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『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』インタビュー。シリーズ第3弾クラファンやユーザー評価を質問

kbj
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 フライハイワークスから配信されているPS4/Nintendo Switch/PC用ダウンロードタイトル『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』。本作を手掛けた、ハッピーミールの関純治さんへのインタビューを掲載する。

 本作は、『伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠』に続く、レトロスタイル旅情ミステリーアドベンチャーの第2弾で、秋田・男鹿地方が舞台。キャラクターデザインは前作と同様に、漫画家・荒井清和さんが担当している。

 サービスサイト“キャンプファイヤー”にて、続編の開発費支援を募るクラウドファンディングプロジェクトが実施されている。関さんにはソフトの反響やクラウドファンディング、そして3作目についてなどをお聞きした。

 なお、インタビューにはゲームのネタバレが多少含まれる。また、許可を得たうえで、規制範囲外についてもふれている。

  • ▲インタビューはオンライン上で実施した。

肝入りのあのキャラが人気に!

――『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』の反響はいかがでしたか?

 『偽りの黒真珠』をプレイした多くの方々にプレイしていただけているようです。また、前作を未プレイだった方々では、地元が秋田県という方々が興味をもち、プレイしていただけたようです。

――意見としてはどのようなものがありましたか?

 自分としては、とにかくまず、地元の方々によい印象を持っていただきたいと考え秋田県の描写に力を入れました。結果、地元の方々に細かく仕込んだところを拾ってもらえ、「あるある!」や「これだよね!」喜んでいただけたという認識です。

 一方、秋田県ネタを多く入れ込んだことで、本筋が進まない=テンポが悪いという意見もありましたので、その点は今後の課題の1つだと思っています。

――キャラクターで人気があるのはどのキャラですか?

 如月刑事がユーザーさんから好印象だったと思われます。スタッフの中でも肝入りのキャラだったので、うれしくもあり、ホッとしたところでもあります。

 刑事キャラということで、可能ならば今後も出したいと思っていたので、好反応なのはよかったです。

 他には、モブキャラで出たガールズバーのユキコや、サロンを展開するアズミも「個性的でいいキャラだ」という反応をいただいてます。

――キャラデザをやられている荒井清和さんの好きなキャラは?

 荒井さんは如月とアーシャをあげていました。如月は眼鏡キャラを描いたことがそう多くないけどわりといい感じで描けたため、アーシャも同じくあまり描いたことがないタイプでしたが、目と髪の色からロシアっぽさをうまく表現できたために、お気に入りだそうです。

――ドットの作り方は『偽りの黒真珠』から変わっているのでしょうか? キャラの表情がより細かくなったと感じたのですが。

 ゲーム内で時間がそれなりに経過することもあり、前作より少しグラフィックのバリエーションを増やしました。

 例えば、背景以外にもキャラの服装を変えるなどです。また、外ではコートを着てるのですが、屋内に入ったり、話をしたりする際には脱いでいるなどの演出をいれており、そこは個人的なこだわりです。

驚きを重視して隠したことが弊害に!?

――前作を踏まえて開発時に意識したことは?

 一番は、“前作とあまり変えないこと”です。開発としては、どうしても「前作と何かを変えなければ!」とか「新要素を!」と考えがちになるのですが、本シリーズにおいては“変えないこと”がいい意味で重要と思っています。

 特に、シリーズ定番シーンはしっかり押さえることです。

――定番シーンはダンジョンや銃撃戦でしょうか?

