アップデートで快適さが増した『CLAP HANZ GOLF』開発インタビュー。簡単操作でゴルフの奥深さを再現

電撃オンライン
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 クラップハンズから、Apple Arcade用タイトルとして配信中のゴルフゲーム記事『CLAP HANZ GOLF』。その開発者へのインタビューを掲載します。

 本作は、『みんなのGOLF』シリーズを制作してきたクラップハンズが贈る、ゴルフゲームの最新作。コンシューマ機ではできなかった新たな挑戦が豊富に盛り込まれています。

 そんな本作が生み出された開発メンバーへのインタビューを実施。開発経緯や苦労したところ、今後の展開などをお聞きしています。

 なお、インタビュー中は敬称略。

インタビュー参加者

村守将志さん

 クラップハンズ社長。本作ではプロデューサーとディレクターを務める。

二見圭介さん

 CG課の課長。本作ではリードアーティストを務める。

桑原利行さん

 プログラム課の課長。本作ではリードプログラマーを務める。

高嶋俊介さん

 企画&デザイン課の課長。本作ではリードアーティストとリードUIアーティストを務める。

八木宏之さん

 クラップハンズで開発をさまざまな面からサポートする。

クラップハンズの新たな挑戦

──まず本作の開発経緯を教えてください。

村守:2019年の夏に『みんなのGOLF VR』を発売したんですが、その後に何を作るか、いろいろ迷っていた時期がありました。それまではずっとコンシューマタイトルを作ってきたので、一度どこかのタイミングでアプリゲームを作ってみたいという想いは前からありました。

 そんな時に、ちょうどタイミングよくAppleさまからお声がけいただき、Apple Arcadeを説明してもらったのです。“ゲームサブスクリプションサービス”という定額制の仕組みになっているため、課金の導線を引かなくていいのが特徴。それまで作ってきたようなコンシューマームを作る延長線上でチャレンジできるという期待がありまして、参加させていただきました。

──タイトルに自社名を入れた経緯は?

村守:実はタイトルの候補としては、他にもたくさんありました。ただ本作は世界市場で配信されるので、商標のチェックをさまざまな地域で行いました。その過程のさまざまな段階で、どこかしらの地域でひっかかってしまうということになりました。

 これはダメ、あれもダメとなっていき、最終的には「“社名+ゴルフ”でいいだろう」という感じで、このタイトルになりました。

 このタイトルを決定したのは、開発の後半タイミング。あがってきたバージョンをプレイしてみたところ、中身がかなりイイ出来になっていました。それであれば、自信をもって社名をつけてもいいだろうということで『CLAP HANZ GOLF』というタイトルにしました。

──アプリでのゴルフゲームに初めてチャレンジするということで、これまでにはなかった新しいコンセプトやアイデアに挑戦されたようですが、具体的なポイントなどがありましたら教えてください。

村守:コントローラで遊ぶというスタイルのゴルフゲームをこれまで20年以上も作ってきましたが、スマートフォンなどは“コントローラがない”んですよね。タッチパネルを使って、遊ぶタイトルということが一番大きな変更点というかポイントであり、変化でした。

 そのため、まずはタッチパネルで気持ちよく遊べるシステムを作る必要があり、そこから始めていきました。そして本作では“アナログフリックショット”という名称をつけた、新しいショットを取り入れました。

──これまでにない操作性だと感じました。

村守:今まではボタンを押すデジタルなタイミングでショットを繰り出していたのに対して、今回はタイミングに頼らず、アナログ的な微調整を楽しめる感じにしています。

 タッチパネルを使ったこのショットシステムで、実際のゴルフに近い感じが味わえると思います。そこは本作で狙ったところでもあります。

──こういったシステムにしようと決まった時に、開発チームはどのようなことを感じたり、意識されたりしましたか?

