傑作認定。異世界で生配信しながらネコと冒険するRPG『●LIVE IN DUNGEON』レビュー【電撃インディー#21】
- 文
- まさん
- 公開日時
- 最終更新
電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はヘビサイドクリエイションから配信中のPC(Steam)用ソフト『●LIVE IN DUNGEON』のレビューをお届けします。
『●LIVE IN DUNGEON』は配信技術が発達した異世界の冒険者となり、リスナーのコメントに反応しながら冒険するダンジョンRPGです。
資金の代わりにコメントで稼いだ“いいね!”を使ってアイテムを購入するショップや、リスナーへうまくコメントを返すとクールタイムが短くなるバトルなど、配信とゲームプレイがうまく絡まった独自のシステムが特徴となっています。
全体のボリュームとしては2時間から3時間程度で終わるRPGですが、体験としては非常に濃密。個人的にも発売前から楽しみで、全力で推したいと思っていた作品でした。だからこそ、今回はどうしても自分の手でレビューを書きたかったのでライターとして推薦しています。
なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!
1人だけど1人じゃない! 今ドキの冒険は“配信”が基本!?
物語の舞台は、剣と魔法とモンスターの異世界・ワンダルシア。この世界では、なぜか配信技術だけが発達しており、冒険者たちは自分の冒険を配信しながら人気を稼いでいます。
異世界で配信できるということに細かい理屈はいらない。この潔さが良し! プレイヤーは、そんな異世界の駆け出し配信者。相棒の猫(何もしません。でも、いるだけでカワイイので猫は正義)と一緒に、冒険しながら異世界の絶景やモンスターとの戦いを配信していくことになります。
基本的なゲームのシステムは、オーソドックスな1人称視点のダンジョンRPG……なのですが、“配信”というクッションが挟まることでゲーム自体がとても新鮮。まるで、実際にゲーム配信をしているような気分で冒険できる一風変わったRPGとなっているのです。
視聴者のコメントがチュートリアルを兼ねているのも世界観にあっていてウマイ! 雰囲気を壊さず、すぐに入り込めます。
実際に冒険をしているプレイヤーは1人だけですが、その冒険を見ているのは安全な場所にいる多くのリスナーたち。彼らの興味を引くような遺跡を探し、コメントに対して反応しながら“いいね!”やフォロワー数を稼いでいくことが最大の目的となっています。世界を救うとか、強い魔物を倒すことが目的ではありません。すべてはリスナーのためなのです。
もちろん、フォロワーや“いいね!”を稼ぐのはただの自己満足ではありません。それらは、ゲームとしても意味があります。
道中で会った同業者よりも多くのフォロワーを作れば、特別なアイテムがもらえて冒険がグッと楽に! コメントで“いいね!”を稼げば稼ぐほど、ショップでより良いアイテムが買えるのもちょっと変わっています。
そうです。この世界のショップではお金を必要としていません。コメントの“いいね!”を消費して買い物できるのです。商取引も“言い値”ではなく“いいね!”の時代。人気配信者になればなるほど、強い装備で冒険できるのでコメント返しも忘れちゃいけません。
実際に戦っているのも冒険しているのも自分1人だけなのに、画面右側にいる視聴者たちと気楽な会話をしながら冒険できるので、気分は大所帯のパーティ。少し不思議な感覚ですね。必死でコメントを返していたら敵の猛攻を受けて倒れてしまったり、ボス戦になると一気にコメントが流れて対応しきれなかったりと、「配信あるある」も味わえます。
難易度は高めと思いきや、コメントの力で覆すバランスが◎!
このゲームを推したいと思った最大の理由は、ネタに終わることなくゲームとして楽しめること。配信という仕組みがゲームのシステムと噛み合い、絶妙なバランスでおもしろくなっています。ただの配信ネタで終わってはいません。
とくに、戦闘でのコメント返しがプレイヤーの手助けになるシステムが好きですね。このゲームは移動中でも戦闘中でも、場所や時間を選ばず視聴者からコメントが飛んできます。返さなくてもマイナスにはならないのですが、うまくコメントを返すとコマンド入力までのクールタイムが減少。的確に配信のコメントを返していくことで、有利に立ち回れるのです。
視聴者が少ない序盤のうちは、流れるコメントも少なく敵も弱いので気軽に返信。和気あいあいとしながら冒険を楽しめます。敵が強力になって視聴者のコメントが次々と流れる終盤では、ていねいに返信していられないことも……。
気が付くとスパチャ、じゃなかったスーパーコメント以外には機械的で適当にコメントを返している自分に気が付いたりします。は、配信の闇に囚われてしまった……!
そうそう、説明がまだでしたね。このゲームには特別な効果のあるコメント“スーパーコメント(スパコメ)”があります。
これは、一定時間経過すると使える“スーパーコメントのお願い”で直接頼むか、視聴者が時々送ってくれる強力なコメントです。攻撃、回復、強化の3種類があり、視聴者の力を借りて敵と戦えます。
本作ではバフやデバフが非常に強力なので、視聴者のスパコメによる強化や回復はバカにできません。終盤のボス戦はヒイヒイ言いながら戦う難易度ですが、コメント返しのクールタイム短縮やスーパーコメントでのフォロー。自分自身のバフやデバフスキルを使った対策を立てることで、死闘を配信しながら乗りこなせるバランスとなっています。手ごわいボスを倒す快感はもちろん、視聴者と一体になって勝利を得た瞬間が最高です!
ボス戦では、自動翻訳機能によってボスも会話に参加。視聴者のコメントに混じって、怒りのコメントや物語の伏線を話してくれるのも興味深いところです。
「ちょっと、今ボスが大事なことを言ったのでコメント、コメント止まって。ボスの会話が流れちゃうから……!」と焦るのも配信者って感じ。
ボリュームとしては2時間から3時間程度で終わる短編RPGではありますが、配信者ならではの盛り上がる場面や熱いボス戦も用意されているので、短くても満足できると思います。
切り口としても新しく、アップデートでコントローラーにも対応。普段、PCでゲームをしていない人でもプレイしやすくなりました。このゲームならではの“配信しながら冒険する感覚”は実際に遊んだほうが伝わると思いますし、ぜひ遊んでみてください!
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります