『バイオミュータント』=もふもふケモノ×廃墟×オープンワールド。40時間遊んだ印象は?

シュー
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 5月25日に発売されるTHQ Nordic Japanは、PS4/Xbox One/PC用ソフト『Biomutant(バイオミュータント)』のレビューを、ライターのシューがお届けします。

 皆さん、オープンワールドは好きですか? 木々と建造物が融合した廃墟を探索することにロマンを感じますか? なぜこんな環境になってしまったのか、そのバックボーンに興味はありますか? そして二足歩行をし、独自の言語を操るケモノたちは好きですか?

 まさに『バイオミュータント』とはそういうゲームでした。これから項目を立てて、その魅力をお伝えしていきます。

トウィング・トワァングを探してきてくれ

 まず、このゲームの舞台は、過去の人類が残した環境汚染によって終末を迎える星という設定。人類はすでに他の星へ避難しており、残された動物たちが過酷な環境下で生き抜くために進化を遂げた存在が、この地に生きるミュータントたちです。

 彼らは独自の言語を持ち、そして前時代に残された遺物と共に暮らしています。ですが、その遺物の多くは正しい使い方をされていなかったり、人類目線で見たら名前がメチャクチャだったりと、かなり面白い世界観で構成されていました。

 なかでも、モノの名前が正しく伝わっていない世界観が愛らしいですね! とあるクエストを受けると"トウィング・トワァング"を探してきて欲しいと頼まれます。体に糸の付いた機械とのこと。

 目的地に行ってみると、そこにはギターが! こんな感じで彼らミュータントたちの暮らし、センスを体感しながらゲームに浸れます。

 この他にも、"チュガチュガ"、"テラ・グローバス"、"マッスル・スクイーザー"などなど。現地に行ってみないと分からないものを探す楽しみは、オープンワールドならではの探索衝動に駆られるものがありますし、なかにはパズル形式になっており、謎解きをする必要のある遺物も存在していました。

 ミュータントたちは独自の言語を使用しており、彼らが話したあとにナレーションが入りますが、その口調の雰囲気がとても良いんです。ただ会話を翻訳しているだけでなく、「~~と彼は言っている」「~~だそうだ」と、まるで隣で見聞きしていたかのような語りをしてくれます。

 探索時には「ここは慎重に」や「今、どのぐらい地下深くにいると思う?」といった第三者視点でゲームを盛り上げてくれたりも。

頭でっかちな単細胞にするか細身の知能派か……

 いきなり独特な世界観から紹介しましたが、本作の独自性はゲーム直後のキャラメイクから始まっていました。初期ステータスとキャラの外見が一致するようになっています。要するに図体がデカく腕力のある外見にすると知能が下がり、俊敏性を上げると腕力が下がるといったように。

 とはいえ、しっかり方向性を決めないと苦しむタイプのゲームではありません。「僕は近接攻撃特化にしたいな」や「やっぱり機動力でしょ!」といったやんわりとした方向性と、プレイのモチベーションを後押しする見た目に寄せても十分遊べます。

 なぜなら主人公は近接攻撃から遠距離攻撃、超能力まで使えるミュータント! 最初からなんでもこなせる万能的な存在なのです。おまけに武器は自由にクラフトできるし、防具の見た目も改良し放題。

 最良のステータスを決めるよりも、最高の装備品を見付けるゲームといった方が正しいかもしれません。実際に僕も見た目で防具を選んで愛用しています。

 キャラメイクの最後に選択するクラスは5つ。選択したクラスごとで初期の服や武器、習得できるスキルに違いがあります。ここは自分のプレイスタイルに沿ったものを選ぶと、冒険の序盤が少しだけ楽になるかと!

ワン・フー! それはあらゆる武器を使いこなす技術!

 過酷な環境下で生き抜くには戦える術がないといけません。主人公は拳や武器を用いた近距離攻撃から、銃やブーメランといった遠距離攻撃。そして超能力までハチャメチャに使えます。嬉しいのはこれらに特別な制限がないこと!

