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小高和剛、打越鋼太郎の新作はデスゲーム……ではない! 『ワールズエンドクラブ』レビュー

カワチ
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 イザナギゲームズのサスペンスパズルアクション『ワールズエンドクラブ』のレビューを、ライターのカワチがお届けします。

 『ワールズエンドクラブ』は『ダンガンロンパシリーズ』の小高和剛さんがクリエイティブディレクター、『infinity』や『極限脱出シリーズ』の打越鋼太郎さんがシナリオを務めるタイトルです。

 2020年9月にApple Arcade版がリリースされ、2021年5月27日にはNintendo Switch版(パッケージ版:5,478円/ダウンロード版:4,928円・ともに税込)の発売を控えています。この記事では、Apple Arcade版をプレイしながら、本作のゲーム内容や注目ポイントをご紹介します。

 もともと本作は、『デスマーチクラブ』というタイトルで12歳の少年少女たちによるデスゲームを題材にした作品であると発表されていました。小高さんと打越さんのふたりが手がけるデスゲームの新境地ということで、期待しているユーザーも多かったハズ。はい、自分もそのひとりです(笑)。

 しかし、ティザームービーで「突然ですが、このデスゲームは中止しまーす!」というアナウンスとともにタイトルが『デスマーチクラブ』から『ワールズエンドクラブ』に変更されることが発表!

 この仕掛けにはかなり驚きましたね。自分は小高さんの作品も打越さんの作品もファンなので、ゲーム中にさまざまな仕掛けで驚かされることには慣れていましたが、まさかゲームをプレイする前からこんな大掛かりな仕掛けが用意されていたとは…………。デスゲーム自体がフェイクだったことに「やられた~!」と思いましたね。

 そんな『デスマーチクラブ』改め『ワールズエンドクラブ』の舞台は1995年。主人公の“れいちょ”をはじめとしたガンバレ組の11人が東京から修学旅行先の鎌倉へバスで向かっていたところ、謎の隕石が地上に落下します。

  • ▲れいちょたちがバスの中で観ていたビデオ。彼らはこれからビデオと同じゲームをさせられることに……。

 気を失った面々が目を覚ますと、そこは見知らぬ海底の遊園地で、彼らの目の前に謎のキャラクター・ピエロピが登場します。ピエロピは手首に付けられたバングルには,他の誰かのノルマが書かれており、自分に課せられたノルマを最初に達成した人にご褒美が与えられるという“ノルマゲーム”について説明します。

 最初に説明したとおり、このノルマゲームはフェイクであり、序盤だけの展開なのですが『極限脱出シリーズ』の打越さんが手掛けているだけあり、普通にめちゃくちゃおもしろいです。

  • ▲ゲームをはじめると、さっそく騙し合いの洗礼を受けます(笑)。なお、ここは無視して逆方向に進むのが正解。

 短いボリュームに収まっているぶん、ルールの説明や騙し合いの展開がスピーディーでテンポよく、いわゆる“打越シナリオ”の魅力がギュギュッと詰まっています。

 なお、壮大な前フリであるノルマゲームですが完全に無駄ということはありません。ここまででキャラクターがどういった人物なのかわかるようになっていますし、アクション要素のチュートリアルにもなっています。

 ゲームの序盤というと、どうしてもストーリーの説明やシステムの説明で淡白になりがちですが、本作では緊張のデスゲームを通じて必要なことが解説されるのでのめり込むことができます。

 なお、キャラクターの数は多いですが、それぞれ干支がモチーフになっており、個性付けがしっかりされています。そのため、すぐに全員を覚えることができると思います。イラストレーターの竹さんによる可愛らしいデザインも必見です。

  • ▲自分のお気に入りはネズミがモチーフのチュー子。菊池こころさんの演技も素晴らしいので、ぜひ音声も聴きながらプレイしてください!

『ワールズエンドクラブ』は少年少女が日本を旅するアクション・アドベンチャー!

 デスゲームが中止されて、れいちょたちが外に出ると、そこは東京から950kmも離れた鹿児島県。なぜか街は荒廃しており人もいなくなっているという状況でした。

 そのため、彼らは人を捜しながら東京まで歩くことに。なお、ストーリーの途中でキャラクターたちの意見が別れて一方のルートを選択することも。分岐する部分はゲームクリア後に選択し直すことが可能なので、「あのとき、向こうではこういうことが起きていたのか」ということを知ることができます。

 ゲームに関してはストーリーが進むアドベンチャーパートと横スクロールのアクションが存在。横スクロールは棘に刺さったり敵の攻撃を受けてしまうとゲームオーバーに。少し前からやり直すことになります。

 パターンさえわかっていれば攻略できることが多く、単純に難しいというよりは、ファミコン時代の昔ながらのアクションゲームをプレイしているような楽しさがあります。

 スマートフォンのみでもプレイできますが、より快適にプレイするならコントローラーを使うのがオススメ。本作はそれほど複雑なアクションを必要としませんが、とっさに敵の攻撃をかわしたりする場面もあるので、コントローラーがあると便利です。

 また、キャラクターたちは旅を続けるなかで、さまざまな能力に目覚めていきます。全身を硬化したり、カラムーチョを食べて炎を吹いたりとそれぞれ能力は異なるのですが、その能力で敵を倒したり、謎解きをしたりすることになります。

 能力が目覚めるシーンはストーリー的にも盛り上がるポイントとなっており、展開が平坦にならないように工夫されています。

 また、もうひとつ注目してもらいたいのはステージ。鹿児島や京都、福岡など、それぞれガラリと背景が変わるため、新鮮な気持ちで冒険することができます。人がいない終末のような世界であるものの、日本を旅行しているような楽しさがあります。

 なお、Apple Arcade版の物語は現段階で完結しておらず、全貌を知るにはアップデートを待つか、5月27日に発売されるSwitch版をプレイする必要があります。

 このレビューを読んで本作が気になった方、ぜひSwitch版を遊んでいただければと。自分もSwitch版をプレイして『ワールズエンドクラブ』のすべてを見届けようと思います!

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