『両手いっぱいに芋の花を』『ふんづけろ! Booster Boots』など、"ぜんため"インディは個性的!【電撃PS】
- 文
- まさん
- 公開日時
2019年8月3日(土)~4日(日)の2日間にわたって、岐阜市で開催中の第3回全国エンタメまつり(略称:ぜんため)。このイベントは最新ゲームの試遊や物販に加え、多彩なインディゲームが遊べる地域に根差したゲームのお祭りになっています。
今年で第3回目となる今回も、個性的なインディゲームが集結。子どもからお年寄りまで楽しめる大盛況のイベントとなっていました。昨年に引き続き、電撃PlayStationのインディゲーム担当ライター・まさんが、ブースをめぐって気になったタイトルと会場の様子をお届けしていきます。
というわけで行ってきましたぜんため! いやあ、昨年ほどの猛暑ではなかったのですが相変わらず岐阜はうだるような暑さでしたね。しかし、岐阜の人々も負けていません! 暑さなんて気にしないとでも言うように、商店街にたくさんの人が詰めかけ、大変盛り上がるお祭りとなっていました。
とくに、多くのインディゲームが集まるインディー通り1丁目は、CINEX地下という涼しい場所で開催されていたこともあり、たくさんの人がゲームを楽しんでいる姿が見られ、こっちも大興奮! まだ見ぬゲームを求めて会場内を練り歩いてきました。
全部紹介したいくらいなのですが、自分の体力が限界を迎えるので泣く泣く断念しつつ、自分が遊んで気になったゲームを複数回にわたってピックアップしていきたいと思います。そんなわけで、まずはインディー通り1丁目で見かけて「コレは!」と思ったタイトルから見ていきましょう。
スタミナを管理しながら戦うバトルが熱い3DダンジョンRPG『両手いっぱいに芋の花を』
まず1発目は、良質なゲームをリリースし、BitSummitで賞を受賞した『ヒーラーは二度死ぬ』のPon Pon Gamesさんが開発している『両手いっぱいに芋の花を』からいきましょう。
このゲームは、パーティを組んで迷宮を探索する3DダンジョンRPG。昨年と同じ範囲が遊べるデモ版が展示されていたのですが、細かい部分のブラッシュアップなどによって完成に近づいている感じを受けました。
最大の魅力は、考えて戦う戦闘。製作者いわくターン性になった『ダークソウル』のようなバトルは、すべての行動に設定されたスタミナを管理しつつ戦うRPGではめずらしいバトルとなっています。
スタミナは攻撃でも防御でも消費し、1ターン見送ることで全回復。戦闘中は毎ターン敵の行動と狙っている相手、確率が表示されるので、どう動くかをじっくり考える必要があります。
現在はバランス調整をしながら作り上げている状態とのことですが、これまでに出してきたゲームを見ても手抜かりはなさそう。しっかりしたゲーム性で勝負している開発者なので、完成がとても楽しみな1本です。というわけで、開発のPon Pon Gamesさんにお話をうかがってみました。
──進捗はいかがですか?
Pon Pon Games:最初の1年はジャンルを固めて、次の1年でシステムを固めて、残りの1年でコンテンツを作っていくという話を去年していたのですが、この1年はキャラクターやスキルなどをひたすら作っていました。あとは、レベルデザインをする段階にきています。
──今までの作品は小粒な物が多かったですが、今回のボリュームはどれくらいを予定していますか?
Pon Pon Games:10時間を予定しています。
──完成はいつ頃になりそうですか?
Pon Pon Games:今年中に完成させて、来年にリリースします。今のところは順調です。PCでリリースしますが、基本的にはボタンのあるデバイスは全部視野に入れています。
やはり、大きいプラットフォームで出そうとするとオーバーヘッドも大きいので、ちょっと大きめにやろうと思って作りました。それにしては、ちょっと時間がかかり過ぎてしまいましたが(笑)。
単純明快! 子どもに人気が出そうなパーティアクション『ふんづけろ! Booster Boots』
会場で見つけたゲームがツボにハマって、ワクワクできるのもイベントのいいところ。2本目は、自分が触れて可能性を感じた1本『ふんづけろ! Booster Boots』をご紹介しましょう。このゲームは、言ってしまうと『大乱闘スマッシュブラザーズ』のような1画面のステージで戦うアクションゲームです。
ただし、相手を殴ったり蹴ったりはしません。上から"相手を踏みつける"と点数が入るというルールになっています。逃げ回って上を取り、相手の頭上から踏んづける。単純ですがワイワイ楽しめて、雰囲気もよさげですよ。
個人的にアイデアだと思ったのが、弾いた方向に直進するダッシュですね。空中も地上も関係なくスティックを弾いた方向へ向かってダッシュするので、使い方によっては奇襲も可能。
ダッシュを使って逃げたり接近したりしながら踏みつけるというルールと、見た目のポップさが子ども受けしそうなゲームだと感じました。ノーマークだったのですが、今後も楽しみです。自分は遊んでみて可能性を感じたので、気になることを開発の避雷さんにいろいろお話をうかがってみました。
──お1人で開発されているのでしょうか?
