夏アニメ『NIGHT HEAD 2041』1話をレビュー。超能力に翻弄される兄弟たちの物語は推察が好きな人におススメ

電撃オンライン
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 7月14日より毎週水曜24:55からフジテレビ「+Ultra」枠他各局で放送開始となるTVアニメ『NIGHT HEAD 2041』の第1話のレビューをお届けします。

【注意】この記事には本作第1話の致命的なネタバレはありませんが、詳しい情報を入れずに1話を楽しみたい方は、先に本編をご覧になることをお勧めいたします。

不朽の名作が新たな形でアニメ化!

 『NIGHT HEAD 2041』は、1992年にTVドラマとして放送されて多くの支持を得た『NIGHT HEAD』を原作とする作品です。

 舞台は2041年の日本。この世界では超能力などの精神エネルギーの存在を認められず、排除しようと国家規模の運動が行われています。

 特殊な力を持つ超能力者の直人と直也は、追害される苦しみを味わいながらも、お互いに支え合って運命に立ち向かう……。本作は、そんなSFヒューマンドラマの物語となっています。

 さらに『NIGHT HEAD 2041』では、新キャラクターとして、精神エネルギーを国家を惑わす犯罪として取り締まる部隊に所属する、黒木タクヤ・ユウヤの兄弟が登場。交差する2組の兄弟の物語が新たに描かれます。

2組の兄弟を巡るSF物語

 本作は、大きく分けて黒木兄弟、霧原兄弟の2つの視点で構成されたストーリーです。

能力者を“追う”黒木兄弟

  • ▲黒木タクヤ(左)を櫻井孝宏さん、黒木ユウヤ(右)を小野賢章さんが演じます。

 国家保安部隊として精神エネルギーを騙るものを追う黒木兄弟。第1話は、黒木兄弟の任務活動のシーンからスタートします。

 兄のタクヤは、仕事中も奔放(ほんぽう)な態度のお調子者ですが、愛嬌(あいきょう)のある憎めない性格の青年です。

 そんな兄とは対照的に、弟のユウヤは感情を表に出さない落ちついた性格。ですが、タクヤへの態度からはどこか兄への信頼を感じ取れます。

 とある任務中に2人は、非現実的な事象を目の当たりにします。

 精神エネルギーを取り締まる立場でありながら、身の回りで起こる不可解な現象に悩まされる黒木兄弟。その真相は果たして……?

能力者として“追われる”霧原兄弟

  • ▲霧原直人(右)を小野大輔さん、霧原直也(左)を島﨑信長さんが演じます。

 一方、霧原兄弟はある森の中で目を覚まします。霧原兄弟は、能力者である理由で幼い頃から研究施設に隔離されて暮らしていました。

 兄の直人は、弟想いの穏やかで落ちついた優しい性格。しかし、弟のことになると感情的になる部分があり、能力を抑えきれずに発動させてしまうことも。

 弟の直也は、少し引っ込み思案で、周りを気にしすぎてしまうことも。自分のことを大切にしてくれる兄を強く信頼しています。

 研究施設で暮らしていた2人は、外に出られたことで「精神エネルギーの存在が認められる世界になった!」と期待を胸に街へ向かいます。

 しかし、待っていたのは何も変わらない能力者への追害。世界が未だに自分たちを否定していることを知った際の直人の表情からは、絶望、怒り、悲しみ……さまざまな感情が見て取れます。

 人々から恐れられる霧原兄弟に対して、国家保安部隊として活躍する黒木兄弟。この対比から、この世界の能力者に対する残酷な扱いが第1話にして嫌というほど伝わってきます。

 立場も性格も違う4人の兄弟。今後彼らがどのような繋がりを持っていくのかは非常に気になるところ。4人全体だけでなく、兄同士、弟同士など、それぞれが個別に出会った際にどんな反応をするのかも見どころですね。

 どちらも愛の強い兄弟なので、対立する立場でも理解し合える部分があれば良いのですが……どうなるのでしょうか。

昔のドラマを知らずに本作から見ても問題なし!

 本作は、かつて放送されたドラマ『NIGHT HEAD』を知らない人でも、1つの新しい作品として楽しめる作りになっています。

 これまでの作品を見てきた人にとっても、この『NIGHT HEAD 2041』は完全に未知の物語。本作から入った方もずっとファンだった方も、どちらの目線からでもストーリーを楽しめるのです。

 ストーリーは、気になる単語や「この世界ってひょっとして……」といったフックとなる要素がありつつも、初見で理解できないほど難解ではないという印象。そうしたアレコレについては「これはあとで説明される(または伏線となっていく)んだろうな」といった具合に見ていくのがよさそうです。

 霧原兄弟が軟禁されていた研究施設やそこで世話をしていた人物の名前など、作品特有の固有名詞が第1話で登場してきますが、会話のニュアンスなどから「こんな感じの関係性かな?」と、わからないながらも推察して楽しむには困りませんでした。

 そして本作のアニメーションは3DCGで描かれており、リアルなキャラクターの表情や身体の動きは、より彼らの心情を的確に視聴者に伝えてくれます。

 3DCGを駆使した映像は超能力の演出との相性も抜群。直人が能力を使うシーンでは空間全体が振動しているような描写もあり、思わず「力が入っているな!」と見入ってしまったくらいです。

 アクションシーンでは、スローモーションの演出も使用されており、ゆっくりと銃弾が飛び交う演出はさながらアクション映画のワンシーン。迫力も申し分ありません。

予想のつかない物語の続きは!?

 物語の幕開けとなる第1話から、伏線だろうと思われる描写や、気になる描写が盛りだくさん。黒木兄弟の前に現われた謎の少女、任務中に起きた謎の現象、なぜ霧原兄弟が研究施設から出られたのかなど、推察してみるタイプの作品が好きな人にとっては、美味しい部分がいっぱいあると言っていいでしょう。

 第1話の時点ではまだこれらは点に過ぎませんが、お話が進むにつれてどのような形で線となり、物語に関係してくるのか……続きが気になって仕方ありません。

 また、お互いを思いやる2組の兄弟がぶつかったとき、彼らは理解し合えるのか? それとも衝突してしまうのか? そんな部分も、物語の大きな焦点になりそうです。

 超能力を巡る2組の兄弟の物語。第1話の時点で引き込まれる魅力が満載ですので、これは一見の価値ありですよ!

【放送情報】
7月14日(水)より毎週水曜24:55からフジテレビ「+Ultra」にて放送開始! ほか各局でも放送!

【配信情報】
7月14日(水)より毎週水曜24:55からFODにて独占配信決定!

小説『NIGHT HEAD 2041』(上・下)

  • 著者:飯田譲治 協力:梓 河人
  • 出版社:講談社タイガ
  • 発売日:上巻2021年8月12日/下巻2021年9月15日
  • 価格:上巻820円+税/下巻未定


※場面カットは第1話以外のものを含みます
© 飯田譲治/NIGHT HEAD 2041 製作委員会

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