『バビロンズフォール』インタビュー前編! 絵画のような世界で体験できるアクションRPGの見どころとは?

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 E3 2021で最新トレーラーが公開&クローズドβテストの実施が告知されるなど、いよいよ全貌が見えてきたスクウェア・エニックスのオンラインアクションRPG『バビロンズフォール』。本記事では、開発に携わるスクウェア・エニックスの齊藤陽介氏と江原純一氏、制作を担うプラチナゲームズの齋藤健治氏にお話を伺うインタビュー前編をお届けします。

運営型のアクションRPGとして企画がスタート

──まずは『バビロンズフォール』の開発におけるみなさんの役割から説明をお願いします。

齊藤陽介氏(以下、齊藤P。敬称略):私はプロデューサーという立場で、現場に目を配ったりしています。実働というところでは江原プロデューサーと齋藤ディレクターという“タッグ”のスタンスで見ていただければと思います。

江原純一氏(以下、敬称略):僕のほうは弊社とプラチナゲームズさんの橋渡しがメインで、いかに『バビロンズフォール』という作品の完成度や商品価値を高めていくか、というところを考えるような立ち位置になります。

 今回は運営型のゲームということで、弊社のメンバーも協力している部分がありますので、そこの橋渡しをしたり。これから宣伝が始まると、宣伝や営業のスタッフと話を詰めたり、そういった部分の調整も行っていきます。

齋藤健治氏(以下、齋藤D。敬称略):操作まわりだとかキャラクターのアクションとか、主にゲームでプレイヤーが触る部分のディレクションを担当しています。僕とは別に運営関連のシステムを手掛けているディレクターもいます。

──あらためて『バビロンズフォール』の企画がスタートした経緯から説明をお願いします。

齊藤P:本格的に企画が動き出したのは『NieR:Automata(以下、オートマタ)』の発売後になりますが、「次はこういったゲームを作りたい」って相談をしたのは『オートマタ』の開発後期くらいですね。『オートマタ』が2017年に発売されたあと、「次は当社とプラチナゲームズさんでこんなのを作ってます」というのをいち早くユーザーのみなさんにお伝えしたくて2018年のE3で発表しましたが、喜ばしいことに現在でも『オートマタ』を愛してくださるファンの方がいらっしゃいまして。結果、そんなに焦って発表しなくてもよかったかな、というのが正直なところでした(笑)。

 ユーザーのみなさんにはお待たせして本当に申し訳ない気持ちではありますが、やはりオンラインゲームであり、プラチナゲームズさんとしてはサーバークライアント型のゲームというのは初めてということで、慎重に作業を進めているという感じです。あと、ちょうど開発の過程でPS5が発表になり、そこも含めてスケジュールの見直しを行ったうえで進めています。

──インタビュー動画では、『オートマタ』のアクションで“ハック&スラッシュ”のゲームということを説明されていましたが、具体的にはどういうタイプのゲームなのでしょうか?

齋藤D:現行のジャンルで分けるならアクションRPGと呼ばれるゲームになると思います。オフラインでプレイする『オートマタ』と比べると、アクションの激しさや演出面で少しマイルドになる部分はあるかもしれませんが、仲間と協力して敵に挑んだり、キャラクターをカスタマイズしたり、アクションの広がりといった部分ではより楽しめるゲームになっていると思います。

──運営型のMORPGということで、プラチナゲームズさんとしてはこれまでにない作品になると思いますが、最初にお話を聞いたときの印象はいかがでしたか?

齋藤D:開発の難度が高そうだなとは感じました。これまで挑戦したことのない大規模なマルチプレイのタイトルということで、どういう順番に課題をクリアして、ゲームを成立させるべきかということが頭に浮かんでしまって……。

 オンラインマルチということで、これまでと違った演出方法とか、見せ方とか、あとはその触り心地をきっちりと積み上げていかないと、プラチナゲームズとして納得できる作品にはならないと思いました。また自分のプレイだけでなく、他人のプレイを見て気持ちいいとか、ほかのプレイヤーと協力することも含めた楽しさを突き詰めていく必要もあるなと。そういうことを瞬間的に考えてしまって、大変そうだなと思いましたね。

──なぜMORPGのアクションゲームという形態を選ばれたのでしょうか?

