『Bloodhunt』開発者インタビュー。TRPG作品をバトロワへと変化させた理由とは

イナヤ マギ
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 Sharkmobから配信予定の『Vampire: The Masquerade - Bloodhunt』。

 本作は、ヴァンパイアとなって生きるTRPG『Vampire: The Masquerade(以降VTM)』の世界観を元にした、ヴァンパイア同士が戦うバトルロイヤルゲームです。

 この記事では、7月にクローズドαテストが行われる予定の本作について、開発陣に行ったインタビューをお届けします。

 また、6月2日に行われた試遊会の様子も記事にしていますので、気になる方はぜひご覧ください。

  • ▲IP&コミュニケーションディレクターのMartin Hultberg氏
  • ▲プロデューサーのDavid Sirland氏
  • ▲ゲームディレクターのCraig Hubbard氏

動きの自由さに重点を置いたヴァンパイアバトルロイヤル

――『Vampire: The Masquerade』シリーズでバトルロイヤル形式のゲームを作ることになった経緯を教えて下さい。

Martin Hultberg氏:2017年にこのスタジオを立ち上げましたが、スタジオの最初のゲームは既存タイトルで制作することが、賢い選択だと考えていました。

 当時、White Wolf社(現在はParadox社の傘下)で働いていた友人が、『VTM』の世界でアクションに特化したゲームを探していました。同時期に “バトルロイヤル”が新進気鋭のジャンルとなっていたので、これと『VTM』なら面白い形でフィットすると考え、本作の企画を立ち上げました。

――本作の最大の魅力を教えて下さい。

David Sirland氏(以下敬称略):動きの自由さに重点を置いたアクションとテンポのいいゲームプレイが合わさった、ハイクオリティなヴァンパイアバトルロイヤルが楽しめます。

Craig Hubbard氏(以下敬称略):制限のない自由な動きが最も評価されているようですが、他の作品と違うのは、緻密に作られた都市の中で、トラバーサル・メカニクス、超自然的な能力、遠隔攻撃と近接攻撃が組み合わされていることだと思います。

 それにより、デビッドが言ったような強烈でハイスピードのバトル体験ができるのです。

――具体的にはどういった点が違うのでしょうか?

Craig:一般的なPVPゲームでは、入口や窓といったように敵が侵入してきたり、攻撃を受けたりする場所が限定されているので、リスク管理がしやすくなっています。

 しかし、本作では、敵の脅威は上からでも下からでも、どこからでもやってくるので、プレイヤーにはより高度な状況認識が求められ、それがストレスになるかと思います。しかし、慣れてくると、とても爽快で強烈な異次元の世界が楽しめます。

 あとは超人的な能力です。能力はターゲットを見つけて交戦するだけでなく、危険を察知して悪い状況から逃れるのにも役立ちます。

 初めてプレイする場合は武器を中心に戦っていくと思いますが、プレイすればするほど、能力、動き、武器、戦術の組み合わせが大事だと感じるようになると思います。

TRPGのキャラクターの体験を表現することが重要

――元となっているTRPG『Vampire: The Masquerades』の世界観を表現する上で、デザインや設定など気をつけた箇所はありますか?

Craig:『Vampire: The Masquerades』のIPやゲーム性のガイドラインに合わせることはもちろんですが、ペンと紙で戦うTRPGから、リアルタイムPVP(対人戦)アクションゲームへと変化させなければなりません。

 TRPGでは、プレイヤーはルールやサイコロの目、確率のことを考えていますが、キャラクターはその世界で、生き延びるために戦っています。つまり、プレイヤーの体験ではなく、キャラクターの体験を考えることが重要になってきます。

 ですから、キャラクターの感覚をゲーム内で表現できれば、原作に忠実でありながら、なおかつバトルロイヤルゲームに最も適したものになると考えました。

――ゲーム制作中に印象的だったエピソード、苦労したエピソードなどがあれば教えて下さい

Craig:まずは、プレイヤーが自由に動き回れるようにすればするほど、戦闘でプレイヤーを狙うのが難しくなるということです。そのため、近距離戦で常にウサギが飛び回っているような状態にならないよう、かなりのチューニングが必要でした。

 もう1つは、プラハの旧市街を再現したマップの作成です。プラハはヨーロッパの歴史的な都市で、似たような形の建物や屋根がたくさんあります。

 そのため、建築物の種類を増やしたり、鉄道の駅など実際には少し離れた場所にある面白いものをマップに追加したり、墓地や公園などのオープンスペースを作ったりと、クリエイティブな工夫をしなければなりませんでした。

 色々な意味で非常にチャレンジングなプロジェクトでしたが、もしプロジェクトが簡単であったなら、それはたいてい面白いことをやっていないということだと思います。

人気のアーキタイプは“サボタージュ”

――今回の試遊では3つのクランからアーキタイプが登場しましたが、このクランを選んだ理由は何ですか?