桑原:フリックショットですが、ボールの曲がり具合やパワーの決定など、最初はただボールを前に出すだけのことをひたすら何度もプレイしながら調整していきました。

 開発環境がこれまでとは変わりましたので、その点は苦労しましたね。

 さらにこれまでは、共通のデバイスで操作するタイトルを作っていました。しかし本作は、iPadやiPhoneなど、ユーザーごとに異なるデバイスでプレイされるというのがポイントとなりましたね。

高嶋:マルチプラットフォームでやることと、タッチのコントローラ操作の両立以外は、コンシューマと大きな差はなかったです。これまで作ってきた作品同様に、わかりやすさを意識したうえで、これまでの開発で培ってきたものを生かして、ビジュアルなどを決めていきました。

──キャラについて、生み出す時にどのようなことを念頭に置かれて作業されましたか?

二見:いままでの作品は日本で発売することもあり、日本人にうけるようなデザインにしてきました。ただ本作は、先ほどもあったように世界中で配信されます。世界中の子どもから大人まで、いろいろな方に受け入れられるようなデザインを意識しつつ、表情などにも少しクセがあるようにしました。

──完成したキャラを見て、社内や配信後のユーザーから、なにか意見や感想などはありましたか?

二見:キャラに対して、ユーザーからの意見はそこまで多くはないのですが、「クセが強いけれどカワイイ」という意見はありました(笑)。

──クラップハンズならではの美しいコースやグリーン設計は今作でも健在ですが、開発時に苦労した点などがあれば教えてください。

二見:コース設計では、初めて遊ぶ初級の方から後半の上級者向けのコースまで、これまでより幅広い難易度をご用意しております。

 あと、フリックショットにあわせたコース設計にすることも心がけました。

──フリックショットは気軽に楽しめますが、微調整が難しいようにも感じました。そこが本物のゴルフっぽいところでもあると思いますが、そこはあえてそうしたのでしょうか?

村守:最初に配信されたものはそういう声がありましたが、最新のアップデートでかなり遊びやすくしています。

 このゲームは、やればやるほどうまくなるよう……それは本当のゴルフと一緒になるように作っています。操作やスキルの成長など、やればやるほどうまくなるという部分を意識して、eスポーツなどをも視野にしたような作りになっているのです。

 ただ、自分たちは開発中からすでに1年くらいプレイしているのでうまく打てますが、初見の人から「難しい」という声が多く寄せられたのも事実です。

 そのため、アシストのような機能を加えることによって、最初の段階で遊びやすいように調整しました。あとはボールが曲がらずに打ちやすいように、そういった仕様も加えています。

──アシスト機能は、最初は入れる予定になかったのですか?

村守:このあたりはアップデート可能なアプリゲームなので、実際にプレイした方の声を聞いて、状況を見ながらアップデートしていこうと思っていました。

 寄せられた意見を聞き、うまくできないからあきらめたり、難しいと感じて断念してしまうようなことがないように、あえて初期状態をやさしくしてみようと考えて、アップデートをさせていただきました。

──コンシューマだと練習をしてうまくなっていく部分も楽しみの1つだと思いますが、そこがアプリゲームとの違いだったのでしょうか?

村守:そうですね。そこはコンシューマタイトルとは大きく違う点の1つかもしれません。お金を出してソフトを買うと、買ったものをやり込んでうまくなろうという気になると思います。

 しかし、アプリのように手に取りやすいゲームだと根本が変わるのかもしれません。ユーザーの意見を見て、最初の部分は入りやすいようにする必要があると感じました。

八木:我々としてタッチデバイスなので、まずはフリックショットを楽しんでいただく。そしてやり込んでいただいて、うまくなっていただければと考えていたのですが、過去のタイトルや既存のゴルフゲームを遊んでいる人から、「3クリックショット(3回押し)がないの?」と言われることもありました。

 あとは「コントローラで遊びたい」という意見も、少ないのですがありました。

──ハードまわりで他に苦労されたことは?