齊藤P:当社はMMOのタイトルは複数ありますが、MOのタイトルは多くありません。今後、パッケージで売り切りではないタイトルが多くなっていくと思うんですけど、MOもきちんと押さえておくべきだろうと考えた次第です。

 それで、作るならやっぱりアクションRPGになると思いましたので、どうやって実現させるか? と考えたとき、やっぱりプラチナゲームズさんだろうなと。そうやって、いろいろな点と点を結んでいった結果のプロジェクトになります。

──ちなみに『バビロンズフォール』というタイトルにはどんな意味が込められていますか?

齋藤D:シナリオからイメージして考えたところが一番大きいですね。そのほかには「このゲームにハマってほしい、フォールしてほしい!」という願いを込めて決めたところもあったりします。

田島光二氏、岩尾賢一氏がプロジェクトに参加

──ハイファンタジーであり、ちょっと近代的な部分もあるような独自の世界観に仕上げられていますが、ベースのコンセプトはどういったものでしたか?

齋藤D:時代や地域のイメージとしては中世のヨーロッパあたりですね。ただ、そのままではオリジナリティに欠けますので、中世ヨーロッパの絵画や宗教画的なビジュアルと、ひと昔前のわりと王道ファンタジー系のイラストに見られる濃い目の色彩やコントラストといったものを採り入れつつ、イメージを膨らませた世界になります。

 それを表現するにあたって“ブラシワークフィルター”と呼んでいるシェーダーを実装しました。どこを切り取っても絵画的なビジュアルで楽しんでいただけるようになっています。

──コンセプトアートとキャラクターデザインを田島光二さんが担当されていると聞いて驚きました。田島さんに依頼をされた経緯について教えてください。

江原:田島さんは、プラチナゲームズさんにデザインの講師としていらっしゃっていて、そのご縁でお話をさせていただきました。ちょうど僕たちが『バビロンズフォール』のアーティストをどなたにお願いしようかと考えていたときに、プラチナゲームズさんのほうから提案していただいたんです。

 田島さんはゲームのお仕事は初めてということでしたが、お話をしてみたら昔はよくゲームをされていたということもあり、すんなりと受けてもらえました。

──田島さんには、どのようなオーダーをされたのでしょうか?

江原:もともとプラチナゲームズさん側が考えていた世界観というのがありまして、文化圏の異なる種族が存在しています。今回のトレーラーには3つの種族が登場していますが、その種族たちが何を大切にしていて、どういう文化を持っているのかといった説明をプラチナゲームズのアートディレクターの方からしていただいて、それをもとに田島さんがデザインの中に落とし込んでいく、という流れでオーダーを進めさせてもらいました。

──仕上がってきたビジュアルを初めてご覧になった感想はいかがでしたか?

齊藤P:ストレートにカッコイイなって思いました。まだ詳しくはいえませんが、自分がプレイするときはこの種族にしようといったキャラクターもいましたし(笑)。

江原:もう素晴らしいの一言でしたね。

──長年ゲームのデザインをされていた方とはまた違うセンスみたいなものを感じたような?

齊藤P:ちょっと言葉で表現しづらいですが、やっぱり違うなって感じましたね。プラチナゲームズさんのほうでイラストをもとに制作した3Dモデルなどの監修もしていただいているんですけど、やっぱり3Dが使えるアーティストさんなので、平面の絵を本業としてずっと描かれてきた方とはまた違うなという印象はありました。

──『ファイナルファンタジーXI』プレイヤーならよく知る岩尾賢一さんがシナリオを担当されているというのも驚きました。こちらは関しては、どのような経緯で起用されたのでしょうか?

齊藤P:私も江原も『ファイナルファンタジーXI』プレイヤーだったからです(笑)。という話はさておき、ある程度のプロットが仕上がったタイミングでプラチナゲームズさんのほうから岩尾さんをぜひ起用したいという話をもらいました。弊社としては渡りに船だと快諾して話が進んだ次第です。

 岩尾さんは設定を深く突き詰めていくタイプの作家さんですので、長い運営が必要なタイトルにはそういうものがすごく重要になると考えていました。そこに最適な人の1人が岩尾さんだとは思っていたので、我々としてもビックリしました。本来なら弊社側から提案しなければいけないことではと思いつつも、プラチナゲームズさんから話が来たときには嬉しかったですね。

──世界設定の深い部分まで岩尾さんが担当されているのでしょうか?