 そうですね。あと、温泉シーンなどですね。前作同様にテレビドラマを意識しているので、これらはそういった“お約束”なので。

 『凍える銀鈴花』をプレイしていて「頃合いの時間にダンジョンが出てきたし、そろそろ終わりかな?」などと想像もされたのではないでしょうか。

 ただ、今回の物語は前後半の構成にしていたので、前半のラストでダンジョンが出て「あれ? もうそろそろ終わり?」というミスリードになるようにしていました。もし、それに引っ掛かってくれてたのならうれしいです。

――『偽りの黒真珠』と比べて、ボリュームがかなり増していると感じました。

 本作は先ほど申したように物語としては前編、後編のような構成になっています。フローチャートを理解している自分がクリアテストで14時間前後かかりますので、初見プレイだと最低でも15時間以上はかかるのではないかと思います。

――かなり詰め込まれていますね。

 はい。今回のウリの1つとしてシナリオに“意外性”を表現したいと思いました。

 本作は『偽りの黒真珠』のように2時間ドラマを意識していましたが、その“意外性”を表現するために最終的には2夜連続放送ドラマのような構成とボリュームになりました。

 企画時点で2部構成は決めていましたが描くべき部分が想定より多くあり、開発時間が足りず発売が延期することになってしまいました。

――“意外性”ですか。

 『偽りの黒真珠』くらいの時間で事件が解決するが直後に、“事件はまだ終わっていなかった!”と、後編へ続くという驚きを提供したかったわけです。

 例えるならば、ボスを倒してゲームクリアかと思うも、その先に別の世界が大展開される『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のような感じを出せたらいいとスタッフには話していました。

 このことは、皆さんに驚きを与えたくて発売前は伏せていましたが、最近は発売から時間が経過したこともあって、“今回は2夜連続ドラマのような作り”と公表しはじめています。この構成を秘密にしたことで、計算ミスというか、ちょっとした弊害もありました。

 本作ではそれほど大きくない1つの事件を追っていたが、実はその裏に大きな事件が潜んでいて、次第にそれが浮き彫りになっていく……みたいな感じをより表現したかったので、スタートから事件が大きく動き始めるまでの静かな時間を長めにとりました。

 前作のボリューム感をイメージしてプレイしていると、この静かな時間がより長く感じてしまったと思われます。振り返ってみれば、ここに時間を取り過ぎたかもしれません。

――個人的には中盤から後半にかけて、物語が加速度的に動いていくところが好きです。

 ありがとうございます。前半の展開に厳しい感想を持つユーザーさんも、最後までプレイされた場合はその感想が変わることもあるようですが、今回は作り手の想いというか目論見をユーザーさんに押しつけすぎてしまったと思っています。

 ここは今後の課題の1つとして次回作などに生かしていきたいと思ってます。

――他に気になった意見は?

 先ほどあげました秋田情報ですね。ご当地グルメも紹介が多くなった分、「食べてばかりいないで、捜査しろよ!」とある意味、至極まっとうな声もありました。

 しかし、ご当地情報は本シリーズのウリとも考えているので悩ましい所ではあります。ただ、今回はそういった情報を必ず読まないと先に進めないというポイントが多かったので、そこは改善していきたいと思っています。

ゲーム内コラボを実施……予想していなかった2つのこととは?

――角川ゲームスから発売されている『Root Film(ルートフィルム)』のキャラが『偽りの銀鈴花』に登場していますが、こちらの経緯は?

 イラストレーターの箕星太朗さんが『偽りの黒真珠』を気に入っていただけたということから話が動き、前作でグッズなどを出させていただきました。

 そのご縁で同氏がキャラデザをする『ルートフィルム』から、2人のキャラがこっそり登場しています。

――『ルートフィルム』をプレイしていた時、向こうにもどこかで見たことのあるキャラが出てきました。この取り組みは相互コラボになっていたのでしょうか?

 お気づきになられてましたか! 実は『ミステリー案内』シリーズから“とあるキャラ”が少しだけ『ルートフィルム』に出ています。こちらで登場するキャライラストは箕星さんが手掛けているので必見です。まだ遊ばれていない方はぜひチェックしてみてください!

