『スカーレットネクサス』レビュー。漫画的な近接戦&能力バトルが良質なアクションで堪能できる

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 6月24日(Steam版は6月25日)に、バンダイナムコエンターテインメントから発売される『SCARLET NEXUS(スカーレットネクサス)』。物体を動かす念力を主軸としたアクションと、視覚化されたネットワーク技術が織りなすサイバーパンクな世界観に存在する生命体“怪異”とのバトルを描くアクションRPGです。

 発売に先駆けてプレイを行ったアクションゲーム大好きなライターが、本作のレビューをお届けします。

情報に溢れているけど煩わしくない。煌びやかさと雑多さが融合した世界が舞台

 本作独自の特色として、まず最初に目に付くのが街並の華やかさ。誰もが持つ超感覚“脳力”をベースに科学技術を発達させたという設定があり、ネットワークに繋がった交通情報や宣伝の看板などが脳を介して視覚化されているのが特徴です。

 私自身、このサイバーパンクな世界観がとても好みなのもありますが、シンプルな外観ゆえに、硬質で冷たさを感じさせるオフィス街や企業ビルに対し、派手な看板で目を引く飲食店やアパレル店などの歓楽街との対比や融合した景観の感じがいいですね!

 この雑多さは都心でよく見る光景と近いイメージでありながら、どこか「近い将来本当にこうした風景が見られるんじゃないか」と想起させる近未来さに興奮を覚えます。おまけに「今から冒険するゲームはこの世界観で、ここを探索できるのか!」という好奇心と没入感も与えてくれますし。


 街や各地域は、すべてがシームレスで繋がっているのではなく、エリアごとで区切られています。上記の街“スオウ”は大通り沿いを中心に広く歩けますが、隣接した神社やビルにはエリアを切り替えて進入します。エリアを切り替えて進むだけでなく、ファストトラベルのようなシステムがあり、移動の際はそれを利用して別の拠点や地域へ探索を拡大していく流れ。

 まとめると、ひとつの大きなエリアを中心に、隣接する複数の地域を探索し、戦闘や寄り道をしていくタイプのゲームということです。

能力ではなく超脳力!! 近接戦闘と念力が融合した能力アクション

 本作の戦闘における攻撃手段は、ざっくり分けて近接攻撃と超脳力の2つ。主人公は物体を動かす超脳力――念力の持ち主で、戦闘中は近くにある車から電柱、廃材、室外機などなど、ありとあらゆるものを敵に投げつけられます。近距離と遠距離攻撃を持っているわけです。念力は専用のゲージを消費することで使用でき、ゲージは近接攻撃によって回復。遠近の攻撃をバランスよく切り替えて戦うのがセオリーとなっていました。

 攻撃に制限のある念力は近接攻撃よりも威力が高く、また敵の部位破壊にも長けているため強力な印象。特定の物体を動かすと大ダメージを与える一撃を繰り出せることもあり、物体と敵との位置関係もバトルにおいては重要だと感じましたね。とくに強力な一撃を繰り出した際にはカメラによる演出も入るため、大技の「決まったァ!!」感が視覚的にも分かりやすいんです。


 任意ジャンプや地上攻撃、空中攻撃、そしてステップによる回避とアクションの要素はひと通り揃っており、バトルはスピーディかつ爽快感重視。武器を手に持って攻撃するだけでなく、念力を駆使して武器だけを浮遊させながら斬撃するなど、モーションも逐一カッコよかったです。

 主人公は男女の2人いて、最初にどちらかを選択できるのですが、男性キャラは刀。女性キャラは浮遊する複数のナイフと武器が異なります。基本的な要素こそ一緒ですが、攻撃モーションが異なるなど細かなこだわりがありました。とくに男性キャラの納刀! 念力で刀を操作して納刀するんですよ! バトルに関係ないところではありますが、こういう細部って、よりキャラクター性が濃く出るところでもあると思うんですよね。こういう作り、好きです。