 武器に耐久度はなく、銃ごとで異なる弾丸を持ち運ぶ必要もありません。ただ、超能力はちょっとした"気"のエネルギーが必要になりますが、戦闘中も回復しますし、戦闘が終われば体力も"気"も大幅に回復し続けてくれるため、とくに消費を気にすることなく使えます。

 これはとてもストレスフリーというか、意識しなければならないリソースがひとつ減るのは良い点ですね。

 近距離武器は非武装(素手による体術)、片手スラッシュ、両手スラッシュ、二刀流、クラッシュ(ハンマーなどの鈍器系)、棍棒などなど。これらに加えて、スキル習得で新たなコンボを覚えたり、遠距離攻撃との組み合わせで特殊攻撃を繰り出せたりと、アクションの選択肢は豊富。

 なかには前時代の技術を利用したものもあり、ロケットパンチのように機械の拳を射出する武器もあるなど、ロマン溢れるものばかり!

 遠距離攻撃は主にライフルやショットガンのような銃器ですが、自分で武器をクラフトできるシステムにより、面白い見た目の武器を担げるのがポイント。ラッパ型ショットガンを作れたり、玩具みたいな見た目だけど強力な電撃を放つライフルを作れたりと、パーツさえあれば組み合わせられるため、かなり自由自在。

 素体、銃口、グリップなどなど。遠距離攻撃をクラフトするにはパーツ数こそ多いですが、一度作成したあとでも自由に組み替えられますし、新しいパーツを入手する度に、パーツ交換をしてカスタマイズに熱中できるシステムが魅力ですね。

 このクラフトシステムは近距離武器も可能で、組み合わせるパーツの性能やレアリティによって作成時のステータスも左右されます。ブレードに当たる素体から柄、飾りなどで構成されているため、遠距離武器よりもクラフトはしやすかったです。

 パーツによっては冷気をまとう剣! なんてのも作れるので、あちこち探索する楽しみにも直結してきますね。危険を冒したり、汚染地域を探索すれば、貴重なものが手に入りやすくなっているので、寄り道がはかどりますよ!

 また戦闘中は、異なる特殊攻撃を3回命中させることで"スーパー・ワン・フー"という超必殺技も使えます! パンチの超ラッシュや、地面を強烈な一撃で殴りつけ、衝撃波でダメージを与える技。超高速で銃を連射する技など、ボスクラスを圧倒できる能力も持っています。

 とにかくアクションの選択肢が多く、近接だけにこだわることも、銃だけにこだわることも、はたまた超能力中心のプレイも可能! ひらすら自由に自分流を追求できるのは嬉しい作りですね。この環境汚染が進んで死にゆく世界に生きるミュータントに、戦いの面からでも没入できます。

光と闇の選択肢

 このゲームには光と闇、つまり善と悪の選択肢が用意されています。これは物語はじまってすぐ分岐されるストーリーのことでもあり、要所要所でプレイヤーの決断に傾きを迫るシステムでもあります。

 ミュータントたちの住む世界にはいくつかの派閥があり、皆で協力してこの地を救おう、共に生き抜こうという穏健派。弱者を倒し、強者たちが秩序を作っていく武闘派に別れています。このどちらかに協力していかなければならず、選んだ派閥によって戦う相手も変化していきます。

 この善悪のシステムは、各地でのミュータントたちの協力の可否や、原生生物を捕まえた際の生死の処遇によっても変化します。この値に応じて習得できるスキルが変わることもありますが、安心して下さい。セーブデータが5つまで作成できるので、やり直しやルート分岐に関しては問題ありません。

 また善が上がると悪が下がる、ということもなく、累積するようです。

 独特かつ徹底したミュータントたちの世界観。自然と融合した廃墟の探索。そして自由なクラフト、アクションの豊富さ、選択肢の多さ。

 謎の言語とモノの名前に混乱することもありますが、滅びゆく地とはいえ、自由気ままに生きている彼らのように、この地をのんびり彷徨ってみてはいかがでしょうか。クセのある彼らだからこそ、クセになる面白さを秘めているゲームです。

 40時間ほどプレイをしましたが、寄り道しまくっているせいでストーリーの進行度がまだ11%です!! パーツ集めも面白いですし、各地の謎も解きたい! ワールドイーターと呼ばれるボスも倒したい! 派閥問題も収束させたい!

 でも、この山積み感がオープンワールドの醍醐味(だいごみ)ですよね。毎日、少しずつマップが開けていくあの感じ、体験してみませんか? 面白いですよ『バイオミュータント』。

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Biomutant(バイオミュータント)

  • メーカー: THQ Nordic
  • 対応機種: PS4/Xbox One/PC
  • ジャンル: オープンワールド・アクションRPG
  • 発売日: 2021年5月25日 ※Steamは2021年5月26日
  • 価格: 7,590円(税込) ※Steamは7,600円(税込)
  • CERO:C(15才以上対象)

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