『ゼルダ無双 厄災の黙示録』開発者インタビュー。世界観構築やマップ作り、DLC武器のポイントは?
- 文
- 信濃川あずき
- 公開日時
コーエーテクモゲームスより発売中のSwitch用アクションゲーム『ゼルダ無双 厄災の黙示録』。その開発者インタビューを掲載します。
『ゼルダ無双 厄災の黙示録』は、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では描かれなかった“100年前の大厄災”での壮絶な戦いを、ゲーム化したタイトル。敵との迫力ある戦いを、『無双』シリーズならではのシステムで楽しめます。
ダウンロードコンテンツの配信にあわせて、タイトルを制作した早矢仕洋介さん、古澤正紀さん、松下竜太さんという3名のキーマンにインタビューを実施。本編の制作秘話に加えて、DLCの要素についても可能な範囲で語っていただきました。
なお、インタビュー中は敬称略。
反響を聞いた時に制作者は何を思ったのか……
――改めてになるのですが、タイトルでの役割をそれぞれご紹介いただけますか。
早矢仕:『ゼルダ無双』に続き、本作『ゼルダ無双 厄災の黙示録』でもプロデューサーをしております。
古澤:前作でディレクターをしており、本作では開発プロデューサーとして携わらせていただいています。
松下:前作ではチームに参加していなかったのですが、『ゼルダ無双 厄災の黙示録』からディレクターとして参加しました。
――『ゼルダ無双 厄災の黙示録』発売から時間が経ち、感動の声がたくさん聞こえています。反響を受けて、今の想いをお聞かせください。
早矢仕:これまでのことになるのですが、我々が「お祭りタイトル」と呼んでいるような、『無双』シリーズのコラボレーションタイトルは、ストーリーを楽しむという点に重きを置いていないことが多かったんです。
ですが『ゼルダ無双 厄災の黙示録』は、これまでのコラボ無双にはないアプローチとして、“ストーリーをゲームプレイを通じて体験いただく”という方針を、最初から決めていました。既存のタイトルでは発売までの間にほとんどのプレイアブルキャラクターを公開していたのですが、本作ではあえてほとんど見せない形で進め、遊んだ方自身の体験に重きをおいたんです。それがしっかり届いたようで、ホッとしています。
古澤:発売後のアンケートでは「ストーリーがよかった」や「感動した」という声を多くいただきました。狙っていた部分ではあるものの、力を入れたところなのでストレートな反応が返ってきてくれてよかったです。
アクションだけではないという部分をアプローチできて、我々も新たな一歩を踏み出せたのかなと感じています。
――古澤さんは過去に『無双OROCHI』をはじめとする『無双』シリーズタイトルを手がけられていますが、それらと比べてストーリーの作り方は違ったのでしょうか。
古澤:そうですね。本作は『ブレス オブ ザ ワイルド』と世界観をひとつながりにすることが大前提にありました。その世界観を大事にしつつ、お客様の体験したいエピソードだったり、見たい場面だったりを掘り起こしていきました。
蓋をあけてみてどうかと感じていたのですが、そこがしっかり伝わったかなと思います。
松下:これまでの開発者人生の中では想像できないほど多くの方に楽しんでいただいた声を聞いて、反響の大きさに喜ばしい気持ちでいっぱいです。制作には2年以上、立ち上げ期間を含めるともっとかかっているのですが、長い時間、内緒で温めてきたものを皆さんに受け入れられたことがうれしいです。
ストーリーやゲームに関しては、ふたつのことを意識して大事にしていました。1つ目は『ブレス オブ ザ ワイルド』を遊ばれた方が期待する体験をお届けすること。2つ目は新しい体験、新しいアクションやストーリーをお届けすることです。どちらも受け入れられて、喜びや驚きをいただけたようでホッとしました。
――発表時に大きな反響がありましたが、それを受けて開発内部で意識が変わったところはありますか。
早矢仕:期待に応えつつ、さらに期待を超えるものを作るというのは、開発者としてはとてもやりがいのある挑戦です。そして出来上がってきているゲーム自体は、間違いなくその先に受け入れてもらえるという手応えはありました
ただ「期待してプレイしていただいた方からネガティブな反応がきてしまうのでは?」と現場はセンシティブでした。発表された時は、喜びというよりも、その反響の大きさに青ざめているスタッフが多かった気がします(笑)。
