ローグライクシューター『Returnal(リターナル)』はPS5の強みを生かしきった傑作だった!

hororo
公開日時

 4月30日に発売されるPS5専用ソフト『Returnal』は、謎の惑星で“死んでも生き返る”という謎の現象に遭遇した主人公が、繰り返し死を経験しながら謎を解き明かしていくローグライクシューターです。

 ローグライクといえば、毎回形状が変わるステージや手に入るアイテムの違いといったランダム性によるリプレイ性の高さが魅力。そんなエッセンスを物語にも取り入れた本作の手ごたえについてレポートしていきます。

非現実的な現象が精神を蝕んでいく、クトゥルフ神話的怖さを感じるストーリー

 本作の物語は、惑星“アトロポス”から発される謎の信号を追ったセレーネが不時着するところから幕を開けます。セレーネは現地で手に入る異星人の武器やテクノロジーを活用して、単身謎の信号を追うことに決めるのですが、道中で“自分の死体”と、その自分が残したであろうオーディオログが見つかります。

 紛れもない自分の声が残したメッセージは、“まだ自分が体験していない”ことでした。もちろんプレイヤーが操作しているセレーネも死んだら墜落現場で目覚める“ループ”に取り込まれているのですが、自己を認識しているセレーネが“残した覚えのないオーディオログ”があることで、謎はより深まっていきます。

 ループする際にフラッシュバックする謎のイメージも強烈です。佇む宇宙飛行士や、うごめく触手の群れなど、不気味さしか感じない映像がセレーネの中に流れ込んできます。しかも死ぬたびに変化するフィールドには、なぜかセレーネの地球の家が建っていることがあり、これには当人も動揺していました。どうやら何らかのトラウマがあるような描写がされており、自宅(?)の探索やその後に回収できるオーディオログなどからも、断片的にその様子をうかがえました。


 全体的に感じるじっとりとした気味悪さは、例えていうならクトゥルフ神話的な恐怖感が近いでしょうか。実際、たくさんの目がうごめくオベリスクや、触手、深淵、観測者、神々といった単語が出てくるため、モチーフのひとつにはなっているのかもしれません。


 また、アトロポスには異星人の残した石碑なども残されており、フィールドで発見できるゼノグリフコードを集めることで、少しずつ翻訳できるようになっていきます。翻訳すると割と詩的な文章だったりしておもしろいですが、彼らに何があったのかを知ることは、このループを解き明かすカギにもなりそうなので、自分のように考察が好きな人にとってはかなり興味深い要素といえます。

 もし単純な信号の解明だけが目的であったなら、本作はよくある探索物のストーリーだと思ったかもしれません。しかし、オーディオログの存在が良い味を出しており、過去現在未来といった時間の捻じれがあるのか、はたまた本当に別のセレーネがいるのか、といった想像が膨らみます。それだけでなく、前述の通りクトゥルフ的不気味さが散りばめられているため、SFホラーが好きな人にはかなり刺さるテイストになっていると思いました。

手に入るもので最良を選択する、ローグライクの醍醐味をしっかり味わえる!

 ローグライク作品である本作は、死んでしまうとそれまで持っていた装備のほぼすべてを失い、初期状態からのリスタートとなります。

 射撃武器は何種類か存在しますが、装備できるのは1つのみとシンプル。しかしそれぞれの銃には“セカンダリファイア”と“固有能力”が設定されており、同じ種類の武器でも、これらの項目が違うと使い勝手も大きく異なります。

 セカンダリファイアは、簡単に言えば強攻撃。威力が高いショットや攻撃範囲が広いショットなど、戦況を変えられるような一撃をお見舞いできます。リチャージ時間があるので、使いどころを見極める必要がある攻撃といえます。ユニークなのは、セカンダリファイアの起動がL2ボタンを深く押すことに設定されている点。ボタンを押す力の強弱で通常のエイムとセカンダリファイアを切り替えるのは、実際に試すまではやりにくそうだと思っていましたが、Dual Senceのアダプティブトリガーのおかげで1段階のひっかかりが作られ、まったく違和感なく操作ができました。

 固有能力は、装備しているだけで効果が出るものや、通常の射撃に付随して発生する能力が存在。例えば被ダメージを減少させる“レジスタント”や、射撃時に追尾弾を追加で発射する“ホーミング・ミサイル”などです。同じ武器でも大きく使用感が変わるので、プレイしていて楽しい部分でもあります。

 ちなみに各武器には熟練度があり、敵を倒したりアイテムを入手することで上昇していきます。熟練度が高いほど同種の性能の高い武器が出やすくなるため、自分のプレイスタイルに合った武器を優先して使い続けるのも手です。

 一長一短の効果をもたらす少し特殊な装備品がパラサイト。正確に言えば原生生物なのですが、セレーネの体に取り付いて多種多様な効果をもたらします。特徴的なのは、メリットと同時にデメリットも引き起こすこと。例えば「アーマーの自動回復を付ける代わりに、セカンダリファイアのリチャージ時間を増加させる」という感じです。一度付けたら死ぬか特殊な設備で除去しない限りはずせないので、取得する場合はよく考えて行いたいですね。

