電撃文庫初登場の暁佳奈先生が今だから言える、『春夏秋冬代行者』主人公の従者は当初は男の子だった?

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 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。今回は、『春夏秋冬代行者 春の舞(上・下)』を執筆した暁佳奈先生のインタビューを掲載します。


  • ▲上下巻の表紙イラスト(イラスト:スオウ先生)

 本作は、季節の巡り変わりを神に代わって現人神である“季節の代行者”が担う世界が舞台となって、春の代行者である少女神“雛菊”とその従者“さくら”が、苦難の乗り越え新たな一歩を踏み出す物語です。

 『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の著者・暁佳奈先生が電撃文庫に初登場! 構想から3年、物語やヒロインたちが生まれたきっかけなど形にするまでのお話や、小説を書くうえでのこだわりなどをお聞きしました。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 ふと、私が小さな頃に見た季節はもう無いのだなと気づきました。季節は年々変化しています。もしかしたら遙か先の未来には、いま私達が見ている四季の美しさは無いのかもしれません。それはすごく寂しいので、作品の中に留めたいと思いました。

――作品の特徴やセールスポイントを教えてください。

 本作には春主従、夏主従、秋主従、冬主従とそれぞれの季節に分かれて現人神と彼らを守る護衛官のペアが存在します。どれか一つのペアは好きになって頂けるかと。その他に『実際に四季の現人神が居たらどういった問題が発生するか』を考えているのでそこも見どころです。そしてスオウ先生の美麗な装画、川谷デザイン様の秀逸な装丁が光る上下繋がるイラストの表紙はつい並べたくなる美しさです。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 描きたいことに対してページ数が足りませんでした。悩んでいたら担当さんから『上下巻にしないか』と救いの手を差し伸べて頂きました。結果、二冊合わせるとちょっとした鈍器の本が誕生してしまいました。存分に書ける舞台を頂けたことにとても感謝しています。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 構想を練り始めたのは三年ほど前からなのですが、出版にあたり実際に作業を始めると上下巻で九ヶ月くらいかかっています。

――執筆中のエピソードはありますか?

 私自身が本作のイラストを担当してくださったスオウ先生の大ファンでして……大変人気なイラストレーター様なので「多分、駄目だと思うんですけど……」と断れること前提でこの方が良いとお願いしたら引き受けてくださいました。勇気を出してよかったです。本文はスオウ先生のアイデアを頂き表現している部分もあります。

――本作の主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 主人公である雛菊は最初男の子と冒険をするはずでした。しかしどうしてもうまくゆかず、この娘に必要なのは男の子ではなく女の子なんだと途中で気づき、彼女を支える護衛官のさくらが誕生しました。さくらが居るから現在の雛菊を生むことが出来ました。

――特にお気に入りのシーンはどこですか?

 主人公の雛菊が護衛官のさくらに乞い願われて「守って」と言うところです。上下巻をすべて読んでくださった方がもう一度そこを読むと、どんな気持ちで言っていたかよりわかると思います。

――今後の予定について簡単に教えてください。

 ずっと兼業作家だったのですが最近専業作家になりました。いつまで執筆だけの活動をするかわかりませんが、あまりお待たせせず何かしらの媒体で作品を発信していけそうです。

――小説を書く時に、特にこだわっているところは?

 ページをめくる時に文字がまたがないこと。始まりと終わりは美しく、読後感が良いことです。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 意識してやっていることは無いのですが、集中力が途切れ朦朧としている時はおでこに冷えピタを貼っています。

――学生時代に影響を受けた人物・作品は?

 少女小説や海外児童文学に幼い頃は影響を受けました。風景描写や人物描写にもそこは表れているかと思います。あとは映画をたくさん観て、物語の構成を学びました。文章を追うごとに読者の方の頭の中に映像的な物語が浮かんでいたら嬉しいです。

――今現在注目している作家・作品は?

 作品ではないのですが、最近は季語を調べるのが好きで言葉の意味や美しさに注目しています。人生で季語を意識する時は中々ないと思うのですが知ると奥が深いです。

――その他に今熱中しているものはありますか?

 川原礫先生の「ソードアート・オンライン」シリーズへの作品愛が高まって夜空の剣1/1サイズを注文してしまいました。ボイスが出るそうです。お部屋のどこに置くかという問題は先送りにして、スターバースト・ストリームするのが楽しみです。

――最近熱中しているゲームはありますか?

 シナリオライターとしてDLCコンテンツから参加させて頂いてる身ではありますが「ソードアート・オンライン アリシ ゼーション リコリス」を仕事の合間にしています。これからどんどんDLCが発表されるのですが、自分が書かせて頂いたシナリオの敵に勝てるか今から不安です。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 電撃文庫さんにお邪魔させて頂くことになり、驚いた方もいらっしゃると思います。作風的にとても穏やかな話を想像される方も多いと思いますが、バトルあり、コンゲームあり、恋愛ありと物語は動きます。四季を存分に楽しめないご時勢ではありますが、だからこそ皆様の心に春をお届け出来たら幸いです。

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『春夏秋冬代行者 春の舞 上』

  • 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
  • 発売日:2021年4月9日
  • ページ数:424ページ
  • 定価:759円(税込)


『春夏秋冬代行者 春の舞 下』

  • 発行:電撃文庫(KADOKAWA)
  • 発売日:2021年4月9日
  • ページ数:504ページ
  • 定価:803円(税込)

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