『シン・エヴァンゲリオン』世界により深く迫る体験がここにある。第3村ミニチュアセット先行レポ

セスタス原川
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 世界最大級の屋内型ミニチュア・テーマパーク“スモールワールズ TOKYO”にて、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に登場する“第3村”のシーンを作り上げるために制作したミニチュアセット“第3村ミニチュアセット”(場面設定・画面構成検証用)が、4月10日から9月20日まで展示されます。

 その公開前日の4月9日には、メディア向け先行内覧会が開催。イベントには、近藤正拡さん(株式会社SMALL WORLDS)、神村靖宏さん(株式会社グラウンドワークス)、三好寛さん(株式会社カラー)の3名に加えて、相田ケンスケを演じる声優の岩永哲哉さんが登壇し、公開中の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』や“第3村”に関するトークを行いました。

 本稿では、その模様をレポートしていきます。

目の前に広がる実物同然の第3村!

 まず登壇したのは、このミニチュア・テーマパークを運営する株式会社SMALL WORLDSの代表取締役社長・近藤正拡さんです。

 ミニチュアはただそれ自体を見るだけでは、動かない世界です。しかし、このテーマパークではミニチュアを多角的に楽しめるさまざまな設備を用意しているとのことです。

 今回の“第3村”のミニチュアも、ただミニチュアとして見るだけではなく、劇場アニメのワンシーンと照らし合わせながら見ることで、ミニチュアとアニメーションをより楽しめる相乗効果を生み出しています。

 続いては、株式会社グラウンドワークス代表取締役の神村靖宏さん、株式会社カラー文化事業担当学芸員の三好寛さんが登壇。今回のメインである“第3村”のミニチュアについて説明を行いました。

 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は公開から1ヶ月を迎え、興行収入は70億円を突破。前作を上回る人気を博しているということで、ファンのみなさんに対するお礼の言葉から2人のトークはスタート。

 特に、今回の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は若い世代から反響が多く「この劇場版をきっかけに『エヴァンゲリオン』を見た」という声も挙がっているそうです。

 そして、その劇中で大きな意味を持つ場所として登場する“第3村”。それが有明の地にて、1/80のスケールで完全されているのです。




 “第3村”の存在は、映画の公開まで伏せられていた情報ですが、村の全体像を描くミニチュアは2017年の段階から構成があったとのこと。

 村を設計する際には、未来感の強い世界観の中で、対照的なリアリティさを意識しており、その実現のためにミニチュアが生まれることになったとか。

 まずは、これより小さいサイズのミニチュアが2017年春に作られ、半年後の10月頃に1/80スケールのミニチュアに着手。完全完成に至ったのは2018年5月で、これを作り上げるのに約半年間の月日を要したそうです。

 “第3村”は、静岡県の天竜二俣駅が一部モデルになっています。ミニチュアを作る前には、スタッフ陣でロケハンも実施されたとのこと。村のシンボルでもある転車台は、実際に天竜二俣駅に存在してます。

 再現率……というよりも、このミニチュアを実際に撮影したアングルからシーンを作っているため、劇場版を見た人は「あ、このシーンの場所だ!」と思えること間違いなしです。


  • ▲コーナーの周辺には、劇場版のワンシーンを切り抜いたパネル展示も用意されています。

 アニメを再作する上で、登場する街並みをミニチュアとして資料にするという作業は、まずあり得ないことらしいです。

 そんな“村を丸ごと作る”という発想は、アニメも特撮もこなす庵野監督だからこそ生まれた手法だと、2人は語ります。

 制作時の苦労話では、庵野監督から「直して」「ありがとうございました」「やっぱりもう少し」の繰り返しが何度も行われたことが挙げられました、このミニチュア政策を通して、監督のこだわりの強さを再確認できたそうです。

 特撮ではミニチュアを使った制作はよく使われる手法ということで、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、アニメでありながら庵野監督の特撮愛も詰まった作品であるわけです。




リアルなケンケンハウスに岩永さんも大満足!

 そして、今回のスペシャルゲストとして相田ケンスケを演じる岩永哲哉さんが登場。岩永さんの衣装は、実際にケンスケのデザインに使用されたものをカラーからお借りしてきたものだそうです。もちろん、手に持っているカメラもケンスケが使用しているものと同じ型番のものです。


 “第3村”はアニメの物語でも重要な場所です。村には、通称“ケンケンハウス”と呼ばれるケンスケの家も存在しており、それもミニチュアが作られています。

 岩永さんは過去にドールハウスに興味があった時代があり、このミニチュアにも大興奮の様子。この村でどんなことが起こっているのが想像するだけで楽しめると、キラキラした表情で語っていました。



  • ▲ケンケンハウスの周辺には、同じく1/80スケールで作られたアスカとケンスケのフィギュアも!

 また、前作の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』ではケンスケは未登場だったこともあり、周りからは「生きているのか!? 出番はあるのか!?」心配される声も少なくなかったとのこと。

 それが、こうして『シン・エヴァンゲリオン劇場版』では重要人物として再登場したことで、安堵しつつ嬉しさを感じたそうです。

映画館のあとには有明にも足を運ぶべき!

 裏話満載のステージも終了の時間に。最後には、三好さん、神村さん、岩永さんからファンに向けてメッセージが送られました。

 以下、3人のメッセージになります。

三好さん:改めて『シン・エヴァンゲリオン劇場版』をご覧いただいたみなさん、ありがとうございました。これからご覧になる方、もう一度ご覧になる方、そしてミニチュアをご覧になる方は、面白い映画を作ろうと悪戦苦闘したスタッフの想いを感じてもらえると幸いです。

神村さん:庵野さんをはじめ、みなさんの命と身体を削って作った映像です。それに掛かった時間というのは、みなさんにとってはあまり重要ではなく、それよりもこの映像が映画館で見られるのは今だけ、ということをお伝えしたいです。作品に詳しくない方でも、映像のためだけにでも見る価値のある作品だと思いますので、ぜひ映画館で見ていただきたい作品です。

岩永さん:ミニチュアを実際に見たら、想像より何十倍もすごいもので驚きました。僕もスマホで自分でアングルを考えて撮影してみようと思います。ぜひみなさんも会場に足を運んで、思い思いのアングルでTwitterで共有して、その後また『シン・エヴァンゲリオン劇場版』を見れば“第3村”の素晴らしさを再確認できると思います。

 “第3村ミニチュアセット”は、単独で作品として成り立つようなボリュームで、これがまさか資料用に作成されたとは信じられません。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』にかける庵野監督、そしてスタッフ陣の熱量が伝わってきます。

 他にも、北の湖に見えるネルフ第2支部の廃墟も用意されていたりと、劇場版をプレイバックできるミニチュアが用意されています。



 既に見に行った人もこのミニチュアを見れば、あの名シーンを思い出して、もう1度作品を見たくなること間違いなし。ぜひ有明に足を運び、“第3村”を実際に訪れたような気分を味わってみてくださいね。

第3村ミニチュア画像集































(C)カラー

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