David:最初の3つのクランは、ヴァンパイアファンタジーの様々な側面を代表するものとして、多様性を持たせるために選ばれました。

Craig:古典的な吸血鬼から、より現代的なスタイルまで、幅広い吸血鬼のスタイルやファンタジーを網羅しているところが、『VTM』の素晴らしいところですね。

David:本作は、今後もクランやアーキタイプを追加していく予定です。ソロプレイでもチームプレイでも同様に使えるようにバランスを取るのは大変な作業ですが、ゲームが発売されてからもずっと取り組んでいくことになるでしょう。

――開発チーム内で人気のキャラクターがいたら教えて下さい。

David:これが旅のような、非常に面白いもので、チームに入ったばかりの頃は、隠れてステルス行動がとれるクラン“ノスフェラトゥ”や、攻撃的なプレイが好きな人には“野蛮(Brujah)”が好まれる傾向にあります。

 しかし、時間が経つにつれ、開発者はどのようなプレイテストを行いたいかに応じて、すべてのアーキタイプを使用するようになります。

Craig:我々のプレイテストのデータによると、“サボタージュ(Saboteur)”が最も選ばれており、その他のアーキタイプはほぼ互角です。

 バトルでの統計によると、最も勝利を収めているのは“セイレーン(Siren)”、“バンダル(破壊)”、“サボタージュ(Saboteur)”ですが、それは主にベストプレイヤーがそれらを選んでいるからです。

 私は主に“プローラー(徘徊する者)”を使っていますが、これはあまり評価されていませんが、攻撃的なプレイヤーには最適です。私はとても攻撃的なプレイヤーですからね。

 グループゲームでは、ヒーラーである“ミューズ(Muse)”がよく使われます。ソロで使うのは難しいですが、それで成功している人もいます。

――バトルロイヤル初心者にオススメのキャラクターはどれですか?

David:まずは、すべてのアーキタイプを試してみることをお勧めします。スキルを使用して攻撃し、攻撃の準備ができていなければスキルで戦闘から逃げることに集中しましょう(すべてのアーキタイプには、ダッシュしたりすばやく移動したりする機能があります)。

 優れたスターターアーキタイプは、自己回復できる“ミューズ(Muse)”です。しゃがんだときにほとんど見えなくなる能力を持つ“サボタージュ(Saboteur)”もいいと思います。

Craig:“サボタージュ(Saboteur)”は、間違いなく初心者プレイヤーが選びやすいアーキタイプです。罠を仕掛けたり、半透明になることができるためです。

 開発内でも初めてプレイするときは、“サボタージュ(Saboteur)”が使いやすいとよく言われますが、ゲームに慣れて様々なアーキタイプを試してみると、意見が変わる傾向があります。

 あなたがどのようにプレイしたいか、どの能力が最も直感的で有用だと感じるかによって大きく異なると思いますので、ぜひ色々なアーキタイプを試してみて下さい。

プレイヤーからのフィードバックを参考に開発予定

――リリース版では他にもアーキタイプが登場しますか?

Craig:私たちの目標は、アーリーアクセスでの発売時に、しっかりとした安定したバランスの取れた基盤を作り、プレイヤーからのフィードバックや提案に基づいて、時間をかけて構築していくことです。私たちは、量よりも質が重要だと考えました。

David:リリース版は出発点であり、アーキタイプやクランも含めて多くのものが今後追加される予定です。

――今回の試遊ではプラハのマップで戦いましたが、他のマップも用意されているのでしょうか?

David:厳密にはエリジウムも入りますが、発売時のマップは“プラハ”のみです。

Craig:迅速なマッチメイキングが、我々にとって優先事項であり、特にゲームの発売直後は、プレイヤー層をあまり分けたくないとの考えで、1マップになっています。

――今後の予定などを分かる範囲で教えて下さい。

David:様々な計画がありますが、何よりもプレイヤーの皆様の関心やフィードバックを取り入れることが重要だと考えています。

 7月に開催予定のクローズドαテストを皮切りに、今後はすべてのプレイヤーの皆様の意見を聞いて、どの計画を実行するのか、優先順位をつける参考にしたいと考えています。その後にアップデートにて、順次実装していこうと思っています。

――本作を楽しみにしている日本のプレイヤーに一言メッセージをお願いします。

David:私たちは、あなたの注目を集めることを光栄に思っています。また、皆様に本作をプレイしていただき、楽しんでいただけることを願っています。

 私たちは、ゲームをより良くするために、皆さんからのフィードバックをぜひお聞きしたいと思っています。気に入った点や気に入らない点、本作に足りないものやもっと楽しくなるものなど、ご意見やご感想、ご要望などをお聞かせください。

 今後、よりよい日本のコミュニティを構築して、交流していくことを非常に楽しみにしています!

Craig:はじめまして! よろしくお願いします! 日本大好き!
(※日本語でメッセージをいただきました)

※記事内の画像は開発中のものであり、配信後に内容が異なる部分がある可能性があります。
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Vampire: The Masquerade® © Paradox Interactive AB

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Vampire: The Masquerade - Bloodhunt

  • メーカー: Sharkmob
  • 対応端末: PC(Steam)
  • ジャンル: バトルロイヤル
  • 配信日: 未定
  • 価格: 基本プレイ無料

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