――突然出てきたので、情報を知らなかったのかと調べてしまったのですが……

 もともとは発売のタイミングが近く、親和性のある両タイトルでそれぞれのキャラを交換して出す仕組みを想定していたのですが、お互いの発売タイミングがズレてしまったこともあり、効果的な告知ができませんでした。

 そもそも、お互いが黙っておいて「ユーザーさんに発見してもらい盛り上げてもらおう」と話をしていたのですが、実はどちらのタイトルでもコラボキャラが出る場所がネタバレ規制範囲的にみると微妙な場所という、そもそもの問題が……。

――確かに、どちらも中盤から後半にかけて登場しますね!

 そうなんです。こういった理由からこれまで告知する機会を逃していました。

 今さらですが、告知させていただきます。ぜひ『ルートフィルム』も楽しんでいただければうれしいです。あちらは島根県を舞台にしたミステリーアドベンチャーになっています!

――『凍える銀鈴花』についてもアピールをお願いします。

 先ほどもあったように、本作は、2夜連続ドラマのような展開で、ボリューム的には前作の倍以上となっています。表で動く事件の裏に潜むある事件の真相へと物語は次第に加速していきます。きっと楽しんでいただけると思いますので最後までプレイしてもらえるとうれしいです。

 その他、シチュエーションやドラマなど、いろいろと細かなことにも挑戦していますので、ぜひ、プレイして見てください。よろしくお願いします。

クラウドファンディングについて

――クラウドファンディングを再び実施することになった経緯を教えていただけますか。

 1番の理由は今回も皆様と作品を作っていく形にしたかったという点です。前作『凍える銀鈴花』でクラウドファンディングを行ったところ、ゲームに出演できる権利や作中にテキストで出られる権利が好評でした。

 また、「知ったころには売り切れていた」や「すでに終わっていた」という声もいただいており、再びそういったことをやらせていただこうと考えた次第です。

 もちろん、前回同様、ソフト開発の初期資金の一部をご支援いただくためというのもあります。

 お陰様で『凍える銀鈴花』の売れ行きは、現状、ほぼ計画どおりと悪くはなくこの売り上げをそのまま次回作にあてる流れとなっています。といっても、本シリーズはジワジワと売れていくタイプですので、資金回収にはかなり時間がかかります。

 本作は荒井清和さんを始め、いろいろな方々にもご協力いただいており、そういった方々に初期の段階からスムーズに動いていただくための初期資金は非常に重要であり、その一部を皆さまからご支援いただく形を採らせていただきました。

――実は前回は自分も参加させていただいたのですが、“ゲーム開発に少しでも参加している感”が楽しいと感じました。

 ありがとうございます。まさに先ほどもお話しました、“皆様と一緒に作品を作っていく”形ですね。小さいプロジェクトだからこその参加している喜びはあると思いますし、そこは大事にしたいと思っています。

 もし開発資金が潤沢になったとしても、クラウドファンディングに関わらず、何らかの方法で“皆様と一緒に作品を作っていく形”は続けていきたいと考えています。

――おまけゲームのランキングに参加できるなど、支援できる項目が増え、選ぶ楽しみもありそうです。

 そこは前回の実績や声をもとに設定させていただきました。ちょっとした要素に参加するのはおもしろいと思い、いろいろな人に参加していただくためにも、項目を増やしました。

 ゲーム内に出演する権利について、あくまで役柄を演じている形となるため、配役や性格付けはこちらで決めており出演者の方々に嫌な思いをさせてしまう可能性もあったのですが、特に不満などはあがったりはせず、「予想していたよりもしっかり出ていた」など、好意的な意見が多かったので安心しています。

――第3弾の舞台や設定についてお話いただけますか。

 すでに決まっていて九州地方のどこかになります。舞台は、1つの地方に偏らず日本各地を網羅していきたいということもあり、今回は日本の西側という方向で選定していきました。

 現状ではシナリオやキャラ設定など、作品の骨子はできていて、ごく短期間ですが取材も敢行しています。ただ、世間的にはこのような状態で納得のいく取材はできていないので、落ち着いたらまたきちんと現地訪問したいと思っています。

 あと、舞台について言えるとしたら、なるべく、他のゲームやドラマ作品でとりあげられていない場所にしたいと思っています。それと北海道は最後にしたいということですかね(笑)。

――なるほど。かぶりを気にするならば、他を選ばれると。

 現時点、舞台地の選択肢はまだ沢山ありますから。ちなみに今回、候補地はもう2つありました。とにかく、最初は詳細な県を言わないほうがおもしろいかなと思って言わないことにしています。

――他に考えていることは?

