『月風魔伝』新作を先行プレイ。ファミコン版との違いは多々あれど、同じ“血”を感じる意欲作【電撃インディー#1】
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- まさん
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KONAMIより、2022年にNintendo Switch/Steamで配信予定のローグヴァニア2Dアクションゲーム『GetsuFumaDen: Undying Moon(ゲツフウマデン アンダイング ムーン)』。
本作は、KONAMIがファミリーコンピュータ向けソフトとして1987年に発売した『月風魔伝』の世界観を受け継ぐ完全新作です。
正式な配信は2022年の予定ですが、本作は2021年5月14日よりSteamで早期アクセス版を配信。早期アクセス版では約30ページのデジタルアートブックと、ゲーム中に聞ける15曲のBGMを収録したオリジナルminiサウンドトラック。SteamでプレイできるFC版『月風魔伝』の3点が特典として手に入ります。
フルバージョンではステージやプレイアブルキャラなどが追加。ゲームバランスも調整される予定ですが、いち早く本作独自の作風やゲーム性に触れてみたい、開発と一緒にゲームを調整していく体験を味わいたいという人は、早期アクセス版から遊んでみるのもオススメです。
今回は、どのようなゲームか気になっている人のために、早期アクセス版に触れたライターのレポートをお届けします。
浮世絵のようなグラフィックに爽快なアクション
ファミコン用ソフトとして知る人ぞ知る『月風魔伝』の続編が34年ぶりに登場! 前作のファミコン版は1987年に発売されたアクションRPGで、主人公の風魔が刀や手裏剣を使って戦う和風の世界観が特徴的な作品でした。
当時はアクションRPGだったのでフィールドマップからアクションステージに突入したり、3Dダンジョン(なぜか、KONAMIのアクションゲームには3Dダンジョンステージがあったのです)を抜けてボスと戦ったりしましたが、今回はローグヴァニア。物語もファミコン版から1000年後の時代設定となっており、あえて前作を遊んでおく必要はありません。
今回の主人公・月風魔(げつふうま)は、ファミコン版の主人公である初代風魔から数えて二七代目の当主。年代がかなり飛んでいます。そう、タイトルの発音は「げつふう、までん」じゃなくて「げつふうま、でん」なのです! 当時、周囲が「げつふう」で切って発音を……どうでもいい話でした。
ファミコン版は、今でもWii Uまたはニンテンドー3DSのバーチャルコンソールで遊べますし、早期アクセス版の特典でもプレイできるので気になったら遊ぶくらいでも大丈夫。では、少し前置きが長くなってしまいましたが早期アクセス版の感想を述べていきましょう。
まず、いきなりですがこのゲーム、早期アクセスの時点でかなりのポテンシャルを感じます。内容もさることながら、グラフィックと演出のセンスだけで「遊んで良かった」という気持ちになります。ストーリーの導入から道中、ボスの出現シーンにいたるまで、浮世絵調の絵柄を崩さずに表現しているコダワリにシビれます!
登場シーンからボス名を表示する演出まで、徹頭徹尾すべてが粋(いき)。“和”の良さにあふれています。実際に動いている場面もカッコいい!
背景と調和しすぎて敵や攻撃がわかりにくいのでは……と危惧していたのですが、そこも問題ありません。ローグヴァニアで何度も同じステージを繰り返し遊ぶので動きが頭に入るのと、ミニマップに敵が表示されているので意識できるからかもしれませんね。
回避が優秀ということもあり、相手の攻撃に合わせて背後を取ってから先手を取ることもカンタン。基本的にザコ敵はコチラの攻撃でのけぞり、ノックバックして隙を見せるので攻めれば攻めるほど有利です。
もちろん反撃する敵もいますが、遊んでいくうちにタイミングもつかめるので、的確に処理できます。予備動作もわかりやすく、派手なエフェクトに隠れても問題なく立ち回れるゲームバランスに感心。
浮世絵風のグラフィックが最大の魅力であり、その良さを引き立てるように派手なエフェクトや演出が飛び交います。
ある程度見やすさが犠牲になりそうなのにストレスはなく、ゲーム性も損なわれていません。損なわれていないどころか、非常におもしろい!
