“ガールズゲームアワード2018”声優部門1位を獲得した、豊永利行さんがインタビュー連載企画“KEY”に登場

原常樹
公開日時

 ガルスタオンラインのオリジナルインタビュー企画“KEY”。

 今回は、電撃Girl’sStyleで開催された “ガールズゲームアワード2018”の声優部門で、堂々の1位に輝いた、豊永利行さんにお話を伺いました!

 優しい青年やシニカルな性格など、イメージにとらわれずさまざまなキャラクターを演じ、ファンを魅了している豊永さん。毎年、声優部では上位にランクインされていましたが、今回ついに1位を獲得!
 それを記念して、いままで出演されたガールズゲームや、キャラソン、ご自身の音楽活動についてたっぷり語っていただきました。

 その模様を、裏話も含めた全4回に渡りお届けします。

豊永利行さんがこの世界に入ったきっかけは? ~1回目~

──『ガールズゲームアワード2018』では多くの方から票を集め、見事に声優部門の一位に輝きました。おめでとうございます!

豊永 10歳の時に子役としてお芝居の世界に入ったんですけど、その一番の理由が「女の子にモテたい」だったので、皆さんのおかげでその夢が少しだけかないました(笑)。……あっ、もちろん今はそれだけじゃないですよ!(笑) 今回の受賞ではガールズゲームでのお芝居が評価されたということですが、僕としては“ガールズゲームだから”ということで演じ方に変化をつけているわけではなく、そのキャラクターとして作品の中で生きるために、生みの親の次ぐらいにはそのキャラクターのことをひたすら考えた結果、自然とそういうお芝居になっただけですね。これは僕に限らず、大多数の役者さんがそういうスタンスなんじゃないでしょうか。

──役を演じるというのは、たしかにその役の人生を背負うことでもありますよね……。

豊永 そうなんですよ。役をいただいて台本を読ませていただいたときに「ここはどうなっているんだろう?」と疑問を持って深く考察していくので、思い入れも強くなりますし、同時に豊永利行として得られるものもたくさんあります。たとえば『夢色キャスト』では橘蒼星さんを演じさせていただきましたが、それまで僕は少年だったり、大人では当たりの強いオラオラ系の役が多かったのに対して、蒼星さんはこれまでにない俯瞰な位置から全体を眺めながら劇団全体の発展を願う補佐役的な立ち位置。彼のおかげで新たな役柄の可能性を開拓できました。

──『夢色キャスト』は設定自体も、声優というお仕事とリンクした部分があったのでは?

豊永 ひとりの役者としては多少なりとも「売れたい!」とか「表に出たい!」という気持ちはあるので、少なくとも僕に関しては腹の底ではガツガツしています。それに対して、蒼星さんのポリシーは「自分ひとりの力ではなしえない」。だからこそ周りをよく見ながら一緒になって物事に携わっていくわけですが、僕としてはすごく勉強になりました……。一方でみんなでひとつの舞台を作るときの感覚にも近いので、改めてその重要な感覚を教えてもらった気がします。実際の舞台でも演出助手という重要な役割を持つ人がいますが、蒼星さんなんかはそういうポジションにも向いているんじゃないかなと。

──現実のお芝居の世界にも置き換えられるぐらいリアリティがある。

豊永 そういう作品に出演させていただく機会も増えました。あと、この数年で何人アイドルをやらせていただいたことか(笑)。

──作中でも“歌って踊って演じる役”というのは技術的には難しいんでしょうか?

豊永 うーん……。個人的にはやりやすいというか、好きなアプローチができるケースは多いと思います。リアル志向の作品なんかは「現実世界に実在していると感じてもらう」というアプローチが求められますし、僕自身もそういうやり方が肌に合う気がします。個性を押し出すためにどこまで誇張するか、逆に現実感を出すために誇張をどこまで引き算するのか、そういったところをわりと考えるタイプなので。ただ、それがいいのか悪いのかというのは、完全にみなさんのご感想に委ねている状態なので、手ごたえみたいなものを感じたことはないですね。

──どこまで誇張するかといったさじ加減は、現場でスタッフさんと詰めて考えていく?

豊永 もちろんです。ただ、細かいさじ加減については、わりと任せていただくケースが多いですし、自由度が高いからこそ自分の中でキチッと作品ごとに明確に演じわけていくことが大事だとは感じています。「声質や役の方向性は似ているけどこの役とこの役はここが違う!」とユーザーの方が線引きに気づいてもいいし、気づかなくてもいい。いずれにしても、自分の中では確固たる区分を設けるようにはしています。

──最近のお仕事の中でとくに印象に残っている役はありますか?

