恋の悩みや夢の挫折に共感！ 想像することで遊びも世界もより広がる『バランワンダーワールド』レビュー

　スクウェア・エニックスのPS5/PS4/Nintendo Switch/Xbox Series X|S/Xbox One/Steam向け、新作アクション『バランワンダーワールド』。

　謎のマエストロ・バランによって、不思議な心象世界“ワンダーワールド”に導かれた主人公。ミュージカルをモチーフにした華やかで、迷宮のように入り組んだ12章のステージを個性豊かな衣装アクションを駆使して冒険することに………。

　全ステージをクリアしたライターが、本作の魅力をレポートしていきます。

※移動の操作性、カメラ追尾、そのほか難易度に関係する調整を⾏ったパッチが配信中です。製品版をプレイする前にゲームのアップデートを推奨します。

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想像が広がる物語＆ステージが楽しい

　本作では12章それぞれで、何かをきっかけに心のバランスを乱してしまったキャラクターたちの心を旅していくことになります。

　スタート時はどんな人物なのか多くは語られず、章のタイトルやステージに散りばめられた小物からキャラの背景を予測していくスタイルです。

　各ステージのギミックも人物にそった内容になっていて、海が好きな子なら水を使ったもの、ピエロの青年だったら遊園地風など、凝った楽しいものばかりでした。

　ボス戦まで行くとムービーが流れて、その人物に起こった悲劇が明らかに！　恋の悩みや夢の挫折など誰しも経験したことがある内容に、「気持ちがわかるな～」と思えるエピソードがそろっています。

　ステージに散りばめられたオブジェと、ボス戦前のムービーからその人物の物語をいろいろ想像できるのが楽しいです。

　興味深いキャラが多かっただけに、もう少しストーリー部分が多くてもよかったかななんて感想も浮かんでしまいました。

　そしてボス戦をクリアすることでその人物の心の問題も解決し、本作のテーマでもあるミュージカル調の華やかなフィナーレへ。

　キャラクターたちの晴れ晴れとした姿を見ていると、頑張ってクリアしてよかったという気持ちになります。

　どのステージもデザインがかわいく、また音楽が最高によくてサウンドトラックを買おうと思いました。

初心者でも楽しめる絶妙なバランス！

　各ステージは移動やジャンプ、衣装アクションの簡単操作で進められ、アクションが苦手な人間でも問題なくクリアしていくことができます。

　クリアするのに必要な衣装アクションはそのステージで必ず取れますし、ステージの広さも程よく、短時間サクッとプレイするのにも最適。

　ボス戦でも衣装アクションが入手できるので、「つんだ！」と思うようなシーンはなかったです。

　ただし本作のおもしろさは、ステージをクリアするだけでは味わい尽くせません。

　各章にはバランスタチューという金色のトロフィーが用意されていて、それを一定数集めることで新エリアを開放できます。このバランスタチュー集めが、遊びのカギに！

　バランスタチューは簡単に見つけられるものや、ボス戦で特定の戦い方をすることでとれるものもあり、中盤までのステージはかなり楽に開放することができます。

　第1章から特定の衣装アクションでなければ取れないバランスタチューもあるので、まずは章を開放して衣装の種類を増やしていくのがオススメ。

　また蜘蛛の巣が張っている部分がある、動かせそうなギミックがあるなど、ステージを隅々まで観察しておくと、のちのち役立ちますよ。

　ギミック数が多く見つけにくいものもあるので、苦労してたどり着いた先にバランスタチューを見つけられたときの喜びはかなりのもの。そのぶん違うものが出たときに、がっかりしてしまう場面もありました（笑）。

　衣装アクションが本当に豊富で、種類が増えるほどステージ攻略がスムーズになっていくのも嬉しいです。デザインもかわいくて、主人公にもよく似合います。

　いろいろな能力があるので、自分に合ったスタイルでステージを進めていけるのがいいですね。

　物を壊す、竜巻を跳ね返すなど、いくつか似たようなアクションがあるのが気になるところ。好きな方を選べる反面迷いも生まれるので、個人的にはもう少し差別化されているとうれしかったです。

　またミュージカルというテーマに合わせて、衣装を着替えられるタイミングが限定されているのもちょっと不便かなと感じました。効果が限定的な衣装もあって、私の腕前では全部のアクションを活かしきれなかったのが残念。

　ミニゲームやティムエリアの育成要素などやりこみ要素も多く、音楽、ムービーも魅力的。子どもからアクション初心者まで、気軽に楽しめる意欲的なアクションゲームです。

　気になる方は、ぜひ不思議な“ワンダーワールド”に旅立ってみてくださいね。