦争(シャアの反乱)から12年後の“U.C.0105”を舞台に、反地球連邦政府運動“マフティー”として活動する“マフティー・ナビーユ・エリン”の活動を描いた『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。5月7日より、全国の劇場で上映となる。

(C)創通・サンライズ

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