 パーティメンバーの超脳力を借り、武器に炎を宿したり、見えない敵を認知できる透視の力を借りられる“SAS”。一時的に身体能力が向上し、強化された超能力を繰り出せる“脳駆動(ドライヴ)”と、攻撃面に関するシステムが多く、攻めの楽しさ、継続、爽快感に優れ、戦略性にも富んでいますね。

 個人的にも、アクションゲームは攻撃の選択肢が多いほうが好ましいので、敵に合わせて手を替え品を替え戦うおもしろさが味わえました。


 こちらは、昨年公開された開発中の映像ではありますが、“SAS”で仲間の超脳力を借りている様子を収めたもの。どんなものなのか雰囲気がつかめるんじゃないかと思います。

 主人公の攻撃や超脳力、ステータスはレベルアップ時に入手したポイントを割り振って強化していくタイプ。近接攻撃のコンボ回数が増えたり、空中ジャンプ、空中回避が可能になったりとアクションの拡張ができます。ストーリーの進行でツリーも増えていくので、徐々にアクションが拡充していく楽しみもありますね。

 また、この成長ツリーの形が男女主人公で微妙に異なり、男性側は地上攻撃関連、女性キャラは空中攻撃関連がそれぞれ成長させやすくなっていました。

世界を支える怪異討伐軍との関わり、そして2人の主人公

 異形の生命体“怪異”に対抗するために結成させた組織こそ、主人公が所属する“怪異討伐軍”。ここに所属するキャラクターがとにかく多く、誰も彼も個性ありあり! 能力系アクションゲームである一方で、各キャラとのメールのやり取りやプレゼントによる好感度アップといったコミュニケーション要素も充実しています。この世界に生きるキャラクターの内情や意図、決意みたいなものを探れるのも、キャラクターの多いゲームでのだいご味ですよね。


 個人的におもしろいと感じたのは、主人公が男女ともに1つのストーリー内で2人とも存在していること。例えば男性主人公が戦っている同時刻、女性主人公は別の場所で任務をこなしていたり。2人が同時に関わる瞬間では、それぞれが見えている情報が異なるためムービーの内容が異なるなど、かなりおもしろい仕掛けだと感じました。ゲーム冒頭から女性主人公は姉妹で行動しているため会話内容にも差があり、その主人公を深く知る要素にも繋がっていますね。

 最初に男女主人公どちらかを選択し、ムービーの後すぐ操作のチュートリアルが始まるので導入はかなり丁寧です。世界観の説明やキャラの紹介も兼ねているのもあり、会話シーンが随所にありますが、スキップ機能もあるのでテンポは調整できます。僕のように「速く戦闘したい!」って気質の人にもありがたいですね。

 またアクション部分で紹介していなかった防御面についても少しだけ。こちらは主にジャンプと回避が主体となります。注意したいのは、近接攻撃を中断して回避が行えない――つまり近接攻撃モーションを回避でキャンセルできないため、攻めに意識を傾けすぎると被弾が増えてしまうところ。

 その代わり、近接攻撃中に念力発動することで大きく後退できるので、簡易的なバックステップとして利用できました。念力攻撃後は近接攻撃入力で急接近しラッシュを仕掛けられるため、緩急の利いた動きができます。通常戦闘ではガン攻めスタイルで敵を圧倒できますが、ボス戦などではこうした慎重な立ち回りが重要になりそうだなと思いました。

 また、レベルアップでスキルを獲得し、アクションが拡張されると空中ジャンプや空中回避できるようになるなど機動力も強化されます。そもそも“脳駆動(ドライヴ)”中はレスポンス速度が上がり、動きやすくなりますし、“SAS”を利用すれば高速移動ができたり、吹っ飛ばなくなったりします。ゲームを進めていくにつれ、できることが増え、プレイもどんどんアクティブになっていく感じを楽しんでいただければと!

 誰もが想像した超能力を駆使したアクションは、まさしく漫画やアニメでお馴染みの演出そのもの。それが細かなこだわりやしっかりとした作りで楽しめるので、近未来、サイバーパンク、超能力などなど、気になった部分があればぜひ!

※画面は開発中のものです。
SCARLET NEXUS™ & ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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