二見:ゲーム全体のことではメモリの管理に苦労しました。今回はさまざまな端末でユーザーが遊ぶことを想定して作っています。「このデバイスだと大丈夫だけど、こちらだと問題が発生する」ということがかなりありました。

桑原:デバイスがコンシューマだと、マシンスペックはほぼ1つなんですが、本作はiPadやiPhone、iPod touchなどさまざまなハードで遊べます。さらには同じiPhoneの中でも機種によってハードスペックに違いがありますので、どれで遊んでもちゃんとプレイできるようにするという点で、メモリの管理が一番苦労したところです。

二見:スマホのフルパワーを使って最高のパフォーマンスを出そうとすると、本体が熱くなるし、電池も使ってしまう。パフォーマンスを見つつ、バランスが悪くならないようにする点も大変でした。

高嶋:今回スマートフォンという小型端末に向けた開発でしたので、小型の画面でも視認性を維持しました。そのため、小さな端末でも美しく、そしてしっかり操作できたり、遊べたりするところには気を配りました。

 また、ゴルフのスケール感とかキャラのリアクションとかをしっかりと出すところにも注意して作っています。

──今後のアップデートで、新キャラや新コースなどが加わっていくと思いますが、どれくらいの期間で加わっていく予定でしょうか?

村守:追加のキャラやコースなどは、準備をしているところです。あと、追加のモードとか競技性のあるものとかも準備しています。その他にはユーザーの方から強い要望や意見などがありましたら、随時実現可能かを検討していきたいと思っています。

──実在するプロゴルファーや実在するコース、アパレル商品とのコラボなどは構想としてありますか?

村守:そのあたりは、今のところ未定です。

──本作の魅力などで伝えたいところがありましたらお聞かせください。

八木:操作についてですが、スイングをする時に指をさげて、あげてショット方向が決定しますが、指の速度とクラブのヘッドスピードは関係ないので、ゆっくり打っていただいても全然OKです(笑)。

 シュッと早くスライドさせると指がカーブして動くことがあるので、ゆっくりスライドしていただいたほうがまっすぐ飛ぶと思います。人によっては親指や人差し指や中指など、使う指が違うと思いますが、自身にあったやり方を模索しながら遊んでいただければと。

桑原:指だけで動かすと軌道が弧を描くので、ひじから動かすと安定してまっすぐ打ちやすいです!

高嶋:海外のユーザーから、バックスピンのやり方がわからないという意見がありました。そこはチュートリアルを見ていただければわかると思います(笑)。

──確かにクラップハンズさんの作ったゴルフゲームなら、操作方法を確認したり、チュートリアルを見なくても遊べるだろうという安心感と先入観があります。それで見なかったのかもしれませんね。

高嶋:ありがとうございます(笑)。でも確かに、デモ用の動画を作ったのは今回が初めてでした。

村守:3回押しに関しては、20年以上も採用してきたことなので、チュートリアルがいらない状態になっていました。でも今回は、まったく新しい入力方法になったので、見せることが必要だったというところです。

 あとは、先ほども言いましたが、入力システムがまったく新しく変わったというところと、キャラを編成してチームで戦っていくところが一番大きな変更点であり、ポイントです。

二見:キャラやコースでいうと魅力はいろいろあります。本作のコースは9ホールですが、多彩な世界のコースを作っているので、プレイの中で、そこに行ったような気持ちになってほしいですね。

 また本作では、コースによってバンカーの砂が硬かったり、柔らかかったりしますので、そこについても楽しんでもらえたらうれしいです。

 キャラはパッと見で、クセが強いデザインのように感じるかもしれませんが、遊んでもらうとイメージとは異なるキャラが多いです。見た目で判断せずに、ぜひ使っていただきたいです。得意なクラブもキャラによって違いますので、遊びの幅にもつながると思います。

八木:本作は新たなタイトルなので、視覚的にも受ける印象は違うと思います。

 特に2人目の女の子は、これまでのようなカワイらしいデザインではないので、人気が出るのか、配信前には心配していました。ただ、配信直後から「この娘カワイイね」という意見が出たり、ファンアートがSNSにあがっていたりして、受け入れられたことに安心しました。

 実はキャラについても、意識して作っていることがあります。

──それはどういうことでしょうか?