 消費アイテムは、その名の通り一度使うと無くなってしまうものですが、アーマー(体力)の回復や、敵の弾をオボライト(通貨のようなもの)に変えるシールドを展開するもの、一定時間ジャンプに攻撃判定を付与するものなど、その効果はさまざま。消耗品なぶん強力な効果を持つものが多かったので、強敵と挑む際には頼りになりました。

 一方で死ぬまで永続で効果を発揮し続けるのが、アーティファクトと呼ばれるアイテム。武器や他のアイテムに比べると入手機会は少ないものの、基本的にはデメリットなしで永続効果を得られるため、多く所持できればかなり戦いやすくなるでしょう。

 武器や消費アイテムは倒した敵が落とすこともありますが、基本的にはコンテナから得ることがほとんどです。その一部には紫色のエフェクトをまとった“悪性アイテム”が存在します。悪性アイテムは、入手した際に一定の確率で“故障”を付与するので、入手するかどうかは状況に応じて判断したいところ。なおエーテルというアイテムを一定数消費すれば、悪性を除去して入手もできます。

 故障は1~2つまでならマイナス効果を誘発するだけですが、3つ重なるとランダムで所持アイテムの1つを完全に破壊してしまいます。一応、指示された特定の行動を取ったり、消費アイテムなどで修復することが可能ですが、やはり厳しい状態だと少しのマイナス効果が致命的になったりするので、入手をためらってしまうことも多いです。

 死んでも失わない装備の例外としては、ストーリーの節目で入手できる“アクション”を追加できる装備です。初期状態では、ジャンプやダッシュといった基本的なアクションしかできないセレーネですが、ストーリーが進むことでさまざまな異星人の装備を入手し、近接攻撃やグラップリングフックといったアクションが増えていきます。これによって、これまで通過してきたエリアであっても行けるようになる場所が増え、探索にもより熱が入るようになりました。


 武器を1つだけしか持てない、と聞いたときはローグライク要素は少なそうに感じましたが、フタを開けてみればさまざまな要素が存在し、しっかりとローグライクの醍醐味を味わえました。むしろ持てる武器が1つであることで、後述のシューターとしての部分により注力できている気がします。

弾幕を回避し続けることが威力アップにつながる、アグレッシブなバトルスタイル

 画面を埋め尽くす弾幕を回避しながら攻撃し続けるハイスピードなバトルも、本作の魅力の1つ。もちろんフィールドによっては障害物もあるため、敵の攻撃を防ぎながら通常のシューターのように削っていく戦法もできなくはないのですが、敵が回り込んでくるように動いたり、そもそも障害物を貫通する攻撃を撃ってきたりするため、なかなか隠れ続けることができません。


 また、バトルにおいて重要なのが“アドレナリン”という要素で、敵を3体倒すたびにアドレナリンレベルが上昇していき、セレーネの攻撃力が上昇していきます。ただし攻撃を受けるとアドレナリンレベルがリセットされてしまうため、いかに攻撃を避け続けられるかがポイント。厳しい条件ですが、アドレナリンレベルが最大になったときのせん滅力の高さはまさに爽快です。

 この2つの要素により、持ち前の機動力の高さを生かして弾の隙間を縫うように移動したり、回避の無敵時間を利用してすり抜けたりしながら戦うことが基本のスタイルになります。

 といっても、死んでループすることが中心にあるゲームなので、回避はおろか、死んでしまうことも多々あるでしょう。しかしプレイを繰り返すことで、しっかりと敵の知識が頭の中に蓄積していき、徐々に対処できるようになるはず。この知識の集積がプレイに現れることで上達を実感できますし、その状態がアドレナリンレベルの上昇につながり爽快感も得られる、まさに快感の連鎖反応がたまりません。

 本作はオートエイム機能が優秀なので、いわゆる腰撃ちと呼ばれるL2ボタンで狙いを付けていない状態でも攻撃を当てやすいです。なので動き回りながら戦うことにストレスがなく、回避に集中していて反撃のタイミングがないということもありません。とにかく動いて避けて倒す、この動きのシンプルさが中毒性の核であり、PS5のロードの短さと相まって、なかなかループから抜けられない(ゲームを止められない)おもしろさへと繋がっていると感じます。

 完全新規タイトルなので、実際にプレイしてみるまで感触を想像できなかったのですが、いざ遊んでみるとリプレイ性の高さに加え、物語の雰囲気やアクションの爽快さなど、いくつもの魅力に溢れた作品だと感じました。PS5を持っている方には、ぜひ遊んでほしいほど完成度の高いゲームです。なおゲームを終了した場合、再開時は必ず墜落現場からのリスタート扱いとなるので、キリのいいタイミング(=死んだとき)で終えられない場合はゲームを終了せず、レストモードにしておくことをオススメします。

Returnal TM (C)2021 Sony Interactive Entertainment Europe. Published by Sony Interactive Entertainment Europe Ltd. Developed by Housemarque Oy. “Returnal” is a trademark of Sony Interactive Entertainment Europe. All rights reserved.