未来の音楽はこんなにも自由、NAOKI氏主宰のイベント“2099”独占レポ。新作『セブンスコード』新PVも

ユート
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 8月2日に都内某所で開催された、NAOKI MAEDAさんがヘッドライナーを務める音楽イベント“2099”をレポートします。

  • ▲公式サイトをキャプチャしたもの。

 会場には抽選で当選を果たした約300人が来場。男性はもちろん女性の姿もあり、年齢もさまざま。スーツ姿で来ていた人がいたのも印象的でした。

 また、ステージとオールスタンディングの観客席の周囲360度はスクリーンによって囲まれているなど、光と映像でも楽しめる仕掛けに。仲間と盛り上がる人や1人で開演を待ち焦がれる人など、イベント開始前から会場全体が熱い雰囲気に包まれていました。

第一幕・ボーカロイド

 小林 将さんが奏でるバイオリンの音に乗せ、黒木ほの香さん、小山百代さんによる朗読劇第一章でイベントは開幕。音楽イベントでありながら幕間に朗読劇が流れ、近未来をテーマにしたストーリー性・メッセージ性が観客の心を惹きつけます。


 舞台は2099年。スーパーコンピューターの予測により、2179年には音楽がなくなるといわれている世界。

 音楽終焉のきっかけが2019年から3年以内のできごとに起因すると知った2人は、それを調査し、音楽を救うために2019年に赴くことを決意します。

 当時には、2099年に存在するドロイドミュージックの先駆けになった“ボーカロイド”と呼ばれるものもあると知り、2人は興味津々。

 かくして、2人の音楽調査と未来音楽の旅が幕を開けます。


 最初に登場したのは、ボカロPとしても高い人気を誇るsasakure.UK(ささくれP)さんと、メゾネットメゾンのkousさんです。機材不調で音楽がストップするというハプニングがあったもののトークで場をつなぎ、改めて再スタート。

 メゾネットメゾンのQ.iさんも登場し、バツグンの歌唱力と心地よい電子音による3曲が披露されます。うち1曲は、sasakure.UKさんとメゾネットメゾンによる共作で、初公開となる新曲『アンリ アルタ』。ノリがよくアップテンポのサビも最高で、観客の皆さんも初めて聴く曲でありながら手拍子や歓声で応えていました。

 最後にQ.iさんのボーカルで、sasakure.UKさんの代表曲の1つである『*ハロー、プラネット。』を披露。サビの「オハヨーハヨー」に続き観客も「オハヨーハヨー」と返すなど、一体となって大盛り上がり! 最高のスタートを切り、sasakure.UKさんとメゾネットメゾンのステージは幕を閉じました。

第二幕・音楽ゲーム

 会場が暗転し、朗読劇第二幕へ。よみぃさんが奏でるピアノが2人の言葉を包んでいました。


「2019年にも、あなたが好きな音楽ゲームがあるんだよ」
「そうなんだ! 2019年に行ったら音ゲーができなくなるんじゃないかって、それだけが残念だと思ってたんだよね」


 大音量の音楽が響き、観客の手拍子に迎えられながら、『beatmania IIDX』シリーズをはじめ数々の音楽ゲームの楽曲を手掛けるTatshさんが登場。

 圧巻のDJパフォーマンスが披露され、会場は再び熱狂の渦に! 多くのアニメソングやゲームソングなどを歌い上げてきた歌手・彩音さんも登場し、2人の共作である『I.D.』が披露されます。

 そして、ボーカルを彩音さん、作詞/作曲をTatshさんが務めた『for Dearest』と『Endless Tears…』を立て続けに披露!

 彩音さんの力強い歌声が『for Dearest』の爽やかさ、『Endless Tears…』の熱い旋律を見事に彩り、皆さんも大満足といった様子でした。

第三幕・レイブサウンド

 朗読劇第三章では、再び小林 将さんによるバイオリンに乗せて、レイブサウンドについて話されます。

 朗読劇が終わり、大歓声で迎えられたのは、ダンス、レイブ系のサウンドで高い人気を誇るCrankyさんと、レイブサウンドに乗せた三国志ネタで独自の音楽を紡ぐおもしろ三国志さんの2人。

 昔の中国を思わせる奇抜な衣装と、『孫子兵法』の「ヘイ、ヘイ、ヘイヘイホー!(兵法)」などのコール&レスポンスで、観客たちの心を一瞬にして鷲づかみにします。


 さらに朗読劇での話にも触れ、「音楽が消えてしまう。その原因をたどり、見たものが……おもしろ三国志!」など、軽やかなトークでも魅了。

 「三国志を知らないと地獄の時間でございます」などとも口にしますが、観客たちは笑い、盛り上がるなど、前の2組とはまた違う楽しさを味わっているようでした。

 代表曲である『董卓討つべし』、そしてCrankyさん作曲の『宛城、炎上!!』の2曲を歌い上げ、おもしろ三国志さんのパフォーマンスは終了。Crankyさんのターンになります。