しかし、開発チームも「よりおもしろいゲームを届けなくてはいけない!」という覚悟が決まった瞬間でもあったように思います。
――インパやプルアなど、『ブレス オブ ザ ワイルド』とは異なる姿をしているキャラクターがいます。キャラクターデザインはどのようにして進められたのでしょうか。
松下:基本的には、任天堂さんの『ゼルダの伝説』チームに監修いただきながら二人三脚で制作を進めていました。制作を進めるうえで一番のヒントとなるのが『ブレス オブ ザ ワイルド』で登場したキャラクター自体の情報ですね。
インパであれば孫娘のパーヤ、プルアであれば面影などから組み立ててたどり着きました。デザインに関しては、『ブレス オブ ザ ワイルド』がとても膨大な情報量や世界の奥行きを備えたゲームなので、ヒントをたくさん取り出せたことが一番助かりましたね。
ただ、ヒントがあるとはいえ、オリジナルでキャラを描き起こすのと同じか、それ以上の力を入れていました。
早矢仕:100年前の公式の世界観を作らせていただきつつも本作の独自性を出すという、立ち位置としてはとてもおもしろいチャレンジができたと思っています。これまでの当社の取り組みとまた異なり、現場はプレッシャーを感じながらの作業だったのではないでしょうか。
今振り返ればキレイにうまくいったと思いますが、作っている途中は大変でした。
――マップのデザインにつきまして、『ブレス オブ ザ ワイルド』の地形再現や、逆に『ブレス オブ ザ ワイルド』では描かれなかった破壊されていない状態の建物や地形を作るうえで、苦労した点があればお聞かせください。
松下:『ブレス オブ ザ ワイルド』はリンクひとりで冒険するゲームで、フィールドやマップ自体が攻略対象とも言えます。そのために、本作では戦うための舞台として構築し直さなくてはいけません。そこで“100年前の姿を復興する”、“バトルフィールドとしてアレンジする”というふたつを同時に設計する必要がありました。
設計時にキーワードとなったのが“100年前”、そして“戦場”という部分です。敵の拠点があったり、破壊されてしまった城壁があったりなど『ブレス オブ ザ ワイルド』の廃墟から想像し、また戦場になっているのだから100年前には敵の砦が実はここにあったなど、ヒントとキーワードを融合させる形で設計しました。
古澤:その中でも草原は最初に着手した場所で、見た目の印象はもちろん、広がっている感じを出すことに苦労しました。『ブレス オブ ザ ワイルド』の草原のイメージを外してしまうと、途端に違うゲームになってしまいますから。草原と戦場はマッチしにくく、どのように戦う場所として表現するかなど頭を悩ませました。
一方でアッカレ砦をはじめ、もともと戦場というようなロケーションは、復興させやすかったですね。『ブレス オブ ザ ワイルド』で砲台跡があればそこに砲台があって戦っていたのだろうというように、ストーリーとも絡ませることができました。
――キャラクターにまつわる設定で、お話いただけるものがあればぜひお聞かせください。
松下:『ブレス オブ ザ ワイルド』をプレイされた方であれば、いろいろと想像できる要素を散りばめています。行商人やお店の店主にも、バックボーンはしっかり用意しています。『ブレス オブ ザ ワイルド』でも出てきたお店と同じ名前の施設が今回もあって、店員の名前も気になる設定になっていたり……。名前もそうですし、そこにまつわるハイラルチャレンジのメッセージを追っていくと紐解けるかもしれません。
いろいろなネタを入れており、サブストーリー的な楽しみ方もできるので、テキストをさっと読み飛ばしてしまった人がいましたら、ぜひもう一度読んでいただきたいです。
早矢仕:実は制作中期くらいまでは行商人などがいなかったんです。ただ、『ブレス オブ ザ ワイルド』感が薄い、何かが足りないということで行商人やお店の要素を追加したら100年前の姿が鮮明に見えてきたんですよ。
古澤:バトルシーンでは激しいアクションが繰り広げられるため、物語を感じる表現はなかなか難しいです。それ以外のところで厚みを持たせるにはどうしたらよいか考えて、ハイラルマップ上に施設を追加しました。
――ひとつクリアすると行ける場所が一気に増える演出は『ブレス オブ ザ ワイルド』と同じような感覚、感動でした。アイコンの出方などは『ブレス オブ ザ ワイルド』を意識されていましたか?
松下:『ブレス オブ ザ ワイルド』では、塔の頂上から祠の光や気になる変な形の建物が見えて「あそこにパラセールで飛んでいってみよう」という遊びの計画をたてられるおもしろさがあったと思います。
冒険していくことで舞台が広がっていく『ブレス オブ ザ ワイルド』でのプレイ感は、100年前を描くにあたっても大切にしたいところ。本作におけるバトルやチャレンジクリア時にできることが増えていくのは、そこをイメージしたものですね。
――では、再現しようと思ったけどシステムにあわず入れられなかったことはありますか?
松下:“オープンエアであること”です。『ブレス オブ ザ ワイルド』が広大なフィールド全体を相手にしたひとりの冒険であるのに対し、本作は時間軸をベースに戦いの連続でストーリーが進んでいくので、『ブレス オブ ザ ワイルド』とは世界の切り取り方が異なります。
本作ではそこに触れず、とはいえ『ブレス オブ ザ ワイルド』の世界観を体験にすることがスタート地点からテーマにありました。ただ、ゲームシステムが違うので、落とし込みには苦労しました。
古澤:世界の広がりをどうにか感じてもらうために、ミッションをクリアしたら、ハイラルマップ上で行けるところが次々に増えていくようにしたんです。疑似体験というわけではありませんが、『ブレス オブ ザ ワイルド』をプレイされた方であればイメージしていただけるだろうなと、落とし込んだ形になります。
早矢仕:ゲーム開発の要素の中では地味なのですが、開発中には「マップ画面はとても大切だ」と言っていたんです。マップ画面が『ブレス オブ ザ ワイルド』を感じてもらえるキーポイントだと話をし、意識して作っていました。
オープンエアにしないということは、マップ画面でその世界の広がりをちゃんと感じてもらわなくてはいけません。地味なので遊んだ方からも直接そういうコメントはなかなか出てこないので、「『ブレス オブ ザ ワイルド』と同じ感覚があった」と言っていただき、現場で頑張ったメンバーは喜んでいると思います。
キャラクターと神獣の魅力
――個人的にスッパが非常にかっこいいキャラクターだと思っています。お話いただける設定や、制作時の様子をもう少しお聞かせください。
松下:スッパは、立ち位置も設定も迷いなくいけたキャラクターです。コーガ様はどうやって組織を切り盛りしているのかと考えたときに、そこにはおそらく実質の右腕が存在して組織を回していたのだと思ったんです。そこから造形や口調に自然とたどり着けました。
本人は口数が少なく、コーガ様を基本立てる人物ではあるので、人柄は表に出ません。
早矢仕:最初にストーリーを作る際、「メインストーリーでスッパはあまり必要ないのでは」と伝えたのですが、松下に「こういうのがいないと、コーガ様があの組織を保てるわけがない! 絶対いたはずだ」と強い口調で言われました(笑)。その思いで作られたキャラクターなので、こうして好きな方がいるのはディレクター冥利につきると思います。
松下:コーガ様を悪くは言っていないです(笑)。
古澤:わずかしか描いていない中から想像を広げていただいて、作った我々も感慨深いところではあります。
スッパは国内に限らず、海外のお客様からも大きな反響がありました。単純にサムライという観点かとも思ったのですが、それ以上に語りすぎないあの感じや自分ではなく主人をたてるあたりがうけたのかなと思います。
――使いやすさ、ストーリーの思い入れなどで、ユーザーの中でも人気キャラクターが割れている印象を受けています。制作の立場から人気が割れるほどまんべんなく支持されていることにつきまして、コメントをいただけますでしょうか。また、個人的なお気に入りキャラも教えてください。
