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【おすすめDLゲーム】『探偵・癸生川凌介事件譚 仮面幻想殺人事件』は古きよきコマンド選択式AVGを体験できる

カワチ
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 ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回は『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」』をお届けします。

手軽に遊べるコマンド選択式アドベンチャー!

 『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」』は、2004年に携帯電話アプリとして配信された作品の移植作。“G-MODEアーカイブス+”の第1弾タイトルとして配信されました。

 “G-MODEアーカイブス”はガラケー向けアプリゲームとしてリリースしていた作品を家庭用ゲーム機で遊べるようにリメイクしている復刻プロジェクト。“G-MODEアーカイブス+”はジー・モード以外のメーカーが配信していたタイトルを遊べるようにするプロジェクトとなります。

 ゲームはPCゲーム黎明期やファミコン時代に多く存在していたコマンド選択式アドベンチャーゲーム。30代後半の自分ですら懐かしいジャンルなので、今だとピンと来る人は少ないかもしれません。昔は『ポートピア連続殺人事件』や『リップルアイランド』、『さんまの名探偵』に『探偵 神宮寺三郎』シリーズなど、いろいろな名作があったんですけどね……。

 個人的には『太陽の神殿 アステカII』が神ゲーだと思っているので、リメイクされてほしい……。いちどセガサターンでリメイクされたけど、もういちどされてほしい……。

 もちろん、今でも『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』のような新作はありますし、名作『ファミコン探偵倶楽部』のリメイクなども控えていますが、コマンド選択式アドベンチャーゲームの数は減ってしまいました。

 最近はコマンド選択式だけでなく選択肢型のアドベンチャーゲームですら減ってしまいましたからねぇ。ソーシャルゲームのアドベンチャーパートに選択肢が出ることはありますが、基本的にはルートが分岐したりバッドエンドになったりしないので、ゲームのシステムとしては飾りみたいなものになってしまっているのかも。

 それはもったいない! 今の世代の人にも、ゲーム性があるアドベンチャーゲームをやって、その楽しさを知ってほしい!!

 そんなこともあり、今回は『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.1「仮面幻想殺人事件」』を推していこうと思ったわけです。

リアルな舞台と個性的なキャラが見どころ!

 本作は“見る”、“考える”、“移動”などのコマンドを選択しながら謎を解いていくアドベンチャーゲーム。巨大迷路を攻略しているような楽しさがあるものの、コマンド総当りで正解を探さないといけないこともあり、そこは大変なポイント。快適なゲームシステムに慣れた人が、このシステムになじめるかどうか、人を選ぶかもしれません。

 しかし、本作は2時間前後くらいで終わるボリュームになっているので、総当たりも大変ではありません。気楽にプレイできます。

 一方で、自分の足で探す探偵気分を味わえたり、事件と関係のないコマンドを選ぶことで本筋と関係ない雑談などを聞けたりするので、コマンド式ならではの楽しみもしっかり味わえます。

 そこまでガチの攻略を必要としないものの、コマンド式アドベンチャーゲームの魅力を堪能できる本作。500円で購入できることもあって、まさに入門作品にピッタリです。

 ストーリーの内容は、“プレイすると死ぬ”というオンラインRPG“タクリマクス”の真実を解き明かすというもの。



 主人公は、癸生川探偵事務所の所長である名探偵・癸生川凌介(きぶかわ・りょうすけ)……ではなく、その友人であるゲームシナリオライターの生王正生(いくるみ・まさお)。彼が探偵助手である白鷺洲伊綱(さぎしまいづな)とともに事件を調査していくことになります。


 伊綱は思ったことをズケズケという明け透けな性格ですが、お茶目な感じでもあり、どこか憎めません。ちょっと頼りない正生とあけすけな伊綱のバランスがいい感じ。


 また、探偵の癸生川は物語の要所に登場。出番自体は少ないものの、誰よりもぶっ飛んだ性格でインパクトに残る人物です。


 オンラインRPGが題材のストーリーということで、ゲーム会社やそこに務める人々が重要参考人として登場。本作の脚本を手掛けた石山貴也さんも業界に長く在籍しているゲームクリエイターなので、描写がリアルでセリフにもリアリティがあります。きっと、ゲーム会社には本作に登場するような人がたくさんいるんだろうなぁ(笑)。

 描写の中には「これはキャラのセリフではなく、作者が思っているだけでは?」と感じさせるところもありますが、そういった部分も含めておもしろいです(笑)。



 ミステリー部分はあまり語ってしまうとネタバレになってしまいますが、オンラインRPGを題材にした殺人事件は、ひねりが効いています。

 当時のオンラインRPGはもちろん、『Serial experiments lain』や『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のような映像作品、2000年代のインターネット文化に触れていた人ならば、より感情移入できるかと。インターネットも、もうひとつの現実であること、現実と虚構とはなにかを考えさせられましたね。



 とはいえ、物語の表現としてはストレートで、2時間ドラマのミステリーを楽しむ感覚でプレイできますよ。

 個性的なキャラクターのやり取りを中心としながら、後半では深い人間性や社会性が描かれて、ドラマとしても深さがあっておもしろかったです。


 もちろん、ミステリー作品ならではのハラハラする展開、謎が解けてスカッとする体験も、しっかり抑えられているので、そういった点にも期待して大丈夫。

 『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズは、2作目である『探偵・癸生川凌介事件譚 Vol.2「海楼館殺人事件」』が4月8日に配信されました。このシリーズは長く続いており、まだまだタイトルは存在するので、自分としても買い支えていきたいと思っています! 記事を読んで気になったらぜひチェックしてみてください!

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