 代表曲の1つである『Party 4U -holy nite mix-』でのDJパフォーマンス、ボーカルとして登場したPicoさんとの『conflict』で会場はダンスホールさながらの空気に。

 勢いそのままに曲が『ナイト・オブ・ナイツ (Cranky Remix)』へと変化すると、観客たちのテンションもさらに一段アップしたように感じました。

 これが『東方』楽曲の熱量かと驚いていたところに現れたのは、なんとビートまりおさん! 出演者ラインナップには入っておらず、サプライズゲストの登場に、会場は割れんばかりの歓声に包まれます。

 会場に響いた音楽はもちろん、おなじみのナンバーである『Help me,ERINNNNNN!!』。「えーりんえーりん!」「えーりんえーりん!」などのコール&レスポンスももちろん行われ、会場のボルテージは最高潮に達します。

 さらに、ビートまりおさんの「ゆゆうたゆゆうた!」という呼びかけで、自分の出番を待っていたゆゆうたさんが飛び入り参加。歌詞にある「おっぱいおっぱい!」のコール&レスポンスを楽しんだと思いきや、「おっぱい〇んこ〇んこ〇んこ!」という超弩級のひとことを残して去っていきました。

 若干戸惑う観客がいたものの、以降はビートまりおさんが歌い切ってステージ終了。いろいろな意味で余韻がすさまじいものとなったパートでした。

第四幕・歌姫

 朗読劇第四章。奏でられるのは、よみぃさんによる『月に叢雲華に風』。『東方』の楽曲が続き、会場は早くも盛り上がりを見せます。


「2019年は、自分で楽器を演奏する時代なんだよね」
「そう、人の手で音を奏でている時代よ。ボーカリストも自分の声だけで歌を唄っているわ」
「機械で加工されていない、そのままの歌声が聴けるのね」
「今ではほぼそんなボーカリスト、存在しないものね」
「2019年にも歌姫がいるのかな」
「きっといるわ。自分の声だけで人の心を動かす、本物のアーティストが!」


 ここで登場したのは、『東方』楽曲のアレンジをメインに活動を続ける幽閉サテライトのYuzurisaさんです。

 まずは恒例行事として、Yuzurisaさんの「せーの」に続き、観客全員で「Yuzurisa!」と絶叫。「めっちゃ温かいやん」と大喜びしつつ、DJとして加わったCrankyさんとともに、『泡沫、哀のまほろば』と『Crimsonate』を圧巻のパフォーマンスで歌い上げます。

 トークでは、出演者のなかに自身が歌を始めるきっかけになった人物がいることを明かし、同じステージに立たせてもらって震えが止まらないと、緊張を口にするシーンも。

 3曲目ではよみぃさんも加わり、『色は匂へど散りぬるを』を熱唱。観客たちも、Yuzurisaさんの歌姫にふさわしい美しい歌声に酔いしれるひと時となりました。

第五幕・YouTuber

 朗読劇第五章では、小林 将さんのバイオリンを背に2099年と2019年の動画サイトについて語られていきます。


 2099年に存在するというTrueTube。その原型になったYouTubeというものが、2019年にはある。

 そこにコンテンツを投稿してビジネスを行う、YouTuberと呼ばれる人たち。2人はまだ見ぬ存在に思いをはせる――。


 舞台に上がったのは自称“口から脱糞を出す男”YouTuberのゆゆうたさん。ステージはまさかの謝罪から始まります。『Help me,ERINNNNNN!!』でえらいことを口走ってしまったため、裏に呼び出されて怒られました。なので今日は下ネタを封印させていただきます、と。

 会場からは「えー!!」「帰れ!!」との怒号が飛び交う、これまたすごい展開になりますが、ゆゆうたさんが投稿しているコンテンツと人柄もあってか、キャストとファンがこれまで以上に近い距離感を味わいながらステージが進行していきます。

 そして、「下ネタがなくなると何もできないので、即興でピアノを弾きます」と提案するゆゆうたさん。「2099年への想いを即興で。どういう曲調になるかも弾いてみないとわかりません。ただ、スキがあればいつもの感じをやらせてもらおうと思う」と語り、ピアノへと向かいます。

 会場に響いたのは、目を閉じれば青い空や澄んだ湖が浮かびそうな、美しいピアノの旋律。いつものゆゆうたさんを知っている方も多くいたようですが、普段とはまったく違うその旋律に聴き入ってるようでした。

 しかし事件は起こります。「やっぱり弾きたいっす」。その言葉を境に、ピアノの音色はいつものゆゆうたさんらしさを取り戻し……。その口からは、童心に帰って馬鹿笑いできるような詩が次々と紡がれていきます。