豊永 どの役も思い入れが強いんですが、おそらくみなさんにとってとくにインパクトが強かったのは『A3!』の有栖川誉さんなのかなと。非常に振り切ったイメージが強い役なので、どこまで振り切っていのかも現場で探りつつ演じさせていただきました。作品の中で印象に残っているのは『ピオフィオーレの晩鐘』。シナリオがとにかくおもしろくて、そこに込められているテーマもヘビー。その重さを作り上げるために、僕ら役者陣がどこまでお手伝いできるのかというのはすごく考えました。お芝居の面であんまりやり過ぎてしまうとせっかくの重厚感が軽いものになってしまいかねませんし、それだけは防ぎたいなと思いました。

──繊細(せんさい)なお芝居が求められた。

豊永 演じさせてもらったオルロックはあまり感情が表に出ない子なんですけど、心の内側ではしっかりと動いているので、それを声だけでどこまで表現できるのかというのが大きな課題でした。

──ドラマが重い上に、あまり雄弁ではなくひと言ひと言が重い役というのは難しそうな印象です。

豊永 そうですね……。短い言葉に意味を込める方が難しいので、収録のときもかなり入り込んで演じさせてもらいました。まぁ、オルロックくんは説明する場面ではわりといっぱいしゃべってくれるのでそこはありがたかったんですが(笑)、普段の寡黙なときとの整合性を取る必要があるという意味では大変……。ただ単に饒舌になるのか、それとも言葉を選びながらしゃべるのか、“彼の脳”をトレースするのは難しかったです。これは『ピオフィオーレの晩鐘』以外の作品にも当てはまることですが、何か疑問点があったときはスタッフさんとしっかりディスカッションをおこなうことが重要だなと。こちらが疑問を投げかけたことでスタッフさんたちが「たしかに」と気づくこともありますし、逆に僕にはうかがい知れなかったちゃんとした理由があって「あっ、なるほど!」とこちらが納得するときもあるので。

──やはり現場での意思疎通は大事なんですね。

豊永 10年以上前からそういう意識は持っていましたけど、当時は脚本がすべての基盤だと思っていたのでそこに疑問を呈するのは失礼に当たるんじゃないかという憶病な気持ちがあったんです。でも、答えがわからない状況下で勝手に自分の中で落としどころを見つけるのはよくなかったなと……。わからないままやるぐらいなら聞いた方がいいと思えるようになったのは、まさにここ最近のことです。

──「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」ということでしょうか。

豊永 いやー、そうなんですよ! 掴みづらい役をいただくことも増えてきて「これはどういうことなんだろう!?」と頭を抱えることも多くなりましたし、それなら聞こうと(笑)。まぁ、そこでどうアプローチをするのか悩むのも役者の醍醐味なんですが、最終的に誤った解釈にならないようにディスカッションをすることは大切だと感じています。

──『茜さすセカイでキミと詠う』の沖田総司や、『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのように歴史上の偉人をモチーフとした役を演じられることも多いかと思います。そういうケースでは、どのような役作りをされるんでしょうか?

豊永 僕の場合はどんな役でも「実際にこういう人物がいたら、どういうしゃべり方をして、どういう考え方をするんだろう?」と思考を巡らせながら役作りをしていくので、歴史上の偉人だから……という独特の作り方をするわけではありません。それにこういった作品では、タイムパラドックスが発生して同じ時代にいなかった歴史上の重要人物が顔をそろえることもあったりします。なので、大事なのは収録前に作品やシナリオを作った方の頭の中にある相関図がどうなっているのかをおたずねすることですね。

──あくまでひとつのファンタジーな物語として捉える?

豊永 はい。たとえば沖田総司くんだったら新選組としてのほかの登場人物との関係値など史実に沿った部分もありますが、ファンタジー要素も多いのであまり意識しすぎてはいません。僕自身もご本人にお会いしたことはありませんし(笑)、それどころか同じ時代を生きていた方はもういらっしゃらないと思うので。

──たしかにそうですね……。

豊永 最近では『文豪ストレイドッグス』みたいに存命の作家さんがモデルの登場人物が出てくるケースもあるのでそういう場合は役作りに影響が出るのかもしれませんが、お名前とその方の人生をお借りした上でアウトプットするというやり方は変わらないはず。もちろん、今後、史実に沿った物語に出演することがあればしっかりと時代背景を調べて役に臨みたいです。

 第1回目をお届けしました。次回は、キャラクターソングについて語っていただきます。更新をお楽しみに♪