避雷:そうです。1人で開発して、PC向けのゲームとして作っています。Steamで出したいとは思っているのですが、それ以外はパブリッシャーに持ち込んでどうなるのかもわからないですし、そこまでのクオリティになるかもわかりませんが、Steamでは出したいです。
──いつごろに配信したいと思っていますか?
避雷:ある程度UIもできているので、今年中に出したいと思っていますが、どうなるかはわかりません。
──シンプルなゲーム性なので、小さい子にも受けそうですね。
避雷:そうですね。このイベントでも、小さい子が友だちを連れて4人くらいで来てくれて、ちゃんと盛り上がってくれたのがうれしいです。
──いろいろなキャラクターがいましたが、性能に違いはあるのでしょうか?
避雷:基本的な移動などの動作に性能差をつけるかは未定なのですが、ためダッシュはキャラクターごとに固有の物になると思います。キャラの特徴があるので、それに合わせた効果になります。
──ステージやキャラクターはどれくらい用意されているのでしょうか?
避雷:キャラクターは将来的に8名で、ステージが12個くらいになると思います。あまり多くてもどうかと思うので、ほどほどの数になると思います。
時間に追われながら武器を集めて帰還するローグライクRPG『Square Weapons Dungeon』
ニコニコ自作ゲームフェス2018で大賞を受賞し、Nintendo Switchでも販売されている『蹴落とし!トレジャーハンター!』の開発が作った最新作『Square Weapons Dungeon』。ランダムで生成されたステージを駆け抜けながら、ワープゾーンに入って下の階層を目指していくローグライクな作品です。
タイムリミットが設定されており、時間がなくなる前にどんどん進まなければいけないのですが、早く進み過ぎてもレベルが足りず、ボスで苦戦するという仕組みですね。毎回、ワープゾーンに入ると拠点に戻るか進むかを選べるので、強い武器を取ったら帰還するかどうか悩む感じです。
アクションはサクサクで、剣と槍と斧を使い分けながら戦うのですが、攻撃をするたびにスタミナが減るという要素も。敵を攻撃すると回復しますが、スタミナが切れないように戦うことが重要です。↓↑などのカンタンなコマンド入力で発動できる必殺技もあり、ハマればずっと遊べちゃうスルメゲーといった感じ。
自分は25階の中ボスを倒したものの、50階にいる大ボスに負けてしまいましたが、意外と手ごわいゲームかもしれません。1つの階層が短くてどんどん進めていけるので、やめ時が見つからなくなるかも?
触手を育てて売りさばけ! 個性が極まった触手サイバーパンク『触手を売る店』
インディ通り1丁目の一角には、真っ赤な色使いと伝奇物のような怪しげで耽美な雰囲気が目立つブースが存在していました。近づいてみると『触手を売る店』というタイトルのゲームが……。
あふれんばかりの個性に思わず遊んでみましたが、コレがまたスゴイのですよ! 個性の塊です。とりあえず、ゲームの遊び方を見るだけでも雰囲気バツグン。ちょっと見てください。
基本無料の放置系や育成ゲームのようなシステムと物語を解放していくアドベンチャーのような要素がありながら、まったく同じようなゲームを想像できません! でも、確かに実際に遊んでみると"触手を売る店"としか言いようのないゲームなんですよ。
『クーロンズゲート』のように、どこかアジアンテイストもある絵柄の雰囲気と驚異的な描き込みが、ビシビシとこちらに訴えかけてきます。見た目だけでも、グッと引きこまれるような作品でした。こういったゲームが出てくるのもインディゲームのいいところですね。
自分も完成された世界観に飲み込まれてしまったので、とにかくいろいろ聞いてみたいと思って開発のAchamoth(アカモート)さんにインタビューしてみました。
──触手がお好きなんですか?
Achamoth:そうです。もともとは虫や植物が好きで、それをデザインしているうちに触手にたどり着きました。もともとは、ちょっと前のゲームで悪魔をデザインしようとしたときに、クトゥルフ的な触手のデザインがとてもおもしろかったので、それをメインにしたゲームを作ろうとというのが大きかったです。
──基本無料のゲームになるのでしょうか?
Achamoth:はい、基本無料でリリースして広告モデルで収益を得たいと思っています。iOSとAndroidで出す予定です。
──伝奇物のようにも見えますが、サイバーパンクだそうですね。
Achamoth:そうです。香港ゴシックな『ブレードランナー』などの典型的なサイバーパンクに、バイオチックな生き物の改造などの雰囲気を載せた世界観です。
──こうした世界観のゲームはめずらしいと思いますが、すごく目を引くと思いました。
Achamoth:目で楽しんでもらって、触って楽しんでもらえるような作りにしたいです。
──触手を売って、新たな物語を見ていくことがゲームの目的になっていますが、最終的には終わりがあるゲームなのでしょうか?
Achamoth:はい、ちゃんと物語には終わりがあるゲームを予定しています。可能だったら、追加コンテンツで育てられる触手を増やしたいと思っています。来年の頭くらいに配信できれば、と思っています。
まだまだまだまだ、語りたいゲームがあるのでどんどん行きますが、今回はここまで。夏の熱気に奪われた自分の体力と相談しつつ、どんどん記事を上げていくのでお楽しみに!
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