齋藤D:そうですね。それぞれの種族のことだったり。こちらでプロットとして決めていたところをさらに深く広くしていただいています。

──ストーリーの概要については公式のインタビュー動画で岩尾さんから語られていましたが、ほかに現時点でお話できることがありましたら教えてください。

齋藤D:主人公は人間以上の力を持つ哨士(センチネル)という存在になります。センチネルは“機棺(ギデオンコフィン)”と呼ばれる特殊な装具を身体に付けられるんですが、それにはかなりのリスクがあります。以降はストーリーとも深くかかわってくるところなので、現状でお話しできることはこのくらいになります。

──主人公は種族を選んだり、容姿をカスタマイズしたりといったことはできますか?

齋藤D:自由にカスタマイズできます。そこはまだ詳しくは言えない部分になりますが、そのあたりも徐々に公開していければと思います。

──ストーリー部分と同様にアクション部分でも“機棺(ギデオンコフィン)”が大きな見どころになりそうですが、こちらはどういったものでしょうか?

齋藤D:ハック&スラッシュという性質のゲームでは、手に入れたものを付け替える楽しみがあります。ギデオンコフィンには、プレイヤーが両手に装備する武器に加え、さらに2つの武器をマウントすることができ、ギデオンアームズとして使えるようになっています。



アクションはビルドがポイントに!

──ゲームの大まかな流れは、どういった構成になっているのでしょうか?

齋藤D:主人公は戦いを強いられる捕虜のような存在で、無理やりギデオンコフィンを取り付けられてセンチネルになります。センチネルたちには拠点になる場所があって、そこでクエストを受けてバビロンの塔に挑んでいくという流れになります。

 塔の中は階層ごとに分かれていまして、階層をクリアするごとにボスと対決し、倒すとさらに次の階層、次のロケーションに移ることができます。その大きな流れのなかで、武器やアクションを自分の好みにカスタマイズしていくわけです。

──最終的には塔の頂上を目指すことになるのでしょうか?

齋藤D:ストーリーとしても、プレイヤーの目的としてもそのような形になります。

──ゲームは運営型となりますが、基本となるパッケージだけでエンディングまでたどり着けますか?

江原:いわゆるVer.1.0でエンディングまで楽しめる内容になっています。出し惜しみはしていません。

齊藤P:どちらかというと、こういうタイプのゲームはエンディングを迎えてからが本番になるところもあると思っていますので、そこは大丈夫です。

──追加シナリオは検討されていたりしますか?

齊藤P:可能性は十分あると思います。物語的にもアクション的にも拡張性のあるゲームになっていますので、今後の情報を待っていただければと思います。

──キャラクターのビルドは、どれくらいのバリエーションが用意されているのですか?

齋藤D:基本的に制限はほとんどありませんので、アクションに寄せたビルドだったりパラメータに寄せたビルドだったり、かなり自由に組み立てられるようになっています。

 武器も種類がありますので、どう装備するかでプレイヤーのこだわりを反映させられますし、防具に付いているスキルや追加効果的なものもありますので、スピードタイプやパワータイプといったビルド作成も可能です。

 例えばタンクという役割で考えた場合、アタッカー寄りのタンク、ヒーラー寄りのタンクみたいなキャラクターにカスタマイズすることもできます。

──ゲームスタート時のパラメータ選択と、スタート後のビルドでは、アクションやキャラクターの強さへの影響はどちらが大きいですか?

齋藤D:圧倒的にビルドのほうですね。じつはキャラクター自身にパラメータという概念はなく、身に着ける武器と防具、それと少しですがギデオンコフィン、アクセサリーといったものが持つステータスが、キャラクターの強さに影響するものとなっています。

──先ほど3つの種族が存在するということをお聞きしましたが、種族ごとにキャラクターの強さに影響するような違いはあるのでしょうか?

齋藤D:個性として多少の違いがあってもいいのかなとは考えていますが、現在調整中です。ただ、この種族でないとこの装備が使えないといったものは現状用意していません。

──アクションでは“ジャスト回避”が紹介されていますが、こちらはどういったものでしょうか? また、ほかにはどんなアクションがありますか?

齋藤D:ジャスト回避もビルドの一環になりますね。敵の攻撃をギリギリで回避するという条件で発動する能力、スキルがありまして、あらかじめビルドに組み込んでおくと使えるようになります。

 アクションに紐づくビルド、プレイヤーの行動に紐づくビルド、常時効果が得られるパッシブ的なビルドという感じに、いろんな方向性の能力があり、それらを組み合わせて、自分なりのアクションを作り出していけるのが本作の大きな魅力です。

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