レビューのためにプレイするどころか、1回立ち上げてから5時間以上ぶっ続けで遊び続けてしまいました。とにかく戦っていて気持ちよく、レビュー用のコードをいただいたのですが自分でも購入したいゲームになっています。
無敵の回避で背後を取り、刀や両得物などの主武器で鬼をバッタバッタと切り祓う。クールタイムがある代わりに強力な副装備で、やっかいな相手は遠距離から葬り去る。気持ちよく戦えて、サクサク探索できるのが本作の良さです。逆に調子に乗るとサクサクやられるかもしれませんが……!
なお、特定の条件で敵を攻撃すると特別な攻撃“刹那”が発生します。これの演出もにくい。画面に漢字一文字がドバーンと出現して「ズビッ!」と切断。時代劇の殺陣(たて)のような静と動の演出がいいんですよ。
発生した攻撃に合わせて“閃”、“崩”、“殺”。不意打ちの場合は“誅”の一文字が浮かんで敵を切り倒す。これがまた爽快!
見てください、この絵になる攻撃。カッコ良いスクリーンショットを撮影するために、もういろいろな場所で切りながら撮影しちゃうくらい演出がうまい!
敵が攻撃を行うタイミングで主武器を使うと“閃”とともに閃撃が発生。相手に気づかれていない状態で背後から切ると“誅”で不意打ちに。攻撃を当て続けると敵が無防備になる崩れ状態になって“崩”の文字が出現。そこからトドメの一撃“殺”で倒すと、未解析の特殊な武器がドロップしやすくなる、といった流れで、刹那を狙えば狙うほど有利に戦えます。
ちなみに、刹那は必須ではありません。あえて狙わずにザクザク切るか、副装備で安全な地帯から攻撃していくだけでも戦えます。
戦いのアクセント程度の味付けで、強制されないところが好きですね。武器ごとに属性と系統があり、敵に対して有利な属性や系統の武器で戦うと大ダメージを与えられますが、これも意識せずに戦えます。
あくまでも最初の難易度である“凡人”での話なので、高難易度ではわかりませんが、適度な難しさがありつつも戦っていて気持ちよい感触が優先されています。
敵の攻撃を受けずに切り続けると3段階に鬼人化してパワーアップ! 攻めれば攻めるほど有利になる作りが気持ち良さにつながっているのでしょう。
上達を実感しながら繰り返し育成していく楽しさ
このゲームはローグヴァニア。ランダム要素があって敵にやられると成長要素や進行状況がリセットされる“ローグライク”要素と、枝分かれしたステージを冒険する探索型の2Dアクション“キャッスルヴァニア”要素が融合したジャンルとなっています。“キャッスルヴァニア”はKONAMIのタイトル『悪魔城ドラキュラ』の海外名でもあるように、この手のジャンルの始祖ですね。
マップを見ながら、ステージ内を駆け回ってボスのいるエリアを目指す作り。鳥居がある場所へ転送する機能もあるので、広くて迷子になることもないはず。
本作では2つのジャンルが融合したローグヴァニアとして、繰り返し遊べる作りになっています。ローグライク要素があるので敵の配置やマップの構造がランダム。宝箱から拾える武器や素材もランダム。同じ主武器でも運が良ければ強力なものが手に入ったり、引きが悪くて弱い副装備で進まざるを得ない時があったりと、ちょっとしたランダム要素がスパイスになっています。強い武器を拾えた時のうれしさも、このジャンルならでは。
火薬玉や火縄銃などの強力な副装備が手に入ると、道中にいる敵の対処が楽に! このランダム性によるワクワク感が楽しいジャンルです。
もちろん、キャッスルヴァニア要素もあるので、アイテムを取得してプレイヤーを強化する仕組みも存在。宝箱や強敵が落とす“魂”を入手すると“魂カウンター”が増加し、持っている魂の数に応じて主武器強化、副装備強化、生命力増強、回復薬+1のどれかを実行できます。魂は4つ以上集めると武器の能力解放に必要な“魂の記憶”を1つ入手し、カウンターが1の状態に減少。
なお、KONAMIのタイトルで例えると『グラディウス』のパワーアップシステムですね。魂は“狂魔”と呼ばれる通常よりも強い敵(黒く光っている)が落とすので、慣れてくると「もっと狂魔を! 狂魔を出してくれ!!」と強い敵を求めてさ迷うことになるでしょう。
“魂の記憶”は道中で入手しやすいので、基本的には魂を5つためる前に使っていくほうが効率よく強化できます。
ちなみに早期アクセス版をプレイしてみた体感としては、“生命力増強”を優先的に強化していくと探索しやすくなりそうです。
