祝! 『SAOHF』7周年。記憶を頼りに当時を振り返ってみました【SAOゲームP・二見鷹介コラム #38】
- 文
- 二見鷹介
- 公開日時
- 最終更新
『ソードアート・オンライン』ゲーム総合プロデューサー二見です。本日4月24日は、2014年に発売された『ソードアート・オンライン -ホロウ・フラグメント-』の7周年!! ということで、もう7年か……と思っております。
作品のキャッチコピーは、“終わりの見えない虚ろな世界で、俺たちは生き続ける――”です。(作品公式サイト)
当時を思い出しながら……のコラムです。
本作で初登場するゲームヒロインの“フィリア”ですが、『SAOIM』の“ストレア”に続いてどう印象的に見せるのか? なんて考えてました。
“オレンジプレイヤー”とか“トレジャーハンター”の2つが主な属性です。
ホロウエリアにだけ登場する謎の人物であり、記憶がない感じ。虚ろなデータな存在なのか、リアルの自分なのか? というところを混在しながら必死に生きているキャラクターです。
あちきが主に大事にしているのはオリジナルヒロインの“出会い方”。ここは気にして制作をしていただいてます。
今の“フィリア”はめっちゃかわいい子ですが、彼女の最初のセリフ……
「あんた……誰?」
ですからね(笑)
最初にキリトに切りかかるシーンの意図ですが、最悪な関係からキリトがどう彼女を変えていくのか?というメッセージが含まれています。
剣でフィリアの攻撃を受けるときはまったく本気じゃなく、いなす感じに片手剣で戦ったり。表情や仕草で、そんな雰囲気を演出してもらいました。
『SAOHF』は本来《アインクラッド》で実装する予定だった運営コンテンツの未実装エリアなのですが、本来は存在しない、表面化してないもの――“ホロウデータ”という概念と、『SAO』が持つ、デジタルなのに“リアル”を感じる世界のズレをネタにしました。
本作のメインヒロインは“フィリア”ですが、裏ヒロインは“サチ”という設定です。“サチ”が死んでしまった世界線の中で、どうやったら彼女を登場させるのかはめちゃくちゃ悩みました。
もし、データとしてもキリトがサチに会ってしまったら絶対に攻略組に戻らなさそう。二度と悲劇を起こさないために、ずっと守る! ということを選びそう。
途中で全員投げだしそうになりましたね……
三木さんから当時のアニメ特典小説『ザ・デイ・アフター』のような雰囲気出せませんかね……。「じゃあ二見さん書いてください♪」というアドバイスの元、本物の“サチ”がキリトに伝えたかったことと、空っぽの側の“ホロウサチ”に代わりに伝えてもらうというバトンタッチ的な内容です。
最後のセリフが肝心で、キリトと一緒にいたい! という気持ちを絶対に言わせないことと、でも疲れたらいつでも来ていいよ。と言ってくれること。サチがキリトの背中を押してあげるこのセリフがないと、キリトが絶対にサチのもとから離れないので、めっちゃポイントでした。
ちなみに“フィリア”に関しても口調回りはポイントでしたね。本来の彼女を取り戻す前はぶっきらぼうな言い切りセリフにしており、キリトが救った後は“ヒロイン”として本来の彼女を取り戻すようなイメージを持っていました。
なので、当時を思い出すとセリフの1つ1つの言い回しを修正しまくっていた記憶があります。
そして当時の三木さんの無茶ぶりその2!(笑)
「なんか、ヒロインにタイトル名入れたいですね……」
ということで、かなりひねり出して、フィリアちゃんにはタイトル名を言ってもらう形になりました。ぶっちゃけ原本見ずに書いているので記憶ギリギリで、多少間違ってると思いますが……こんな感じだった!
「キリトは空っぽだった私の気持ちを埋めてくれる、私の『ホロウ・フラグメント』なんだね……」
うーん。先週も言いましたが、作家やシナリオライターさん。……ほんとにすごいなと痛烈に思った経験です。
『ソードアート・オンライン -ホロウ・フラグメント-』の7周年!! という事で、当時の記憶をたよりにコラムを書いてみました。いかがでしたでしょうか? まだまだ隠された『ホロフラ』の秘密はあるので、それはまた別の機会でお話しできるといいなと思います。
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう!
©川原 礫/アスキー・メディアワークス/SAO Project
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります