うちの病院はゲーセン完備でオバケも出ます!? 病院経営シム『ツーポイントホスピタル』レビュー【電撃インディー#24】

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 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回は7月29日にPS4/Nintendo Switchで発売されるヘンテコ病院経営シミュレーション『ツーポイントホスピタル:ジャンボエディション』の感想や見どころをお届けします。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

施設を配置して理想の病院を作ろう

 本作の目的は施設や人員を配置して病院を経営し、ヘンテコ症状を治しながら三ツ星経営の病院を増やしていくこと。ですが、プレイヤーが経営にかかわる前はどこも病院とは名ばかり。

 敷地こそ広大なものの、受付も診察室もないというのは当たり前。極寒の山頂にありながら暖房器具のひとつもない、逆に健康を害しそうな病院(?)もあります。

 そんな病院に、受付や診察室、薬局などを配置していき、まともな病院にしていくというのが基本の流れ。受付には事務員、診察室には医者と、適した人員の配置も必要です。

 ただ、経営は一手に任されているので施設をどこに配置しようが、どんな人員を雇おうが自由。真面目に患者の導線を考えて施設を配置してもいいし、性格に難のある医者を雇ってもOK。

 好きなように施設や人員を配置したら、ようやくまともな病院経営がスタート。施設を配置したり人員を雇ったりするのには資金がかかりますが、患者を診察したり治療したりすれば収入が得られます。

  • ▲自分が最初に作った病院は入って三歩で受付に。少し圧がありますが患者さんのためを思ってです。
  • ▲総合診察室は当院の最奥。患者さんのためを思ったのではない、ただの気まぐれです。
  • ▲診察を担当するのはチャーリー・ペリル。不潔ですが腕は確かです。

 施設や人員に投資をして、患者からの治療費で収入を獲得。より効率よく収入を得るためには、またなんらかの形で投資が必要というのが本作の基本の流れです。

頭が電球になった? もちろん当院で治療できます

 病気であれケガであれ病院にかかったとき、それが軽い症状なら診察のあと薬局で薬を出してもらっておしまい。ということはよくありますよね。また、病気もケガも同じように病棟に入院して治療するというのもよくある話です。

 本作でも同じように薬局や病棟は多くの患者に対応できるもの。患者を完治させれば、いいお金になるので手堅い施設です。

 ただ、ときにはそういった幅広く対応できる施設ではどうしようもない患者が病院に訪れることがあります。

 例えば頭が電球に変わってしまう“白熱頭症”は薬でも入院でも治療が見込めない、ある種の難病。治療には専用の施設が必要になります。

 専用の施設さえあれば治療は簡単。頭の電球を取り外して、3Dモデリング的な謎の技術で作り出した新しい頭をはめ込んであげるだけ。

 また、普通の人がユーモアあふれるピエロになってしまうという奇病もこの世界には存在します。もちろん、この奇病を治すのにも専用の施設が必要です。

  • ▲挫折や悲しい物語を見せて、人からユーモアを取り除く画期的(?)な装置。

 と、患者を完治させるには、それぞれ適した施設が必要となります。当然施設を作るにはコストがかかりますが、病気を完治させることは病院にとって大きな収入源。

 患者の傾向を見ながら、特定の病気に対応できる施設を増やしたり、また不要な施設は別の施設に建て替えたりしてより多くの収入が得られる病院にしていくのがおもしろいところです。

病気を治せるだけでは一流の病院とは言えません

 受付があって、診察室があって、治療するための設備があって、薬局もある。病気もケガも必ず完治させます。そんな病院ができあがれば順風満帆か、と言うとそうではありません。病院にかかわるスタッフも、訪れる患者もとにかくワガママなんですよ。

 病気を治せればそれでOKというわけではなく、待ち時間中に退屈をしのげる娯楽やお腹が空いたときに飲食ができるような設備まで求めてきます。

 患者を待たせて食べ物を買いに行く医者や、これから入院というタイミングでアーケードゲームで遊び始める患者なんてこの世界ではそう珍しいものではありません。

 そういったスタッフや患者を満足させる施設も病院には必要。施設を置いたら、店員や自動販売機をメンテナンスするスタッフが必要。

 さらに、病気の治療に使う施設にも定期的なメンテナンスが必要なものがあり、そこにもスタッフが必須。スタッフが増えてくると、また病院内での食料不足が深刻になり、ゴミが捨てられることも増え……と、芋づる式に必要な施設やスタッフが増えていきます。

 また、どれだけ手を尽くしてもときおり患者が亡くなってしまうことがあります。しかも、患者が亡くなると時折……出るんですよ、オバケが!

 そんなときにもオバケ退治ができるスタッフがいれば一安心。逆に、オバケを退治できないでいると病棟や診察室に向かうはずの患者や医師がオバケから逃げてしまって治療に遅れが出てしまいます。

 こういった患者や医者のワガママや病院内のトラブルを解決できないと、患者が途中で帰ったり医者が辞職したりと病院経営を妨げるようなイベントが発生。当然収入にも響いてきます。

 病気やケガを治療できればいいだけでなく、患者を退屈させず、飲食ができる設備も必要。自分が経営しているのは本当に病院なんだろうか? と思いますが、いくつもの要素が互いに影響し合っていくなかをうまくやりくりしていき、経営がうまく回るようになるところが気持ちいいんです。

土地とお金のやりくりでてんやわんや

 病院として必要な施設を備えて、スタッフや患者のワガママにも対応できる施設も完備。オバケも退治できるし、珍しい病気も治療できるのが理想の病院です。ただ、これを達成するには土地が足りないという大きな障害があります。

 受付を作るにしろ、診察室を作るにしろ、一定のスペースが必要。病院の敷地は限られているので、上記のようなあれもこれもできる病院を作ろうとするとどこかで土地が足りなくなります。

 さらに、ひとつの病院をうまく経営し続けると、それに伴って訪れる患者の数も増加。最初は順調に患者を治療できていた病院でも、まず最初に受付がパンクします。

 そこで、受付をもうひとつ作ると受付の混雑は解消されますが、今度は診察室に長蛇の列が……。もちろん、人が増えると自動販売機も並ぶし、トイレにも待ち時間が生じる。と、どこかの混雑を解消すると次の混雑が発生するため、限りある土地で改築や増築をどう行っていくかに頭を悩ませることになります。

 そんなこんなで待ち時間が増えて、患者さんが怒って帰ってしまっては病院にとって大きな損失になります。幅広い病気に対応できるようにしようとすると個々の病気を治療するスピードが落ちてしまうというのは、本作では避けられない問題です。

 特定の病気の治療に特化して治せない患者は即追い返すべきかもしれない、でも来た患者は心情的に治したい、だからといって病院の規模を大きくするとスタッフにかかるコストがどんどん増えていくという答えの見えなさが悩ましくもおもしろいところですね。

 そこに加えて、遊んでいると“うまく病院を回したい”という欲が出てきます。来院した患者は入口付近にある受付から診察室、治療施設と病院の奥の方へ向かい、治療を済ませて病院を出るというのが現実を含めた病院での理想的な導線。

 受付や診察室が混雑してきたからと、病院の奥の方にこれらの施設を作ってしまうと導線が歪になって人の流れが美しくなくなってしまいます。ただ、上記のとおり土地問題があるため、どこかで一定の妥協は必要。

 そういった実益部分とちょっとした欲がないまぜになりながら、どんな施設を建ててどんなスタッフを配置していくか。これを考えるのが楽しいタイトルですね。


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