 禁忌を犯したゆゆうたさんは、ステージ脇から現れた2人の警察官によって強制連行。引きずられながらも大声で歌詞を口にしたのが印象的でした。

 そして誰もいなくなった壇上。しばらくすると、会場にアナウンスが流れます。

 「ご来場の皆様にお知らせします。ただいまのゆゆうた氏の公演に置きまして、非情に不適切な表現があったため、退場処分といたしました。お見苦しいところをお見せしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。それでは気を取り直し、続いての公演をお楽しみください」

 強制連行からアナウンス……いや、連行前からの歌詞から。会場を今日一番の笑いに誘ったのは間違いないでしょう。

 ちなみにアナウンス後にはアンコールが響き、ゆゆうたさんが少しだけ出てきてすぐにまた連行されるといった演出も。いろいろと予想だにしない出来事でしたが、最初から最後まで、絶大なインパクトを残したステージでした。

終幕・SEVEN's CODE

 最後となる朗読劇第六章。伴奏はよみぃさんが務めます。


「一番楽しみなのは生きているNAOKIが見られるってことね!」
「あのNAOKI!?」
「2099年では脳だけが移植された4代目NAOKIだからね。今4代目が作っている新曲は、彼が2000年から2020年代に作り上げた音楽をベースに、AIが最適化したものだそうよ」
「今はAIだけど、リアルなNAOKIは2019年に存在してるんだ~!!」
「しかもDJもやってるらしいわ!!」
「ホログラムでしか見られないNAOKIのリアルなDJプレイが体感できるってすごいことだね!!」


 未来人がこのイベントを見ているような演出や、NAOKIさんが開発中の『SEVEN's CODE-セブンスコード-』の世界観を思わせるような語りも続いたのちに朗読劇は幕を閉じ、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こります。

 そして壇上にはイベントの主催者で、数多くの音ゲーを世に送り出してきたNAOKIさん、『beatmania IIDX』シリーズなどで歌声を披露し続ける星野奏子さんが登場。初披露となる『SEVEN's CODE-セブンスコード-』のED曲『immaculate』をしっとりと歌い上げます。

 自己紹介では、きちんと挨拶を行う星野奏子さんとは対照的に、NAOKIさんは「今ステージにいるのは4代目NAOKIで、初代からのメッセージも一緒に届けていきます」と、大阪人らしいノリを見せてくれました。

 そんな2人による2曲目は、いわく初代NAOKIさんから曲をもらったという『蒼の太陽~その先にある未来~』。しんみりとした『immaculate』とは打って変わってポップな曲調に、観客たちも手拍子や掛け声でともに楽しんでいました。

 トリとして壇上に上がったのは、音ゲーファンにはボーカルユニット“BeForU”などでおなじみの小坂りゆさん。『SEVEN's CODE-セブンスコード-』に使用されるという曲を、持ち前の力強い歌声で初披露しました。

 約1年ぶりの新曲ということで、イベントに集った音ゲーファンからは歓声の嵐! “BeForU”時代から歌声を耳にしている筆者としても、時の流れを感じさせないその力強さと、変わらぬ“らしさ”におどろかされました。

 4代目を貫き通すNAOKIさんに小坂さんが少し呆れるなど、長年の付き合いがあるからこその掛け合いもあり、暖かい空気に包まれる会場。未来からのメッセージとして、小坂さんのVTRフリで『SEVEN's CODE-セブンスコード-』の新PVも公開されました。

 NAOKIさんが手掛ける新作の初公開PVに見入る観客たち。映像が終わると同時に、またも初公開となる『SEVEN's CODE-セブンスコード-』のOP曲『セブン』を披露。ハードなメロディと小坂さんの歌声がマッチしたクールな1曲に仕上がっており、唄い終えたあとには観客から今日一番の歓声と拍手が送られました。

 最後にNAOKIさんが再び壇上に上がり、「これまで自分が行ってきたライブのイメージをミックスさせ、皆さんに新しい体験を提供したかった」と、今回のイベントへの想いを語りました。また、「もしまたやるとしたら来てくれますか?」という問いかけには、大歓声で返す来場者たち。今回のイベントに対する満足度の高さを、改めて感じさせてくれました。

 また、2018年の発表からあまり情報を出せていなかった『SEVEN's CODE-セブンスコード-』についても言及。作品の舞台が2052年であることにかけて「2099年ともなんらかのつながりを持たせようと思っていたのです……が! 詳細はゲームをやって確認してください」と、気になる発言も。『SEVEN's CODE-セブンスコード-』の続報から目が離せませんね!

 こうして大盛況のうちに幕を閉じた“2099”。ライトユーザーながら音ゲーファンの1人として観賞させていただきましたが、音ゲー関係だけでなく強い個性を持つアーティストたちが次々と出てきて、自分のなかにある音楽の幅が広がったような感覚になりました。

 もし、また次があるなら絶対に行きたいですし、皆さんにも参加をおすすめしたいと心から思える、最高のイベントでした!

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