早矢仕:このメンバーの間でも割れています(笑)。先ほど、「コラボ無双で新しいチャレンジ」とお伝えしましたが、とはいえコラボ無双で求められているのが、いろいろなキャラクターを操作して楽しいという部分だと思います。
ですので、好きなキャラクターが割れるというのはコラボ無双のよさでもあるかと。アクションはアクションチームが1キャラ1キャラ独自の要素を入れて、かぶらないようにしてくれたのでその結果かなと思います。
個人的なお気に入りキャラクターは、使いやすいこともありウルボザですね。
古澤:人気が割れているというところに関しては、アクションゲームとして見た場合には最高にいいことだと思っています。どのキャラも思い入れがあって作っているので、触っていただけないキャラがいると残念ではあるのですが、本作で人気が割れているということはしっかり各キャラクターを触っていただいているということなので。
私のお気に入りはダルケルで、マグマを使った攻撃が気に入っています。キャラクター性能うんぬんよりも、見た目や性格どおりの豪快さ、爽快さはキャラのよさが出ています。
また、リンクと一緒に使っているとキャラチェンジする時に「相棒!」とかけ声をくれるんです。自分が言われているみたいな感覚があって、聞いているだけでもワクワクするところがあり、好きですね。
松下:いろいろなキャラクターに人気があるのは喜ばしい限りです。それぞれキャラごとにプレイ感や攻略方法が異なりつつ、どのキャラで進めても攻略が破綻しないように成立させるのが一番苦労した点ではありました。
キャラクターは全員好きなので答えるたびに違っている気がします。ですが、私はゼルダ姫が一番好きですね。“ゼルダ姫が戦う”というのが、ストーリーやこの世界にとって意味のある重いこと。そして本作のタイトルの名前が単なる商品名フォーマット以上に、意味を持ってほしいという想いがあります。
――メインキャラクターの他にも、ものすごく意外なキャラクターがプレイアブルになっています。プレイアブルキャラクターはどのように選出されたのでしょうか。
松下:まずは期待に応えること、そしてある種で期待を裏切る、期待以上のものにするというふたつを意識しています。無双アクションでキャラが解放されて遊べるようになるのはかなり大きなリワードであり、楽しみだと思うんです。
そこで驚いていただき、次のバトルがワクワクするようにしたいという思いはありました。ただ、意外な選出と思いきやそうではなく、『ブレス オブ ザ ワイルド』を遊んだ方にとっては顔なじみのメンバーが揃っているかなと思います。
早矢仕:プレイアブルキャラクターの選出には、我々はそこまでもめていないんです。どのキャラを隠して、物語の中でいつ出すとフックになるかを考えました。お客様に驚いてもらえる順番で出したからこそ驚いてもらえたのだと思います。
古澤:『ブレス オブ ザ ワイルド』をある程度プレイした方は、「このキャラが使えるかも……」と想像されていたと思います。その想像は8割方合っていたと思うんです。ただ、操作時にどうなるのかと考えた時に我々は想像の上にいかなくてはいけない。そこが頑張りどころでしたし、いい意味で期待を裏切れたかと思います。
――キャラクターについてはスムーズに決まったとのことですが、チーム内で意見が分かれたところはありましたか。
松下:ゼルダ姫が戦うことと神獣です。
古澤:確かに神獣の位置づけは結構悩みました。
松下:他の要素と比べると想像がつかないとこがありました。そのために、スタッフ全員がしっくりくる形になるまでは結構時間がかかったと思います。
――『ブレス オブ ザ ワイルド』ではほぼ中身とガノンへの一撃しか見られなかった神獣の攻撃方法につきまして、設計するうえで苦労したことやこだわりは?