 個人的にはどういう形でもタイトル発表会などはやりたいですね。前回は映画館をお借りしてやったのですが、もし叶うならば今回は現地でやりたいです。

 すでに頼もしい現地協力者もいて連携もできはじめているので、発表の段階から一緒にやれたら盛り上がれると考えています。

――岐部昌幸さんが参加されることになった経緯は?

 以前に行われた“ドット絵ミステリー”でご一緒したのがきっかけで、お声がけさせていただきゲーム本編にも携わっていただくことになりました。

 このような取り組みにおいて依頼する側もされる側も気兼ねなく意見交換できる関係が大事だと思っているのですが、岐部さんとはまさにそのような感じでやり取りさせていただいています。

――プレイ時間については『偽りの黒真珠』と『凍える銀鈴花』の中間位を想定とありました。

 スタッフ一同、『偽りの黒真珠』は今見てみると少し短く、『凍える銀鈴花』は少し長いという感覚を持っています。そこで今回は中間くらいを目指すのが丁度よいのではないかと考えています。

 ただ、これはあくまで指針であり、シナリオに合った流さにバランス調整をしていくことになると思います。

――濃いユーザーから支持されているシリーズになっていますが、その理由はどこにあるとお考えでしょう。

 本シリーズは単にレトロゲーム風ADVゲームという形をとっていますが、中身は現代の完全新作として真剣に作っているタイトルです。荒井清和さんにキャラクターデザインをしていただいていることもあり過去の名作ADVを彷彿しますし、そういったタイトルと比較されるのは当然だと思います。

 しかし、我々としてはいかに過去の名作に似せたものを作れるかというチャレンジしている訳ではなく、そういった作品へリスペクトしその流れを踏襲しつつ、我々の思う形で新たな名作と呼ばれるようなものを生み出すことを目標にしています。

 本シリーズをご支持いただいている皆様には、我々がこういったこだわりのもとで制作していることをご理解いただき、そこにシンパシーを感じて応援いただけているのではないかと思っています。

――クラウドファンディングについて、何かあればお願いします。

 実施期間は6月7日までとなります。金額に関わらずご支援や応援いただいた気持ちははしっかりとお預かりし、作品でお返しできるよう制作させていただきます。

 今後もおもしろいタイトルを皆さんと一緒に作っていきたいと思っていますので、もしそれにご興味をおもちいただけたのなら、ぜひご参加していただければと思います。よろしくお願いいたします。

――ありがとうございました。

Illustrated by Kiyokazu Arai
©2020 Happymeal Inc.

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『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』

  • メーカー:フライハイワークス
  • 対応端末:Switch
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 発売日:2021年7月1日
  • 販売価格:3,600円+税

『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』

  • メーカー:フライハイワークス
  • 対応端末:Switch(ダウンロード専用)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 配信日:2020年12月24日
  • 価格:2,000円
  • ※開発:ハッピーミール

『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』

  • メーカー:フライハイワークス
  • 対応端末:PC(STEAM)(ダウンロード専用)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 配信日:2021年1月14日
  • 価格:2,000円
  • ※開発:ハッピーミール

『秋田・男鹿ミステリー案内 凍える銀鈴花』

  • メーカー:フライハイワークス
  • 対応端末:PS4(ダウンロード専用)
  • ジャンル:アドベンチャー
  • 配信日:2021年3月18日
  • 価格:1,980円
  • ※開発:ハッピーミール

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