八木:これまでの作品だとキャラがたくさん用意されていても、お気に入りの数キャラくらいをローテーションで使っていたと思います。

 本作は、これまでと異なるスタイルのプレイルールを採用して、1人1ホールをプレイすることになっています。そのうえで9ホールを回るので、必然的にいろいろなキャラを使うことなるのです。

 バラエティに富み、得意なことが異なったさまざまなスタイルのキャラが21人もいますので、まんべんなく使ってほしいということもあって、1人1ホールをプレイするといった斬新なスタイルにしています。

 これは大きなチャレンジでもありました。

村守:ラウンドに頻繁に出したキャラほど成長していくというシステムを盛り込んでいます。キャラごとに得意な番手や“バンカー得意”、“ラフ得意”など能力が違いますので、ホールによってメンバーを変えるデッキ編集のような楽しみができると思います。

 最初は見た目の好みでキャラを選んでもいいと思いますが、プレイしていく中で、ゲームの仕組みが徐々にわかってくると、「コイツは2番ホールで使えるな」などのように、少し深い部分での戦略をたてられるようになり、より楽しめるはずです。

 とにかく本作は、オリジナリティを強調したかったんです。試行錯誤をして、新しいおもしろさや遊び方を用意できたところを強くアピールしていきたいです。

──ユーザーの意見を汲み取り、すぐに変えられたりするのもアプリのいい点であり、逆に大変なところでもあると感じますが、いかがでしょう。

村守:そうですね(笑)。こちらのエゴだけのゲームを作っても、皆さんに支持していただけないと始まらないわけです。

 皆さんについてきていただけるためにも、バランスを模索しながら、より多くの人に受けいられるようなチューニングを目指していこうと考えています。

 そのため、意見は非常にありがたく聞かせていただいています。

八木:海外の方に比べると日本の方は、ストアなどに書き込まれたり、サポートに意見を出したりすることが少ないようです。

 レビューやユーザーサポート、SNSなどにご意見を書き込んでいただければ、それを確認して、よりいいタイトルにしていきたいと思っていますので、ぜひ遊んだ感想や意見をいただけるよう、よろしくお願いいたします。

──最後に、クラップハンズのファン、またゴルフゲームファンに向けてメッセージをお願いします。

八木:本作はApple Arcadeというサービスの中の1本です。会員になっていただかないと遊べないのですが、初回であれば30日間無料ですし、本作以外にも180本以上の遊べるゲームがあります。

 まだ遊ばれていない方で、Apple系のデバイスをお持ちでしたら、登録をしていただいて『CLAP HANZ GOLF』をプレイしていただければ幸いです。そして気に入っていただけたら、サービスを継続していただいて、本作を長く遊んでいただければと思います。

高嶋:以前のゴルフゲームを遊ばれている人でも、それに劣らない駆け引きを楽しめるタイトルなので、ぜひプレイをしてほしいです。

桑原:さまざまなモードがありますし、順位を争うのはおもしろいと思うので、気軽に遊んでいただき、楽しんでほしいです。

二見:本作は得意なクラブを見つけて使っていくのが重要なポイントだと思います。得意なクラブというのは直進性に優れていますが、各キャラによって違います。

 どのキャラがどのクラブを得意にしているのかを見つけてもらえば、ホールごとにキャラを選ぶといった戦略性が加わり、本作の奥深さをより発見できると思います。究極のスコアを出せるかもしれませんので、ぜひ目指してほしいです。

村守:自分たちは20年以上ゴルフゲームを作ってきましたが、3回押しの入力方法を一新したく、新しい入力方法を模索しているタイミングでした。

 たまたまになるのですが、本作でそれを実際できたことがうれしかったです。この入力方法をさらに磨いていき、より快適に、そして指先で本当のゴルフをしているような作品作りができればいいなと思っています。

八木:今回“アナログフリックショット”は、国内において特許を取得できました。また現在は海外でも特許を申請中です。

 今まで慣れている3回押しというシステムを入れてほしいというご意見もわかります。新しいショット方法に慣れるまで最初は大変かもしれませんが、思いどおりにいかないところも含めて、ゴルフらしさを楽しんでほしいと考えているので、よろしくお願いいたします。

©2021 Clap Hanz Limited/Produced by Apple.