松下:苦労したのは、やはり『ブレス オブ ザ ワイルド』では味方として戦っていないところです。攻撃手段としては、『ブレス オブ ザ ワイルド』で敵として神獣と戦った際にアイスを飛ばしてきたり尻尾で叩いてマグマを降らしてきたりなど、それぞれの行動をヒントに取り入れました。ただそれ以上に、この神獣の姿を見た時にこんなことをやりたくなるだろうというイメージを攻撃手段にしています。
水の神獣のヴァ・ルッタであれば、長い鼻を使って攻撃するに違いないし、それが操作して一番気持ちよくなる。モチーフになっている生き物らしさですね。『ブレス オブ ザ ワイルド』の神獣はモチーフがいるのですが、どこか違っているんです。
例えば炎の神獣のヴァ・ルーダニアも“この動物”というのが明確にいない不思議な存在。歩行の姿や身体の造形を見て、こういうことをするに違いないだろう、こうしたら戦局を大きく動かす活躍ができるだろうとイメージして設計しました。
本作で大事にすべきは神獣を操作する体験です。普段の無双アクションではできないような、半ば身も蓋もないような活躍ができる神獣だからこそ厄災の戦いの中で戦いのキーとして扱われていたのかなと思っています。重要とされていたという説得力につながるような形でゲームプレイできるようにイメージしました。
古澤:神獣での戦いは通常バトルとの“味変”と言いますか、ボーナスステージというと言い過ぎかもしれないですが、違う位置づけではありました。難しくしようという意識はなかったのですが、いかんせん回復する手段がなかったり、風の神獣のヴァ・メドーを例に挙げると旋回に時間がかかったりなどで油断しているとやられてしまうことがあります。
そういう意味でやり応えの部分は出せたのかなと思いますね。小気味よく動いてしまうと巨大さを感じにくいんです。ままならない操作感にあえてすることで、神獣自体の大きさや、敵との大きさの対比を感じられるようにしたのはこだわったポイントです。
――細かいけれど見つけてほしい、注目してほしいこだわりポイントを教えてください。
松下:『ブレス オブ ザ ワイルド』を遊ばれていた方が、PVで何フレームかだけ見切れていたところを「これはアレじゃん」と見つけてSNSにあげていただくこともありました。見つけてもらうこと自体が楽しみになるコンテンツとして狙ったところもありますが、それ以上に盛り上がっていただいて本当に驚きました。
注目ポイントとして明確に“これ”というのは内緒にしたいのですが、ひとつヒントを挙げるとするならばDLCのコンテンツでプルアとロベリーの研究を手伝っていくところには注目してほしいです。それぞれがどのようなことを研究しているかは『ブレス オブ ザ ワイルド』のプレイヤーや本作の本編を追ってくれた方が見ると、ニヤリとすると思います。ふたりの研究が何だったのか想像できる形になっているのではないでしょうか。
DLC制作の裏話にギリギリまで切り込む!
――DLCの開発が決まったのはいつごろでしょうか。
古澤:発売から割と早めのタイミングでした。決め手になったのは発売後にお客様から多くの反応をいただいたことですね。踏み出すきっかけとして大きかったです。
――DLCのタイミングでパッチがあたって、ゲームの遊び方が変わったりや調整が入ったりはあるのでしょうか。
松下:DLC第1弾では王立古代研究所の研究を手伝うことで、戦いが便利になったり、より活躍できたりする機能を解放できるようになります。アクションゲームとして腕を磨いてきた方や、今までの攻略の手札で頑張ってきた方の努力を無にしないためにも、ツリーで解放するという形で追加しています。
古澤:更新データのみでの変更点としては、カメラ操作のオプションが増えます。オプション設定で照準操作とカメラ操作を分離できるようになります。また、操作キャラの背後に自動的にカメラが回る機能のオンオフも切り替えられるようになります。いずれも、発売後に声の多かったものですので、DLCとは切り離して機能追加としました。
――今回、DLCで“歴戦のガーディアン”がプレイアブルになるとのことですが、操作するうえでの楽しみ方を教えてください。
松下:ガーディアンは『ゼルダ無双 厄災の黙示録』でも何度も敵として立ちはだかってきた強敵。その強敵が何体も向かってくるからこそ、厄災の戦いは激しいものになるという表現のために使っていた大事な存在です。
ただ、ガーディアン自体、もともとはハイラルを守るために作り出されたもの。「ハイラルを守ろう」という気持ちになって操作していただきたいですね。
攻撃方法としては砲撃やアームを使って戦います。ただ通常のガーディアンよりも、“歴戦”の名に恥じぬような戦いができますよ。
早矢仕:“ちょっと特別”なガーディアンなんです。
古澤:少なくとも、みなさんが苦しめられたであろうあの砲撃は出せます。あれで、しっかり敵をなぎ払ってください。
早矢仕:あの「ピッピッピッピ……ドーン」という砲撃に名前はあるんですかね?
