『Crying Suns』はプレイヤーの計画性と判断力を問われるSFストラテジー!【海外ゲーム名作案内】
- 文
- 柏又
- 公開日時
海外ゲーム大好きな担当ライターが実際にプレイして気に入ったタイトルを紹介する“海外ゲーム名作案内”コーナー。今回は、5月27日に発売されたSwitch版をはじめ、PC、Android、iOSで発売中の『Crying Suns』の魅力をお届けします。
本作は、フランスの開発会社“Alt Shift”が手がけるSFストラテジーです。プレイヤーは、辺境の基地で目覚めた艦隊司令官“エリス・アイダホ”のクローンとして銀河へ旅立ちます。
限られた資源のなかで星域を探索して資源を獲得、宇宙戦艦を中心とした艦隊を強化していく要素と、セミリアルタイムで進行する戦闘シーンが特徴です。
ポストアポカリプスな世界の謎と自身の記憶を追うストーリーが素晴らしい!
ゲームの舞台は700年の栄華を誇った“帝国”が崩壊して数十年後の世界。人々の生活を支えてきた自律機械“OMNI(オムニ)”の停止によって生活の基盤を失った人類は、飢餓と貧困、残り少ない物資の奪い合いによって滅びへの道を歩んでいます。
主人公の目的は、かつての帝国主星を目指し、崩壊の原因となったOMNI停止の原因を突き止めること、そして再生時に失われたままの自身の記憶ととりもどすことです。
主人公の行く先には、略奪を行う無法者や、OMNIを神とあがめる狂信者、帝国崩壊を機に勢力を伸ばさんとする貴族など、さまざまな勢力が立ちはだかります。彼らとの戦いを乗り越えていくなかで、帝国の崩壊とその後の歴史が断片的に明らかとなっていくところが本作のだいご味と言えるでしょう。
本作は海外ゲームのローカライズですが、セリフもしっかり翻訳されていて、キャラクター同士のスパイスの効いたやり取りが楽しめると思います。
行く先々で重要な選択を迫られる!? 星々をめぐる探索要素がおもしろい!
本作は複数の星系がフローチャートのようにつながったセクターマップを画面右へ進むことで進行。各星系内には、惑星がつらなる星系マップが存在し、各惑星を探索することでさまざまなイベントが発生します。
イベントでは敵艦との戦闘のほか、地上へ降下しての探索、通過であるスクラップを使うショップなどさまざま。イベント、スクラップや艦載機などを得られるいい結果だけではなく、逆にスクラップや部下を失うこともあります。
イベントの発生場所や内容、その結果はランダムで、同じシナリオの同じマップでも異なるものが発生します。プレイヤーは、手持ちの資源や機材の状態など見つつ、これらのイベントに深くコミットするか、それともスルーするかの判断を求められるのです。
燃料となるネオンの残量や、追跡してくる敵勢力に注意しつつ各惑星を巡っていく探索要素は、イベント内容の豊富さもあって非常に楽しく、未知の領域を旅している気持にさせてくれますね。
道義心を揺さぶられるものも。ゲームの結果だけではなく、世界観にひたるロールプレイ的な要素としても本作の各種イベントはよくできていると感じました。
艦載機を繰り出して敵艦と撃ち合う戦闘システムがアツイ!
本作独特の要素と言えるのが、艦載機や砲撃を駆使するセミリアルタイムの戦闘シーンでしょう。敵艦が画面上、自艦が下に位置し、その間にヘックスマップが敷き詰められたグラフィックは見ているだけでワクワクしますね。
ヘックスマップは艦載機が行動するフィールドで、プレイヤーは自艦の運用可能な数だけ機体を発進、同じく敵が繰り出してくる艦載機を迎撃するほか、スキをついて敵艦本体を攻撃します。撃破された機体は自動で自艦に収容され、一定時間後に耐久力が半分の状態で再出撃可能です。
艦載機には、種類によって強さにいわゆる“3すくみ”の関係があり、相手の繰り出す艦載機を見て有利な機体を発進させることで戦いを優勢に導けます。
また、戦艦にももちろん武装が搭載されていて敵艦載機や戦艦の攻撃に使えます。戦艦の武器は種類によって敵艦のみ、もしくは艦載機のみしかダメージを与えられないものが存在するので装備する際にチェックしておきたいところです。
敵艦を直接攻撃してすべての装甲を破壊すれば相手を撃沈できます。撃沈に追い込めなくても戦隊の各部位にダメージを与えることで熱を蓄積させ、相手のシステムを機能不全に追い込むことで戦闘を有利に運ぶことも可能です。
序盤は3すくみを理解するだけで艦載機で盤面を圧倒できますが、そのうちステルスでこちらの迎撃をかわされたり、ワープで直接戦艦に隣接させるなど、一筋縄ではいかない状況となります。
こういった場合は無理に艦載機を前進させず、自艦の周りで守りを固めつつ、搭載兵器でダメージを与えて最終的な勝利に持ち込む、という戦術が有効になるわけです。本作の戦闘はプレイヤーができることはシンプルなようで、実はしっかり考える要素の多いなかなか奥の深いシステムになっている印象を受けました。
難易度については、たしかに若干初見殺し(とくにステルス)な印象はありますが、やられてもそれほど大きなやり直しにはならないですし、前述したとおり敵艦や艦載機のタイプはある程度決まっているので、繰り返し挑戦すればクリアできる程度だと思います。
ここまで紹介してきた本作、シナリオをやり直すたびにマップの構成や発生するイベントの内容がランダムで変化するため、いわゆるローグライクなジャンルに数えられてはいます。
ただし、筆者が実際にプレイしたところでは、ランダム要素はもちろんですが、それよりも宇宙空間を戦艦で旅しながら探索や戦闘、そして世界観を楽しむところが大きいと感じました。
画面写真の戦艦を見てビビッと来た人はストライクな内容ですし、ストラテジーゲームが好きな人はもちろん、ヘビィな物語や世界観が好みな人なら楽しめるでしょう。開発スタッフは小説の『デューン』や『ファウンデーション』影響されたと語っているので、そちらが好きな人ならなおさら刺さるところがあるかもしれません。
ボリュームも価格分はしっかりあると思いますし、難しいゲームが苦手な人もペナルティなしで難易度をイージーにできるのでぜひ挑戦してみてほしいところです。
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