どんなに気を付けていても敵の攻撃で事故が起きてしまうので、初見のボス戦で攻撃パターンを見極めるためにも、体力があるほうが戦いやすいと思います。
もっとも、どれだけ強化しても敗北すると魂による強化はリセット。拠点である“月氏の館”に戻った時点で初期値に戻ってしまいます。
ここがローグヴァニアのシビアなところ。所持品も敗北したら没収。世知辛いですが、それがローグヴァニアなのです。これを防ぐためには、ボスを倒した後の野営地(次のステージへ行く中間地点)から自分で帰還しなければなりません。
自力で帰還すれば、武器の強化に必要な素材や、能力の強化に使う精体鉱などの所持品を持ち帰れます。どこで帰還するか見極めることも大切。最初は1つか2つのステージをクリアしたら帰還しちゃうのも手ですね。
道中でプレイヤーを強化しながら武器を拾い、敵の攻撃パターンを覚えてより難しいステージまでたどり着けるように繰り返し遊ぶ。ローグヴァニアとしての基本的な下地が丁寧に作られており、早期アクセスの時点でも止め時が見つかりません。
難しく感じる人は無理をせずに地道に育成
敗北すると魂による強化要素はリセットされますが、実は継続して残る要素もあります。それが“鍛錬”と“秘伝”。道中で手に入る精体鉱(鍛錬)を消費して鍛錬を行うと、生命力や攻撃力などの永続的な強化が可能になります。基礎的な力が底上げされるので、地道に鍛錬を続ければスタート時から強い状態で探索できます。
また、精体鉱(秘伝)を消費して秘伝を解放すると、敗北時にも素材や精体鉱の一部を持ち帰れるようになるといった恩恵が得られます。
どうしても無理をして敗北しやすい人は、秘伝を解放して敗北時のペナルティを減らしましょう。なお、これらの強化は、拠点である月氏の館かボス撃破後の中間地点で行えます。
死亡時のリスクが高いところもローグヴァニアの醍醐味ではありますが、苦手な人は地道に育成することでクリアしやすくなるでしょう。最初のボスや次のボスを倒して帰還しながら地道に稼ぐうちに、きっと攻略の腕も上がるはず。
そして、強化できるのは主人公だけではありません。武器の設計図を拾うことで新たな武器を鋳造したり、すでに発見したことがある武器の能力を解放できたりします。
能力を解放すれば武器の基本攻撃力などが上がり、序盤で拾えるような弱い武器が化けるかもしれません。
ただし、武器の能力を解放しただけだと効果は発揮されないので要注意。解放した武器の能力は“魂の記憶”を使って活性化させないと発動しません。再挑戦して中継地点まで来たら、活性化することを忘れないようにしましょう。
本作は、さすがに34年前のファミコン版『月風魔伝』のシステムとは大きく違うのですが、刀で切っていく爽快感や鳥居をくぐってエリアを切り替える仕組み、怪しくも魅惑的な“和”の世界観など、根底に流れる血は間違いなく『月風魔伝』です。
それでいて新しいローグヴァニアとしても見どころが多く、早期アクセスの段階でも期待が持てる作りでした。
自分が遊んだ中で気になった点をあげるなら、強力な火薬玉や火縄銃の入手頻度が高く、現状だと弱めな副武器の出番が薄い。一部の落下があるステージではミニマップでも落下地点が見分けにくいといった細かい点くらいですね。そうした数値やゲームバランス面では、まだ調整中だと思われる部分がありました。
ですが、これはあくまで開発段階の早期アクセス版。ここからユーザーの意見を取り入れつつフィードバックするものなので、現時点でも十分な完成度です。
むしろ、早期アクセスが始まったばかりとは思えないほどに根本の部分はしっかり作られており、個人的にも発売が楽しみ! 早期アクセス版なら豪華特典もついてくるので、気になる方は早めに購入して参加しましょう。
もちろん、2022年に発売される完成版を楽しみに待つのも自由。気合いの入ったタイトルだと感じたので、ぜひ遊んでみてください!
(C) Konami Digital Entertainment
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『GetsuFumaDen: Undying Moon(ゲツフウマデン アンダイング ムーン)』公式サイトはこちら
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