松下:どうなんでしょう。ですが、今回「ピッピッピッピ」も「ドーン」もコントローラで出せます。ガーディアンを操作する時に、「だからみんなガーディアンはこうやって攻撃をしていたんだ」というのが分かると思います。
――そして、ついにマスターバイクが、ゼルダ姫の武器として登場します。これまでのゼルダ姫の操作とはまるっきり違うものになると予想していますが、マスターバイクのお楽しみポイントを教えてください。
松下:無双アクションの武器として登場するのですが、バイクでもある部分は大事にしました。戦いを途中でさぼって走り出したくなるような操作感を目指したので、ゼルダ姫と一緒に風になってください!
元々、ゼルダ姫はフィールドワークできるようなブーツを履いた服装だったりするので、ゼルダ姫をバイクに乗せた時にカッコいい、似合っているという第一印象はありました。
操作していると背中越しにゼルダ姫を見ることになると思うのですが、「今、いい顔をしているんだろうな」と想像しながら遊んでいただけると思います。
――リンクの新武器“ガーディアンフレイル”は、どのようなことができるのでしょうか。
松下:ガーディアンフレイルは、ガーディアンの身体の機構をヒントに作られた武器です。伸縮するアームと、クローを利用して戦っていきます。鞭のようなスピードと攻撃範囲を兼ね備えた、使いやすい武器です。
また、アームを利用して敵の武器を奪って複製して戦うという特殊攻撃があるので、そこでひと工夫して戦いを楽しめます。『ブレス オブ ザ ワイルド』はリンクがいろいろな武器を持ち替えながら戦っていましたが、その体験を彷彿とさせるアクションとして、アームで敵の武器を奪って複製するといった操作にたどり着きました。
『ゼルダの伝説』シリーズでもフレイルを持った敵は多くいたので、シリーズとしてもしっくりくるものになると思っています。
――DLC第2弾では物語が追加されます。楽しみにしているみなさんにコメントをお願いします。
松下:知られざる100年前を体験できるということで、『ゼルダ無双 厄災の黙示録』のストーリーを楽しんでいただいた方も多いと思います。DLC第2弾では掘り下げきれなかったエピソードをはじめ、知られざる100年前のさらに知られざる物語をお楽しみいただけると思います。
本編でも大事にしていた「期待に応える」、「新たな体験として楽しんでいただく」というふたつは引き続き大事にしているので、ご期待ください。
古澤:本編をプレイされた方は、「ここが気になっている」という要素がそれぞれあると思います。そうしたところをなるべくすくい上げ、どんな話にするのかを考えました。
話だけでなくステージやバトルもセットで新たに入るので、こんな戦いもあったのかと感じていただきたいです。
――最後に、本作のファンに向けてメッセージをお願いします。
早矢仕:多くの方に遊んでいただいて、大変ありがたく思います。お伝えした通り、我々も新しいチャレンジでありつつ無双のよさのバランスを意識して制作してきました。
DLCは配信までお時間をいただいたので、その分楽しんでいただけるボリュームのものが用意できたと思います。もしクリアされて本作から離れている方も、もう一度戻ってきてリンクたちとの冒険を再度楽しんでもらえるとうれしいです。
古澤:DLCの追加要素は、本編の後に続くものではなく、本編の序盤から体験できる要素となっています。本編をまだプレイされてない方にとっても、遊びやすさが増したり、より濃密なチャレンジが増えたりとお楽しみいただけるものになっています。
まずは第1弾『古代の鼓動』でアクション部分を楽しんでいただき、第2弾『追憶の守護者』ではストーリーにご期待いただければと思います。第2弾は11月末までに配信とすこし先になりますが、しばらくお待ちください。
松下:『ゼルダ無双 厄災の黙示録』というタイトルを作れたことは開発チーム全員にとって大事な体験であり、人生でとても大切な思い出になっています。それに再び携われて、お届けできるのはとてもうれしい限りです。
発売直後にSNSで「クリアしたからDLCを待っている」や「ギャラリー100%になったけどもっと遊びたい」などと書いてくださっている方もいました。みなさんにとって大事な体験になるよう、エキスパンション・パスを開発していますのでご期待ください。
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『ゼルダ無双 厄災の黙示録』特集ページはこちら(電撃オンライン)
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